2019年7月28日日曜日

“儲かる始末書”オンパレード



さきほど、リリースしました『都立高校・不配置事件』では、サービスエース1社の不祥事みたいに取り上げてしまいました。

もちろん、2015年当時に受託していた他の企業でも、同様の問題を起こして、始末書を都に提出しています。


私が入手しましたその始末書の一部を以下に公開しておきます。


これらは、いずれも、サービスエースの未配置と、労働局による偽装請負の是正指導が入った翌年の2016年度のものなんです。


あれだけ都が注意して指導したにもかかわらず、未配置の問題は、翌年もまったく改善されていなかったというわけです。




クリーン工房さんは、土曜日が未配置だったんですね。〈今後の対応〉にある最初の「■が勤務いたします」は、業務責任者がカバーするのでしょうか?、それともスタッフの一人が土曜も出勤するのでしょうか。後の「現在13時~勤務しております■が勤務致します」のほうは、平日午後の勤務のスタッフが対応するということですね。「二度と同様の事例を起こすことなく」は、それにしても、バカ丁寧ですね。何度も不祥事を繰り返している他社は、そんなことは口が裂けても言いいません。


この会社は、未配置の常習犯のようですね。下の表をみますと、夜間は、11日も開館できなかったようです。おそらく有資格者を採用できなかったのでしょう。もともと専門のスタッフがいないんでしたら最初から、落札なんかしたらいけませんよね。





2016年度から参入したばかりの“新顔”のようですね。9校受託で4300万円ですから、ダンピング価格で落としたはいいものの、人を採用できなかったということでしょうか。でも、この後メキメキと頭角を現している注目の企業です。
















あれっ、またケー・デー・シーさんですね。お疲れさまです。今度は三校ですか。未配置となったのは、やはり夜間が多いようですが、昼間も、やらかしてますね。クリーン工房さんみたいに「今後は二度とこのようなことは致しません」とは書いてませんので、何度やらかしても大丈夫なようなシンプルな文体になっているのが印象的です。







委託事業者がやらかした不祥事を、担当部署がリアルタイムで把握していて、改善するようちゃんと動いていたことがわかる資料を東京都が開示しているのは、さすがです。ツタヤ図書館誘致自治体のケースでは、いつも中で何が起きたのか、みてみぬふりをするところばかりですので、もし同様の問題が起きたら、その顛末は「闇に葬られる」おそれもおおいにあるのではないかと思いました。


いまさら人に聞けない 「偽装請負」って何? につづく
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都立高校・未配置事件

こんにちは、日向です。

本日は、先日の 激烈なダンピング屋 に続いて

都立高校の偽装請負事件の続報を書いておきたいと思います。

東京都は2011年度から、都立高校における学校図書館運営の「業務委託」を進めてきました。

業務委託=専門の事業者に管理・運営を任せたわけですから、

直接雇用で非常勤のスタッフを採用するより多少費用はかさんだとしても、自分たちが苦労して人を採用しなくてもいい。

ノウハウを持った専門事業者に任せることで、経験豊富なスタッフを派遣してもらえて、しっかりした運営ができるはずと期待したはずです。本音は違うかもしれませんが、少なくとも建前としてはそうでした。

ところが、現実は、そうはなりませんでした。

下の書類をみてください。先日も一部公開しました2015年度がスタートしたばかりの時期に発覚した人員不配置に関する担当部署による報告書です。






サービスエースという事業者が受託している3つの高校で、仕様書に定められた通りのことができなかった、つまり契約違反ですね、について詳しい経緯が書かれています。

3校のうち2校については、4月の数日について「お昼休み開始時間~17時」と、本来複数配置とされているところが、スタッフひとりしか配置できなかったという、まぁ、見方によっては「些細な違反」なんですが、

ところが、うち一校については、「一発アウト」と言ってもいいほど重大な違反でした。なにしろ4、5、6の3か月のほとんどの日で仕様書で定められた配置できていなかったのですから。

