こんにちは、日向です。
先日来、書いております大阪府高石市の件、これまでにわかったことを整理しておきます。
まず、昨年5月25日、高石駅周辺整備基本構想策定業務委託の委託者が公募されました。
委託内容は、駅周辺のまちづくりをどのようにしていくのかという基本構想を策定する業務です。
これまでのツタヤ図書館&もどきの誘致自治体の例でいえば、建物ができてからとか、指定管理者にすることが決まってからカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)が入り込んでくるのではありませんでした。
それよりもずうっと“上流”といいますか、川の流れにたとえれば、プロジェクトの“源流”に近いところから、同社の関連はしっかり食い込んできていて、そこから水面下で目に見えない動きがありました。
で、気が付いたら、まちづくりの計画からCCCの息のかかったところが入りこんできていて、ハコモノが新築または改装する段階では、すでにその設計業務からCCCが関与するように流れになっていました。
高石市もその例にもれず、昨年7月に、駅前再開発のスタートラインの基本構想策定業務に中核企業の蔦屋書店が設計会社とのJV(共同事業体)で選定されていましたので、これは、かなり危ういのではないのかととらえたわけです。
ただし、これまでのツタヤ誘致と異なる点は、まず基本構想段階では、仲のいい建設コンサルタントのアール・アイ・エー(RIA)が入り込んで、水面下でCCCを呼び込んでいくような形、もしくは、いきなり入ってくる場合でも、本体のCCCが開業支援などの名目で出てくる(丸亀市など)はずですが、
なぜか高石市では、いきなり蔦屋書店が前面に出てきています。
違法行為を犯した企業本体を選定
そこで、先に片付けておきたいのが、蔦屋書店という企業のやばさです。CCCグループは、頻繁にグループ企業の再編を行っていますので、なんとなく見逃し勝ちですが、蔦屋書店イコール2018年に消費者庁から景品表示法違反で措置命令を出されたTSUTAYAなんです。
2020年4月1日、違法行為を犯した株式会社TSUTAYAは、株式会社蔦屋書店、株式会社札幌ブックセンター等5社と合併し、株式会社TSUTAYAを存続会社として、2020年4月1日に株式会社蔦屋書店に社名変更しています。
http://www.tsutaya-ltd.co.jp/news/2020/0326_tsutaya2020.html
これまでは、ツタヤ誘致自治体(和歌山市、海老名市、多賀城市)では、
指定管理者であるCCCと違法行為を犯した子会社のTSUTAYAは別人格なので、問題ない
という一般社会では到底通用しない屁理屈をこねて、不問に付してきましたが、
今回高石市が選定した蔦屋書店は、昨年、TSUTAYAが他社と合併して社名変更した企業ですから、違法行為を犯した企業そのものです。
なので、高石市は、
消費者庁から悪質な虚偽広告と違法認定され、1億円を超える課徴金を課せられた企業を
素晴らしい実績と提案力のある会社
として選定したことになります。これは動かぬ事実です。
CCCがあえて、蔦屋書店を今回前面に出してきたのは、実に不可解なこと。いったいどういうねらいがあるのでしょうか。
そういえば、熊本県宇城市も、図書館と美術館の運営を受託したのはCCCなのに、守田市長や執行部はやたらと「蔦屋書店」という名前を出してきています。
なにか意図があるのか、社名変更してしまえば、市民にはわからないとタカをくくっているのかわかりませんけれど、なんかありそうです。
次に、今後のことですが、昨年7月に基本構想策定事業者として、株式会社蔦屋書店・日本測地設計株式会社関西支店共同事業体 が選定されまして、その基本構想ができあがるのが今年度3月末です。一般への公表は5月頃になるみたいです。
おそらく基本構想では、南海電鉄が濡れ手に粟というのは言いすぎですが、
駅の高架事業によって手に入れた1300坪の土地に商業ビルを建設することになり、そこに併設するような形で、市民が集う広場や公共施設も一緒に集約していけば、より効率のいい行政になる
――というような提言がされるのは、もう目に見えるようです。
そうなりますと、それについてのパブリックコメントを市民に募集しまして、その内容をもとに、基本計画を策定するプロセスに入っていきます。
ここらへんは、ツタヤ図書館にかぎらず、どこでもあるように、
新しく整備される駅前には、どんな施設がほしいですか? みたいな設問が用意されていて、市民の要望は当然、図書館とか、市民活動センターとか、そのなかにはオシャレなカフェや書店もほしいという声が大きくとりあげられていきまして、あら不思議、いつのまにか高石市には代官山蔦屋書店をほうふつさせるようなオシャレ空間ができるので期待大という話になっていくでしょう。
【※2021/8/7追記】現実に、その通りになりつつあります→高石市の再開発ビルに蔦屋書店がオープン!
