2023年11月26日日曜日

無印図書館、違法スレスレ事業者選定プロセス

 

こんにちは、日向です。


岐阜県可児市に、11月23日オープンしました無印良品店内のカニミライブ図書館について、開館日に掲載されたBJ記事の説明をちゃんとしておりませんでしたので、本日は改めて、いくつか捕捉しておきます。


「無印良品」図書館、可児市の選定過程に不可解な点…ツタヤ図書館の二の舞か




 この記事を書くにあたって、基礎資料としたのが可児市から二度目に開示された決定までのプロセスがわかる公文書です。そのうち、良品計画さんが市に提出した提案書24枚については、全面黒塗りの「のり弁」でしたので、これみてもなにもわからなかったのですが、一方で、市が作成した文書については、黒塗りの合間に白地の資料も結構ありましたので、そちらを詳しくみることからスタートしました。


真っ先に驚いたのが、出来レースなんて改めていうまでもなく、最初から「11月に無印良品店舗に図書館を開館する」という結論があって、その結論を、いかに、誰にも文句をいわざずに最短で進めるかという苦労の一端が、ここかしこに隠れていたことです。下をみてください。




 可児市に良品計画から、突然、図書館設置に関する提案があったのは、今年1月6日のこと。可児市が、地域の社会課題解決のために、民間企業からの提案を受け付ける「公民連携」ワンストップ窓口」を設置したのが1月4日でしたので、それを待っていたかのようなジャストタイミングでの提案でした。


まあ、それは、ほんとにたまたまそうなったのかもしれませんけれど、この後、土日と祝日を挟んだだけの1月10日には、早くも、可児市の市長部局と良品計画の担当者の間で、初会合が開催されていることに至っては、到底、たまたまたとは思えません。









正月明けの6日に提案窓口(市のサイト?)に提案が投げ込まれたんだとしたら、その日のうちに、どちらかが連絡を取って、


じゃあ一度会って話しましょう


ということになったんだとしても、提案した6日は、もう金曜日です。土日を挟んで、9日月曜日は成人の日ですから、初会合となる翌営業日の10日に市長なのか担当職員なのかとアポイントが取れて、すぐに良品計画さんのスタッフが可児市を訪問するなんていう話は、普通の社会人には信じがたいことです。(市と良品計画とのメールでのやりとりも開示されていますが、そこには初会合の日程調整の件は一切出てこない)


もともと前年の暮れに、初会合の予定が決まっていて、それだと、さすがにマズイので、形式的に先に窓口に簡単な提案書が送られていたことにしたのでしょうか。


もっと言えば、可児市の冨田市長が無投票で4選が決まった前年11月くらい(おそらくこの時期にヨシヅヤ出店が決まったのでしょう)には、水面下で折衝が行われ、トップ同士ではほぼ合意に達していたと考えるのが自然です。企業としたら、ワンマン市長さえ取り込めれば、それでもうすべてが決まったようなものと思うはず。行政の手続がいかに大切かなんてことは露ほども考えないでしょう。もしそうだとすれば、まさに、ワンマン市長とワンマン社長とのコラボです。


その後、市長部局が良品計画と設置する分館の詳細について協議して、事務レベルで同社の提案に同意したのが、ゴールデンウィーク中の5月3日です。

もちろん祝日ですよ。役所の職員が、祝日に民間企業と会議するなんていうのは、なかなかないと思います。




記事にも書きました通り、可児市のヨシヅヤ一階に無印良品の店舗が11月にオープンに合わせて開館するというお尻が決まってましたから、なにがなんでも6月議会で承認を得ておかないと開館できない、そのためには連休明けに庁内で意思決定は最低条件だったのでしょう。


あとからわかったことですが、無印図書館を開館するミッションを背負った館長と市長部局の実務スタッフは、この4月に新たに配置されたばかり。市長部局のスタッフの方は、3月までも、同姓の人がいらしたので、同じ人かと思ってましたが、4月からは別の人だったことが最近わかって、吃驚仰天しました。お話を聞く限りにおいては、館長さんも市長部局の方も、畑違いの部署からこれらていて、図書館についてはズブの素人のようでした。


カウンターパートとなる良品計画さんも、もちろん会社そのものが図書館運営経験ゼロですので、これまたズブの素人かも(転職組なら、もしかして経験者かもしれませんが)。そのズブの素人たちが、半年余りで、国内初の無印店舗内の公共図書館をつくろうというんですから、それはさぞタイヘンだったのではと、察します。


頼みの綱といえば、外部のキュレーターとして紹介されている元蔦屋の三条さんだけ。三条さんも、代官山、六本木で本のディスプレイを担当したとインタビュ―記事のプロフィルで紹介されてはいるものの、武雄市や海老名市での勤務経験は書かれていないところをみると、これまた図書館についてはズブの素人かも。唯一、大阪市「こども本の森 中之島」の実績がおありだとのこと(可児市の関係者の話)ですが、この施設は、本の貸出はしない図書館もどき(入場制)ですから、図書館のプロとは言い難いですね。むしろ、素人だからこそ、図書館の既成概念を打ち破ことができるとかなんとか言うんでしょうけれど、基本を知らない人たちが勝手に宣言する常識打破って、要するにツタヤ図書館そのものというか、見世物図書館っていうことですよね。だから、図書館本来の機能のことはほとんどアピールせずに、開館時間が長いとか、便利な場所にあるとか、内装がオシャレとか、他と比較できない独自分類とか、イベントをやたらと開催するとか、周辺のことばかりをアピールするんです。


