2024年11月19日火曜日

新刊がアマゾンで星印1つと酷評されました!

 

こんにちは、日向です。


まず本日は、カンタンな告知から。



今朝、AERA dot. さんに、新刊の紹介記事(冒頭部分抜粋)をご掲載いただきました。


「92%」黒塗り公文書の衝撃 市民図書館が出した1400枚の真っ黒い紙が語る闇の深さとは


当ブログの読者の方には、すっかりお馴染みの和歌山市民図書館について書いた「まえがき」部分です。


この記事では、“黒塗りの詰め合わせ”を受け取った当時の驚きと絶望をストレートに表現しいてます。


どうして、こんなものが許されるのか、市民の知る権利の最後の砦ともいえる図書館がこんなことをしていいいのか


という執筆の出発点ともいうべき心境を書いています。


短い記事ですが、AERA dot. さんでは、後日、もう一本ご掲載いただけるようですので、そちらも出ましたらも、また追記したいと思います。




さて、今日取り上げたいと思った本題は、タイトルのとおり、アマゾンのレビューについてです。


今回の新刊は10月11日に発売されまして、一カ月と少したったところではありますが、ありがたいことに、アマゾンでは、すでにいくつかのレビューをいただいております。


「黒塗り公文書」の闇を暴く (朝日新書) 新書 – 2024/10/11 日向 咲嗣 (著)


で、そのなかにですね、とんでもない「酷評」といいますか、星印1つのレビューを先日をいただきました。


以下に引用します。





 基本的に、われわれ物書きというのは、読者の方の評価は、どんなに厳しいものであっても、ありがたく謙虚に受け止めて、釈明や反論などはしてはいけない


と、私はいまも思っています。



私は、ビジネス書籍の分野では、自分の本だけでなく、構成をお手伝いした本も入れますと、もうすでに50冊以上世に送り出してきましたが、


これまで、それらについて、どのような評価をつけられても、どこかで反論したことは一度もありません。(内輪で愚痴をこぼすくらいしかできません)



下手くそは「下手くそ」と言われてしまうのは、どこの世界でも同じです。その評価を胸に、次回の著作に活かすということしかありません。


ただ、今回の星ひとつのレビューについては、一言だけ言わせていただくと



読んでないでしょ?


という感想を抱きました。もし読んでいただけていれば、あのような感想にはならないはずだからです(たとえ評価は低くても)。



そもそも、私さんざんこの本では、役所の方やカルチュア・コンビニエンス・クラブをはじめとした民間事業者の方を批判した格好になっていますので


そちらの関係者の方からしてみれば、こんなこと書かれてはとても我慢ならないと思われるのは当然のことでしょう。


なので、これからも厳しい評価を、どしどしいただくんだろうなあと、いまから覚悟をしているところです。




さて、新刊の売れ行きのほうは、おかげさまで絶好調といいたいところですが、やはりコミックや小説のように、わかりやすい物語的な面白さがありませんので、派手な動きはありません。情報公開制度とか図書館運営に関心のある人でないと、手にとってみようとはなかなか思われないので、「静かなブームをよんでいる」みたいなことでしょうか。


そうこうしているうちに、さきほど版元の編集者から連絡がありまして、


台湾の大手出版社から、今回の拙著の翻訳版を出したいというオファーがきたそうなんです。


詳細なことは、これから詰めていくと思いますが、情報公開の制度や行政運営が日本とは異なるお隣の国で、このような本が果たして受入られるのだろうかと思いました。


私が長年かかわっているビジネス書籍の分野では、韓国はじめとしたアジアに翻訳版が刊行されることは結構あり、私も過去に何度か、ほかの著者の方の構成をお手伝いしたものでは、翻訳版が出たことはありましたが、それはビジネスマネジメントや自己啓発の関する本でしたので、他国でも通用する内容でした。


しかし、黒塗り公文書に関するレポートが他国でも関心を持たれるというのは、かなり意外でした。台湾では、どのような受け止められ方があるのでしょうか。


そうなりますと、この本に書いている自治体とか企業さんのことが、海外にも知れ渡ることになりますので、関係者の皆さまにとっては、ますます戦々恐々ではないでしょうか。


いやいや、どうせ国内でもたいして話題になってないから、ぜんぜん平気


そう思っていただいたほうが、いいのかなと思いました。


とりあえず、本日のご報告は以上です。


よろしくお願いいたします。


【関連記事】


「黒塗り公文書」の闇を暴く (朝日新書) 新書 – 2024/10/11 日向 咲嗣 (著)












