こんにちは、日向です。
本日は、昨年12月17日に市立図書館と、新たに建設される予定の生涯学習複合施設の運営者にカルチュア・コンビニエンス・クラブを選定しました大阪府門真市の件です。
決定直後に、CCC選定までのプロセスがわかる文書を門真市に開示請求しておりましたところ、年明けの4日付で同市の図書館から通知がきていました。
通知の内容は
・開示の可否も含めた決定の延長
・請求のあった文書の不存在
――の2種類です。
延長の理由は、開示にかかわる「第三者の意見を聴取するため」です。
ツタヤ誘致自治体では、いつものことながら、とりあえず時間稼ぎをして、その間にいろいろと辻褄合わせでもするのか?
と思いたくなるような決定です。
で、気になるのが、やはり「不存在」決定ですね。
この点は、先日の熊本県宇城市と同様に、消費者庁から一億円の課徴金を課せられたTSUTAYAの虚偽広告事件について検討した内容がわかる文書ということですが、とりわけ強調したのは、
TSUTAYAとCCCは別法人なので問題なしと判断した
という珍妙な言い訳をする可能性が残っておりましたので、
その件については一切検討していない
という事実を確定させるために、あえて「不存在」決定を取りにいった開示請求でした。
下の書面をみてください。
TSUTAYAとCCCは別法人なので問題なしと判断した場合は、過去の判例等から大企業グループ本社において系列企業が違法行為を犯した際の責任について、法人格否定の法理等に則った検討をしたことががわかる文書
という請求に対して、門真市は
不存在
と決定し、その理由を
上記申出内容に関する検討をしていないため
と記載しています。
門真市は、市立図書館の権限を教育委員会から市長部局へ移管しているはずなのに、情報開示請求については、なぜか市立図書館から直接回答を出している。 |
なので、これで、宇城市も門真市も、
基幹事業が社会的な責任を糾弾される違法行為を犯したことを一切検討もせずに、「優れた事業者」としてカルチュア・コンビニエンス・クラブを選定した
と、堂々と公言できるわけです。
にも書きましたように、和歌山市や海老名市などのように
TSUTAYAとCCCは別法人なので問題なしと判断した
という一般的なビジネス常識においても、まったく通用しないような釈明について、もう少しかみ砕いて書いておきたいと思います。
法的な関連性は直接ないと思うのですが、
2018年にTSUTAYAが犯した景品表示法違反(優良誤認)事件について
親会社のカルチュア・コンビニエンス・クラブは別人格なので、その責任は負わない
という理屈がどれだけ荒唐無稽なものかについて理解するために、いくつか似たような事例を挙げてみたいと思います。
たとえば、大物政治家が
秘書が勝手にやったことなので、自分に責任はない
とか
さらにいえば
対立する暴力団幹部を殺したヒットマンを思い浮かべてみてください。
ヒットマンが所属する組織を傘下に収める組長が
末端の者が勝手にやったことなので、自分は知らない
というのにも似ています。
政治家と秘書のケースでいえば、公職選挙法等には「連座制」と言って、秘書や運動員の違反に直接関与していない候補者自身も、当選無効になったり失職したりするのは、みなさんも、最近よくニュースでご覧になっている通りです。
暴力団の抗争事件は、最近めっきり減りましたが、これも、親分がいくら「オレはそんな命令は一切出していない」と言い張ったところで、「使用者責任」、つまり従業員が犯した行為に経営者が賠償責任を負うのと同じく、直接指示命令などしていない暴力団の親分も責任を問われるのは、もはやかなり常識として広まってきました。
今回、門真市の開示請求で持ち出した「法人格否定の法理」というのは、それらと同じくらい、
いまやビジネスだけにとどまらず社会の一般常識となっているルールをキチンと踏まえたうえで、カルチュア・コンビニエンス・クラブを指定管理者に選定したのか?