6月議会では、記事中に書きました関係者のコメントを読んでいただければわかるように、みんなが諸手をあげて賛成したわけではありませんでした。図書館スペースをビルオーナーではなく、なぜか良品計画さんが又貸しする形で、15年契約というのもかなり異論は出てきますし、本館をどうするかというグランドデザインが必要という意見もあったみたいですから、議会の人たちはわりとまともで、市長と事業者が拙速主義で暴走したのかってところが読み取れます。


そんなわけで、5/10に開催された審査会で、良品計画の提案を受け入れて実施することが決定します(正式決定は5/15の庁議)。審査委員は、もちろん全員が市の幹部職員。市民代表はもちろん、外部の有識者はひとりももいません。






唯一、市民の意見を聞いたことにしているのが、審査会の前日に開催された図書館協議会でした。これも記事にも書いたように、会議の時間は、たったの30分。図書館の専門家は、学校司書代表だけで、公共図書館部門からはゼロ。ここでこそ、図書館の専門的な内容について、侃々諤々で話し合われないといけないはずなのに、それも一切なし。「とってつけたように」というのは、まさに、こういうときに使う言葉なんだと思いましたね。





さて、今回の記事のハイライトは、やはり“偽装委託”です。無印店舗内のカニミライブ図書館の運営は、当然、良品計画が雇用したスタッフが担当するのかと思ったら、そうではなくて、本館と同じく、市が雇用したスタッフ(会計年度任用と派遣スタッフ)ということで直営を維持することになりました。


しかし、店舗内の図書館を開館できるまで、内装工事から配架、デザインまでを、すべてひっくるめて行うのは、市から委託された良品計画さんなんです。とするとその業務の部分は、当然、法的には「委託契約」ということになりますよね。


ところが、これ「委託」ではなく、あくまでも「整備負担金」という名目で、市から良品計画に1億7600万円を支払うようになっているんです。そうしますと、形式上は、委託ではなくるので、これらの支出だけ盛り込んだ補正予算のみ議会の承認さえ得られれば、新図書館の設置については、教育委員会はもちろん、議会の承認も必要なくなるわけです。


でも、この見積書をみますと、内装工事からはじまって、無印仕様の専用什器や家具の設置、選書や企画までもが整備に含まれていて、開館準備業務をまるごと良品計画さんに、可児市は委託しているようにしかおもえません。


もし、まともにこれを委託にしていたら、委託契約の内容についても議会承認が必要となるため、とても6月議会では間に合わなくなります。なので間にあわすためのウルトラCとして、こういう「委託ではない」脱法的な手法を編み出したんだろうと思いますね。そうした手法をアドバイスしたコンサルタントがいるのかもしれません。



さて、私がいちばん心配しているのは、可児市は、図書館のど素人に、とんでもない実績を与えてしまったということです。


下をみてください。総額1億7600万円の新図書館の整備事業を、可児市は、複数の事業者に価格や提案内容を競わせる競争入札を行うことなく、一社のみの提案をただ丸飲みした随意契約によって、進めてしまいました。これは、通常ならアウトの行為です。







あなたの住んでいる街で、これだけの巨額の事業が市長の一存で決められるでしょうか? そんなことは法的にはできません。もししていたらタイヘンです。


可児市は、幹部職員だけが採点する審査会によって、公平公正な審査のもとに、良品計画が選定されたという茶番劇を演じてますが、その評価対象は一者だけでした。競合はいないんですから、提案内容も独自ノウハウも、比較のしようありません。市長がいいと言っているんなら仕方ないとされただけです。


無印良品を展開する良品計画が、新図書館の整備について、他社にはマネのできない特別なノウハウを持っていたのなら話は別ですが、少なくとも、内覧会のニュースや事業計画をみる限りにおいては、店舗内にちょっと変わった風の書架をおいているだけの図書館であり、セルフ貸出機にしても、AI技術ででラベルを読み取るとされていますが、そんなことしなくても、バーコードを読み取ることで、特別なシステムを必要せずに可能になるはずの程度のものでした。


この程度の図書館機能であれば、ひとりの有能な図書館の専門家をトップに据えることで、あとの設置ノウハウについては、各事業者を競わせることで、かかる費用は、もしかしたら現行の半額以下になったかもしれません。ショッピングセンター内に分館を設置するのであれば、もっとほかにも候補地はあったはずで、15年契約などという非常識な条件を飲まなくても、もっと賃料が安く、市民にとっても利便性の高いテナントもあったかもしません。なのに、今回なにゆえ、ヨシヅヤの無印良品店舗に決め打ちしなければならなかったのか不思議でなりません。



 競争のない随意契約といえば、11年前に発表された、佐賀県武雄市がツタヤ図書館第1号の発表がその典型例です。それまでまったく図書館運営経験のなかったカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)が選定されてオシャレな内装の図書館ができたと旅行者やメディアが大絶賛したことで、CCCには図書館運営の特別なノウハウがあるという誤った印象を世間に流布することに成功。それをみた他の自治体が次々と、うちにも来てほしいとCCCに誘致合戦を繰り広げたほどです。


ところが、CCCは、そもそも図書館運営の経験も実績もゼロ。まったくのド素人だったため、2年後に、郷土資料が大量に廃棄されていたり、大量の古本を選書していたことや、神奈川県海老名市では、独自分類がとんでもなく使いにくいことなどが発覚。それをきっかけに「ど素人のCCCに図書館を任せていいのか!」と、進出が内定していた愛知県小牧市、宮城県多賀城市、岡山県高梁市、山口県周南市などで、市民の反対運動が勃発しました。


