先日、ビジネスジャーナルでリリースされました丸亀市の記事
CCC、公共施設運営を受託する“巧妙すぎる”手口…丸亀市の管理受託の不可解な経緯
を書くにあたっては、関係者へ取材するとともに、
CCCが指定管理者に選定されるまでのプロセス関する資料を丸亀市に開示請求しておりました。
おかげさまで、丸亀市の担当者の方には、とても親切かつ迅速に対応していただきましたうえ、
和歌山市等と比べましても、“のり弁”(開示資料の黒塗り)は、かなり少なかったので、より詳細な経緯を把握することができました。
改めて、御礼申し上げます。
さて、開示資料は例によって膨大になるのですが、その一部を順次、当ブログにて公開していきたいと思います。
まず第一弾の本日は、CCCが今年3月に丸亀市に提出したプロポーザルのなかから、CCCの公共施設受託実績の部分のみ抽出して掲載しておきます。
これは事実とは異なるのではないのか、不適切な記載ではないのか、なんて部分がありましたら、みなさんどんどんご指摘ください。
私も随時、キャプションを追加していきたいと思います。
よろしくお願いいたします。
図書館名は「1. 九州地区 A市図書館・歴史資料館」となっていますが、元祖ツタヤ図書館の武雄市図書館・歴史資料館のことのようです。
来館者数だけみますと「凄い!」ということになるんでしょうけれど、メディアで取り上げられて話題になったため、観光客が数多く押し寄せた結果が初年度92万人。それが2016年度には68.8万人に減っているんですね。
2018年度に107万人と過去最高を記録したものの、うち28万人は、2017年に増設した「こども図書館」の来館者であり、本館とのダブルカウウントも指摘されていたことを考慮すれば、実数は半数以下かもしれません。派手なアドバルーンあげたのは開館直後だけで、あとは「ジリ貧だった」というのが実態ではないかと思います。
丸亀市への提出資料では、来館者数が増えても、貸出冊数は「1.3倍」と微増。他のデータをみると、「図書貸出数」「貸出利用者数」ともの減少の一途をたどっていることは、ここには記載されていません。
佐賀新聞によれば、図書貸出数は、2013年の545,324から2019年402,702へ、貸出利用者数も2013年の167,899から2019年は139,358へと、どちらも大きく減らしています。
不祥事としては、なんといっても世間を震撼とさせた2015年9月の「クズ本事件」。自社傘下のネット通販の古書店から『埼玉ラーメンマップ』や『ウインドウズ98入門書』など、ほとんど価値のない古本を大量に仕入れていたことが、市民の情報開示請求によって発覚。結果、住民訴訟を2件提起される騒動にまで発展しました。
追記 「本の面白さを伝えるという弊社の原点に立ち返り、探しやすさ、読む楽しさを官民連携で 徹底的に追求したことが評価され、2013年にグッドデザイン賞「金賞」を受賞」とありますが、この件については、重大な不正疑惑がありました。ご関心のある方はツイッターで「CCC グッドデザイン賞」を検索してみてください。
海馬への境界線 https://todotan.com/blog/?p=6817 にも詳しい経緯が書かれています。
「2. 関東地区 B市立中央図書館・C図書館」とは、
海老名市立中央図書館と分館の有馬図書館のようです。TRC図書館流通センターとのJV(共同事業体)での受託で、中央をCCCが、有馬をTRCがそれぞれ担当しています。
海老名のツタヤ図書館も、あれだけメディアに頻繁に取り上げられて話題になったのにもかかわらず、入館者数はCCC受託前に比べて1.7倍止まり。こちらは、市民から入館者カウント装置の不具合を指摘されていましたので、その数字そのものにも疑問符がつきます。
CCCによる図書館運営の酷さについては、以下の記事にも書きました通りで、とてもここに書ききれません。海老名でも、市民から住民訴訟が提起されています。
ツタヤ図書館不祥事一覧表・海老名だけ
