2020年11月1日日曜日

教育費を飲み食いに使う和歌山市

 

こんにちは、日向です。


7月に和歌山市に申出をして、ようやく先日開示された市民図書館の資料に関しては、書店とカフェの激安賃料を真っ先に取り上げました。


まだ、整理してご紹介しておかねばならないことがたくさんあるのですが、


本日は、それに関連して、市民図書館を統括している市の担当者と、先日話したことについて、書き留めておきたいと思います。



とにかく、なんでたったの19万円ぽっちの家賃(世間相場は300万円以上)で、CCCに市民図書館内で最も価値の高いロケーションを提供しなければならないのか? ふつうの市民感覚でおかしいと思わないのか?


と、問い質しましたところ、


条例通りに執行しているだけだ

 

 の一点張りなんですが、



そこで、その担当者に、私は、こう問いかけてみました。



あなたは、行政マンである前に、和歌山の市民でしょう? CCCにこんなあからさまな利益供与しておかしいと個人的に思わないのですか? もし思わないとしたら、カルチュア・コンビニエンス・クラブ社員の平井薫館長や統括マネージャー山本剛揮さんから高価なお中元でももらっているんですか?


これに対して、担当者の方は、


いや、思わない。なぜならば、和歌山市が抱えている課題を解決するためには、いまの新しい市民図書館の形が必要だからだ


という主旨のご発言をされていました。(もちろんCCCサイドから高価なお中元ももらっていないそうです)



話を詳しくお聞きしますと、和歌山市が抱えている課題とは、全国で有数の読書率の低さや、寂れる一方の市駅前の賑わい創出のことのようです。



人がより多く図書館にきてもらえば、市民が本にふれる機会が増えて、おのずと読書率も高まるはずだ。



また、人が多く来るようになれば、街にお金が落ちて、経済もうまく回っていくはずだと。



ツタヤ図書館誘致自治体の人は、みなさん判で押したように、こういう意見を述べます。



しかし、本当にそうでしょうか?



あれこれ話を広げるとややこしくなりますので、今回は、市民の読書率向上に絞って書いておきたいと思います。





以前、日本でいちばん本を読まないのは和歌山市民?

 でもご紹介しましたように、


和歌山県は、過去1年間に「趣味としての読書」をした人の割合が、は29・5%であり、全国平均(38・7%)を大きく下回り、47都道府県で最下位でした。(2016年総務省統計局の「社会生活基本調査」)



こういう統計データを逆手にとって、和歌山が読書率が低いのも、これまでの公共図書館の努力が足りないからだ。このままではいつまでたっても変わらない。思い切って、民間企業に任せたほうが成果は上がるのではないか!



などと、一部の“CCCの営業マンみたいな議員さんから、ツタヤ図書館を誘致する理由のひとつにも挙がっていたわけなんです。



でも、これ、根本的に事実認識がおかしいと思いませんか? なぜって、市立図書館が何か努力をしたからといって、大人の社会人が急に読書が好きになるはずがないじゃないですか。(市民図書館で料理本・旅行本を拾い読みする人が増えて、結果として表面上の数値は多少改善されるかもしれませんが)



そもそも読書率なんていう統計がどれだけの意味を持つのか、はなはだ不明確ですし、別に本を読みたくない人は、無理して読まなくたっていいじゃあないですか。読まずに済むんでしたら。



いや、地域の文化の担い手になる市民を育てるためには、読書率を向上させるべきだ


もし、そう思われるのでしたら、学校教育のところからなんとかすべき課題なので、やはりいちばん効果があるのが、なんと言っても、市内小中学校にある学校図書館の充実です。



学校図書館は、かつては司書教諭の資格をもった教師がひとりで運営を担当していましたが、学校の授業や各種行事、部活、生徒指導などでただでさえ忙しい教師が図書館にまで手が回るわけがなく、生徒に本をたくさん借りさせるどころか、学校図書館そのものを開館することすらままならない状況が続いていました。そこで、10年くらい前から、図書館の運営を専門にする学校司書(呼称は地域によって異なる)を配置する自治体が増えました。


専任あるいは複数校を兼任する形で、学校図書館の運営を担っているんです。当ブログでも、たびたび取り上げている東京都立高校なども、そのなかのひとつですね。



で、和歌山市のように読書率を高めるのが大きな課題というんでしたら、全校に学校司書を配置してでも、子どもたちに読書に親しんでもらうのが有効なはず。


ところがですね、前にも書きましたように、和歌山市は、国から1.5校に1人専任の司書を配置するだけの地方交付税交付金をもらっておきながら、


昨年まで、市内71校に、たったの1人(しかも複数校巡回)しか学校司書を配置してきませんでした。信じられないですよね。





一昨年からの市民団体の粘り強いはたらきかけによって、ようやく今年度から3人配置されるようになりました。


いまや先進的な自治体では、一校当たりひとりの学校司書を区内小中学校全校配置を達成するところもボツボツ出てきているというのに、市内71校もある和歌山市では、いまだに、たったの3人しか配置されていないのです。日本でいちばん読書率が低いというのは、こういうところが原因かもしれません。


国から学校司書を配置するために出ている地方交付税交付金をすべて使うと、和歌山市の負担ゼロでも、1.5校に1人配置なので

50人はいないといけないところが、たったの3人ですよ。


市民団体がなんとか、兼任でもいいから、せめて全校区を回れる程度に増やすよう、市当局に申し入れをしているようですが、市当局は、その要望にまったくこたえようとしていません。


学校司書を採用しているのが、実は、市民図書館と同じ市教委の部署(読書活動推進課)です。


市民の猛反発があったため、とりあえずCCCへの学校図書館委託の動きは、いったんはなりを潜めていますが、いずれ隙あらばCCCからの派遣にしたいのか、直接雇用で学校司書を増員することを、頑なに拒否しているような感じなんです。




つまり、読書率を高めたいと言っている部署が、一方では、学校図書館に関しては、専任の司書配置校を増やすつもりがまったくないのですから、そんなんで成果なんてあがるわけがありません。


新しい市民図書館の運営には、年間3億円も出すのに、学校図書館に関しては、身銭はビタ一文出さないうえに、国から交付金をもらっている1.5校のひとり学校司書を配置する予算さえほかに流用しているのですから、これで市民の読書率を高めるなんて、よく言えたものだと思います。


子ども手当をもらっている世帯が、それを教育費に使わずに、日々の飲み食いに使っているようなものです。



下の図をみてください。これは『学校図書館を考える全国連絡会』が東京都内の各自治体における司書配置状況を細かく調査した結果の一部です。


都内における学校図書館の司書配置状況が、手に取るようにわかる素晴らしい調査です。


すべて非正規雇用であるうえ、一部の区では、直接雇用ではなく民間委託だったり、勤務日数・勤務時間が少なかったり、個々に詳しくみていくと、現場スタッフの劣悪な労働条件が垣間見れるのですが、それでも東京都内では、ここ数年で学校司書の配置は確実に進んでいることがわかります。




学校図書館を考える全国連絡会のサイトより



ところが、和歌山市の場合は、そういう学校図書館の運営状況をうんぬんできるスタートラインにさえ、まだ立てていません。しつこいようですが、なにせ市内71校に、たったの3人しか司書を配置していないのですから。


新しい市民図書館にしても、直営時代は、一部の幹部職員をのぞいて、現場スタッフはほぼ全員が司書資格者だったのに、CCCの指定管理になってからは、司書資格者は激減しています。この問題は、また別の機会にとりあげたいと思います。


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