良品計画による無印図書館も、基本的な構造は、それとまったく同じです。可児市のケースを、もし黙って見過ごしていたら、人が来て賑わえばそれでよいのか、公共図書館の使命など一切考えない世間は、こう思うことでしょう。


無印図書館は大成功だったね


あきらかに事実ではない印象を世間にバラまくことで、ツタヤ図書館と同じく、良品計画の図書館づくりの実績として、可児市のカニミライブ図書館は印象づけられて、空きテナントに苦しむ全国の商業施設(特に赤字を抱えている第三セクターが飛びつきそう)が次々と、うちにも無印図書館をつくってほしいと依頼がきかねません。


かくして、図書館のど素人だった良品計画が、可児市での実績をひっさげて全国の自治体にセールスに回ることに。そして、可児市と同じような図書館分館を設置する自治体が次々と登場したら、どうするのでしょうか。


ツタヤ図書館誘致の自治体がその後にたどったのと同じく、図書館機能は劣化するわ、特定企業への利益供与は酷くなる一方で、街はますます廃れてシャッター通りに拍車がかかるという事態が待ち受けているのです。いまだにツタヤ図書館は大成功だったと言っている、過去の事例に学ばない人たちは、「歴史修正主義者」とのそしりを免れないでしょう。


ちにみに、ツタヤ図書館1号となった佐賀県武雄市では、こんな出来事がありました。


昨年11月、「議会の承認を得ずに、市内1万5000戸に防災情報システムを導入したのは違法だ」とした市民の訴えを認めた佐賀地裁は、武雄市の現市長に4億円を請求するよう命じました。


その議会無視の前例となったのが、前市長がツタヤ図書館を誘致するにあたって、議会承認の前にTSUTAYAの運営会社CCCと指定管理契約を締結したことだったと報じられました。


今年8月の高裁判決では、問題になったあとから議会が追認したことから、市長への4億円請求は棄却されましたが、あやういところで、議会軽視が市長の政治生命を絶ちかねないところまでいっていたのです。


無印図書館の可児市も、そんなに危うい橋をわたってまで、超特急で図書館の分館を整備する必要は、いったいどこにあったのか。もしかして、市長と事業者の間で、なにか密約があったのではないか。市長と良品計画は、癒着しているのではないのか。それとも、空きテナントに苦しんでいたヨシヅヤさんが、市長に泣きついたのか。


そんな疑問は誰しもが抱くでしょう。


企業サイドから、政治家に対して、事前なのか事後なのかはわかりませんが、なにかお世話になった御礼はされていないのかって視点が重要です。記事の最後にも書きましたように、ツタヤ図書館第一号の武雄市では、樋渡市長が退任後にCCCの関連子会社に天下りされたことあとで判明して、一大スキャンダルになりました。良品計画さんも、当然、御礼くらいはちゃんとするでしょうから、それがどんな形で冨田市長にされたのかってことを掘っていきたいところですね。


よろしくお願いいたします。


【関連記事】


2023年11月24日金曜日

虚偽宣伝からスタートした無印図書館

 

こんにちは、日向です。


昨日11/23に、かねてより予告されていた通り、岐阜県可児市の無印良品店内に新しい市立図書館がオープンしました。


良品計画さんがまだなにも決まっていない今年3月に商標登録を申請していた「カニミライブ図書館」という名称が早速使われて、地元メディアを賑わせています。


どんな図書館なのか、独自分類はどんなものか、ブックジャングルと称する書架はどんなデザインかなど、いろいろと気になることは山ほどあるんですが、


新聞報道をみて、いきなり


これは大丈夫なのかな?


と思う箇所が出てきてしまいました。


下をみてください。朝日新聞デジタルの記事に、


“無印店舗は県内8店目だが、店内の図書館は全国で初めて”


という売りの言葉が出てきます。


https://digital.asahi.com/articles/ASRCP6QLFRCPOHGB001.html より



これ、少し前に同社がリリースで公式にアナウンスした際、


すでに刈谷市のクマシカ図書館があるのに、それは無視?


という指摘がsnsでされていました。


クマシカ図書館というのは、公共の図書館ではなく、一風変わった私設図書館。




ウィキペディア・ルビットタウン刈谷より


本棚のオーナーがひと箱2000円を払って、館内に、誰かに読んでほしい自分が所有する本を入れておいてもらうことで、来館者は誰でも、借りたい本があれば自由に借りれるというもの。


そんな私設の図書館が、愛知県刈谷市にあり、その場所というのが、無印良品ルビットタウン刈谷店内なんです。


あれれっ、さっき朝日新聞には“(無印)店内の図書館は全国で初めてと書かれていましたよね。


とすると、刈谷市のクマシカ図書館はなんなんでしょう。


私設図書館だから、それは図書館には入らない


というつもりで、良品計画さんは考えているかもしれませんが、私設だろうが、なんだろうが、図書館には変わりません。


もし、それでも「全国で初めて」としたいのならば


無印店内の●公共●図書館は全国で初めて


――とすべきではないでしょうか。


これ二週間くらい前に出ていた良品計画のリリースをみて気づきました。すぐにその旨を可児市の担当部署に「これは虚偽表示では?」と指摘しておきましたところ「ご指摘の件につきましては、良品計画さんに共有いたします」との回答がありましたので、おそらくオープンまでには改善されるんだろうと思っておりましたが、ふたをあけてみたら、そのまんまでした。


良品計画の公式リリース。
https://www.ryohin-keikaku.jp/news/2023_1113_01.html より
https://archive.md/9aUwz



これは、もしかしたら、私設図書館だけど良品計画が関与しないところで設置されているものなのかなぁと思って、いろいろみておりますと、無印良品の公式ページに


【ルビットタウン刈谷】よみきかせ会を開催します!


https://www.muji.com/jp/ja/shop/046695/articles/events-and-areainfo/events/1289971
https://archive.md/2FUaV#selection-315.0-315.24 



――とした案内もあるんですね。そのなかには、こんな記述もあります。

“また、クマシカ図書館さんは、無印良品ルビットタウン刈谷店内にて本の貸し出しを行っています。
購入はできませんが、絵本も棚に置いてある本も借りて読むことができます”

この図書館には、思いっきり無印良品が関与されているようです。これはもう確信犯でしょう。

オープン前にも、「全国初の無印店内に図書館設置」とした記事をみかけていましたので、数日前に、良品計画さんの広報部に電話をしまして、


“全国初の無印良品図書館”は、虚偽表示では?

