こんにちは、日向です。
本日は、
で取り上げました、和歌山市民図書館の工期遅延についてのつづきです。
まず、これまでの話を整理しておきますと、
新市民図書館の運営を担当するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)が2018年の着工寸前になって
「構造変更が必要なプラン」
を南海電鉄と和歌山市に提案。それを取り入れたために工期は、当初の予定よりも1カ月半程度遅れることになりました。
その経緯が書かれた南海電鉄の内部文書をテキストにして、CCC選定前後の背景もあわせて詳しく解説してきました。
当初の設計では、高層書架については、簡易的なつくりでしたが、
急遽、CCCの提案によって、
壁面に配置する本格的な閉架書庫のつくりにして、そこに人が入れるキャットウォークを設置するために、エレペータの位置や向きを変えたのではないか、
あるいは、それだけの加重を支えるだけの床や柱に強度を持たせるために、構造設計をやり直したのではないか
というのが、拙稿の推論でした。【※3】
CCCという存在が、単に図書館の運営を担当するだけの業者であるにもかかわらず、
なぜか建物の設計にまで強い権限を持ち、
自らは費用負担することなく、
自分たちがそこで商売しやすいように、
商業施設としての図書館もどきを完成させる
――という離れ業をなしとげています。【※1】
自らは費用負担することなく、
自分たちがそこで商売しやすいように、
商業施設としての図書館もどきを完成させる
――という離れ業をなしとげています。【※1】
そこで、最後に残った疑問が、
いったい、その追加工事によって発生した費用は、誰が負担したのか
ということです。
施主は南海電鉄ですが、建物完成後に、和歌山市が買い取ることになっていますので、その追加費用も、当然、和歌山市が負担するはめになったはずなんですが…。
今回は、その件について、わかったことをレポートしておきたいと思います。
2017年5月の基本設計図面から、8月の実施設計会議への提出図面、2020年の開業後に公開された図面への変遷をみていくと、エレベーターの台数や位置、エスカレーターの位置などが変わっていることがわかる。 |
今年2月の議会の議事録を調べていくと、まず日付は前後するのですが、経済文教委員会で次のような質疑が行われていたことがわかりました。
ややこしいところは、読み飛ばしていただくとして、今回の追加工事と関連がありそうなのが赤字部分です。
経済文教委員会
02月25日
◎井上読書活動推進課長
議案第25号、土地及び建物の取得に係る権利変換計画変更の同意及び負担金変更契約の締結についての詳細説明をいたします。令和2年2月定例市議会議案、予算説明書の69ページをお開きください。新市民図書館につきましては、このたび、公益施設棟の面積及び価額が確定し、南海電鉄株式会社から引渡しを受け、4月に図書館のグランドオープンを迎えるため、権利変換計画を変更し、それに伴い、本市が南海電鉄株式会社に支払う負担金の額を変更するものです。1、権利変換計画の変更(3)権利変換計画変更の内容の変更前の権利内容の表と、次のページ、変更後の権利内容の表を御覧ください。変更するのは、建物に関する権利の部分で、面積9,640.25平方メートルであったものが、9,679.14平方メートルとなり、38.89平方メートル増えました。面積の増えた要因としましては、非常用避難階段を共有部分に算入したことなどによるものです。次に、権利内容の価額ですが、建物に関する権利のうち、公益施設が28億3,570万2,000円から28億7,369万6,000円になり、変更前から3,799万4,000円増加しています。増加の要因は、主に利用者に対する安全対策などに伴うもので、非常災害時に使用する救助袋を追加したことや一部を特定防火設備としたことなど、追加工事の発生によるものです。
次に、2、負担金変更契約の内容ですが、建物の価額が確定したことにより、上の表にある変更後の権利内容の合計価額37億8,309万8,000円から本市が以前所有していた建て替え前の駐輪場の建物や敷地等に対する権利価額を差し引いた額が変更後の負担金額となります。今回の変更では、消費税についての清算も行っており、(2)の表で公益施設の建物負担金が27億3,275万800円から27億6,212万800円になり2,000937万円増加し、負担金合計は36億3,663万4,000円となります。
最後のページは、再開発事業に係る公益施設棟の場所を示す街区位置図です。
なお、新市民図書館は、南海和歌山市駅ビルの商業棟・ホテル棟とともに、来る4月24日(金)に同時オープンする予定で、現在準備を進めています。
説明は以上です、御審議よろしくお願いします。
https://ssp.kaigiroku.net/tenant/wakayama/SpMinuteView.html?council_id=573&schedule_id=2&minute_id=1&is_search=true
議案第25号、土地及び建物の取得に係る権利変換計画変更の同意及び負担金変更契約の締結についての詳細説明をいたします。令和2年2月定例市議会議案、予算説明書の69ページをお開きください。新市民図書館につきましては、このたび、公益施設棟の面積及び価額が確定し、南海電鉄株式会社から引渡しを受け、4月に図書館のグランドオープンを迎えるため、権利変換計画を変更し、それに伴い、本市が南海電鉄株式会社に支払う負担金の額を変更するものです。1、権利変換計画の変更(3)権利変換計画変更の内容の変更前の権利内容の表と、次のページ、変更後の権利内容の表を御覧ください。変更するのは、建物に関する権利の部分で、面積9,640.25平方メートルであったものが、9,679.14平方メートルとなり、38.89平方メートル増えました。面積の増えた要因としましては、非常用避難階段を共有部分に算入したことなどによるものです。次に、権利内容の価額ですが、建物に関する権利のうち、公益施設が28億3,570万2,000円から28億7,369万6,000円になり、変更前から3,799万4,000円増加しています。増加の要因は、主に利用者に対する安全対策などに伴うもので、非常災害時に使用する救助袋を追加したことや一部を特定防火設備としたことなど、追加工事の発生によるものです。