それによって、蔦屋書店とCCCは、本来ならば、二桁億円単位の資金を投入して新規店舗をオープンするべきところを、1円も出さずに自社仕様設計の建物が手に入り、その運営経費も併設の図書館・公民館の指定管理者になることで、毎年数億円の収入を得ながらできるわけです。書店など民業部分の賃料は、熊本県宇城市のように月5000円くらいにしてもらえますので、利益供与額としては、気が遠くなるような数字になります。
公共を食い物にする
というのは、まさにこういうことを言うのだなぁと、いつも感心させられます。
もちろん、それで市民が満足なら何も文句はないのですけれど、そのカネは誰が出すのか、公正公平に事業者の選定がされるのか、市長や議員との癒着はないのか、図書館のような社会教育の施設にカネの亡者の企業が出てきて、またムチャクチャなことしたりしないのか、というような不安が出てきます。
でも、気がついたときには、もう遅いんですよ。外堀はガッチリ埋まりきっていて、市長部局は、ツタヤ図書館もどきシフトの人事をして、反対者は左遷、職員もCCCの下請けみたいな立場にされてしまい、反対する市民は偏屈みたいな話になって、あの蔦屋とコラボしたオシャレなブックカフェ、一日いられて快適、素晴らしい、素晴らしいの大合唱へのレールが次第に敷かれていくわけです。
すみません。ちょっと先走りすぎましたが、次はパブコメ募集をして、基本計画を立てるところになるわけですが、今回は横滑りで、おそらく基本計画策定者にも蔦屋書店かCCCが入ってくるでしょう。もしそうなったら、異議を申し立てたり、ひっくり返すのは、かなり困難になります。でも、いまなら、まだひっくり返せる可能性は十分にあります。
そもそも基本構想は公募案件なのに、審査委員が全員市の職員なんですから、公正公平に行われたとは言い難いのは間違いありません。
昨年6月グランドオープンした和歌山市では、5人の委員中3人が外部委員でしたが、それでも市の職員と思われる1人の委員が異様にCCCびいきの採点をしていたことが読売新聞の和歌山版でも取り上げられました。まして、全員市の職員なんですから、これはもう、問題ないと言うほうがおかしいですよ。
2017年11月に行われた和歌山市の指定管理者選定会議の採点表。5人の委員のうち1人だけが異様にCCCびいきの採点をしていた。 |
この「源流」から入りんだ事業者が、最終的に自分たちのやりたい事業を公金を使ってやりたいようにやれるようになるのではないのかとの懸念はぬぐえないのです。
最近の国政にたとえれば、役人たちは、事前に「ソンタック口止め」を飲まされて、その後の事業は「マルナゲドン」(byデーブ・スペクター)になるのではないのかと、多くの人が思うような行政が横行しています。
というわけで、その基本計画の予算3250万円が現在開催中の議会に挙げられていますので、高石市議会議員と市民の方は、ぜひその中身に注目してください。
そして、今後は、消費者庁から1億円の罰金を課せられるほど悪質な違法行為を犯した企業に、巨額の税金が使われるのはおかしい
と声を上げてください。
よろしくお願いいたします。
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