2019年3月25日月曜日

“騙し広告”で39億円稼ぐ図書館運営者


こんにちは、日向です。

今朝、先日予告しました消費者庁に認定されたTSUTAYA虚偽広告に関する後編記事がリリースされました。


ツタヤTV、虚偽広告で巨額利益計上…ツタヤ図書館と共通する実態乖離のイメージ宣伝商法


今回も、前半部分では、CCCの基幹事業で起きた不祥事にスポットをあてています。

消費者庁から虚偽広告と認定されたことについては、前回の記事をご参照ください。


ツタヤ図書館、虚偽広告調査中に和歌山市が「15億円」運営委託決定か…異例の短期間で選定



とりわけ今回注目してていただきたいのが、TSUTAYAに課せられた1億円を超える課徴金額です。

似たような事例はほかにもあるのだろうかと調べてみたところ、過去2年間で1億円を超える課徴金を課せられたのは、たった2件しかありませんでした。うち一件がTSUTAYAで、最高額ももちろんTSUTAYAの1億1753万円でした。


ビジネスジャーナルの記事では、主な課徴金対象事件の一覧が、本文中に書かれていますので、改めて図版にしてみました。



これらを詳しく検証してみて、わかったのは、課徴金を課せられた対象期間の長さによる悪質性です。

2年間で16件出された課徴金納付命令のうち、違法行為が認定された期間が足掛け2年以上もの長期にわたっているのも、2件しかありませんでした。

その2件ともに、違法行為を続けていた期間が長いために、1億円を超える課徴金を課せられているわけです。

課徴金は、以下の計算式で算定されます。


違法と認定された期間中の行為による売上額×3%

消費者庁に確認したところ、この「売上額」は、違反した事業者からの自主申告だそうです。

また、その際には、再度、弁明の機会が与えられるとのことですから、このあたりの手続きで企業の法務部が異議を申し立てるなど熱心に動けば、たとえ措置命令を出されたあとでも、そこから半年くらいの時間稼ぎは、いとも簡単にできてしまいそうです。

もちろん、実際にTSUTAYAサイドがそうしたかどうかは定かではありませんけれど。

本件では、そのような手続きを経た結果、TSUTAYAが違法行為によって売り上げたのは、39億1766万円であることが判明しました。

TSUTAYAサイドとすれば、もし違法行為を犯すことで、売り上げが2倍になるのならば、バレても3%罰金払えばいいだけなので、たいした痛手ではありません。

しかし、最近出てきたベンチャーならいざしらず、業界を代表する大企業がこれだけ広範囲に、かつ2年もの長期間にわたって、利用者を意図的に欺いて違法行為を犯していたわけですから、世間の目が厳しくなるのは当然です。

まして、全国で公共図書館の運営を担っており、税金から巨額の運営費を得ている公的な立場からすれば、違法行為が認定された時点で、即刻、公務を辞すべき事件だったといえるでしょう。

ところが、TSUTAYAの本社CCCとしては幸いなことに、措置命令時には、不正によって巨額の利益を得ていた事は表沙汰にはならずに済みました。8か月後、ようやく正式に課徴金納付命令を下されたときには、世間はすっかりそんな不祥事があったことすら忘れていました。

多少、ネットなどで騒ぐ人が出てきて、くすぶりつづけるかもしれませんが、しばらく大人してしていれば、図書館運営を受託している自治体も市長が自分の政治的立場があやうくなるのを恐れて不問にしてくれることは、これまでの不祥事で体験済みです。

事実、BJが今回拙稿を出してくれなかったら、もうみなさんすっかり忘れていたのではないでしょうか。

そして、予想通り、先日、CCC広報室に私が出しました公開質問状についても無回答のままです。

CCCへの公開質問状

みなさん、こういう企業に公務を任せ続けていいのでしょうか? 記事中で紹介した図書館関係者のコメントを借りれば、「問題ない」とかばうツタヤ誘致自治体の関係者も「同じ穴のムジナなんだ」と思われることでしょう。

芸能人が違法行為を犯したら、出演作品はお蔵入りになるのに、企業が違法行為犯しても公務はなんのペナルティーもなしに継続するのは、どう考えてもおかしいと思うのですが。