――と申し上げました。ご担当者の方はいらっしゃらなくて、直接お伝えすることはできなかったのですが、そう言っても、あまり重大なこととは認識されていない様子で、

ご意見として承っておきます

の一言で終わりました。このときに、ジャーナリストの日向ですと一応は、名乗りまして、もし改善されない場合は記事に書きますと通告はしておりますので、結局、オープンまでにまったく改善されなかったというその事実は、遠慮なく、このブログに記録させていただきます。もし、ご反論・ご釈明がありましたら、右上のメールアドレスまで、ご連絡ください。


ワンマン市長とワンマン社長のコラボ?



さて、ここからは、私の感想なんですが、可児市の担当部署(秘書政策課)も良品計画も、情報を上にあげたところで、上層部は、それを一顧だにしないような組織風土があるのかなと感じました。

「伝えます」という対応は、その指摘が重大な事実かどうかは自分では判断せずに、一応関係者全員で情報共有をして、意思決定は、その権限を持つ者だけが行うという、いわば軍隊の指揮命令系統のようなものです。

情報を共有するだけでなく、それが重要な問題だと認識されれば、現場の人が進言をして、こうしないとマズイですよというところまでいかないと、不祥事を未然に防ぐことは極めて難しくなります。

その意味でいえば、可児市は市長のワンマン、良品計画もユニクロからきた堂前社長のワンマンの体制なのかなぁという印象を持ちました。


事実なんかどうだっていい、「全国初」とか宣伝になりそうなことは、たとえ虚偽ではないか?と指摘されても、ウソでもなんでも押し通してしまえ、どうせ10日もすれば、みんなそんなことあったなんて忘れるでしょ。

みたいな感じでしょうか。これは、今回の無印良品の図書館に限らず、CCC運営のツタヤ図書館などでも、あきらかに事実とは異なるのではないのかと思えるようなことを平然と宣伝材料に使って、いくら指摘されても、なかなか改善しないんですね(タウンワークの豹変など)。だから、CCCは消費者庁から景品表示法違反で1億円の課徴金を課せられたりしているんです。



そういう自治体と企業がコラボしてできた図書館ですから、図書館の中身以前の問題で、

まずは、

ウソをつかないようにしましょう

ということから始めていただかないといけないのかもしれません。

よろしくお願いいたします。

【関連記事】











2023年11月23日木曜日

無印良品の図書館についての批判記事がリリースされました。

 

こんにちは、日向です。


昨日、無印図書館の記事が延期になったと書きましたが、さきほど、BJ編集部のご尽力のおかげで、なんとかオープン当日にまにあって、リリースとなりました。


取り急ぎお知らせします。




この記事の内幕は、以下に詳しく書きました。


【参考記事】




2023年11月22日水曜日

宇城市スタバの最新の家賃は2800円!

 

こんにちは、日向です。


本日はまず最初に、告知をひとつしておきます。


といっても、記事リリースの予告ではなく、記事延期のお知らせです。


7月くらいから、岐阜県可児市にできる無印良品店内の市立図書館について取材を進めておりまして、11月23日のオープン当日に、“無印図書館”に関する記事をぶつけるつもりでおりました。


ところが、諸般の事情で、この記事のリリースが少し遅れることになりました。誰の責任ということではなく、ほんとにアクシデントとしかいいようのない出来事が起きていたことを今朝知りました。オープンに間に合わなかったのは、たいへん残念ですが、速報性を重視する内容でもないので、後日、みなさんには、じっくりと読んでいただければと思います。


さて、本日の本題は、タイトルにしたように熊本県宇城市のスターバツクス賃料についてです。







これまで、昨年4月にCCCによる指定管理で新装開館した、宇城市の図書館と美術館(正式名は、宇城市立図書館・宇城市不知火美術館)内にあるスターバツクスの賃料は、一カ月3,700円とお伝えしておりましたが、今回、改めて最新情報を請求しましたところ、いつのまにかその金額が変更になっていました。


結論から言いますと、宇城市ツタヤ図書館のスターバックスの一カ月の賃料は、3,700円ではなく、2,800円でした。




それとは別に館内の通路に配置されている販売用の平台18.7平米が、いつのまにか追加されており、こちらが年間1万449円、月当り870円の賃料が発生していたことがわかりました。





不思議なことに、この両方を合わせた金額が月約3,700円(3,666円)ということになっていました。





もともと、スタバだけで月3,700円と言う金額は、指定管理者の募集要項に記載されていた


・目的外使用料は、1平米当たり年間700円


という基準をもとに算出した金額でした。開館前は、スタバ54.5+蔦屋書店9.05㎡=63.55㎡でしたので、これをかけると年間4万4,485円、月当り3,707円という金額が出てきまして、その金額を担当課にぶつけて「その通りです」と確認したものです。



