先に結論が決まってから「これでいいね」と投げられ「はい」と言うだけの機関。なにか問題が起きたら「専門家も同意している」と言い訳するために存在する
そんな内容のツイートをみて、改めて政治の決定プロセスに利用されるだけの専門家会議や諮問委員会の存在意義について考えさせられました。
もちろん、これは新型コロナ感染症対策のことなんですが、翻って、公共図書館のことについて考えてみると、同様に、悲惨な状況がみえてきます。
先日書きました、「ツタヤ分類は2階だけ」という市民との約束を反故にして、実際には4階の児童書コーナーも、ほぼツタヤ分類にしていた「和歌山市騙し討ち事件」。
こんなことができるのも、本来でしたら専門家の意見を行政が諮問する図書館協議会(指定管理後は、図書館審議会)のしくみが形骸化しているからではないかと思いました。
もし図書館協議会でちゃんと話し合われていれば、それなりに反対意見は出ていたはずです。
昨日、ある専門家が、こう実情を明かしてくれました。
私も地元の図書館協議会委員をしていますが、協議会は図書館の予算や事業についての方針等については協議会委員の意見を聴いたりしますが、図書館専門業務の具体的な話は出ません。指定管理にするかどうかについても、全く議題にしない自治体もあります。
図書館を指定管理にするという、その主体の根幹的な問題ですら、専門家に一切意見を聞かないとしたら、その存在意義が根底から揺らぎます。
委員サイドからすれば、議題にすら出てこないのですから、議論のしようがないし、自分の意見を言う機会もまったくないのに、と思われるはず。
なのに、あとから「この件は、協議会でも審議している」とか言われるのも心外でしょう。
いや、いまの世の中そういうしくみになっているんですよ。ずうっと、そうやって円滑にものごとを進めるようなしくみになっていて、それに対して市民も一切文句も言わないんですから、いいんじゃあないですか、それで。
そういうものわかりのいいことを言う人は、ある日突然、地元の図書館がツタヤ図書館になってしまっても、同じことが言えるでしょうか。
長年先達が大事に積み上げてきた郷土資料は捨てられ、埼玉ラーメンマップやウインドウズXP入門、30年前の登山ガイドなど古本が大量に入ってきたかと思うと、
図書館一階の一等地には、一民間企業が激安家賃で店舗を借りて営業しはじめ、綺麗でオシャレだけれど、図書は飾りものとして高い書架に祭り上げられ、騒がしいイベントばかり開催される場所に。
それを推進した行政は、専門家の意見をすっとばして、
市民の意見を聞いたら、新図書館にいちばんおいてほしいのは「カフェ」でした
とか言い出すんですよ。
新しい図書館には何がほしいですかって聞かれたら、そう答える人が多いのは、当然ですよ。
専門的なことは、専門家の会議でじっくり検討してもらって、その結果をふまえたうえで、聞いてもらわないと、まともな行政の手続きになるわけないじゃあないですか。
と、こここまで書いて、こんな意見があることも思い出しました。
そもそも行政は、自分たちの方針に賛同してくれる人だけを諮問機関の委員に選ぶので、異論は出ようがない
確かにその通り。でもね、そういう思惑があって選んだはずでも、すべてがシナリオ通りいくとは限りません。異論は出ることがあるんですよ。
すべてのことが、あらかじめ計算した通りになるわけではなく、ひとりくらい空気を読まないヘンな委員がいて、その意見が出た瞬間に趨勢が変わっていくということも、まぁ、ごくめずらしいですが、ないわけではないんですよ。
それによって、明るみに出るのが、結論ありきの強引な行政とその裏側にある政治の思惑です。
実は、和歌山市でも指定管理制度を導入する直前で、そんな議論がありました。後日そのことは、別に書きたいと思います。
全員が黙っていたらわからなかったのに、ひとりが意見を言った瞬間に、そのプロジェクトの綻びがあらわになることって、ないでしょうか。
いったい、なにがいいたいんだよ、とそろそろ怒られそうですが、
ものわかりのいいひとばかりだったら、世の中はメチャクチャになりますよってことです。
怒るべきときには、やっぱり怒らないと、いけないと思います。
とりわけ、今回、騙し討ちされた和歌山市民は、市当局とCCCに対して、なんで約束破ったのよと怒らないといけないと思うんですよ。
黙っていたら、死ぬまで好き勝手やられてしまいますよ。
ところで、図書館協議会といえば、多賀城市立図書館が2016年3月にツタヤ図書館として開館する直前、館長就任予定の図書館協議会の元会長を直撃したことを思い出しました。
私が言葉も選ばずに「●●さんは、お飾りですか?」と失礼な質問をしたら、元会長は、怒りをあらわにされました。
〇〇さんはお飾りですか。
〇〇 とても失礼なことを先程来、繰り返されますね。
ツタヤ図書館、市から「天下り入社」疑惑の新館長を直撃!「市長から声かけられた」 より
その怒りは、できれば、CCCにぶつけてほしかったですね。
そんなことを思った一日でした。
- CCCと専門家会議をつなぐ点と線 へつづく
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