こんにちは、日向です。
書くのが一か月ほど遅れてしまいましたが、佐賀県武雄市の武雄市図書館・歴史資料館が、カルチュア・コンビニエンス・クラブを指定管理者にした、いわゆる「TSUTAYA図書館」として新装開館してから、この4月で、ちょうど10年がたちました。
その頃、当ブログでも前に取り上げました、私の身内がかかわった「時給180円事件」で、のちに地裁~高裁までお世話になる主任弁護士のK先生が、支援者やメディアの記者たちを前に、図書館の指定管理制度について説明する際には必ずこう言ってました。
レンタルのTSUTAYAが図書館の運営を担っているのが指定管理者制度です
そんな説明を、もう耳にタコができるくらいに繰り返してたのを覚えています。たいへん失礼ながら、Kセンセイ、よりによって、そんな事例で説明しなくてもいいのに…と、こころのなかで、つぶやいてたものです。
私が、ツタヤ図書館の記事を書くようになったのが、武雄市で“1号店”がオープンしてから2年後の2015年秋からです。ちょうど二例目の神奈川県海老名市でオープンする直前、武雄市で、系列のネット古書店から仕入れたと思われる「2万冊のクズ本リスト」が発覚して、世間が騒然としていた頃です。
しかし、厳しい批判があったのは、ほんの一時期のことにすぎませんでした。2013年4月の武雄市でのオープン直後からは、すさまじいくらいに「TSUTAYA図書館は、民間のノウハウを活用した素晴らしい施設」「官民連携の成功例」として、メディアに取り上げられていて、当時の樋渡啓祐市長や増田宗昭CCC社長は、リーマンショックと3.11後の暗雲がかかっていた日本の行政の救世主のような持ち上げされたかをされていました。
労働問題で厳しく受託企業の責任を追及する主任弁護士のK先生ですら、指定管理者制度の説明として「あのTSUTAYAが公共図書館を運営」と例に出すのも、そういった時代背景があったわけです。
それから10年がたちましたが、なにがどう変わったでしょうか?
CCCが運営する図書館は、昨年4月に新装開館した熊本県宇城市で7館めとなり、図書の貸出はしない市民活動センターである、延岡エンクロスと、丸亀マルタスを含めれば9館まで増えました。
2025年度中には、大阪府門真市と、沖縄県読谷村で、CCC運営図書館が新築でオープンする予定です。これらを含めると、同社運営の公共施設は11館となることまでが決まっています。
2017年に決まった和歌山市以降は、私が当ブログやビジネスジャーナルで、その選定ブロセスについて詳しく書いてきましたので、当ブログの読者の方は、ツタヤ図書館の決定が、どれだけ不正行為にまみれた茶番であるのかを、痛いほどご存じだと思います。
しかし、その一方で、一連の不祥事・騒動をリアルタイムでみてきていない人や、あまり図書館のことには関心がなかった人にとっては、いまだに、2013年のオープン直後の、「TSUTAYA図書館は大成功!」というフェイクニュースを真に受けているか、もしくは、あのTSUTAYAの本社CCCが図書館を運営していることなんか、まったく知らない人も多いのではと思います。
試しに、グーグルで「ツタヤ図書館」とか「カルチュア・コンビニエンス・クラブ」をキーワードに入れて検索してみてください。
批判記事も多少は出てきますが、大半が「賛否両論ある図書館」か、2013年の「素晴らしいTSUTAYA図書館」の記事で埋まっているはず。古本騒動があった2015年くらいの記事がほとんどです。
「武雄市図書館」とか「海老名図書館」という個別の検索ですと、批判すら埋もれてしまい、不祥事など一切なかったかのような情報で溢れています。和歌山市や宇城市のような最新の事例ですら、10年前の武雄市のときにタイムトリップしたかのような、オシャレで快適な施設と、手放しで絶賛する記事がめだちます。
そこで、ぜひアクセスしていただきたいのが、図書館友の会全国連絡会(とともれん)が配布しているミニパンフレット
