2021年1月20日水曜日

規約改定を通告されたTSUTAYA自治体の「Tカード問題」

 

こんにちは、日向です。



しばらく、なにごともなかったツタヤ図書館界隈ですが、先週、ひさしぶりにこの関連で大きな話題が飛び込んできました。


カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)が1月15日付けで発表したリリース(T会員規約・プライバシーポリシー等を改訂)の内容に、早くも「違法では?」とのツッコミが各方面から入っています。




T会員規約等、各種規約の改訂について|ニュース|CCC カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社 (CCCグループ会社間での個人情報の取り扱いを「第三者提供」から「共同利用」に変更等)



問題になっているのは、同社がリリースで例示している


第三者から取り扱いを委託された個人データを、委託先であるCCCが保有するデータと突合してその結果を返す


としている部分で、2019年9月に発覚したリクナビ事件(本人の同意を適切に取らないまま「内定辞退率予測データ」を作成して、それを大企業に販売していた事件)と似たようなことをしているのではないのか?と指摘されているんです。



リクナビ事件では、クライアントから分析を依頼されたリクルートキャリアが、自社が保有する個人データとクライアントから提供を受けた個人データを混ぜて使っていたことが発覚。その目的に使用されることについて本人の同意を取っていないことが問題視されました。



今回のプライバシポリシーT会員規約改定の問題点に関しては、なか2656さんが、以下のブログで解説されているので、詳しくは、そちらをご覧ください。




Tポイントカードの会員は、昨年3月時点で公称6900万人、日本人の2人に1人は持っているといわれているほど影響力の大きいサービスですので、世間の見る目も厳しくなるのは当然です。同社の個人情報の取扱姿勢については、過去に何度も炎上騒ぎが起きていることからすれば、「またかいなぁ」という印象です。


CCCがやらかす個人情報の問題点については、高木浩光先生をはじめとした専門家や、ウォッチャーの方がすぐに問題点を洗い出して指摘されるので、いまさら、私のような物書きが何か口を挟むことはないのですが、ツタヤ図書館を誘致した自治体側の問題として、いくつか気づいたことを書いておきたいと思います。






貸出カードにTカードを公式採用しているツタヤ図書館誘致の自治体にとっては、コレ「民間事業の話」では済まない火種を抱えているのは、もし、なにか市民に不利益になるようなことが起きたときに、誰も責任を取らないことです。


公式に採用しておきながら、行政側は、「Tポイントカードは、日本人の2人に1人持っている」とか「個人情報はカルチュア・コンビニエンス・クラブによって適切に管理されている」というばかりで、議会などでも議員さんからなにか質問をされても、まともな説明をしません。というか、行政側でTカードの個人情報の問題を勉強して理解している人は、みあたらないんです。


昨年6月にグランドオープンした和歌山市を例に取りますと、


原教育長は、Tカードを図書館の利用券として採用することについて、こう述べています。



Tカードについての今の質問ですが、図書館を利用するに当たって別にTカードをつくらせる、入らせるといった趣旨のものではございません。既に持っていれば利用できますよという利用拡大、利便性の話であって新たにつくるように誘導するものでは全くございません 和歌山市 平成30年 12月 経済文教委員会 より



これ、林隆一市議(現在県議)が、保護者の同意が必要ない13歳以上のこどもが、Tカードを持つメリットは?と質問したときの回答です。まったく、答えになっていないですよね。


「便利だから紹介するだけだ。何が悪いんだ!」と逆切れしているかのようなヤケクソ感が強いですが、


そっけないデザインの利用券とTカード機能付の二種類を提示されたら、大半の市民は、そりゃあTカード付を選択しますよ。


原教育長には、そのつもりはないかもしれませんけれど、市民からすれば、


あきらかに和歌山市当局が、これは安全だと公認しているととります。


で、このときの質疑には、Tカードとの連携システムだけで、561万7000円もの費用を和歌山市は支出していることもわかっています。これも公式採用していることの動かぬ証拠です。



