こんにちは、日向です。
本日は、7月に3本書いてしばらく中断しておりました
のつづきです。
都教委は、いずれ、この3社に都立高校の学校図書館をすべて任せる方針なんだと思う。しかも、この3社って、実態は、ひとつのファミリー企業なんです。
2年前、ある関係者から聞いたそんな話を、3回にわたって詳しく検証してみた結果、とんでもなくおかしな実態が少しずつみえてきました。
三社とは、東京・足立区に本社を置く、光管財とそのファミリー企業である、エースシステム、秀光(本社・葛飾区)のこと(以下“光エス三社”と呼ぶ)です。
いずれも、施設警備とビル管理を本業とする地場の中小企業ですが、その受託先のほとんどが役所、つまり公務。ここ数年においては、都立高校の学校図書館を次々と受託することで大きく売上をのばしてきている実態がわかってきました。
当該業務においては、2016年度以降、それまでの単年度契約から複数年度契約に移行したことによって、売上は激増。また、なぜか都立校一校あたりの委託費も、2016年度から比べて2倍超にはねあがっていました。
しかし、光エス三社は、いずれも図書館業務はまったくの専門外です。自社で専任の司書を抱えているわけではありません。受託してから人を募集する泥縄方式です(これは異業種から参入した他社も同様のところが多いですが)。
警備やビル管理など、建物の管理運営という業務の延長線上で、学校図書館の運営も手掛けるようになり、驚くべきことに、東京・西部では、中核企業である光管財一社で、ほぼ地域独占といっていいほどの寡占が進んでいます。
どのくらいのシェアを握っているのでしょうか。2020年度のデータをみてみますと、以下のようになりました。
東部センター管轄62校のうち委託校は44校。そのうちエースシステムは27校受託(シェア61%)
中部センター管轄67校のうち委託校は44校。そのうち秀光は28校受託(シェア63%)
西部センター管轄62校のうち委託校は43校。そのうち43校すべてを光管財が受託(シェア100%)
その結果、光エス三社は、都立高校の学校図書館の運営業務だけでも、2020年度には6億4,000万円と、2016年の2億4,000万円の3倍近くまでのばしていました。(他の分野も含めた東京都からの受託総額は、三社合計で約16億円)
2020年度末の段階で、都立校191校中委託校は131校。そのうち光エス三社で98校を受託しており、シェア73%でした。
ジワジワと受託校を増やしていき、気がついたら市場の三分の二を握ることに成功。
もしこのまま、都立高校191校すべての学校図書館が民間委託になり、光エス三社による寡占が実現していたとしたら、20億円近い市場を、ほぼ三社で山分けできたはずでした。
入札で委託事業者が決まる特定分野の公務で、ひとつの企業グループがその業務を独占して受託するというのは、前代未聞といいますか、空前絶後といいますか、誰がどう考えてもふつうではないことなんです。
幸いなことに、たまたまほかの不祥事が続いたことで、三社寡占のクライシスは、すんでのところで回避されることになりました。
当ブログでも、これまで何度か取り上げております通り、2023年度末までに都立高校の学校図書館は、民間委託をすべて廃止して、直接雇用(会計年度任用)に切り替える方針を今年3月の議会で教育長が表明したからです。
その背景には、偽装請負や契約通りに人員を配置できない不履行が頻発するなどの不祥事があったのですが、教育長は公式にそのことには言及せず、「指導要領の改定に伴って、より学校図書館を活用するため、直接雇用に移行する」ということになっています。
なので、いまだに都立高校の学校図書館を、光エス三社という、えたいのしれない企業が席捲していたという事実は、ほとんど知られておらず、都教委サイドでも問題視されている気配すらありません。
でも、もう民間委託廃止になったんだったら、この件はどうでもいいことじゃん
そう思われるかもしれませんが、民間委託廃止の件は、実は足元の地盤が恐ろしく軟弱なんです。
民間委託が急激に進んでいる、地方自治体の公務では、これまでほとんど未開拓だった最後の市場といいますか、ラストリゾートがが教育界=公立学校ですから、いつ再燃してもおかしくない危ういところにあります。
藤田教育長の予算特別委員会での発言をよくよんでみると、
都立高校の学校図書館は今後、実証実験として直接雇用に取り組むかのようなニュアンスを残しており、
再度体制を整えて、一部民間委託も復活することにした
突然、そう言い出しても、ちっともおかしくないこともわかってきました。
そこで思い出されるのは、築地市場の移転問題です。
小池都知事は、2016年、築地の市場移転問題について、安全性への懸念や情報公開が不十分との理由で移転延期を表明。「いったん立ち止まって考える」とまで明言しながらも、その後は、ズルズルと豊洲への移転に流れていったのはまだ記憶に新しいところです。
都立高校の学校図書館の場合は、さすがに2015年につづいて、今年6月にも偽装請負の疑いで再度労働局から行政指導を受けたばかりですし、
何より、この偽装請負疑惑を議会で追及した立役者が小池都知事率いる都民ファーストの会所属の米川大二郎都議だったことを思えば、いまさらそう簡単には動かせないとは思いますけれど、これで都立学校の民間委託のセンは、すべて消えたと結論づけるのは、まだまだ早計だと思うんです。
実際に、漏れ聞くところにれば、8月くらいから都立高校の受託企業サイドから「直接雇用にしても、うまくいくわけない。契約は一部残るはずだ」と楽観する観測が早くも出てきています。
彼らがなんの根拠もなく、そう考えるはずがありません。当然、そこに至るまでには、これら企業と癒着している議員による活発なロビイ活動があるとみるべきです。
オセロゲームにたとえるならば、2つの角を取られて、一気に盤上の黒の多くが白変わったものの、3つめの角を取ることさえできれば、いつでもまた真っ黒に戻すことができるような状態と言えます。
そのことをふまえて、いまだ知られていない『都立高校・学校図書館の闇』を、さらに深堀りしていきたいと思います。
2年前、和歌山市で、ツタヤ図書館を運営するカルチュア・コンビニエンス・クラブが小中学校の学校図書館もついでに受託することに地元市民団体が猛反対したことから調べ始めた学校図書館の民間委託。首都東京で、とんでもない闇が潜んでいたのです。
次回は、いよいよ、資本・人事関係からみた光エス三社の相関図について迫っていきたいと思います。
よろしくお願いいたします。
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