2024年11月1日金曜日

和歌山市・CCC選定会議の議事録を入手しました

 

こんにちは、日向です。


 2020年6月に、全国で6番目のツタヤ図書館としてグランドオープンした和歌山市民図書館の指定管理が、今年4月から二期目に突入しました(CCCによる指定管理は前年12月から)。どれだけ不祥事・疑惑が続出しようとも、行政側は、何事もなかったかのように自画自賛しまくるといいますか、耳に逆らう話はすべてスルーか隠蔽(ないと断言していた文書があとから出てきたり)していくさまは、もはや「官民癒着の殿堂」としての“風格”さえ漂っているようにみえます。

 さて、新刊刊行のために、このところ疎かにしておりましたツタヤ図書館ネタを少しずつ再開していきたいと思います。


その第一弾として、とりあげたいのが昨年7月7日に、ひっそりと開催されていた指定管理者選定委員会の議事録についてです。昨年11月に市民の方が開示請求されたものを入手していました。







議事録本体は文末に画像で貼り付けておきますので、のちほどじっくり、ご笑覧いただければ、これは、ただのセレモニーにすぎない「ヤラセ委員会」であることがよくおわかりいただけるとか思います。なんといっても、応募事業者がCCC一社のみなんです。これ以上ないほどの茶番ではないでしょうか。そもそも、民間委託って、企業間の競争原理が働いて、より安いい費用で、より高い成果が得られるってことではなかったのでしょうか。癒着が疑われて、どこも応募してこなければ、CCCの独占というか、食い物として、市民は直営時代よりもバカ高い運営費を、永久に負担させられつづけることになってしまいます。


当ブログでは、すでに一昨年11月から開催されていた図書館運営審議会が実質的なCCC選定会議(審議会委員と選定委員が一部ダブってます)となっていて、その場で、CCCにデタラメな実績アピールをさせることで「次期の5年間もCCCに任せる」下地づくりをしているんだろうと指摘していました。その予測があたっていたことを如実に物語る、お寒い“ヤラセ会議”であることがおわかりいただけるのではないかと思います。

館長の名前が黒塗りされた図書館の会議録 からつづく連載記事で、これまでの経緯を詳しくレポートしています)

で、今回、どうしても私が書いておきたいと思ったのは、この議事録の黒塗りのなかに、とんでもなく市民無視の痕跡がみつかったからです。一言で言えば、和歌山市民が1000日かかって、ようやく変えさせた黒塗りのルールがまた元に戻っているんです。


下をみてください。委員の名前はもちろん、プレゼンを行なった事業者サイドの担当者名までもが、ひとりの例外もなく全員黒塗りされています。(事務局となった市教委の職員をのぞく)




プレゼンをしたCCCの担当者名の非開示理由は「個人情報」だった。


次に、下をみてください。こちらは、2017年12月に開示された指定管理者選定プロセスにかかわる公文書が、黒塗りだらけだったことから、市民団体の方たちが翌年2月に審査請求をしまして、約3年かけて2020年11月の審査会の答申によって、一部黒塗りを外させることができた成果のひとつで、プレゼンしている人の名前(CCC高橋氏)が出ています。





つまり、2020年11月に和歌山市の情報公開審査会が「こういうところは開示すべき」とした答申を受けて確定したはずの新しいルールが守られておらず、また元の木阿弥に戻っているようなんです。裁判にたとえれば、判決が確定して判例となったはずが、再度同様の事案では正反対の判決が出ているのと同じです。「市民による1000日の戦い」が水泡に帰したということになり、「文句があるなら再度審査請求でもなんでもしてこいよ」というようなとんでもなく酷い話なんです。それで再度審査請求したら、また結果が出るまで3年とかかかるんでしょうか? 


さすがに、すでに終わったこととはいえ、これは看過できないと思い、和歌山市の情報公開を担当する総務部の市政情報班に電話して「こんなおかしなことがあっていいのか?」と不満をぶちまけました。


すると市政情報班では「こちらでは、選定会議議事録の開示についての詳細把握していない。(えっ、確認して助言してるでしょ?)あくまでも担当の読書活動推進課の判断でそうなっている」とおっしゃるばかりで、私が指摘している2020年に出た審査会の答申第46号の内容については「当時非常に重要な内容だったので頭に入っている。そこで指摘されたことと異なる開示がされたとは思えない。もしそのように感じるとしたら、なにか別の理由があると思うので、直接読書活動推進課に直接聞いてほしい」というような回答でした。


