こんにちは、日向です。
本日は、朝から腰を抜かすようなニュースが飛び込んできました。
なんと、あの山口県宇部市が再度、カルチュア・コンビニエンス・クラブを選定したというのです。
常盤通りにぎわい交流拠点利活用事業の事業者決定
https://www.city.ube.yamaguchi.jp/shisei/kouhou/kishahappyou/1008059/1019082/1019677.html
旧井筒屋の跡地に建設する、賑わい交流施設の建設から維持管理までを一括して担当する事業者を宇部市が発表し、その事業者グループのなかに、しっかりCCCの名前が入っていたというんですから、これは吃驚仰天です。
3年前の2020年9月28日、市議会で旧井筒屋ビルを改修して、CCCが運営管理するツタヤ図書館もどき(市民センター)を整備する事業がすんでのところで否決。
愛知県小牧市につづいて、一度内定していたCCCの事業計画が頓挫した二例目として、大きな注目を集めました。
一度ケチがついた計画だけに、もう二度とCCCは入ってこないと思われてましたが、ところがどっこい、どういうわけか水面下でCCCを運営者とする計画がしぶとく活きていて、今度は、建物の改修ではなく、取り壊して新築することになった事業計画でも、一度なくなったはずのCCCによる運営がゾンビのように蘇ってきたんです。
宇部市ではもうCCCはないなと私が思っていたのは、第一に、市長が代わって、CCC及びその応援団とみられていた商工会議所界隈の人たちが関与しなくなっていたからです。また、CCC否決直後に、スターバツクスも別の場所に出店したことから、もはやスタバと蔦屋書店を目玉とした施設が成立しえなくなっていたと思ったからです。
いったいどういう算盤を弾いたらそうなるのか、さっぱりわかりませんけれど、
3階建てで、子育て支援施設と、くつろぎ交流機能を持つ、延岡エンクロススや丸亀マルタスと同じような公共施設を、建設費と20年間の運営費も含めた総額60億円のPFI事業として宇部市が進めることが決まり、その事業者にCCCが参画するコンソーシアムが先月選定されていたのです。
早速、あちこち関係者の方に聞いてみたところ、3年前と違うのは、商工会議所を母体とした三セク・にぎわい宇部は直接関与していないこと、また、久保田前市長周辺人脈も関与していないので、事業そのものは、わりとクリーンらしいんですが、建築業界には「いちばん汗をかいた人が中心になって受託する」慣習は根強くあるらしいので、前市長との密約はなかったとしても、CCCの事業計画が、そこに参加したグループ内で支持されて、形を変えて出てきたということではないかとのことでした。
早速、sns界隈では、関連情報を出してくれるウオッチャーの方が、CCCが選定されたコンペでの審査委員の構成まで出してくれていました。
それがこれです。委員長の名前に東洋大学 客員教授の南学氏が就任しているのをみて、なるほど、そういうことか!と思った人も多いのではないかと思います。
南氏と言えば、大阪府門真市(次のツタヤ図書館になる予定)の選定委員を務めた湯浅俊彦(追手門学院大学・国際教養学部教授)氏とともに、CCCによるツタヤ図書館を高く評価する数少ない専門家のひとりです。
その南氏が宇部市では、市民交流施設の事業者選定に委員長としてかかわっていたのですから、もうこれは、市が立案した事業計画の段階から、どこにやらせるかは決まっていて、その選定までの道筋を誰かがキレイに整えていたのだろうというのが私の感想です。(コンペに参加したもう1グループはダミーの可能性もあり)
さて、宇部市の関係者からは、こんな施設をいまさら作っても、賑わい創出(エンクロス、マルタスとまったく同じ年間70万人来館目標)なんかできるのか? 民業部分については市が賃料をもらうだけで、赤字を負担することはないものの、民業サイドの採算はあうのか? という不安が払拭できないままでいるそうで、しっくりいかないけども、市が取得してしまった不動産ゆえに、市長もいまさらなにもしないというわけにもいかず、子育て支援施設ならいいんじゃないかという、かなり消極的な賛成をしているというのが実情らしいんです。
しかし、宇部市の場合、20年間で総額60億円のうち、建設費が34億円、運営費が26億円という内訳で、1年あたりの運営費に直すと、1億3000万円。これは、延岡エンクロスと丸亀マルタスとピッタリ同じ金額です。延岡市は、昨年2月に再任さたれ読谷山市長が、この運営費があまりにも高すぎるとして、今期から2割カットして、1億円まで下げたばかり。市民センターの運営費は、全国平均で、4000万円前後といわれているなか、その3倍以上の運営費をCCCグループに取られるわけですから、決して適正な費用とは言えないでしょう。