で、今回の正式な行政財産の目的外使用申請をみてみますと、


スタバの面積が61平米となっています。結果的に、当初予定されていた蔦屋書店が開設されませんでしたが、スタバ単体で、当初の63平米とほぼ同じ面積をCCCが借りて営業することになっていて、このエリアのなかで書籍や各種物産の販売も行なうようになっていました。


なので、スタバの賃料としては、今回の申請書に書かれた63平米で、年間3万3,547円、月額2,795円が、正しい金額です。



開館前の計画時とスタバの面積はほとんど変わっていないのに、どうして賃料は安くなったのか、加えて、なにゆえ通路部分の平台を借りるようになったのかが不思議なんですが、


もしかしたら、私が、「宇城市のスタバの家賃は3,700円!」と書いたので、それに合わせて平台もセットで借りて同額にしたのでしょうか。


まさか、そんなバカなことは、さすがのCCCもしないですよね。



どうして、そんなに安くなるのかというカラクリは、和歌山市のケースで詳しくみてきた通り、大昔(昭和30年代)につくられた条例の計算式をいまだに改正せずに適用しているからです。


その頃は、公共施設内を民業に貸すのは、小さな売店や自販機くらいで、営利目的で本格的な飲食店が出店することは、まったく想定されていませんでしたので、指定管理施設内に店舗を営業させる際には、当然、この条例を時代にあったものに改正しなければならないところを、そのまま使っているからです。


この手法は、ツタヤ図書館だけの問題ではなく、Park-PFIの制度を活用して、公園内にスターバックスを設置している地方都市などでも、よくみられる手法だということが最近わかってきました。スタバとしたら、むかしながらの条例をみつけたら「ラッキー、これは賃料タダみたいになる」と喜んでることでしょう。




それから、もう一点、開示申出に書いた、水道光熱費については、今回開示された資料に、その負担状況がわかるものは、なにもありませんでした。


あれれっ、まさかシカトされたのかなと思って、よく開示資料を読んでみますと、行政財産の使用許可書のほうに、以下のような記述がありました。





当該使用物件に付帯する電話、暖房、電気、ガス及び水道の諸設備の使用料を負担しなければならない


――となっていますので、これは当然、CCCのほうでスタバと平台で営業する販売店の部分の光熱水費は、負担しているということなんでしょう。


ただし、注意したいのは、和歌山市と同じく、直接、子メーターのある部分については、CCCが負担しているにしても、問題なのは、館内全体の空調部分ですね、冷暖房にかかわる電気代等については、図書館・美術館が全額負担しているかもしれないということです。


なぜならば、公共部分と私的営業部分に境界がなく、空間は一体化していますので、全館空調の恩恵をスタバと平台部分も享受している可能性は高いのではないかとみています。



そうしますと、スタバの賃料を月2,800円にし、月10万円以上かかるエアコン代もほぼ無料にできるわけで、こんなにおいしい話は、街場の商売では、まずありえません。


そのことを市民にはまったく知らせずに、官民連携事業をすすめる構造そのもに問題がありそうです。



そうしますと、これは、CCCにかぎらず、無印良品の良品計画にも言えることですが、官民連携事業でたっぷりとウマイ汁を吸って、商売している一方で、


自治体の創業支援をサポートする事業なんかにも手を出している(良品計画は出そうとしている)のは、とってもおかしいと思います。


「独立してカフェを始めたいんですが」という若者が相談に来た際には



家賃30万円、光熱費10万円、仕入れ10万円で、月に50万円固定費はかかりますね


なんていうアドバイスをしているんでしょうか?


それこそ、地域の若者には、月2,800円の家賃でカフェを出店させたり、空きスペースで毎週末ごとに、一日数百円の賃料で屋台を出して稼げるようにしてあげるほうが、何百倍も地域の活性化につながると思うのですが、現実は、東京の大資本だけに、自治体がとんでもない優遇措置を与えているという、まさに「売国奴」みたいなことばかりしていると感じるのは、果たして私だけでしょうか。


よろしくお願いいたします。


開示資料全文はこちら↓

宇城市目的外使用料231121.pdf




【関連記事】




2023年11月18日土曜日

議案なしに“口頭議決”をした和歌山市

 

こんにちは、日向です。


昨日につづけて、和歌山市のことについて書くのは、少し気が引けるのですが、これもどうしても書いておかねばならないことなので、できるだけ簡潔に記録しておきます。



来年4月からの5年間、市民図書館の指定管理者にCCCを選定したことについて、教育委員会の議決が確認できなかったことの顛末を以下の記事に書きました。




いくら探しても、みつからなかった、指定管理者選定の議案が、「議案27号」という中身がわからない無タイトルのものに入っていました。


開示された議案の資料について、いつもsnsでツタヤ関連の情報をウォッチされている方から、こんなコメントがありました。



この資料は議案じゃなくて説明資料じゃないかと思うのですが、議案の開示はなかったですか?