追記 「初年度の来館者数の目標が100万人であり、未達だったことは未記載。「図書スペース」の写真は撮影されている2階の高い棚はダミーで、吹き抜けの3階部分は書庫」とのご指摘がありました。
なんといっても入館者数がCCC受託前と比べて15.3倍というんですから、これはハンパない飛躍ですね。多少の批判など吹き飛ばすだけの勢いがある、といいたいところですが、
ツタヤ図書館としては、初めての新築の建物で(それまでは改装)あり、なおかつ駅前への移転ということで、他の図書館と比べて圧倒的なアドバンテージを手に入れました。
それは、中心市街地再開発に関連した国の補助金獲得と、電車の乗降客をそのまま入館者数にカウントできることです。これ以降、直近の和歌山市までは、補助金を獲得して駅前に図書館を移転するというウルトラCを使えるようになり、“ツタヤ図書館バブル“が始まります。
多賀城駅は、もともと一日の乗降客数が7000人、年間にすると200万人以上ありますので、その客を図書館ビルに呼び込むだけで、入館者年間100万人は容易にクリアできる計算です。真新しい駅前ビルに、それだけ人を集めながらも、貸出冊数は3.5倍ですから、ただ図書館風商業施設にコーヒー飲みに来ただけの人が多かったのではないでしょうか。
新築・駅前移転は、実態を何倍にも大きくみせるバブル効果をもたらすことが多賀城では、見事に証明されました。
大きな不祥事としては、2018年の「弁償本ネコババ事件」(監査請求が認められCCCへ返還命令)と「館長長期不在による指定管理料返還請求」(監査請求却下)がありました。
開館当初に古本を入れていたことや、新刊についてのさまざまな疑惑については、以下の記事で取り上げました。
ツタヤ図書館は死んだに等しい
謎のISBNその(1)
追記 「市内小学校及び中学校への学校司書派遣等、新たな図書館サー ビスを積極的に導入」とありますが、多賀城市がCCCに委託して行っている学校司書の派遣は、違法な偽装請負の疑いがあることを以下の記事で指摘しています。
自ら違法行為を暴露
追記 「2つの分室(山王分館と大代分館)は無視された模様。駅と一体にはなっていません。移動図書館を云々していますが、海老名では廃止しています」とのご指摘をいただきました。
「4.中国地区 E市図書館」とは、岡山県高梁市図書館のことです。こちらも多賀城と同じく、駅前(備中高梁駅)へ新築移転した“バブル型”です。
そのため、移転後の入館者数26.8倍と、びっくりするような数字ですが、備中高梁駅における2017年の平均乗車人員数が1900人程度ですから、駅利用者を取り込めばそれだけで年間70万人近い入館者を達成できるカラクリ。
ウワサでは、市の職員は、駅を挟んで庁舎の反対側にある駐車場を行き来するたびに、図書館入館者数にカウントされる場所を通るのが暗黙の了解らしいので、役所総出で“入館者数偽装”に協力しているようです。
それでいて、貸出数は3.1倍なんですから、確かに人は集まるようにはなりましたが、図書館の利用者は、CCCが自慢するほど増えていません。
CCCは、ここで始めた観光案内所をアピールしていますが、地元の人によれば「物販は充実しているが、案内が酷い」とのことでCCCのスタッフが「頼久寺(らいきゅうじ)をヨリヒサデラと案内する」と嘆いておられました。
不祥事としては、2017年2月の開館直後、当局が「実施しない」と約束していた自動貸出機利用時のTポイント付与がされていたことが発覚して、議会で大問題になったものの、そのままTポイント付与は継続された。この件は、「高梁市Tポイント騙し討ち事件」(※1)として、当ブログでも何度か取り上げています。
追記 「バスターミナルや地元飲食店はCCCには関係ありません。移動図書館は成羽(直営)での運行が廃されて一概に拡充とはいえず、アピールした物販も被災後はありません」とのご指摘をいただきました。
