こんにちは、日向です。
先日、香川県丸市議会市で2019年12月19日に開催された全員協議会の様子をお伝えしました。
丸亀市と同じような市民活動センターを宮崎県延岡市で運営しているCCC社員の中林奨エンクロス館長が、市議会議員全員を前にプレゼンテーションしたときの模様です。
翌年3月に丸亀市は、市民活動センターの指定管理者を広く公募して、応募のあったCCCを選定するわけですので、公平公正な事業者の選定の観点からすれば、公募前に一社だけプレゼンというのは、完全なフライイングといってもいいかと思います。
すでに開業準備の支援業務をCCCは激安で受託して、市内で開業に向けたアンケートやワークショップを開催していましたので、その時点で、ほぼ出来レースといいますか、丸亀市はCCCを特別待遇していることは誰の眼にも明らかなのですが、
さすがに議会にまで事業者を呼んで、議員全員の前でプレゼンーテションさせるに至っては、いくらなんでもやりすぎといいますか、あからさな癒着といいますか、いったい誰がどうして、一般公募前にこんな不公正なことを仕掛けたのかが、とっても気になるところです。
そんなことも含めて、先日、公開しました議事録の中身を少し解説していきたいと思います。
まず最初に注目したいのは、記事進行をしている公明党の内田俊英議長の冒頭での発言です。以下の赤字部分をみてください。
CCC推しだった国方功夫市議が内田議長ほか2名を誘って、昨年11月にCCCが延岡市で運営しているエンクロスへ視察に誘っていました。このプレゼンも、市民活動センターについて話し合う特別委員会の委員長をつとめる国方氏の働きかけによって開催されたと言われています。
国方氏は、BJ記事の後編でも詳しく取り上げたように、今年2月に副市長からパワハラをされたと告発された人物で、市長よりも権力を握っているとも囁かれる「市議会のドン」と目される人物です。
丸亀市の“ツタヤ公民館”、有力議員の意向でCCC誘致か…パワハラ騒動も勃発した議会
丸亀市の仕事をしたい民間事業者とすれば、この人物と昵懇になっておけば、圧倒的に市の仕事を受託しやすくなるのは、確かだろうと思います。
で、CCCがどうやって国方氏に近づいたのか、あるいは国方氏のほうが一方的にCCCを気に入ったのかは定かではありませんが、周辺から聞こえてくる話によれば、「内田・国方コンビがこの話を主導した」ということまでは、どうやら確かなようです。
まぁ、そこらへんの動機については裏が取れないので、これ以上はやめておきますが、問題は、最高の舞台を特別待遇で与えてもらったCCCの中林さんです。
一通り、自社紹介をした後、いきなり、こんな発言をしています。
「建築家の方にお願いしてつくっていただきました」
とは、なんなんでしょうか?
まるでCCCが延岡市エンクロスを企画して、自社が巨費をかけて建築したかのような言い方になっているのは、延岡市民からしたら、とんでもない話で、怒り心頭に達するような話ではないでしょうか。
CCCは、単に管理運営を担当する事業者に市から指定されたというだけで、もちろんエンクロスをカネを出して建てた施主ではありません。
延岡市の駅前再開発は、市民が参画する協働プロジェクトとしてスタートして、何年もの時間をかけて市民活動センターとして結実。たまたまその管理運営を当時の市長が主導してCCCに任せたというだけのこと。
なのに、あたかも自社が施主のようにふるまうのは、傲慢といいますか、延岡市民の施設というよりも、やはり「TSUTAYA公民館」としての自社のノウハウをアピールしたいのでしょうか。
で、中林さんがなかなかうまいなぁと思うのがプレゼンに、数字を巧妙に入れてくるところです。
「1年間で120万人」「年間800回」「1年間1.4万人参加」「人口の10%」「1年間165団体の方に御登録」と、矢継ぎ早に数字を入れ込んだ実績をアピールしていて、このへんで聴衆は、なんかCCCって、凄いノウハウのある会社なんだって思わせる雰囲気を醸し出しています。
しかし、たいへん失礼な言い方をして恐縮ですが、どれも客観的にとらえると「それ本当なの?」ということばかりなんですね。第一、エンクロスの来館者が年間120万人ということからして、地元の人からは、こんな声が上がっているんです。
「エンクロスは、年間120万人来館していると派手に報道されていますが、地元市民でそれを真に受けている人はあまりいませんよ。館内8カ所にカメラが設置されていて、それでカウントしているらしいのですが、同じ人がカメラの前を通るたびに何度もカウントされていたら、どうやって実人数を把握するんですかね。エンクロスは駅前にありますが、普段は高校生が集っているだけでガラガラ。1日平均4000人来ていることになっていますが、それはありえないです」(延岡市民)
丸亀市の“ツタヤ公民館”、有力議員の意向でCCC誘致か…パワハラ騒動も勃発した議会
また、CCCのノウハウについても延岡市民は、こう話しています。
「エンクロスは、人件費から試算して、1億3000万円も指定管理料をCCCに払ってるんですが、あの程度なら、やろうと思えば直営でも十分できますよ。イベントは市民が主導して開催しているんです。なんで一億3000万円も出してるんですかね。CCCの中間支援のノウハウあるなんてとても思えないです」
これは、CCCのツタヤ図書館をウォッチしている人なら、誰もが感じることで、他の自治体からの視察において説明するときでも、平気で事実と異なる説明をCCCも自治体関係者もします。
ウソでもなんでも言ったもんがちなんでしょうか?
