こんにちは、日向です。
先日 館長の名前が黒塗りされた図書館の会議録 で取り上げました和歌山市民図書館の運営審議会について、本日はさらに詳しく書いておきたいと思います。
まず、図書館運営審議会とはなんぞやというところからいきますと、読んで字のごとく、市民図書館の運営について、地元の有識者で構成される委員の意見を聞く機関のこと。直営時代は、館長の諮問機関として「運営協議会」と呼ばれていましたが、2019年12月に同館が指定管理になってからは、「審議会」として、館長ではなく市教委に対して、運営の意見を述べる機関となっています。(専門家がほとんどいない審議会参照)
で、今回出てきた会議録は、昨年11月11日に開催されたものなんですが、2019年以降、何回開催されたのか記録がみつかりません。少なくとも年1回のペースでは開催されているとは思うのですが、過去の会議録はみつかりませんでした。(担当部署に確認しましたところ、2020年と2021年度はコロナ禍のため一度も開催せず。2022年度はこの11月と翌年2月に開催)
和歌山市民図書館・運営審議会会議録.pdf
そうしたなかで、昨年11月に開催されたことの意味を真っ先に考えました。
といいますのも、この4月から次の5年間の運営を担う指定管理者の募集が始まっています。その前に、運営審議会で、これまでの5年間を総括といいますか、早い話が、市駅前に移転してCCC運営のツタヤ図書館の評価をここで確定させておこう(=次の5年間もカルチュア・コンビニエンス・クラブに任せよう)というような意図がミエミエではないのかと感じました。
具体的に言えば、審議会のメンバー構成です。まずは、下をみてください。
和歌山市民図書館運営審議会委員名簿
順不同 令和4年3月31日現在
(1) 学校教育の関係者
〇吉森 裕巳子
和歌山市小学校長会 鳴滝小学校長
〇尾前 真一
和歌山市中学校長会 河西中学校長
(2)社会教育の関係者
△山下 勝則
和歌山市公民館連絡協議会 副会長
(3)家庭教育の向上に資す る活動を行う者
△奥 智美
和歌山市小学校PTA連合会 副会長兼女性部長
(4)学識経験のある者
△戸田 正人■
和歌山市議会議長
△長谷川 雄彦■
甲南大学 共通教育センター 特任教授
〇高砂 正弘
和歌山大学システム工学部 名誉教授
〇谷 奈々
和歌山社会経済研究所 研究委員
〇小原 智津
和歌山グループ声 会員
〇は前期から留任した委員、△は今期からあたらに就任した委員、■がキーパーソン
キーパーソンは誰か? 私は、9人の委員のなかで、唯一、図書館の専門家である 長谷川 雄彦氏に注目しました。
図書館の運営について意見を述べる審議会ですから、当然、専門家が議論をリードしていくわけですが、なおかつ、長谷川氏は、今回の会議で審議会の会長に選任されていますので、発言力がいちばん大きいのはこの人であるのはあきらかです。
和歌山市民図書館・運営審議会会議録.pdf
で、この長谷川氏というのは、なぜか地元和歌山の大学ではなく、お隣の大阪でもなく、兵庫県神戸市の甲南大学から呼ばれてこられた特任教授なんですよ。
長谷川氏は、2021年12月20日から委員に就任されていて、その前任者も同じく甲南大学の赤瀬美穂特任教授でした。
どうして、地元の大学から呼ばずに、わざわざ神戸の大学の先生を呼んだのか? そう不思議に思って、当時、担当部署に聞いてみたら、和歌山市が甲南大学と提携しているとかで、その縁でお願いしたということでした。
でも、それって、とっても不自然なんです。というのも、もともと甲南大学と仲がいいのはCCCだったからです。
CCCが和歌山市民図書館の指定管理者に選定される前の2017年9月に甲南大学岡本キャンパスに、TSUTAYA BOOKSTOREを出店。その翌々月の11月末にCCCが和歌山市民図書館の指定管理者に選定されました。和歌山市が同大学と提携したのは、翌年の2月のことでした。
しかも、CCCの増田宗昭社長と懇意な経済人が同大学客員教授を務めている(この人物が経営する企業に増田宗昭氏の長男で、現在CCC専務取締役の増田宗禄氏が新卒入社)ということもあり、これはなにかあるな? もしかして、CCCが自分たちに都合のいい発言をしてくれそうな先生を和歌山市に送りこんできたのではないのか? そう疑う状況が揃ってました。( CCCと専門家会議をつなぐ点と線 和歌山市の簿冊タイトルが開示されました 参照)
その疑惑が俄かに現実味を帯びてきたのが、この審議会になる前(運営を直営から指定管理に移行するまで)の経緯でした。
まだ協議会組織だった2016年度~2017年度(2018年3月)まで、図書館協議会の委員を務めていたのが当時、和歌山大学の特任教授だった渡辺幹雄先生でした。
これ前にも書いたので、詳しくはそちらを読んでいただきたいのですが、図書館協議会の座長を務めていた渡辺先生は、市駅前に移転する新しい図書館をどうするかということを話し合うことになった際に、誰にも忖度しない、まっとうな議論をはじめてしまったんです。
2017年当時、すでに水面下ではCCCに運営を任せることが内定していました。協議会は、指定管理者制度を導入して、賑わい創出型図書館をつくることをただ追認だけしてくれればいいのに、海外にはこんな図書館があって、その運営はこうなっているとか、図書館はマネジメントが大事だなんいう本格的な議論を始められて、執行部は、ほとほと困惑していたようなんです。
