2019年8月28日水曜日

9月号は「再開発の謎」

こんにちは、日向です。

本日は、このところ、たて続けて書いておりました「偽装請負」に関する話題は、いったんお休みしまして、毎月恒例のビジネスジャーナル記事の予告をしておきたいと思います。

9月号は、久しぶりに「1400枚の黒塗り情報開示」でおなじみの、南海和歌山市駅再開発の話題を取り上げます。

実は、この記事、5月23日付当ブログ「原稿を4本書きました」で予告しましたうちの1本です。

このとき、4本のうち1本が6/16にリリースされたTSUTAYAが虚偽広告で1億円の課徴金を課せられた事件に関する新ネタでした。

和歌山市再開発関連は、3本で構成する続き物ですが、諸般の事情により、一時お蔵入り扱いとなっていました。

おかげさまで、今回、ようやくその第一弾が日の目をみることになりまして、ほっとしているところです。

まだ掲載日は未定ですが、9月上旬にはリリースされると思います。

今回の内容は、スクープをねらった記事というよりも、これまでにわかった細かい情報をつなぎ合わせることによって、1400枚の黒塗り資料に象徴される南海市駅再開発のナゾに迫るというものです。

とりわけ、注目していただきたいのが、総額で94億円にものぼる公費です。

前にも書いた記憶があるのですが、図書館建設だけで30億円、再開発の総事業費が123億円という規模は、明らかにこれまでのツタヤ図書館のプロジェクトとは、一線を画しています。

和歌山市の負担分だけで、南海への補助金18億円と、図書館建設費30億円のうち15億円のトータル33億円です。

国から1.5校に1人司書を配置する地方交付税が支給されているにもかかわらず、和歌山市は、市内70校にたったの1人しか司書(非常勤)を配置していません。【1】

それくらい教育にはカネをかけない超ドケチ(失礼!)の和歌山市が、図書館のハコモノに関しては、まさに湯水のごとくお金をつぎ込んでいるんです。あきらかにバランスを欠いてますよね。

そこで、再開発の深層に迫る今回記事では、なにゆえ、和歌山市がそこまでのめりこんでいったのかを解き明かすヒントをひとつ書いています。

また、ほかのTSUTAYA誘致自治体ではみられなかった全国紙による批判報道についても少し触れています。ここから、あと2回分の記事が続く構成になっています。

残り2本も含めて、果たして完結編までこぎつけられるかどうかは、まだまだ予断を許さないところですので、みなさん、ぜひ最後までご支援いただけるようお願いいたします。


2015年秋からスタートしたビジネスジャーナルのTSUTAYA図書館追及特集も丸4年になり、そろそろ潮時を迎えているように思います。

とか言ったとたんに、また新たな問題が噴出してくるのがCCCという会社の凄いところなので、そういいつつ、ダラダラつづけるかもしれませんが。

とにかく、和歌山市の再開発については、あと一息で完結する予定です。

というわけで、今後とも、よろしくお願いいたします。

【1】人からコンクリートへ 「学校図書館司書 和歌山県内の配置状況」より


8/31追記
おかげさまで、さきほど、記事がリリースされました。

2019.08.31

和歌山市、「94億円税金投入」ツタヤ図書館含む再開発に疑惑浮上…地元企業が次々廃業の恐れ


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2019年8月24日土曜日

『偽装請負』を読む(3)~「人間尊重主義」という欺瞞~

こんにちは、日向です。

CCCが和歌山市の学校図書館の運営を受託しようとしていることに関連して、学校図書館で多発している偽装請負という違法行為についてのテキストをご紹介しています。

今回は、先日の 

『偽装請負』を読む(2)~国会での集中砲火~

のつづきです。


2006年7月31日から偽装請負追及キャンペーンを始めた朝日新聞の第一弾の記事





2006年に発覚したキヤノンの偽装請負の概要をまとめますと、以下のような経緯でした。

・労災事故が他業種に比して多く、雇用責任が曖昧になりがちな製造業では、長年、労働者派遣は認められていなかったが、2004年3月に産業界の要望によってそれが解禁された。

・キヤノンでは、それ以前から実質的に労働者派遣業と同じ、自社の指揮命令下で請負業者の社員を働かせる「偽装請負」が行われていた。

・キヤノン大分では、2005年に違法な偽装請負が行われていたと、地元労働局から再三、文書による指導を受けていた。2006年になっても、同じ製造ラインに派遣と請負が混在するなど、違法状態は改善されていなかった。