担当の読書活動推進課には、まだ連絡が取れておりませんが、読書活動といえば、課長さんが「その期間の除籍関連資料は不存在です」と大見得を切っていたのに、図書原簿に「返本」と手書きされた資料を突き付けられると、あとから渋々CCCの顛末書を出してきたところですから、またなんか不誠実でテキトーな言い訳するんだろうなと思うと、いまからゲンナリしています。


改めて当時の審査会答申書を詳しく検討してみましたところ、2020年の審議会答申を受けて翌年に開示した会議録で開示した事業者の担当者名を、二期目の選定委員会では黒塗りにした理由として、唯一考えられるのは、担当者が違っているのではないかということでした。


つまり、CCCが、いつも選定委員会でプレゼンを担当するのは、公共部門の責任者である高橋聡氏ですが、もしかして、第二期である昨年7月の選定委員会では、別の人物だったのではないかという疑惑が浮上してきました。


といいますのも、答申第46号では、事業者サイドの担当者名を開示すべきとしたのは、「法人の代表者(関連子会社の社長)だから」という珍妙な理由でしたので、今回は、別の人物なら「法人の代表者ではないので非開示にした」という言い訳が成り立つからです。


しかし、いちばん重要な選定会議のプレゼンで、高橋氏の部下が出てくるとは思えません。もし部下が出てきていたとしたら、応募さえすれば黙っていても選定されると和歌山市をなめきっているのでしょうか。高橋氏といえば、最近は「内閣府地域活性化伝道師」として全国各地の地方創生シンポジウムの講師として飛び回っています。

すでに二期目も無風で決まっている和歌山市などは、カンパニー長自ら出ずとも、部下に任せておいた、ということなのでしょうか。まさか、そんなことはないと思います。

たとえそうだとしても、プレゼン者の名前を黒塗りすることは、とんでもなくおかしな行為です。2021年に答申を受けて開示した議事録には、法人の代表者ではないと思われるTRC図書館流通センターのプレゼン者の名前も開示されていますので。





それからもうひとつ、2020年の答申第46号では、委員の発言を闇雲に非開示にするのではなく、条例の非開示にしてもいい例外規定には該当しないと思われるものは、たとえ開示することで「委員名が特定されるおそれがあるとしても開示すべき」となっていましたが、今回の選定会議議事録では、この答申を十分に踏まておらえず、委員の発言を丸ごと黒塗りにしている箇所がみられました。







和歌山市情報公開・個人情報保護審査会答申 (答申第46号)より抜粋



そもそも選定委員を委嘱された有識者の方たちは、当然、和歌山市から報酬をもらって意見を述べている(臨時的な特別職の公務員?)わけですから、よほどセンシティプな問題、たとえば、これを言ったら右翼とか反社の人に攻撃されてしまうよというような内容でもない限り、発言者を伏せないといけないような必要性はみあたりません。


議事録を読まれたらわかると思いますが、ほとんどがどうでもいいような発言しかしていませんし、しかも応募は一社しかなく、すでにCCCが選定されることは決定的な状況のシャンシャン会議です。なのに、個別の発言についての委員名はことごとく黒塗りなんて、いったいいつまで、そんなふざけたことを続けているんだろうなと、怒りたくなりますね。


市民の知る権利を守るために、情報公開制度を積極的に推進していく


という建前すらもかなぐり捨てて、彼らが守っているものって、いったいなんなんでしょうか。


若い職員さんたちは、まさか、公文書を黒く塗りたくるために、役所に入ったわけないですよね。


いま一度自分たちが、市民から求められているものはなんなんかを、じっくりと考えてみてほしいと思います。


よろしくお願いいたします。


【11/02 10時追記】昨日の第一稿では、発言ごとの選定委員の名前について、2020年の答申第46号で一部開示すべきとされていたのに、それを受けて市教委が開示した議事録では、この答申内容を無視していたと書きましたが、その認識は間違いでした。答申第46号では、「支障のない範囲で委員名を出すべき」という主旨ではなく、各委員の発言を丸ごと黒塗りにするのは条例の主旨にそってない、たとえ発言内容から委員名が特定できたとしても、その発言に不開示理由に該当するものがなければ、その発言部分は開示すべきと指摘している(つまり委員名の黒塗り自体は容認していた)にすぎませんでした。そのため該当部分を一部修正しました。


【11/02 11時】末尾に掲載した議事録の画像が読みにかったため、見開きにして、少しマシな画像と差し替えました。


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