いやいや、うちは年間70万人を目標にしてても、それをはるにかに上回る127万人もの来館者を達成しているとCCCは言うかもしれませんが、その測定方法が適切ではないのではないか(1人をダブルカウントなど)との指摘が絶えず、延岡市の運営費見直し案でも、その測定方法については詳しい検討が必要との指摘がなされていた(読谷山市長が暴いた来館者数のカラクリ)ほどです。
まあ、それでも子育て支援施設ができれば、定住人口の増加や、出生率アップなどが期待できると思われるかもしれませんが、それはとんでもない勘違いです。
子育て支援施設で働く若手スタッフ(女性が多い)は、ほとんどが最低賃金スレスレの非正規雇用です。それならなにもしなくても、その1億3000万円で正規職員を増やしたほうがはるかに出生率アップにつながります。最賃で働く人からピンハネした金が市外の事業者に流れていくだけで、そんな雇用が安定しないところでは、ますます人口は減っていく一方でしょう。空虚な賑わいができたとしても、安定して稼げる仕事もないのに、人口が増えるはずがありません。
もうひとつビックリ仰天なのが、CCCが参加しているコンソーシアムの代表企業が合人社であるということ。
合人社といえば、2010年に全国に先駆けて指定管理者制度を導入した下関市立中央図書館で、とんでもない不祥事を犯しています。図書館界では「札付きのワル」とのイメージがついてしまった企業です。詳しくは、以下の記事に書きましたが、下関市中央図書館の指定管理者として運営期間中に、貸出冊数水増しという前代未聞の不正行為を犯したことが知られています。その札付きのワルが、これまたコンプライアンス違反など屁のカッパなCCCと組んで、公共施設の整備運営を担当するというのですから、これでは不安がつきません。、
2020年8月30日日曜日
さて、そうしたなかで、3年前には、夢にも思わなかった事態を、いまCCCが迎えています。
下の表をみてください。これが最近発表されたCCC単体の決算です。TSUTAYAの大量閉店でも、いまだに売上が700億円もあってスゴイと思われるかもしれませんが、注目したいのは営業利益(本業の儲け)が13億円しかないことです。
株式会社トップカルチャー・上場の親会社等の決算に関するお知らせ |
少し前に、CCC本体の経営が危ないらしい、公共施設部門を除く、すべての事業が赤字らしい。単体では営業利益は二桁(10億円単位)赤字、会長の資産売却してなんとかかんとか13億を確保、TSUTAYAだけでなく、新業態のT-SITEも閑古鳥が鳴いていて、一部もうすぐ閉鎖するらしい、との情報をキャッチしていました。
こういう情報というのは、なかなか裏が取れないので、安易に書き飛ばせないのですが、今回、CCC単体の決算をみて、その情報の通りになっていて、かなり信ぴょう性が高いことがわかりました。
いまCCC運営の公共施設は9館(うち図書館は7館)あります。指定管理料は、年間で1.6億から3.5億円くらいですが、そこに付随しているスタバと蔦屋書店(丸亀と宇城は蔦屋なし)が年間1~2億円の売上があるとされていて、そちらのほうは賃料激安などかなり利益率が高いとみられていますから、少なくとも公共施設部門だけでもCCC単体の営業利益13億円くらいはあるでしょう。それを引いたら、CCC単体の事業はすべて赤字であることがわかります。つまり、CCC経営危機の情報はかなり精度が高いとみていいかと思いました。
頼みの綱だった海外部門も赤字だそうで、ここ数年は社員の賞与カット、給与も1/3の社員はカットされて、優秀な人が次々と辞めていく一方、役員層は新社長の取り巻きで固められているそうです。
最近発表された、CCCが紀伊國屋や日販との書店流通に関する新会社設立なるニュースについても、社員をリストラする金がなくて、転籍させてやめてもらう作戦ではないかと社内で噂になっているほどだそうで、これについては、社内への説明もなく、プレスリリースで知るなんてバカにしてるという声があがっているとか。
そういうことからすれば、先日発表のあった、Tポイントとsmbc(三井住友)のVポイントが統合して、Vポイントになり、Tポイントの名前が消えることになった件も、「名を捨てて実を取った」などと報じられているのは、真っ赤なウソで、もしものときの混乱が広がらないよう、Tポイントをsmbcが飲み込んだだけではないのかという見方もある程度信ぴょう性が出てきます。
来年からの図書館の指定管理者を選定している和歌山市も含めて、行政サイドは、そうした、もしもときにはどうするのかという危機管理の発想はまるでなく、どんなにボラれても賑わい創出したことにしてくれるCCCさんでなければというスタンスなのですから、これはいずれ痛い目にあうのは必至でしょう。
さて、また話は変わりますけれど、そうしたニュースと直接は関係していないのですが、どうやらCCCが関与する事業そのものが、民間が儲からないヤバイ事業であることを露呈してしまったのが、千葉県木更津市の新庁舎整備を担当するゼネコンが辞退した事件です。