言われてみれば、確かにその通り。開示されたのは、説明資料ばかり。肝心の「議案」本体がみあたりませんでした。


そこで、翌日、この資料を開示した教育政策課に問い合わせてみたところ、


冒頭の3枚が「議案」です。これ以外には文書はありません。


とのこと。


私も行政手続きについては、不勉強なので、そういわれたら、そういうもんかなぁと丸め込まめそうになりましたが、ウォッチャーの方が、すぐにちゃんとしている他市の事例をあげてくれました。以下がそれです。






これみたら、それぞれの議案が「議案何号」のあとに、ちゃんと中身がわかるタイトルついてますね。そして、必要事項が明記されたうえで、「審議願いたく提案する」とされています。この後に詳細な説明資料がつづくという正式な議案書です。


議案番号、議案名、提出日、教育長名があって、詳細が必要なら別紙にする形が多い


そうです。


また、別の方からも、以下のような議案の事例を教えていただきました。




和歌山市では、こういう正式な議案書を作成せず、説明資料を配布して「原案どおり承認してよろしいか」と教育長が口頭で聞いて、委員一同が「はい」と答えるまでがワンセットのようです。しかも、総額17億円の指定管理者指定議案が、タイトルもなしに、ほかの予算案に一緒くたに紛れこんでいました。



和歌山市は、いつもそうなのか、それとも今回だけは異例だったのかはまだ不明なんですが、和歌山市教育委員会の手続が世間の常識とは異なっているという、これらのら指摘について、なにか事実と異なることはありますか? もしありましたらご反論くださいと、教育政策課にメールで問い合わせましたが、結局、それについてご返答はなにもありませんでした。(このメールは、図書館を管轄する読書活動推進課にもCCで送信しました)



こう書きますと、重箱のスミをつついているように思われるかもしれませんが、5年間で総額17億円の指定管理者選定の議案が、ほかの予算案のなかに潜り込ませて、市民がいくら探してもみつからない状態にしているうえに、説明資料配布して、あとは教育長が口頭で「よろしいですか?」と聞いて議決したというのは、人口35万人を誇る中核市の行政としては、いかがなものかと思いますね。


CCCの再指定については、他の自治体がそうであったように、もう当たり前のように進められて一切議論もなく決定されました。和歌山市の市民の方も、おそらくそうなるだろうなと予感はしつつも、昨年末の監査請求からはじまって、定例の教育委員会は欠かさず傍聴されるなど、いつ議題にのぼるのだろうかと根気よくウォッチされていました。



ところが、最後の最後で教育委員会がCCC再選定を議決した臨時会は、火曜日に緊急告知して金曜日に開催された臨時会でしたので、結局、市民は、傍聴することができないまま、まったく知らないうちに通ってしまっていたという顛末でした。騙し討ちみたいなものでした。(もっとも、議決された臨時会当日に出席できたとしても、議会上程議案は秘密会となるめ、その議題になったとたん、退出させられていたでしょうけれど


全国でもめずらしい「市民図書館」という名前をもちながらも、実態は、市民を排除して、事業者の都合を優先するのは、こういう手続の杜撰さからくるものではないのかって、ふと思いました。


市長の暴走にブレーキをかけるはずの教育委員会の手続が杜撰でなければ、ツタヤ図書館などというものは、そう簡単には、つくれないものかもしれません。


よろしくお願いいたします。


【関連記事】





2023年11月17日金曜日

Tカード規約改定時に、なにもしなかった和歌山市

 

こんにちは、日向です。


本日は、和歌山市の担当部署とのやりとりのなかで、日本語がうまく通じなかった件について、できるだけ感情的にならないよう、事実だけを冷静に記録しておきたいと思います。


4/1から、図書館でTカード利用に関する規約が改定されていた件で、和歌山市はどのような検討をしたのかを知るために、


今年8月4日、和歌山市へ、Tカードの規約変更に関して以下のような情報開示申出を行いました。(詳しくは、Tポイントたまらないのに個人情報を搾取? 参照)







(1)2023年4月1日より改定された和歌山図書館でのTカード利用に関する規約(新規約)について、カルチュア・コンビニエンス・クラブより、改定日前に行われた情報提供及び事前通告の日時・内容・連絡手法がわかるもの(付随する電話メモ、電子メール、会議録、訪問・面談記録等も添付してください)


(2)新規約が、改定前の規約のどこがどう変更されたのかを、自ら詳細に分析・検討した結果がわかるもの→CCCから通告を受けただけで、自らは一切検討していない場合は、「不存在」を出してください


(3)新規約の内容が、市民図書館でTカードを利用している者にとって個人情報が意図せずに第三者へ渡るリスクは一切ない等として、“CCCが適切に運用している”と評価した根拠及びその評価プロセスがわかるもの


(4)新規約において“図書館からTカード番号及びID紐付登録の申込年月日”を取得するMKHDが、そのような行為を行える法的根拠がわかるもの(MKHDとの直接契約であれば、その契約までのプロセスがわかるもの、CCCからの再委託であれば、その経緯がわかるもの及びそれに関連した決裁文書)


 ちょとややこしいんですけど、要するに、CCCが勝手にTカードの規約を大幅に改定した内容について、和歌山市は、市民の大切な個人情報を守るために、ちゃんと精査して、もしリスクがあるとすれば、事前にCCCに改善を要求するなどのことを行なったのかということを知るために、関連文書を出してくださいという申出です。


表現がしつこくなっているのは、電話等で質問をしても、まったくラチがあかないといいますか、のらりくらりされて、ちゃんと答えてくれなかったためです。


これほど重要な規約改定ですから、当然、こういう検討はされましたよね、もしされていないのでしたら、何もしませんでしたということがわかる文書を出してください


という詰め方をしているので、このような、しつこい表現になっています。



この開示申出について、本日、ようやく開示文書が届きました。8/3に申出をして、3か月以上かかっているわけですが、それについては、私が手数料と郵送料の手続きを迅速にしなかったことも影響していますので、特に不満を述べるつもりはありません。


問題は、開示された資料の中身です。以下をみてください。














和歌山市民図書館の指定管理に係る基本協定書2018年3月30日




最後の基本協定書は、全21ページあるものの表紙だけ貼り付けました(全文はこちら→和歌山市民図書館の指定管理に係る基本協定書2018年3月30日)が、あとの3本の資料は、これがすべでです。