この「未配置」は、サービスエース一社に限ったことではありませんでした。他の事業者でも、同様の契約違反があったことが判明しています。



仕様書では、スタッフの人数は規定されていないものの、昼間の時間帯については「複数配置」と定められていた



受託した事業者は、いずれも図書館運営の専門企業ではありませんでした。

サービスエースは、ビル管理や清掃を基幹事業としている企業です。

前年の14年度から、今後、拡大が見込まれる都立高校の図書館委託業務に参入。初年度は、マンパワーなどライバルを制して6校受託に成功。翌年15年には19校(全体80校)受託に成功して、急拡大路線を突っ走っているところでした。

その他、受託している事業者の顔ぶれをみますと、

ビル管理・清掃業では、エースシステム、光管財、クリーン工房、官公庁向け人材派遣のケー・デー・シー

といった、いずれも異業種からの参入組です。

この頃はまだ、単年度の電子入札方式で、価格だけで落札者が決まるという熾烈なダンピング競争が繰り広げられていた時期でした。(総合評価方式で複数年契約になるのは17年度から)

図書館運営経験や過去の実績・ノウハウが考慮されることは一切ありませんでしてので、ある意味当然の帰結でしょう。




有資格者を一週間で集めて配置



事業者側からしたら、気の毒な面もあります。


3月に落札(9-10校単位を一括管理)した事業者は、すぐに募集をかけて4月から配置できるスタッフを確保しないといけません。なかなかタイヘンです。

公務の非正規で転職する人は、だいたい3月上旬くらいまでには次の職場が決まっているものです。

3月下旬に募集し始めてすぐにきてくれる人材なんて、そういるものではありません

それでも、条件が良かったら、また話は別ですが、
翌年からどうなるかわからない単年度契約で、給与は最低賃金プラスアルファ、それでいて、司書もしくは司書補資格が必須というんですから、“ミッション・インポッシブル”に近い業務だったはず。


仕様書では、従事者全員が「司書または司書補の資格を有する者」と定められていた



異業種から乗り出してくる事業者としても、仕事さえ取れれば、あとは、多少不備があったとしてもなんとでもなるという気持ちなのかもしれません。あまり深刻に考えていたら、とてもできない仕事であることは確かです。










そんなわけで、もし、この後に発覚した偽装請負事件がなければ、なあなあでことが進んでいたはずです。始末書なんか何枚出したって、利益が減るわけじゃあないんですから。

しかし、問題はここから。

関係者によれば、約束通り配置できなかった日については、委託費がを減額されなければならないはずなのに、当時、そのような措置は一切取られなかったそうです。

つまり、契約通り人を配置できなかった分は、人件費かかりませんので、事業者の丸儲けです。
(契約不履行分が返金されるようになったのは、17年度以降)。契約違反を犯すことによって、利益は増えるわけです。【1】


前に「激烈なピンハネ屋」としたタイトルの記事を出した後に「激烈なダンピング屋」との記事を出しまして、「どっちやねん、ダンピングしたらピンハネできんやろが」と思われた方もいたと思うのですが、激烈にダンピングしても、激烈にピンハネができるカラクリがここにありました。

約束通りスタッフを採用できなければ、少ないスタッフでやればいいんです。


単年度契約の、電子入札(完全にオープンではなく指名競争)ですから、翌年度以降も、ほぼ入札価格だけで決まります。


もともと人の採用が困難なうえに、不祥事起こしても罰則なしなのが実態でした。

なので、都が何度注意しても、同じことが繰り返されるのも無理もありません。


他の受託企業でも、4月から仕様書通り「複数配置」ができずに、始末書を提出していましたので、この会社だけの問題ではありませんでした。

ただこの報告書を詳しく読みますと、そういう小難しさとはまた違った、図書館管理業務をまじめにやろうとすればするほど、偽装請負に陥りやすいという問題を見事に浮き彫りにしているんです。長くなりましたので、その点は、また別のエントリーで詳しく書くことにします。

【1】派遣した労働者の人数の頭数によって、委託費を決めることは、完成品を納入する業務請負ではできない。複数配置の未達成による委託費の減額は、偽装派遣を追認することになるためできない。減額するのであれば、別に契約不履行となった場合の賠償金を定めておかねないといけない。

“儲かる始末書”オンパレード につづく

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