・2004年から、製造業に労働者派遣事業が解禁となり、キヤノンでも、請負会社のスタッフとして受け入れるのではなく、正式に許可された派遣会社から派遣社員を受け入れる形式が一部取り入れられた。

・当時の派遣法では、1年を超えて派遣スタッフを受け入れる場合は、自社の社員として直接雇用することが義務付けられていたが、キヤノンはそれを避けるために、同じスタッフに対して派遣契約1年満了と同時に、請負契約に切り替えるという脱法的行為を行っていた。

・2006年に、そうした不都合を解消するために、派遣期間を最長3年まで伸ばす法改正が行われた。

・2006年7月以降、朝日新聞が展開した偽装請負追及キャンペーンによって、自社の実態が暴かれて厳しい非難を浴びたキヤノンは、2万人の派遣・請負社員のうち数百人を直接雇用すると発表した。

・ところがふたをあけてみると、グループ全体で直接雇用した430人のうち300人は、正社員ではなく、繁忙期のみ臨時的に働く期間工だった。また、その大部分は、労働局から事業停止処分を受けた請負会社が担当していた部分で、これまた期限付の採用だった。それを差し引くと結果的に、正社員登用したのは数十人だった。

こした同社の悪質な所業が次々と明るみに出るなかで、前回紹介したような、国会での集中砲火につながったわけです。


ここで、非常に興味深いのが、同書の「第1章・キャノン「偽装請負」工場」の末尾で、これまで、終身雇用や社員を大事にする人間尊重主義を掲げてきた同社・御手洗会長の欺瞞を意地悪く指摘している点です。以下に、同書で取り上げられている御手洗会長の発言を引用しておきましょう。



企業は社会の公器であり、その国においてその企業が果たす役割があります。流動性の国であるアメリカと違い、人口過密の日本にある企業としては、社会的な役割の一つは、雇用の確保だと思います」(01年5月2日号『週刊東洋経済』) 


「終身雇用の問題にしても、日本で現在のような大不況下に社員をリストラして放り出してどうするのだと言いたいです。私は企業には社会的責任があると思う。当社にしても人類との共生が企業の理念です。人類との共生というのは、人を大事にしろということでしょう。今、企業が果たすべき社会的責任は雇用です」(02年3月26日号『財界』) 


「キャノンは、終身雇用という人事制度をとっている。それは終身雇用という制度が日本の文化や伝統に根ざしたものであり、日本人の特性を引き出すのにもっとも適したシステムだからである」(02年7月5日、『大逆転 新しい日本モデルの挑戦』)


御手洗によると、キヤノンは社員全員に「コンプライアンス・カード」という名刺大のカードの所持を義務づけている。表には「法律やルールを理解し、これらを遵守します。公正かつ誠実で、倫理的な行動をとります」という宣言があり、裏には、社員に行動を省みてもらうため、六つの問いかけが記載されている。


 「法律・ルールに触れませんか?」 

「うしろめたさを感じませんか?」 

「家族や大切な人を悲しませることになりませんか?」 

「報道されても胸をはっていられますか?」 

「社会に迷惑をかけませんか?」 

「キヤノンブランドを傷つけませんか?」


社内外で「終身雇用」や「人間尊重主義」を説くことと、請負労働者を出来高払いで「採用」し、非正規労働者を使い捨てを前提に「雇う」ことは、矛盾しないのだろうか。コンプライアンスの重視を呼びかけることと、労働者派遣法違反は、矛盾しないのだろうか。御手洗が登場した雑誌記事や書籍を読んで、そんな疑問がわいてきた。

(中略)


記者会見の終盤、朝日新聞の特別報道チームの記者が御手洗に疑問をぶつけた。 


「会長は常日頃から、人材の流動性の低い日本では終身雇用の維持がとても大切であると述べておられます。一方で、先週、キヤノンで働いている非正規雇用の従業員が国会に出て公述しました。現にキヤノンは多くの非正規雇用の労働者を働かせています。そのことに矛盾はありませんか」

御手洗は、笑みを絶やさず、答えた。


「全然、矛盾はないと思っておりますけれども。

というのは、うちの社員じゃありませんからね


『偽装請負―格差社会の労働現場』 (朝日新書) 第1章 キャノン「偽装請負」工場 より

ちにみに、

ブラック企業の経営者が労働組合との団体交渉の席で、自ら解雇した社員に対して、よくこういうセリフを放つそうです。

「もう、うちの社員じゃありませんからね


『偽装請負を読む』(4)~傷ついた松下ブランド~ へつづく


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