すでに移転に反対する管理職は飛ばされていて、事務方のほうは、イエスマン揃いの布陣が敷かれたなかで、協議会に空気を読まない委員がいたのは、市長サイドもCCCサイドも、ほとんに困り果てたのではないかと思います。( 答申されなかった専門家会議 参照)
そういう経緯があったものですから、今後、CCCの指定管理を、つつがなく継続していくためには、ただ黙って追認してくれる専門家を呼んでこなくてはいけなかったという事情がありまして、そこに現われたのが長谷川先生の前任者である、赤瀬先生(2018年4月~)だったんですね。
とはいえ、それ私の勝手な解釈なので、事実は違っていたらご迷惑をおかけしかねないと思いまして、赤瀬先生に、審議会委員就任の経緯について直接お聞きしようと、電話やメールなどで連絡をとろうとしたんですが、まったく連絡不能でした。仕方なく甲南大学を通して、メールや電話をしてみましたところ、へえーそこまでするのかと驚くくらいの勢いで、大学当局からは完全にブロックされました。( CCCと専門家会議をつなぐ点と線 )
話は、そこでもやもやとしたまま終っていたんですが、赤瀬先生の後任も同じく甲南大学からこられていて、今度の長谷川先生が、なんと審議会の会長さんに就任されて議論をリードされるお立場になられたというんですから、ははぁ、やっぱり、そういうことだったのかとおもわざるをえない、というわけなんです。
さて、もうひとりのキーパーソンが、市議会議長の戸田正人氏です。ツタヤウォッチャーの方なら、CCCが選定される前から「ツタヤ図書館は素晴らしい。和歌山にもカルチュア・コンビニエンス・クラブを呼んでくるべきだ」とさんざん公言していて、「まるでCCCの営業マンみたい」と言われていた市議と言えば、ピンとくる人も多いのではないでしょうか?
当ブログでも、CCCが選定された直後に戸田市議を直撃しています。
市議会からも、図書館運営協議会へひとり委員を出すのが慣例になっているらしく、たまたま戸田市議が市議会議長に就任されたタイミングで、審議会の委員のイスが回ってきたということなんですけれども、それにしても、ドンピシャといいますか、CCCにとってこ、これほど心強いことはないですよね。
なんてたって、指定管理というのは、業務委託なんかと違って、必ず議会の承認が必要ですので、ただでさえ、「ツタヤ図書館のカルチュア・コンビニエンス・クラブ大好き」と公言されている方が、この審議会に出席して、ガンガン意見を述べるわけですから、もう鉄壁の布陣と言ってもいいのではないでしょうか。
この場で、空気を読まない委員が、CCC運営の問題点について、質問でもしようものなら、もの凄い勢いで反論されてしまうような雰囲気になるのはもう火を見るよりもあきらかです。
事実、会議録を詳しくみますと、戸田議員は、ずいぶん発言しているご様子なんですが、その発言内容はほとんどが黒塗りされていました。なんか、公表できない、指定管理者選定基準にかかわるような重要なななことをおっしゃっているのでしょうか?
戸田市議の発言は、ほぼ全面黒塗り 和歌山市民図書館・運営審議会会議録.pdf |
戸田市議のブログ。旧市民図書館で慰安婦関連本の貸し出しを禁止させたと自慢している。 |
会議の内容については、また後日、私なりの批判を加えて、くわしくみていきたいと思いますが、委員の顔ぶれをみただけでも、これは来期もCCC確定ではないかと思わざるを得ません。
この審議会に課せられたミッションというのは、この5年間に、さまざまな疑惑や運営に対する批判、市民の不満があったなかでも、公平公正に評価したら、カルチュア・コンビニエンス・クラブがいちばん優れた事業者でした
――ということに説得力を持たせるための理論的な下地作りといいますか、そのアリバイづくりをしっかりと行なうことにあると思うのですが、
それにしては、2019年12月にCCCの指定管理者がスタートしてから、これまで一回も開催されておらず、昨年11月の一回だけで済まそうというのは、いくらなんでも弱いですね。もしかして、この後も開催されているのでしょうか?(いま確認したところ、今年2月にもう一回開催されているとのこと。)
ご参考までに、私が記録している和歌山市民図書館の疑惑・不祥事一覧を以下に掲げておきます。11月の審議会では、これらについては、ただの一言も触れられていないのは、改めていうまでもありません。
来期(来年4月から5年間)の指定管理者の公募は、4月から始まっていて、7月には決まります。おらそく、ガチンコでCCCと競合する事業者は現われないか、もし現われても、いつものように、独禁法対策のためなのか、CCCには辛抱強くつきあってくれるTRC図書館流通センターか、木更津市のようなダミーまがいの事業者しかいないのではないでしょうか。
よろしくお願いいたします。
公文書を隠蔽?ツタヤ図書館の闇 より |
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2020年8月29日土曜日
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