Tカードのしくみの基本ですら、まともに説明もできないのに、ましてTカードの個人情報のことなんか説明できるわけはなく、ひたすら


「Tポイントカードは、多くの人が持っている」とか「個人情報はカルチュア・コンビニエンス・クラブによって適切に管理されている」と繰り返すだけです。





民業であれば、多少ややこしい契約でも、詳しく説明を受けて十分に納得したうえであれば、消費者と事業者の契約は有効というのは、わからないでもないんですよ。


しかし、公共のサービスとなりますと、話はまったく別。大人もこどもも、高齢の人も、読解力の高い人も、そうでない人も、特定分野のしくみに詳しいひとも、そうでない人も、実にさまざまな市民がいて、誰でも支障なく利用できるものでないといけません。そうなっていないサービスは導入すべきではありません。


ツタヤ図書館で採用されているTポイントカードについては、個人情報について書かれた規約を読んでおおまかなことだけでも理解できる人は、どれだけいるでしょうか? 林議員が対象からはずすべきとした、保護者の同意のない13歳以上のこどもが、CCCの難解なプライバシーポリシーの改定について理解できるでしょうか?



そもそももTカードのややこしい個人情報の内容については、教育長も図書館長も、図書館準備班のメンバーも誰ひとり、十分に理解できているとは思えないのに、市民には「理解して同意している人だけが選択するはずだから大丈夫だ」と、公式に採用して太鼓判を押してるのって、もう完全に狂ってますよね。便宜供与する御礼に、CCCから、高額な“お歳暮”でももらっているのでしょうか?



すごーくややこしい金融商品を「大丈夫ですよ。みなさん投資してますよ」「会社は、信用あるところですから、適切に対応しています、と、売りつけといて、契約内容は、こまかーい字で約款にズラズラと書かれていたりするのって、いまもむかしも変わらない詐欺的商法です。


Tカードのような個人情報に関しては、リクナビ事件のようなことが表面化しない限り、本人が不利益を被っていることすらわかりません。






私は、一生懸命にカルチュア・コンビニエンス・クラブの民業部分のサービスを説明するのに、すごく抵抗があります。


それは、相手の土俵にのることで、真っ先に要求したい提供者側の説明責任がうやむやにされるからです。


本来まずは、誰にでもわかるように説明するのが彼らの責任であり、その彼らのサービスを採用した自治体の責任でもあるはずなんです。


なのに、行政サイドですら理解できないややこしいしくみのサービスを公共部門に導入するとして



執行部が理解できないまま議会に提出したものを、議員さんたちが理解できるわけがなく、まして市民も理解できるわけがありません。


かくして、誰もよくわからないまま導入されて、CCCだけがやりたい放題してトクをするようにできているのかなと思わざるをえないんです。



こういうのを「詐欺的商法」っていうんですよ。



すみません。かなり雑な話になってしまいましたが、


今回のCCCによるプライバリーポリシーの改定については、CCCがやらないのであれば、まず自治体の人が理解できるようにしてから、市民にも説明していただきたいものですね。



そこで、さきほど、和歌山市の担当部署に聞いてみましたところ、


1/15付で出たCCCのプライバシーポリシーについては、年明けにCCCから事前通知はあった


詳細については現在検討中で、今後どのように対応をするかはまだ未定


とのことでした。


念のため、過去にCCCが、T会員規約で個人データを「共同利用する」とした際にも、違法性が指摘されて炎上した経緯を把握しているか?と聞いてみましたところ、


まったく知りません


とのことでした。そんなんで、本当に市民の個人情報は、守れるんでしょうか?



今回は、消費者庁による景品表示法違反のときのように


「部内だけで検討した結果、問題なしとした。特に決裁もとってないし、文書もなにも残してない」(CCCにひれ伏す役人)などということのないよう


しっかりとその検討プロセスを文書に残していただき、そこに、最終的な責任を負う決裁者のハンコをもらっておいてほしいものです。


そうすれば、何か問題が起きたときには、その決裁者を全力で叩きにいきますので。


よろしくお願いいたします。



和歌山市の津守教育局長が「個人情報は、図書館運営でのみ利用することを指定管理者との協定で定めています」と議会で答弁していたにもかかわらず、2019年12月に一部オープンした際、他社からDM送られてきたり、営業の電話かかってくることが明記されてるTカードの入会案内を戸田市議が自らのブログに掲載していた。









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