なお、後半部分では、『虚像の民営化 TSUTAYA図書館』で有名な、田井 郁久雄氏に御許可を頂きまして、ツタヤ図書館のウソを一刀両断にする論証も掲載しましたので、最後までお読みいただけると、TSUTAYAアピールの実態がどれほど虚飾にまみれているのかを理解していただけるとことと思います。

よろしく御願いいたします。




消費者庁の発表資料によれば、違法行為を犯した企業には、措置命令の前後及び課徴金納付命令の前の三回にわたって、弁明の機会が与えられていることがわかる。また違法認定されても、利用者に返金措置計画を立案して実施するなどすれば、課徴金が減額されたり、納付命令が出されずに済むケースもあるようだが、TSUTAYAがこれらの認定を受けた形跡は一切みられなかった。

消費者庁『事例でわかる景品表示法』より


虚偽広告の実態 へつづく

“嘘つきTSUTAYA”を違法認定へもどる

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2019年3月17日日曜日

崩壊寸前だったCCC

こんにちは、日向です。

先日予告しておりました、「虚偽広告を認定されたTSUTAYA」についての記事がようやくリリースされました。

ツタヤ図書館、虚偽広告調査中に和歌山市が「15億円」運営委託決定か…異例の短期間で選定



すでに報じられたニュースを掘り下げただけの記事にみえるかもしれませんが、

今回の事件の裏側で、TSUTAYAの本社CCCに、存亡の危機が訪れていたことを暴露しました。

謎だったのは、今回の件で、消費者庁がTSUTAYAに課徴金の対象期間と認定した時期です。


2016年4月1日~2018年6月18日


これ、おかしくないですか?

消費者庁がかなり慎重に違法行為の事実認定を進めたとしても、丸々2016年度1年間についての違法行為を確定したうえで、2017年度の早い時期に、措置命令は出せたはずです。

この期間に何があったのか? CCCに関連したイベントを列挙しておきます。


・2017/2/4 岡山県高梁市図書館が新装開館

・2017/4/20 GUNZA SIX内に蔦屋書店オープン

・2017/11/30 新和歌山市民図書館の指定管理者にCCC選定

・2018/2/3 山口県周南市立徳山駅前図書館が開館

・2018/4/13 宮崎県延岡市駅前複合施設「エンクロス」開館


消費者庁の措置命令が出たのは、2018年5月30日でした。しかも、このときに課徴金納付命令はなく、それが正式に発表されたのは、さらに9ヵ月後の2019年2月になってからでした。

もし、この措置命令が1年早く出ていたら、どうなっていたでしょうか? 同時に課徴金納付命令も出ていたらどうなっていたでしょうか?

実際、過去の事例を調べてみますと、そういうケースは決してめずらしくありません。むしろ違法行為から、措置命令までに2年もかかるほうが異例です。


もしTSUTAYAに対する措置命令が1年早く出ていたら、

今回、記事のなかでは、和歌山市民図書館の話に限定しましたが、これらニュースの華々しい要素がすべて違法事業者の悪事発覚によって、吹っ飛んでいたかもしれません。

少なくとも、和歌山市は、違法行為を犯して1億円もの罰金を課せられた事業者を指定管理者に選定することは、現実問題として、できなかったはず。

CCCは、この存亡の危機に際して、あらん限りの政治力を駆使して消費者庁の違法認定を遅らせたのではないかと思います。そして、その工作は、見事成功しています。(“嘘つきTSUTAYA”の贈賄疑惑 でタネあかししています

その一方で、和歌山市のケースように当初の予定を大幅に早める働きかけをした形跡もみられます。

この件に関して、先日掲載しました「CCCへの公開質問状」で先方の反論を待っていますが、広報室からはメールが届いたことのご確認だけはいただきましたが、中身については、いまだになんの回答もいただけておりません。

和歌山市にいたっては、一週間以上、毎日のように電話しましたが、結局、担当者はつかまりませんでした。また、伝言も御願いしましたが、すべて無視されました。こんなに担当者に逃げ回られるのは2年前の「高梁市Tポイント騙し打ち事件」)[1] 以来のことですね。