「ツタヤ図書館」の“いま”第3版- 公共図書館の基本ってなんだ? -(2022.5.1) です。
ツタヤ図書館が登場したときの経緯や、その前後における運営費の推移、来館者数や利用者数はどうなっているのかなど、ツタヤ誘致自治体における各地の実情が詳しいデータをもとに紹介されています。ツタヤ図書館問題についての概要がひとめでわかるようなパンフレットになっています。
そんな「とともれん」の書館友の会全国連絡会ツタヤ図書館情報交換プロジェクト班が、
最近、ツタヤ図書館の10年 ど題したサイトをリリースしました。
図書館友の会全国連絡会の会員が「ツタヤ図書館」について執筆、発表した文章を同団体のウェブサイトに転載してくれているのです。
CCCをヨイショする文化人や、オシャレな店舗としてツタヤ図書館紹介するトラベラーたちの記事に加えて、現地を視察してCCC社員や行政側の「大成功」との言い分を鵜呑みにしている視察報告書が、ネット上に、これでもかというほど溢れるなか、これまで専門誌等に掲載されただけで、ともすれば埋もがちになっていた、図書館関係者による貴重なレポートが、ここに一括してまとめられているのです。
2017年に決まった和歌山市以降については、これまで拙稿でもしつこいくらいに取り上げていますが、10年前の武雄市で起きたことについては、私はあまり追いかけてこれませんでした。なので、拙記事よりも、こちらのサイトで圧倒的に詳しい情報が得られることがあります。
10年前に、いったいなにがあったのか、それは、いまも続いているのではないのか?
そんな視点で、ここに紹介されている、いくつかの記事を読めば、われわれがみている世界が、いかに、フェイクニュースだらけなのかを痛感されると思います。
10年の月日を経てもなお、武雄市などでは、全国の議員さんや行政マンの視察が活発に行なわれていて、そこでは、自分たちは、いかにして素晴らしい図書館をつくりあげてきたのかという話を、都合のいい部分だけ切り抜かれたデータによって拡散され続けています。
ところで、そんな武雄市で、昨年、ひょんなことから、行政に大きな綻びがあったことが判明しました。
昨年11月、「議会の承認を得ずに、市内1万5000戸に防災情報システムを導入したのは違法だ」とした市民の訴えを認めた佐賀地裁は、武雄市の現市長に4億円を請求するよう命じたのです。
その議会無視の前例となったのが、前市長がツタヤ図書館を誘致するにあたって、議会承認の前にTSUTAYAの運営会社CCCと指定管理契約を締結したことだったと報じられました。
図書館運営にかかわる住民訴訟では、手続きが不十分であることも行政側の裁量権を理由に裁判所は却下しましたが、それを先例とした別件では、明確に違法と裁判所が判断した格好になったわけです。
昨年末に、和歌山市で提起された住民監査請求は、一部杜撰な手続があったことは認められたものの、市民の請求そのものは全面却下されました。
和歌山市では、そこからさらに住民訴訟にまでは発展することはありませんでしたが、もし訴訟が提起されていれば、CCCは、自社の図書館運営の手法について、壊滅的なダメージを受ける結果になった可能性も否定できません。裁判所は、監査委員のように常に市長の味方をしてくれるとは限らないのですから。
「ツタヤ図書館」の“いま” で解説されているように、CCCによる運営は、巨額の費用をかけたのに、図書館としての機能面で優れた成果を上げることができなかったばかりか、地域経済を活性化するための「賑わい創出」にすら失敗している実態が次第に鮮明になってきています。
それでもなお、ツタヤ図書館は成功している と言い続ける人たちは、まともな検証もせずに、いまだけ、カネだけ、自分だけ、儲かればそれでいいのでしょうか。
【関連記事】
和歌山市の市民団体が住民監査請求!【16時50分追記】BJ記事リリース・【17時10分追記】監査請求全文
2020年8月29日土曜日
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