簡単にいいますと、まず1が、CCCから「Tポイントの運営会社がTポイントジャパンからHDMKに変わりますよ」という一方的な通知、そして、2は改定前の規約3枚、3は改定後の規約3枚、最後にCCCが指定管理を始めるときに交わした基本協定書が21枚


これが開示文書のすべでてす。


私の請求文と突き合わせてみましょう。


(1)2023年4月1日より改定された和歌山図書館でのTカード利用に関する規約(新規約)について、カルチュア・コンビニエンス・クラブより、改定日前に行われた情報提供及び事前通告の日時・内容・連絡手法がわかるもの(付随する電話メモ、電子メール、会議録、訪問・面談記録等も添付してください)

              ↓

CCCから「Tポイントの運営会社がTポイントジャパンからHDMKに変わりますよ」という一方的な通知



(2)新規約が、改定前の規約のどこがどう変更されたのかを、自ら詳細に分析・検討した結果がわかるもの→CCCから通告を受けただけで、自らは一切検討していない場合は、「不存在」を出してください

              ↓

            改定前の規約3枚


(3)新規約の内容が、市民図書館でTカードを利用している者にとって個人情報が意図せずに第三者へ渡るリスクは一切ない等として、“CCCが適切に運用している”と評価した根拠及びその評価プロセスがわかるもの

              ↓

            改定後の規約3枚


(4)新規約において“図書館からTカード番号及びID紐付登録の申込年月日”を取得するMKHDが、そのような行為を行える法的根拠がわかるもの(MKHDとの直接契約であれば、その契約までのプロセスがわかるもの、CCCからの再委託であれば、その経緯がわかるもの及びそれに関連した決裁文書)

              ↓

     CCCが指定管理を始めるときに交わした基本協定書



 日本語がまともに通じていないやりとりになっています。かろうじて、1のCCCからの通知だけは、4月1日の改定前に、こういう文書がCCCから送られてはていたことはわかりますが、あとは、和歌山市がCCCのTカード規約変更に関して、独自に検討したものは一切ありませんでした。


自らは一切検討していない場合は、「不存在」を出してください、


とした私の申出に関しても、完全に無視しています。




開示決定書をみてください。








CCCから提供されたペーパーと、CCCと締結した基本協定書を示して、


大丈夫です。私たちは、ちゃんと指定管理者の行為について、おかしなことをしないようにしっかりと監視して、市民の大切な個人情報を守っています


そう思う市民はいるのでしょうか? 私はいないと思います。要するに、CCCから渡されたペーパーを読みましたよというだけで協議すらしていないことが、これで明確になったと思います。



お前は、いまさらなんで、こんなことにこだわっているんだ


と思われたかもしれませんが、


やはり、心配なのが、CCCの経営危機です。


今年6月、Tポイントカードが、smbc三井住友のVカードとの統合を発表したことで、一服した感のあるCCCの経営危機ですが、その少し前までは、海外のファンドに買収されるのではないのかという、まことしやかなウワサが流れるほどでした。図書館でTカードを採用してしまったツタヤ図書館誘致自治体にとっては、もし、役所がお墨付きを与えたTカードの個人情報が、わけのわからないファンドの手に渡るようなことがあれば、いったいどうなるんだろうと不安に思いましたね。


図書館の利用と紐づいている個人情報が流出すると、貸出履歴までは記録していないにしても、とんでもないようなリストが作成されて悪用されるのではないのかなんていう不安も出てきてしまいますが、そういうことにツタヤ誘致自治体は、まるで無関心といいますか、鈍感といいますか、無責任といいますか、クライアントとして絶対的な優位にあるはずなのに、企業からただ言われるままに受け入れるしかないのは、ほんとうにおかしいと思います。


そう思って、和歌山市にTカードの規約改定についての情報開示をお願いしておりましたが、結局は、なんの成果もありませんでした。


もう少し危機感を持っていただけるようにと思って、しつこく質問や情報開示申出をしてきましたが、それもかないませんでした。これ以上は、なにもすることができません。これ以上なにか言えば、クレーマー扱いされるだけです。私の力不足を、ただ痛感するばかりです。



なお、CCCの経営危機については、7月の記事に書いた部分をまるごと引用しておきます。


2023年7月3日月曜日

宇部市が再度CCC選定!~知の基盤が破壊される自治体の危機~より


さて、そうしたなかで、3年前には、夢にも思わなかった事態を、いまCCCが迎えています。


下の表をみてください。これが最近発表されたCCC単体の決算です。TSUTAYAの大量閉店でも、いまだに売上が700億円もあってスゴイと思われるかもしれませんが、注目したいのは営業利益(本業の儲け)が13億円しかないことです。




株式会社トップカルチャー・上場の親会社等の決算に関するお知らせ

 より




少し前に、CCC本体の経営が危ないらしい、公共施設部門を除く、すべての事業が赤字らしい。単体では営業利益は二桁(10億円単位)赤字、会長の資産売却してなんとかかんとか13億を確保、TSUTAYAだけでなく、新業態のT-SITEも閑古鳥が鳴いていて、一部もうすぐ閉鎖するらしい、との情報をキャッチしていました。


こういう情報というのは、なかなか裏が取れないので、安易に書き飛ばせないのですが、今回、CCC単体の決算をみて、その情報の通りになっていて、かなり信ぴょう性が高いことがわかりました。