さて、今回の記事は、前編です。来週以降、後編の掲載が予定されていますので、そちらも、お読みいただけると、さらに事件の深層がわかると思います。

よろしく御願いいたします。


“騙し広告”で39億円稼ぐ図書館運営者
へつづく

“嘘つきTSUTAYA”を違法認定へもどる

“嘘つきTSUTAYA”の贈賄疑惑でタネあかしをみる

2019年3月8日金曜日

CCCへの公開質問状

こんにちは、日向です。

先日書きました「“嘘つきTSUTAYA”を違法認定」に関連して、近くビジネスジャーナルに記事を発表することになりました。(もしかしたら、大人の事情でお蔵入りになるかもしれませんが…)

詳細はまだ明らかにできないのですが、現在、最後の詰めを行なっており、CCC広報室へも質問状を出して回答をいただけるよう御願いしているところです。

本日は、その質問状を全文公開いたします。

これを読めば、どのような記事が出るのか、だいたいおわかりいただけるのではないかと思います。

もう、完全にネタバレですね。

よろしく御願いいたします。



カルチュア・コンビニエンス・クラブ広報部 
○○○○○さま

フリージャーナリストの日向咲嗣です。
いつも、お世話になっております。

先月22日に消費者庁から昨年5月の措置命令に関して
㈱TSUTAYAに出されました
課徴金納付命令に関する取材を現在進めております。

近日中に、ビジネスジャーナルにて、これに関する記事を発表する予定です。

つきましては、お忙しいところたいへん恐縮ですが、以下の点について、ご回答いただきたく存じます。

1.消費者庁の発表をみますと、今回の件で課徴金対象期間とされたのは、2016年4月から2018年6月となっていますので、その期間中に貴社を指定管理者に選定した和歌山市に対しては、事前、あるいは事後に、消費者庁から貴社グループの基幹事業であるTSUTAYAレンタルの広告が違法認定されたことの報告は、なされましたでしょうか?

2.貴社が和歌山市民図書館の指定管理者に選定されました2017年11月30日までに、今回の虚偽広告の件で、レンタル部門が消費者庁から調査を受けたり、資料の提出を求められたり、弁明の機会を設けられたりした事実はありましたでしょうか?

3.上記の時期に、近く貴社のレンタル部門が違法認定されかねないことを危惧されて、貴社が和歌山市に働きかけて、指定管理者選考時期を本来のスケジュールよりも早めたのではないのかと指摘する人もいますが、そのような事実はあったのでしょうか?

4.上記の時期に開催された和歌山市の市民図書館の指定管理者選定委員会は、貴社のレンタル部門が重大な法律違反を犯して監督官庁に措置命令まで出され、なおかつ巨額の課徴金納付命令まで出されるに至った行為が選定前に行なわれていたことを十分に把握しないまま、貴社に高い評価をつけて指定管理者に選定したことのようですから、今回の事件が発覚したことで、貴社は、今秋開館の新市民図書館の指定管理者となることを辞退されるおつもりはないのでしょうか?

5.貴社の基幹事業でありますレンタル部門でこのような違法行為が、2年間にもわたって平然と行なわれていたと消費者庁は認定しています。そうすると、図書館運営部門でも、同様の「優良誤認」が疑われる事実に基づかない自社実績のアピール(入館者数、アンケート等の報道発表など)行為が常態化しているのではないかと指摘する人もいますが、それについては、どのようにお答えになられますか?

6.最後に、貴社運営の図書館の利用者をはじめとした関係者の方に、今回の虚偽広告の件で、なにかメッセージがありましたら、一言御願いします。

以上 


崩壊寸前だったCCC へつづく

“嘘つきTSUTAYA”を違法認定へもどる

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崩壊寸前だったCCC
“騙し広告”で39億円稼ぐ図書館運営者
虚偽広告の実態
謝罪会見すらしない非常識な企業
CCCから報告受けたのか?
違法行為をしたのは別人格?
CCCにひれ伏す役人
「不祥事に無言」は無責任の極み?
“TSUTAYA帝国”の落日
役所版『悲しきヒットマン』