2021年7月11日日曜日

都立高校・学校図書館の闇（3）～教育機関という“新大陸”（ニューフロンティア）～

 

こんにちは、日向です。


本日も、都立高校・学校図書館を独占的に受託している、謎の3社のつづきです。


前回は、足立区に本社を置く光管財という会社の受託状況をみてきました。


ピルメンテナンスと警備を本業とする地場の中小企業が、なぜか都立高校の学校図書館の運営業務を受託しておりました。


それも一校や二校ではないですよ。直近の2020年度には、西部指導センター（都立高校190校は、東部、中部、西部3エリアに分け管理されている）で、学校図書館を民間委託校にした43校すべてを、この会社が一社で独占的に受託していることがわかりました。


その受託額の推移をみていきましたところ、この5年間に、とんでもない急成長を遂げていたことがみえてきました。



さて、今回は、その光管財のグループ企業ではないのかとウワサされている、もう二社についてみていくことにします。


下をみてください。これが光管財と同じく足立区に本社を置く、ビルメンテナンスと警備を本業にしている株式会社エースシステムが過去5年間に東京都と契約した業務の実績です。





最も委託金額が安いのは、警視庁神田警察署清掃委託の95万4,800円。逆に最も委託額が高いのが、旅券の申請受付・交付業務委託（有楽町・池袋分室） 2億565万6,000円でした。


同社は、東京都内4箇所にある、パスポートの申請窓口のうちの有楽町の業務を受託しているんですから、この分野での実績としては、なかなかのものです。


窓口業務のほか、庁舎の清掃・保守、緑地保護、樹木の剪定などの雑多な公務を毎年受託していて、なかでも、ここ数年、比較的安定的に受託しているのが都立高校・学校図書館の管理運営業務であることがみてとれます。


下をみてください。この契約実績をもとに、同社における都立高校の学校図書館の受託状況を表したものです。


今回は、光管財のときのように新規受託分だけでなく、いきなり更新分（複数年契約の2年め以降契約）も含めた受託額を図表にしてみました。


●株式会社エースシステム
















光管財は2016年度（平成30年度）から、複数年契約をひとつ獲得しているのに対して、エースシステムは、1年遅れの2018年度からふたつの複数年契約を獲得しています。


そのためか、翌年2020年度は新規受託はゼロなのに、都立高校学校図書館関連の契約額は、前年と同額の1億6900万円となっています。


こちらも5年間で1.5倍に都立高校学校図書館を増やしていることがわかります。



その他の分野の業務は、あまり増えていないのに、この都立高校の業務だけが、なぜか大きく増えているようにみえます。






　もう一社、光管財のファミリー企業ではないかといわれているのが東京・葛飾区に本社を置く株式会秀光です。


光管財、エースシステムともに、東京・足立区の企業なのに、この秀光だけは、なぜかお隣の葛飾区に本社登記されています。








●秀光株式会社












東京都全体の受託額、都立高校図書館の受託額ともに、これまでの二社と同じような傾向が見て取れます。


すなわち、施設管理を中心に、まんべんなく公務を受託していて、そのなかでも、ここ数年は、都立高校学校図書館に進出することで大きく受託額を伸ばしていることです。



秀光の受託額をみていきますと、規模は、光管財よりは小さいですが、エースシステムと肩を並べるほどです。



では、この3社（「光エス3社」と呼ぶ）をひとつの企業グループとしてとらえると、全体でどれくらいの受託額になるでしょうか。


下をみてください。ややこしいので詳細は、はしよってますが、東京都全体の契約額でみますと、以下の通りです。







2016年には、3社合計で6億2000万円くらい受託していたのが、4年後の2020年度にはその3倍近い16億6,300万円まで増えています。



この急成長を支えていたのが都立高校の学校図書館の運営業務でした。


下をみてください。


●新規契約のみ



●新規契約＋更新契約





光エス３社の都立高校学校図書館の部分のみを抜き出してみますと、


新規受託額のみですと、2017年度の4億4000万円をピークにした山型を描いています。






これも、複数年契約の更新分も含めた受託額に直すと、見事な右肩上がりのカーブを描いて急成長していることがわかります。








もちろん、単年度契約でも、毎年続けて落札していくことができれば、これと同様の結果になるはずですが、複数年契約であれば、次年度以降は、別に新規の入札に注力してくことで、比較的容易に受託業務を広げていくことができたのではないか、という感想を持ちました。



この3社にとって、学校図書館の運営業務というのは、新たに開拓しがいのある新しい分野の仕事＝“新大陸・ニューフロンティア”であったのは、間違いないでしょう。


以上のような、基本データを頭に入れて、次回以降、さらに詳しく、この三社についてみていくことにします。


よろしくお願いいたします。



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