F市賑わい交流施設及び市立駅前図書館とは、周南市立徳山駅前図書館のことです。他のツタヤ図書館のように、すでにある市立図書館を駅前に移転したわけではありません。800メートル先にある中央図書館は移転せずにそのままで、駅前にCCCが自由に運営できるまったく新しい図書館を建設したのが最大の特徴です。
「駅周辺の中心市街地の賑わいと交流の創出、活性化を目的として設置」とあるように、図書館機能の充実よりも「賑わい創出」を目的とした施設なんですが、
武雄市や海老名市での図書館機能を軽視したかのようなCCCの運営が批判を浴びたタイミングで、市民の激しい反対運動が起きたことでも有名。2016年には、ツタヤ図書館建設中止に8739名もの署名が集まりましたが、結局、市議会では住民投票条例案を否決してしまいました。
「初年度の来館者数は180万人」は、多賀城から始まった駅前新築バブル型の成果です。徳山駅の平均乗車人員数は、一日7000人もありますから、自治体に巨額の費用負担をさせながら空間デザインをすべてに優先するCCCにとっては、普通に達成できる数字でしょう。
不祥事としては、2018年2月の開館1年前、「中身カラのダミー本に152万円」「高層書架に装飾の洋書を固定するために1000万円」という内装の計画が批判を浴びて中止に追い込まれたりもしました。そんな履歴を打ち消すためなのでしょうか、「80.2%の方は駅前に賑わいができたと評価」と手前味噌を書いていますが、この調査結果は、CCC自らが行った利用者アンケートなので著しく信頼性に欠けます。他館では、好意的な回答をしてくれそうな利用者ばかりに聞いているのではないのかとの批判が絶えないからです。
また、図書館入口のサインが正式名「周南市立徳山駅前図書館」から「徳山」を省略して設置されたのを議会で問題視されましたが、工期と費用の面で改修はせず、市長が謝罪に追い込まれた事件も話題を呼びました。
年間180万人もの来館者がありながら、本を借りる人は、16万人と、10人に1人もいません。この数字が図書館とは名ばかりの施設であることをよく表しています。
追記 「F市賑わい交流施設及び市立駅前図書館」は、「F市立G駅前図書館」(施設も同様)とすべきでは?、また「多目的室を2つとしていますが、交流室は3つ」「不思議なのは来館者数。周南市は200万、『公立図書館と都市経営の現在』では186万、丸亀市には180万及び1,886,476の謎」とのご指摘をいただきました。
「6. 九州地区 G市駅前複合施設」とは、宮崎県・延岡市で2018年4月にオープンした複合施設・エンクロスのことです。
最大の特徴は図書館ではなく「賑わい創出を目的」とした市民活動センターであることですが、スターバックスがあって、蔦屋書店があって、無料で本を閲覧してくつろげるスペースがある点では、他のツタヤ図書館となんら変わりがありません。図書を借りることができないだけです。
おかげでCCCは、これまでさんざんされてきた図書館機能についての批判を受けることなく、「賑わい創出」に専念できるわけですが、もともと延岡市では、長年かけて地元市民が積み上げてきた駅前活性化構想が進行中だったのに、CCCがそのなかに突然割り込む格好になりました。そのせいか、市民活動が活性化された成果をCCCが「あたかも自らの手柄のようにアピールしている」「CCCに中間支援のノウハウなんかあるのか?」との批判が絶えません。
また、2018年の開館直前になるまで指定管理料がいくらなのかすら市民には知らされませんでした。推進派市長を僅差で破って当選した新市長が、1億3500万円もかかる指定管理料を検証するまででオープン延期を表明しましたが、市議会の主流派がそれに猛反発。CCCも、もし開館延期となったら人件費を請求すると、大企業らしからぬ恫喝まがいの表明をしましたが、結局予定通りオープンとなりました。
初年度は年間128万人もの入館者を集めまたとされていますが、これも他のバブル型と同じく駅利用者(延岡駅の1日平均乗車人員は約1200名)の通過をカウントするため、実際の利用者よりも過大な集計になっているとの批判が絶えません。