たとえば、思いつくままあげてみますと、以下のような感じです。
武雄市図書館は年間100万人が来館→当時、100万人に達した年度はなかった
CCCの指定管理にして運営費削減→歴史資料館・蘭学館の分を考慮したら、運営費はCCC指定管理になってからむしろ大きく増えていた(海老名と多賀城は、CCC指定管理化で運営費はほぼ倍増)
独自分類によって本を探しやすくした→開館当初、どこになにがあるのかわからず大混乱に陥った
市民の8割が満足→来館者限定調査で、CCCスタッフが好意的回答してくれそうな利用者に面談調査した結果だった
なので、中林さんの発言もちゃんとそのデータの根拠を丁寧に示していただかないと、「本当にそうなの?」と思ってしまいますね。
さて、この後は、交流活動センターが建設されることを知っている市民は6割しかいないとか、市民は束縛を嫌うだとか、ゆったり時間がすごせる居心地のいい空間だったらいいとか、やや退屈な話が続くんですが、このあたりにCCCにとっての、バカのひとつ覚え、じゃあなかった、とっても大事な施設運営のコンセプトみたいなことが語られているんですね。
「一部の人しか利用しない公共施設~」の部分は、CCCが図書館をTSUTAYA化するときに、さかんにつかったレトリックのひとつです。
2016年にオープンした宮城県多賀城市では、「一割の市民しか利用しない古臭い図書館を5割の人に利用してもらう」と豪語してました。
多くの人は新しくできた施設を物見遊山で見にきた、あるいは、スタバでコーヒー飲みながら雑誌や本を座り読みした程度で、図書館としての機能を示す貸出数とか貸出冊数については、それほど増えてないという傾向が専門家から指摘されています。
しかも大風呂敷広げた市民利用率の5割は達成不可能で、2割もいかなかったのが実情でした。
施設が新しくなって、話題になっていれば誰もが一度は見にきますよねということにすぎず、なにかそれによって、新しい価値が生まれたわけではありませんでした。図書館風のオシャレな商業施設ができたということで、多少賑わい創出には貢献したのかもしれませんが。
そして、もうひとつの着目点が、以下の点です。
「そこから他者の活動を見せたり、参加しやすい活動を配置することによって、市民活動へ参加いただいたり、地域課題に興味を持っていただいたり、こういうステップを描けないかと思っております」
この考え方は、CCCが2013年から指定管理者になった武雄市の元祖ツタヤ図書館のときからアピールしていることで、ウォッチャーの方の間では、「本物三角形」のキーワードで知られているものです。
平成 26 年度 指定管理者実務研究会 報告書 指定管理者制度による新たな事業価値の創造 より
丸亀市では、公明党の内田議長が、ブログで書くほど、この考え方をいたってお気にいりのようですが、
この三角形の頂点にある「本物」になるためには、「知識レベル向上」「生活レベル向上」という目標が掲げられており、「学びの実行」「市民活動の実行」によってそこに到達するわけなんです。
そのためには「本物の活動を見せる」ということが大事らしいんです。
ピラミッド最下層には「人のふりみてわがふり直せ」というキーワードがかかれており、ちょっと、それは、いくらなんでも、意味が違うんではないかと思わなくもないんですが、それはおいといても、かなりお仕着せがましい印象です。
要するに、本物の活動をみせられば、バカな市民たちもそれをみて
「よし、自分もやるぞ」
となって、市民活動に励む人が増えていくという、常に上から目線のCCCらしいストーリーです。
本物ってなんなのよ?とか、利用者の成長ってどういうこと?それを見識のない企業に言われるなんて…と反感を覚える市民もいるでしょう。
これでは、まるで新興宗教の勧誘みたいな話になってしまい、常にプレーンな立場であるべきの行政からすれば、こんな善導的な言い回しは、かなり違和感のある提案だと思います。長くりましたので、このつづきはまた次回にしたいと思います。
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