いまCCC運営の公共施設は9館(うち図書館は7館)あります。指定管理料は、年間で1.6億から3.5億円くらいですが、そこに付随しているスタバと蔦屋書店(丸亀と宇城は蔦屋なし)が年間1~2億円の売上があるとされていて、そちらのほうは賃料激安などかなり利益率が高いとみられていますから、少なくとも公共施設部門だけでもCCC単体の営業利益13億円くらいはあるでしょう。それを引いたら、CCC単体の事業はすべて赤字であることがわかります。つまり、CCC経営危機の情報はかなり精度が高いとみていいかと思いました。


頼みの綱だった海外部門も赤字だそうで、ここ数年は社員の賞与カット、給与も1/3の社員はカットされて、優秀な人が次々と辞めていく一方、役員層は新社長の取り巻きで固められているそうです。


最近発表された、CCCが紀伊國屋や日販との書店流通に関する新会社設立なるニュースについても、社員をリストラする金がなくて、転籍させてやめてもらう作戦ではないかと社内で噂になっているほどだそうで、これについては、社内への説明もなく、プレスリリースで知るなんてバカにしてるという声があがっているとか。



そういうことからすれば、先日発表のあった、Tポイントとsmbc(三井住友)のVポイントが統合して、Vポイントになり、Tポイントの名前が消えることになった件も、「名を捨てて実を取った」などと報じられているのは、真っ赤なウソで、もしものときの混乱が広がらないよう、Tポイントをsmbcが飲み込んだだけではないのかという見方もある程度信ぴょう性が出てきます。


来年からの図書館の指定管理者を選定している和歌山市も含めて、行政サイドは、そうした、もしもときにはどうするのかという危機管理の発想はまるでなく、どんなにボラれても賑わい創出したことにしてくれるCCCさんでなければというスタンスなのですから、これはいずれ痛い目にあうのは必至でしょう。


【11/19修正】

開示資料の画像が、改定前の規約と改定後の規約ともに、2枚目と3枚目が抜けていましたので、さきほど追加した。また開示文書の順番も間違っていましたので、その点も修正しました。たいへん失礼しました。


【11/19追記】

2023年4月1日行われた、Tカードでの和歌山市民図書館利用に関する規約の変更がどのようなものだったのかを、snsでのウォッチャーの方の指摘を基に整理しておきます。


まず、3/31時点での、"Tカードでの和歌山市民図書館利用に関する規約" はこのようになっていました。





“CCCは、本条第1項に基づき図書館から取得した個人情報を、CCCの連結対象会社もしくは持分法適用会社及びTポイントプログラム参加企業を含む第三者に対し提供することはありません”


――となっている点に注目してください。主語はCCCになっていて、CCCは、外部の企業はもちろん、身内の子会社にも、図書館から取得した個人情報を提供しませんと断言してます。


ところが、今年4月1日の改定版では、このようになっていました。




“1.MKHDは、ID紐付登録を行い、管理する目的のために、図書館からTカード番号及びID紐付登録の申込年月日のみ取得します”


 主語がいきなり、“MKHD”となっていて、これまでCCC本体が担っていた個人情報の管理主体が、子会社のMKHDに移管されていました。


あれっ、「 身内の子会社にも、図書館から取得した個人情報を提供」しないんじゃあなかったっけ? そう思いますよね。


今回の開示によって、CCCは、“2月吉日”の日付で、一方的に、こう通告していたことがわかりました。


――T会員データベースの管理・運営は、CCCからMKHDに継承させることを予定しております。





そのことについて事前に和歌山市と協議した形跡はみあたりませんでしたので、和歌山市はただこの文書を受け取って、読んだだけということになります。この文書に対して、和歌山市はCCCに「了解しましました」とか「受け取りました」とかいう返信すらしていないのかな?という指摘がsnsでありました。


もしそうだとしたら、とんでもなく無責任ですよね。



隠された問題も、まだたくさん潜んでいます。改定後の規約を以下に引用しておきます。


第3条(個人情報の取り扱い)

1.MKHDは、ID紐付登録を行い、管理する目的のために、図書館からTカード番号及びID紐付登録の申込年月日のみ取得します。

2.MKHDは、資料の貸出履歴情報等の前項に定める情報以外の情報は、図書館から取得しません

3.MKHDは、第1項に基づき図書館から取得した個人情報を、CCC及びCCCの連結対象会社もしくは持分法適用会社及びTポイントプログラム参加企業を含む第三者に対し提供することはありません。

4.ID紐付会員の個人情報は、個人情報の取扱いに関する法令、国が定める指針、その他規範を遵守し、MKHDが厳重に管理します


MKHDは、 “図書館からTカード番号及びID紐付登録の申込年月日のみ取得”となっていますが、自動貸出の利用者にポイントを付与する武雄市と高梁市では、Tポイントを付与するためには、Tカードを利用した日時・場所も当然、MKHDへ送信されることになります。


自動貸出機を利用してもTポイントがつかない和歌山市など他の自治体でも、同様に、Tカードを利用した日時・場所も、MKHDへ送信されているのでしょうか? だとしたら、“MKHDはこれ以外を取得することはできません”というのは、ウソということになってしまいます。そのへんは、自治体が詳しく検証して協議しないことには、個人情報保護の安全性は確保できないと思うのですが…。





自動貸出機の利用者には、一日3Tポイントが付与される高梁市のケース。図書館の貸出時にTポイントが付与されるために、図書館の外部である、TPJ(Tポイントジャパン)へ図書館利用の事実に関するデータ(利用日時と場所)を送信していることがわかる。このTポイントジャパンが、今回、組織編成によって“HDMK”となった
ツタヤ図書館、市が否定した利用者へのTポイント付与を実施…税金でCCCへの利益供与に該当か より





【関連記事】