続報としては、辞退されてから一か月も立たないうちに木更津市は、仕切り直しをはじめていて、6/29から事業者への市場調査をスタートしたそうです。
木更津駅周辺庁舎の整備 市、事業者の意向調査へ
https://www.tokyo-np.co.jp/article/259677
木更津駅周辺庁舎整備事業に関する市場調査について
https://www.city.kisarazu.lg.jp/shisei/chosha/shin/1011646.html
木更津市 事業延期の駅前新庁舎 整備に向けて市場調査へ
https://nordot.app/1046737509825708304?c=428427385053398113
ゼネコンの事業費が採算あわないうえ、予定地の地権者との交渉がまとまらなかったために辞退されたのに、
地権者の同意なければ、市の所有地だけで新庁舎が入居するビルを建てようという計画らしんですが、ただでさえ狭いとと言われていた駅前庁舎がさらに狭くなるなんていう話を議会がスンナリ了承するはずがなく、特別委員会で市長の暴走にブレーキをかけざるをえないところまできています。
その駅前庁舎に入る予定だったCCCと船場が計画している市民交流プラザも、そのまんまの計画で再度、ゴリ推し選定されそうというんですから、こちらも宇部市に負けず劣らず酷い事態です。
宇部市もそうですが、CCCによる民業部分は、自治体が最高レベルで便宜をはからって成り立っている癒着事業ですから、それを純粋に民間企業の収益施設とみた場合、もっともっと自治体に負担を増してくれないと民間は採算が取れないという市民無視のゴリ押しがエスカレートして、バカげた方向にどんどん突き進んでいるように思えます。
さて、そうしたなかで、最後のニュースが、“無印図書館”です。
岐阜県可児市が、無印良品を運営している良品計画に、市立図書館の整備と運営を任せることが決まったというニュースもここ数日で駆け巡りました。
ヨシヅヤ可児店に市立図書館の分館を併設した無印良品の店舗が出店するらしく、
約2640平方メートルの店舗のうち、4分の1にあたる約660平方メートルを市が借りる。開館時の蔵書は約2万冊で、年間約9万7千人の来館を見込む。(2023/7/1朝日新聞)
というんです。
で、これが市民の要望とかパブリックコメントを経て慎重に進められた計画なのかと思ったら、そのプロセスはどこにもなく、ただ市長がやりたいと言って、発表しただけという、まるで2012年の武雄市とCCCのツタヤ図書館発表のときような、とんでもないノー手続きの事業だったことがわかりました。
店舗スペースと図書館スペースの境界があいまいで、占有面積によって賃料を払う方式や、独自分類の導入、選書まで無印が行なうらしく、文字通り、図書館なんか運営してこともないど素人が、空間デザインだけのノウハウで「賑わい創出」するという、まんまツタヤ図書館スタイルを踏襲したものとなっています。
無印良品を展開している良品計画としては、このところ収益性が大きく落ち込んでいて、以前のような勢いがなくなったために、なんとか公共部門に活路を見出そうとしているところなんかは、CCCや船場などとソックリです。
オシャレな空間の図書館に大勢の客がつめかけてきて、賑わい創出に成功したねと、地元メディアも含めた“大政翼賛会”が闊歩する様子が、いまから目に浮かびます。
教育とか文化とか学問など、これまで行政がしっかりと担ってきた知の基盤が、ガラガラと音を立てて崩れていくことを痛感させられたのが、ここ数日の出来事でした。
よろしくお願いいたします。
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2020年8月29日土曜日
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関係者の方から、木更津市の件について、コメントいただきました。→“木更津市は「遅延は1年程度」と根拠不明の理由はこれですね。毎度のことながら、募集発表から締切までの期間が短い。こんな出来レース紛いのヒアリングとは凄いですね。
返信削除問い合わせがあった3社の中に、船場とCCCは入っているでしょう。1ヶ月後には正々堂々と船場CCCの返り咲きでしょうか。”
関係者の方から、無印図書館について、コメントいただきました→“良品計画さんは、最近は田舎の自治体の赤字補てんが条件の事業にホイホイ参加されていますね。行政にコンテンツ・集客開発の能力がないので、人気のテナントに補助金で丸投げという構図は、蔦屋やスタバと同じですね”
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