こんにちは、日向です。
本日は、ツタヤ図書館問題ではなく、私の本業の雇用・労働に関する話題を書いておきます。
1/7にコロナ禍における国内二度目の緊急事態宣言が発令された影響は、日を追うごとに、深刻になりつつあります。
とりわけ飲食・サービス業への影響は甚大で、時短営業や休業を余儀なくされた店舗で働いている人たちにとっては、収入激減で死活問題です。
そんなときこそ、役に立つのがセーフティーネットとしての雇用保険なんですが、困ったことに、コロナ禍は、雇用保険制度そのものに大きな欠陥があることを浮き彫りにしました。
雇用保険に何年加入していても、一定の勤務日数がないと、失業手当の受給資格が得られないという理不尽な事態が起きているんです。いくら本人が働きたくても、お店が時短や休業しているところでは、通常営業通りにシフトに入れないからです。
11日以上(もしくは80時間以上勤務)働いた月が原則として通算で12カ月以上ないと、雇用保険の受給資格を得られませんので、それをクリアできない人が激増しています。これは制度上の大きな欠陥です。
●リーマンショックの再来
2008年からのリーマンショックで失業手当をもらえない大量の非正規労働者が出たときも、雇用保険制度に大きな穴があいていることがクローズアップされました。
雇用保険の加入要件に「1年以上雇用見込み」という抜け道があったため、短期契約にすれば加入しなくてもよいと解釈されていたことが原因のひとつでした。
驚くべきことに、当時、中小企業だけでなく、名のある大手企業やその系列でも、アルバイトや契約社員など非正規労働者に対してはこの抜け道を利用した未加入という脱法行為が平然と行われていました。労働政策にかかわる研究者たちの間でも、長年その弊害は指摘され続けてきたのですが、なぜかいっこうに改善されませんでした。
実は、これがリーマンショックで大惨事を生んだだひとつの大きな要因でもあったんです。
その反省のもとに、このおかしな要件は、2009年~2010年にかけて行われた二度の法改正を経て、改善されました。
現在は「31日以上雇用見込み」があり、「週20時間以上」働いてさえいれば加入義務が発生するようになりましたので、ほとんど抜け道は存在しなくなったはずでした。給付水準の貧弱さ(日額下限額2000円程度)をのぞけば、とりあえず雇用保険制度からこぼれる労働者は、リーマンショックのときから比べると激減したはずでした。
ところが、今回のコロナ禍では、雇用保険には加入はしているのに、いくら長く働いても退職後に雇用保険をもらえないという理不尽な事態が頻発しています。
雇用調整助成金や休業手当については、メディアでも広く報道されて、国会等で議論されていますが、雇用保険本体のこの欠陥については、まだほとんど認識すらされていない状態なんです。
●休業手当も失業手当ももらえない!
というわけで、前置きがかなり長くなりましたが、そのしくみと対処法について書いておきたいと思います。
1/7に当ブログ コロナ禍の失業保険 でも取り上げました問題点を以下に再度列挙しておきます。
・自己都合で退職すると、退職前2年間に12か月以上勤務(雇用保険に加入)していないと、失業給付はもらえない
・受給資格を満たす加入期間に換算できるのは、11日以上もしくは80時間以上勤務(週20時間(一日4時間なら週5日)かける4週間)した月のみ
・飲食店など(図書館の非正規スタッフも)サービス業でシフト勤務の人は、10日(もしくは80時間未満)しか働いていない月は、雇用保険上は「勤務していない月」とみなされる
・その結果、何年もフルタイムで働いてきたのに、コロナ禍で勤務先が休業を余儀なくされたケースでは、退職後に失業手当を1円ももらえない理不尽な事態が多発している
では、どうしたらいいのか、ということで、前回は以下のようなコツを紹介しました。
・在職中は、できる限り月11日(80時間)以上シフトに入ることを死守したい
・ハローワーク(ハロワ)で会社都合とみとめてもらう要件をよく調べて、それに該当する証拠をもっていくべし
・「15%以上減収になった」ことを証明すれば、会社都合と認められる(トータル半年勤務で受給可能に)可能性は高い
今回は、これらに加えてひとつ重要なことを付け加えておきます。
・勤務先から休業手当をもらう
なんでこれが重要なのかと言いますと、休業手当をもらっていれば、その期間も被保険者期間として算入されることになり、
これも含めた日数がトータルで月11日以上(または80時間以上)ある月は、雇用保険に加入していた月に換算できるからです。
つまり、月10日以下の勤務がつづきますと、それらはすべて「カラ期間」扱いで、いつまでたっても受給資格を得るのに必要な被保険者期間(自己都合1年、会社都合半年)を満たすことができないんです。
ところろが、休業手当をもらっていた期間はふつうに働いていた期間と同じ扱いになるため、それも含めて受給資格を得られるようになりますので、これによって少しハードルが低くなります。
たとえば、以下ようなケースです。
・昨年2月入社して、ちょうど今年1月末で12か月勤務したことになるはず
・ところが、1月は10日しか働けなかったため、失業手当の受給資格を満たす期間(賃金支払基礎日数)には含まれない
・結果、この人が1月末に退職すると、退職前2年間に11か月しかないとして、退職後は失業手当を受給できない
・もし、1月に1日でも休業手当をもらっていれば、賃金支払基礎日数は11日となり、退職前2年間に12か月加入していたとして、退職後は失業手当を受給できる
●休業手当をもらったときの失業手当は?
では、休業手当を受け取った場合の、失業手当の計算方法はどうなるのでしょうか?
