2021年6月11日金曜日

“予定調和”の裏で繰り広げられていた都議会での暗闘

 

こんにちは、日向です。


先日、予告しました都立高校学校図書館に関する米川大二郎都議のインタビュー記事がさきほど、3本同時にリリースされました。


東京都・学校図書館の民間委託を廃止させた都議に聞く(1)…業務委託推進の波を覆せた理由


東京都・学校図書館の民間委託を廃止させた都議に聞く(2)…違法状態横行、単身で切り込む


東京都・学校図書館の民間委託を廃止させた都議に聞く(3)…民間委託加速の潮流に待った




来月に都議選を控えているなか、都議会与党の議員さんを、こんなふうに取り上げますと、あからさまにヨイショしているのではないかとみられるのが、ちょっと心配なんですが、


3月末に、決まりました都議会での裏話をお聞きできるタイミングを待っていたら、いまごろになってしまったというだけのことなんです。



議会での質問というのは、よく言われるように、当日までには、シナリオが完成しています。


話は脱線しますが、そういえば、ツタヤ図書館の誘致自治体でいえば、以前、関係者からこんな話を聞いたことがあります。


今回質問した、誰々議員は、ベテランだけど一度も自分で議会での質問原稿を書いたことがないことで有名です。


あれっ、じゃあ、今回の質問はなんなの?と思ったら、事務方が用意したものを読みあげただけで、それについての回答も事務方が自分で答えますので、地方議会での議論なんていうのは、完全にヤラセではないのかと、そのとき思いました。


これは、市長部局がやりたいことがあって、その地ならしのために、このベテラン議員が質問をして、事務方がそれに答えて方針をなんとなく既成事実化していくんだろうなと思っていたら、その通りになりました。AB市のコミセンの話なんですが。



話を本題に戻しますと、あらかじめ質問内容は事前通告があり、それについて事務方が各方面さしさわりのないよう、

練りに練ったペーパーを首長や教育長が読み上げるだけの茶番というのは、都議会でも例外ではありませんでした。



だとしたら、その裏側で、いったいどういう交渉が行われて、今回の決定が導かれたのか――というのが、いちばんの関心事だったのですが、まぁ、さすがにまだ決定もしていない交渉途中では、何も書ける話はなく、


また、よほどのことがない限り内幕を公式のインタビューで話してくれるような議員さんはいませんので、匿名でコソコソっと聞くことはできたとしても、これこれこんなことがあったんですなんていう話を堂々と書けることは通常はありません。


それがどういうわけか、今回、幸運なことに、米川都議がギリギリのところまで話をしてくれましたので、少し長いですが、委託廃止のプロセス全貌がわかるように、3回に分けた記事になった次第です。



前回も書きましたように、都立高校128校に設置された学校図書館の民間委託が廃止されたのは、その事業のしくみそのものに違法の可能性があったということです。


多少なりとも労働法がわかっているひとならば、すぐにわかるような話なんですが、じゃあ、その動かぬ証拠をつかんで提示できるかというと、よほど詳細な内部告発でもない限りそこまでは無理なんですよ。


ところが、米川都議は、研究者の気質があるのではないのかと思われるほど、徹底的に情報を集めまして、労働局に何度も足を運んで確認をしたりして集めた膨大な情報をひとつひとつ精査していくことで、2015年に労働局から違法認定された後、都教委が鉄壁の論理で構築した仕様書に存在した抜け穴をみつけたんです。


米川都議が情報開示請求により入手した公文書は5000枚以上に上る。このなかに、偽装請負の証拠が隠されていた。




お前はジャーナリストを名乗ってるクセに、気がつかなかったのか?と言われたら、誠にお恥ずかしい限りですが、そこに違法の可能性があることは気づいていても、どうせここを掘っていっても、巧妙に対策されているだろうから調べるだけ無駄と、ハナっから諦めていました。


具体的に言えば、私も、都立高校の学校図書館で、生徒が多く来る時間帯には「複数人配置」を要求していたことそのものがおかしいとは思っていましたけれど、全校調査をして実態がどうなっているのかまで調べようとは考えませんでした。簡単な質問すらまともに答えてくれない担当課相手に、そんなことができるとも思いもしませんでした。


ところが、米川都議は、委託校について徹底的に実態調査をしたうえに、東京労働局に何度も足を運んで、


これは違法の可能性がある


というお墨付きを得ていたというのですから、もう脱帽するしかありません。




菅総理ふうに言えば、そういったこともふまえたうえで、昨年9月の一般質問の臨まれたわけですが、その質問内容の作成段階から、都教委や財務局との攻防戦があり、おかしな発言をされないように、当局サイドは事前に交渉をしかけていました。


しかし、さすが都の役人だなぁと思うのは、一度そこでうまく米川都議を丸め込んでしまったら、あとは、見直し案は骨抜きにして、これまで通り民間委託を進めていこうとしていたというんですから、これは抵抗勢力なんてもんじゃあないですよ。議員さんなんか完全にコケにしてると言ったら言い過ぎですが、ナメてますね。


そこのところからの交渉についてもインタビュー記事では、詳しく語っててもらっています。


なお、そのときに、米川都議が作成した“爆弾文書”がいくつかありまして、記事中には掲載できなかったものを以下に貼り付けておきます。

(ちなみにご本人の許可を得てませんので、あとで怒られるかもしれませんが)












それから、図書館関係者の方から、早速、ご意見をいただいておりますので、それも以下にご紹介しておきます。


《ご意見1》

こういう過程が全部「裏」で行われていて有権者には見えない、市民に見える議会はセレモニーでしかないということが、政治への無関心や政治家への不信感や低投票率につながっている気がします。

そして、着地点が会計年度任用職員、というところが残念でなりません。


《ご意見2》

違法であったものが、実態は何も変わらないのに、名前だけ業務責任者にしたら、違法でなくなるという手品を見せたわけです。これによって、都教委は仕様書から違法を消したわけですが、手品であることを知らない学校現場は、違法行為を合法であるかのように思い込んでしまいます。

 その結果、違法行為の責任は、仕様書を理解しなかった学校現場にあったとなります。

 いかにも、役人の考えそうな思い付きです。

 このような役人の考える、仕様書を作る側に都合のよい違法隠しは、都教委だけに特有のものではありませんので、都でつぶれたことが広く知れ渡れば、大きな影響を与えるだろうと思います。


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