このへんになると、ほとんど情報がありません。2014年に福岡市が打ち出した創業拠点としてのスタートアップカフェ事業をCCCが受託したという報道はありましたが、CCCが行っているとされる創業支援ノウハウについて外からの評価をみません。結局、ツタヤ図書館と同じく、自治体が用意したスペースに、カフェと書店を出店して商売しているという印象以上のものがみえてきません。
社内外において優れた企画提案をした個人や事業者と提携するT-VENTURE PROGRAMを2015年から実施しているのは、最近知りましたが、そこから優れたベンチャー企業を輩出しているというようなニュースも寡聞にして聞こえてきません。CCCは「企画会社」と称しているワリには、これは素晴らしい企画だと感じたビジネスにも、まだ出会ったことがありません。
下段の「関西地区I大学」とは関西大学のこと。大阪市北区鶴野町に新設された梅田キャンパス内に、大学施設内としての出店は全国初となる「TSUTAYA BOOK STORE」を出店したのは事実ですが、そこで運営しているとされる「スタートアップカフェ」をアピールしているのはどうしてでしょうか?
「(グループ会社)」とあるように、CCC本体の事業ではなく、あくまで子会社であるTSUTAYA(現・蔦屋書店)としての事業なのですが、グループ企業の実績も入れていいのだとしたら、昨年2月に消費者庁から景品表示法違反を認定されて1億円の課徴金納付命令を課せられたのもTSUTAYAですから、CCCは、その不祥事の責任も取らないといけなくなりますが、それでいいんでしょうか?
代官山蔦屋書店の広告コピーのような文面が最後につけられていますが、ここまで拙文を読まれた方は、きっと、どれも「歯の浮くような言葉」に感じられたことでしょう。
もちろん、仕事を獲得するためのプレゼンなのですから、いいことしか書いていないのは当たり前なんですが、問題は、これまでに各地で起きたツタヤ図書館建設に反対する市民に、一度も正面から向き合うことなくきたことです。何か不都合のことがあると、ひたすらダンマリを決め込むばかりでした。
その象徴がTSUTAYATVの虚偽広告事件(“嘘つきTSUTAYA”を違法認定)。昨年2月にCCCの増田社長が代表権を持ち、かつCCCの100%子会社であるTSUTAYAが消費者庁から景品表示法違反で1億円の課徴金納付命令を課せられた際には、TSUTAYAがホームページ上で謝罪文を発表したのみ。本社のCCCからは、私が知る限り記者会見はもちろんのこと、増田社長名での謝罪文の発表すらありませんでした。
ふつうの大企業でしたら、即刻会見を開いて、社長が辞任表明するような大事件なのに、です。
ツタヤ図書館の誘致自治体も、社長を呼んで事情を聴くなり、世間的な影響が大きければ指定取消処分等も検討すべきでしたが、そのような動きはまったくありませんでした。
これでは、とても信頼のおける企業であるとの印象は持てそうもありません。
グループ売上高3500億円の企業を、増田ファミリーが100%所有(増田社長50%、息子39%、資産運用会社10%)する「個人商店」」なんですから、そうなるのも、まぁ仕方ないですよね。でも、そういう「個人商店」なんかに市民の大事な公共施設を任せちゃっていいんでしょうか?
追記 「~図書館等の公共施設の内装設計やコンセプト立案も手がけ、これまで7館の公共施設の内装設計に携わった経験があります(2020年度開館予定を含む)」と記載しているのに、丸亀市提出文書では、なぜか和歌山市が取り上げられていません。
新・和歌山市民図書館は、ここに入れてもいいはずなのに、あえて入れなかったのは、ビジネスジャーナルなどでさんざん官製談合疑惑を報じられていたため、マイナスイメージがつくのを避けたのでしょうか。
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