休業手当は原則休業前の平均賃金【※1】の6割ですから、ただでさえ安い給与なのにさらにその6割をもとに、失業手当(原則、退職前半年間にもらっていた給与の5~8割)を計算されると、極端に安くなってしまうのではないのかと心配される方も多いと思います。
そこで、雇用保険制度では、そういう不利益が出ないように、基本的に休業していた期間は、失業手当の額を計算する在職中の賃金から除くことになっています。
たとえば、1カ月の給与を20万円、休業手当(※)を1か月当たり10万円を3カ月にわたってもらっていた場合、賃金日額(過去半年の平均賃金)は、以下のような計算式になります。
(20万円×6カ月)-(1カ月10万円×3カ月)
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
180(1か月30日換算×6カ月)-90(休業手当支給30日×3カ月)
【※1 時給・日給者は、休業日以前3ヶ月間の賃金総額 ÷ 3ヶ月間の労働日数 × 60%で計算】
少しわかりにくいですが、要するに、過去半年の平均賃金を求めるときには、
休業手当をもらっていた期間も含めて計算すると、その間の安い賃金が失業手当に反映されるため不利。そこで、休業手当をもらっていた期間は除外して平均賃金を計算しますよという主旨です。
そして、この平均賃金の5~8割(低い人ほど8割に近く、高い人ほど5割に近い額)が実際の失業手当となるわけです。
ただし、注意したいのは、この計算式には唯一例外があります。以下のようなケースです。
失業手当を換算するときの対象になる、過去半年間にわたって、まるまる休業手当をもらつていたケース
このケースでは、休業手当をのぞいて平均賃金を求めることができないため、休業手当の金額がそのまま失業手当を計算するときに使われます。
休業手当は、そもそも事業所に休業を命じられた日について、最低その間にもらっていた平均賃金の6割を支給するしくみですが、
時給・日給者は、平均賃金を計算するときに、6掛けにされ、休業手当を計算するときに6掛けにされ、さらに失業手当を計算するときにも5~8掛けになるという、とんでもない減額が行われるしくみです。
とにかく、シフト勤務の非正規で働いている人は、どのルートを通っても、とんでもなく理不尽な扱いを受け、いばらの途を歩かされていることがわかります。
●休業手当出なければ会社都合に
というわけで、なにもしなければ月11日(または80時間)以上シフトに入ることができず、その状態をいくら続けても、雇用保険を受給できる「12か月以上加入」(会社都合なら6か月以上加入)を満たせませんけれども、たとえ金額は少なくても、休業手当の支給を受けることさえできれば、受給資格に必要な加入月数をクリアしやすくなるということなんです。
しかし、ここまでズラズラと書いてきて、そろそろサービス業で実際に働いている人のこんな怒りの声が聞こえてきそうです。
ざけんじゃねえよ、休業手当なんざ、もらえるものならもらってるよ! シフト勤務は、毎月勤務日数が確定してないと、大手でも出さないところが続出してんだろうか!
おっしゃる通りです。そもそも休業している間、本来出さないといけない休業手当を1円も出さずに、雇用し続けていることこそが大問題なのに、
いまさら、雇用保険の受給資格を満たすために、休業手当をもらえなんて本末転倒だと思われたかもしれません。
しかし、これは雇用保険上では、非常に重要なポイントになるんです。
知っておきたいのが、退職後に、ハローワークで雇用保険の手続きをする際に、こう主張することです。
休業手当が支給されなかったので、やむなく退職した
これ、いまのところハロワの現場での判定が明確になっていないのですけれど、
雇用している会社側に明らかに責任があるとみとめられるようなケースであれば、会社都合と判定されやすくなります。
そして、会社都合と認められれば、11日または80時間以上勤務した月が6カ月以上あれば、退職後に失業手当をもらえます。自己都合と比べたら、半分の加入期間で受給可能になるというわけです。
雇用保険の受給資格さえ確保できれば、コロナ禍の臨時特例で実施されている延長給付の特典(60日)を受けられたり、職業訓練を受講するなどして、90日しか手当をもらえない人でも、なんとか半年くらいは食つなぐことができます。
だから、休業手当をもらえなかった人ほど、なにがなんでも会社都合で退職することにこだわるべきなんです。
会社が、従業員を休ませる場合、法律で、平均賃金の60%以上を休業手当として払うことを義務づけています。これは、長期間の休業はもちろん、一日単位でも払う必要があります。これに違反すれば、罰則もあります。(労基法26条)
ところが、シフトが確定した後に一方的にキャンセルされたら「休業」に当たりますが、シフトが決まる前の場合には、明確な法律違反とまでは言い切れない――というのが抜け道になっているわけなんですが、
でも、考えてみてください。月何日勤務するとか、週何時間勤務するとは契約書には書かれていなくても、
雇用保険の加入手続きをしているということは、実態として、少なくとも週20時間以上勤務することが前提になっており、前月までのシフト表をみれば、休業入るまでの通常営業での平均的な勤務実績というのは、ある程度把握できるはず。
それをもとに休業手当が支払われるべきと考えるのが妥当で、それを拒否しているイコール違法状態→違法状態に耐えきれずに退職しのなら当然会社都合なんですよ。
また、正社員には休業手当を払っているのに、非正規労働者にはそれを払っていないとしたら、これまた違法と認定される可能性は高くなります。
安定所の現場には、まだ統一的な取扱いを指示する通達が出ていないようですので、現場で判断ということになっていますが、こういう申立が激増すれば、安定所長も柔軟に判断せざるをえなくなるはずです。
ぜひ、みなさんもそのような論理展開で、実際にハロワで異議申し立てをしたいただきたいと思います。
よろしくお願いいたします。
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