と問い質しているわけですが、
残念ながらといいますか、予想通りといいますか、
そういう検討は一切していないことが事実認定されましたので、選定委員の方やこの選定委員会を開催した門真市教育委員会(もしくは市長部局)が、そういう社会常識に欠けていたと非難してもいいのではないのかというのが本日の結論です。
開示の延長については、これまた、いつものことながら2カ月延長の末、例によって黒塗りだらけの文書が出てくるのかと思うと、いまから沈鬱な気持ちになってしまいます。
門真市役所の関係者の皆さまには、ぜひ良識を取り戻していただきたいと願うばかりです。
よろしくお願いいたします。
《追記1》 門真市が今回「不存在」としたのは、基幹事業であるTSUTAYAの違法行為について「法人格否定の法理等に則った検討をした」件についてのみです。
“違法行為を認定された同社の公務運用者としての適格性について検討した経緯”全般については、存否も含めて開示延長決定しているわけですから、
TSUTAYAの虚偽広告事件については「検討して問題なしとした」という文書をこれから出してくる可能性は、まだ残っています。
そのときの釈明としてありえるのは、
「悪意のない軽微な違反であるので問題なしとした」というパターンと、
「指定管理者に応募してきたCCCはTSUTAYAとは別法人なので問題なしとした」の2パターンが想定されます。
もし前者の文書を開示してきたとしたら、確定した課徴金としては、当時の史上最高額を消費者庁から課せられた事案であることを考えれば、そのような評価をしたことは当然批判の的になります。
そして、今回問題にした「違法行為を犯した会社とは別人格なので」としたとの文書を開示してきた場合には、その法的根拠を詳細に検討した文書は「不存在」ということですので、そのような評価もまったく辻褄があわないと指弾されることになるでしょう。
《追記2》門真市の回答の可能性として、もうひとつありえると思われるのは、
そもそもCCCが基幹事業であるTSUTAYAにおいて虚偽広告事件を起こしていたことを、まったく知らなかったために、同社の違法行為について一切検討しなかった。ゆえに、本件に関しては何の文書も存在しない
というパターンです。おそらくそれが真実なんだろうと思いますが、その場合には、50億円もの事業費をつぎ込んで建設しようとしている複合施設の運営者の候補について、全国紙で報じられたニュースさえ把握しないまま選定したことになり、それはそれで、執行部のとんでもない杜撰な行為であり、カルチュア・コンビニエンス・クラブに高得点をつけた選定委員の偉い先生方についても、「情報弱者なのか?」と市民から批判を浴びることになるでしょう。
《追記3》門真市の情報開示について、もうひとつ回答パターンがあることを思い出しました。それは「TSUTAYAの違法行為について検討はしたが、すべて口頭でやりとりをしていたので、文書は何も残っていない」というパターンですね。
和歌山市でよくみられるパターンです。「~という検討はしたんですか?」と担当者に、直接電話でお聞きしますと「しましたよ」とおっしゃるんですが、その証拠となる文書はありますか?と聞きますと「それはありません」と言われたりします。(最近のケースでいえば、CCCが出していた企業名不記載の違反求人広告(リクルートも正式に違反行為と回答)について市民図書館の担当者は、CCC社員の平井館長に口頭で注意はしたけど文書は残っていないと回答 タウンワークの豹変 参照)
いちいち細かいところまで開示請求しないので「不存在」を確定できていませんが、そのたびにしていたら、結構な数になったのではないかと思い出します。
和歌山市のケースで、第三者の意見聴取のために、口頭でやりとりをした件が、文書として残っているのは、2018年7月に行った、「1400枚の文書を黒塗りした理由」です。
和歌山市民図書館の担当者がが南海電鉄とRIAに、関係者会議の資料を開示してもいいのかと電話で(ここがポイント)問い合わせたところ、南海、RIAともに以下の回答があったそうです。
・法人等に関する情報であって、公にすることにより、当該法人等の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあると認められるものについては、不開示とする
これ、電話ですよ。「あなたが出席している関係者会議の文書のどことどこを不開示にしますか?」と、市民図書館の担当者が口頭で南海とRIAの担当者に聞いたら、こう口頭で回答があった――という文書を和歌山市は、私に開示してきました。
詳しく検討はしたけど、文書は残っていないというと、批判されますので、「一応、聞いたけどやばそうなところは開示しないでと言われました」という記録だけ残したという、珍妙な理屈です。
もし、多賀城市で議会対策まで細かく市教委に指示していたCCCの担当者が、門真市の情報開示にまで助言をしていたとしたら、和歌山市と同じような対応をしてくる可能性もあるかなと思いました。それはそれで、また批判のしがいがありますが。
和歌山市が南海電鉄とアール・アイ・エーに意見聴取した結果を開示してきた文書 |
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