2021年9月23日木曜日

いますぐ除籍してほしい和歌山市民図書館の本

 

こんにちは、日向です。


本日は、まず、私の本業である雇用・労働問題の記事が今朝、ビジネスジャーナルにリリースされた件についてです。



失業給付金が最大88万円も増える!退職するなら緊急事態宣言前が有利?コロナ特例の活用法


9月末に期限を迎える緊急事態宣言が、どうやら全面解除される見通しとの報道が出てきまして


コロナ禍で収入が激減したため、退職を考えている人のために、雇用保険のコロナ特例について詳しく解説した記事を出しました。



この手の情報は、時々刻々と変わっていきますので、単行本ではとてもフォローしきれません。なので、臨時特例が出た際には、タイミングをみて、ネット記事で取り上げてるようにしています。



詳しくは、記事本編をお読みいただくとして、簡単にポイントを解説しておきます。


雇用保険の失業給付というのは、自己都合で退職するケースと会社都合で退職するケースとでは、驚くほどもらえる手当の額に差が出てきます。


会社が発行してきた離職票で、自己都合になっていたら、もうどうしようもないと考えがちですが、いくらでも異議申し立ての手段はあるのです。その点の知識を事前に仕入れておくだけでも、かなり有利に受給できるようになるわけですが、


ことコロナ禍に限っていえば、最新のコロナ特例を知ったうえで、退職のタイミングを決めることが重要です。


自己都合なら、緊急事態宣言が発令されていない時期に退職して、受給満了までに、それが発令されますと、コロナ特例で給付日数が60日延長になります。


会社都合の人は逆に、緊急事態宣言が発令されている期間中に退職すると、コロナ特例60日延長になります。


どちらもタイミングがあわないとこの特例の恩恵をまったく受けられません。なので、今月末で宣言解除になったとしても、今後冬にかけてまた第6波、第7波が襲来して、再度宣言発令となることも考慮して、最適な退職のタイミングを考えていただければと思います。






それから、緊急事態宣言とは直接関係ありませんが、自己都合退職でも、「コロナの影響で退職を余儀なくされた」と安定所が認めてくれさえすれば、給付日数が激増する可能性があります。


30歳以上、5年以上加入の人ならば、自己都合退職は90日しか失業手当をもらえませんが、会社都合となったとたん180日と倍増しますので、最初から自分は対象外と決めつけずに、その特例の要件に該当しないかを検討してみてください。


いますぐ除籍してほしい古い本


さて、BJの記事については、そのくらいにして、拙著が図書館にどれくらい蔵書されているかについて、少し書いておきたいと思います。


厳しくCCCを批判している私の本も、ツタヤ図書館では、他の著者同様に入れているのは、素晴らしい対応とsnsで書かれてる方がいました。


確かに、古い本も入れれば、拙著も多数入れていただいているのは、たいへんありがたいことだと思います。


しかし、ですね。特にこの手の、頻繁に法律が改正される制度についての解説本の場合、法改正前の古い本が蔵書されているというのは、著者としては、実は、困惑の極みなんです。


なぜならば、法改正前の古い情報をもとに、読者の方が行動されますと、いつなんどき不利益を被るかもしれないからです。



『失業保険150%トコトン活用術』(同文館)を例にみていきますと、最新版は、2020年8月刊行の「第9半補訂版」です。





試しに和歌山市民図書館で検索してみますと、案の定、この最新版は、蔵書されていませんでした。


同じタイトルですが、いちばん古いのが2007年の版で、2015年、2017年、2020年4月と、いずれも最新の法改正前のものばかりです。





かろうじて2020年5月の版は使えますけれど、そのほかの3冊は、即刻除籍していただかないといけない本ばかりです。



2020年10月1日からは、自己都合退職者に課せられる給付制限が3か月から、2か月へ短縮されています。給付日数も2017年4月以降は、会社都合30歳以上45歳未満のゾーンが増えています。


それらの情報を知らなくても基本的なことだけ知っていればなんとかなるかもしれませんが、細かいことも含めれば、いつどんな不利益を被るとも限りません。


とりわけキケン極まりないのが2007年版です。

同年10月の大改正によって、原則として過去2年間に12か月以上雇用保険に加入していないと受給資格を得られなくなりました。この改正前は、退職理由にかかわらず過去1年間に6か月以上加入で受給資格が得られたのに対して、改正後は会社都合のみ例外的に、それまでと同様に6か月加入で受給資格が得られるというふうに変わりました。


さすがに、その点は2007年版でも詳しく解説しているのですが、このときに非正規で働く有期雇用に関しては、会社側が期間満了時に契約更新を拒否する「雇止め」は、実質的には解雇と同じなのに、自己都合扱いとされていました。


そこで2009年の法改正によって、そうした非正規の雇止めのケースは、会社都合と同じに扱う、つまり6か月加入で受給資格は得られるように改善されたのです(ただし、暫定措置として導入され、期限がくるたびに適用を延長していて、いまだに正式な法改正には至っていない)


2007年版を読まれた有期雇用の人は、そんなこと露ほども知らず、そういうもんかと諦めてしまって、結果的に不利益を被ることになりかねないわけです。


なお、『失業保険150%トコトン活用術』は、どの版でも、巻末に、2001年4月以降の法改正履歴をまとめていますので、そのときどきの改正前の内容については、そちらをお読みいただければ、概略はつかめるようにしています。


なので、あえて古い版のものを残しておく必然性というのは、ありません。



2013年に元祖ツタヤ図書館として登場して、世間から絶賛の嵐だった佐賀県・武雄市図書館では、2015年に、Windows 98の入門書等の古本を大量に入れていたことが発覚して、絶賛から一転非難の嵐になりましたが、2007年刊行の版が除籍されずにあるというのは、あれに近い感覚です。


新しい Windows 11 OS が出ているというのに、とっくにサポートも終了したxpの解説本を、最新のものと勘違いして読まれると、まったく役にたたないかもしれません。


というわけで、ツタヤ図書館に限らず、この記事を、もし司書の方が読まれていましたら、たいへん恐縮ですが、できるだけ古い版のものは除籍していただけるようお願い申し上げます。


というわけで、本日は、取り急ぎお知らせでした。


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