次に、2、負担金変更契約の内容ですが、建物の価額が確定したことにより、上の表にある変更後の権利内容の合計価額37億8,309万8,000円から本市が以前所有していた建て替え前の駐輪場の建物や敷地等に対する権利価額を差し引いた額が変更後の負担金額となります。今回の変更では、消費税についての清算も行っており、(2)の表で公益施設の建物負担金が27億3,275万800円から27億6,212万800円になり2,000937万円増加し、負担金合計は36億3,663万4,000円となります。
最後のページは、再開発事業に係る公益施設棟の場所を示す街区位置図です。
なお、新市民図書館は、南海和歌山市駅ビルの商業棟・ホテル棟とともに、来る4月24日(金)に同時オープンする予定で、現在準備を進めています。
説明は以上です、御審議よろしくお願いします。
https://ssp.kaigiroku.net/tenant/wakayama/SpMinuteView.html?council_id=573&schedule_id=2&minute_id=1&is_search=true
変更前から3,799万4,000円増加
増加の要因は、主に利用者に対する安全対策などに伴うもので、非常災害時に使用する救助袋を追加したことや一部を特定防火設備としたことなど、追加工事の発生によるもの
ということです。
具体的に、どんな工事をしたのかを、担当部署では説明していません。
駐輪場も含めた公益施設等の取得費は、36億円3600万円となっています。当初、29億円で市は南海から買い取るといわれていたのが、30億円になっていたと思ったら、いつのまにか、36億円まで増額されていたことが判明しています。今回3800万円増額も、異論は出ていません。
非常災害時に使用する救助袋を追加
しただけで3800万円もかかるわけなく、
一部を特定防火設備としたことなど主に利用者に対する安全対策など
のところに、むしろ力点が置かれているように思えます。
これは、何か意図的に隠してますよね。
興味深いのは、本会議です。まったく問題になってもいないのかと思ったら、2/20の定例会で、共産党の重鎮である姫田高宏議員が、この点についても、質問されていました。
該当部分を抜き出してみましょう。
次に、議案第25号、土地及び建物取得に係る権利変換計画変更の同意及び負担金変更契約の締結についてお尋ねします。 1、変更理由はどのようなものでしょうか、お答えください。
◎教育局長(津守和宏君) 27番姫田議員の質疑にお答えいたします。 (略) 次に、議案第25号、土地及び建物の取得に係る権利変換計画変更の同意及び負担金変更契約の締結について、その変更理由はどのようなものかとの御質疑です。 権利変換計画については、建物の面積と価額が増加したことによる変更です。 面積は、施工上の調整による増減もありますが、主に屋外の非常用避難階段を算入したことにより増えたもの、価額については、火災等に備えた安全対策や書架の設置に伴う床下地等の補強が必要となったことなどにより増えたものです。 また、これらのことに伴い、負担金についても増額となるため変更を行うものです。 以上でございます。
津守教育局長の図書館関連の答弁は、いつもこんな感じで、肝心なことは煙に巻くだけで、まともに回答したのをみたことがありません。【※2】
火災等に備えた安全対策や
書架の設置に伴う床下地等の補強
が必要となったことなどにより増えたもの
だそうです。姫田議員も、こんな回答で「なるほど、わかりました」とはいかず、再質問しています。
次に、議案第25号、土地及び建物の取得に係る権利変換計画変更の同意及び負担金変更契約の締結についてお尋ねします。 1、面積や価額の増について、屋外の非常用避難階段や火災等に備えた安全対策を変更理由にしていますが、それらは当初の段階で計画されるべきものだと思いますが、どうでしょうか、お答えください。
◎教育局長(津守和宏君) 27番姫田議員の再質疑にお答えいたします。(略) 次に、議案第25号、土地及び建物の取得に係る権利変換計画変更の同意及び負担金変更契約の締結について、面積や価額の増について、屋外の非常用避難階段や火災等に備えた安全対策を変更理由にしているが、それらは当初の段階で計画されるべきものだと思うが、どうかとの御質疑です。 今回の面積及び価額の増加については、市駅前再開発事業の施行者である南海電気鉄道株式会社と協議しながら建設工事を進める過程で、利用者の利便性や安全性の向上につながると判断したものについて変更したものです。 以上でございます。
結局、3800万円の追加工事の内訳は説明されませんでしたが、「安全対策」という、必要性を強調した言葉の奥には、CCCから追加プランの提案を受けて、南海電鉄が渋々行った
書架の設置に伴う床下地等の補強
に真相が隠されているようです。
国政で、安倍首相や菅官房長官が、不祥事や疑惑が起きるたびに、野党やメディアの質問にまともに答えず、答えになっていない官僚の作文で押し通そうとしているシーンをほうふつとさせますね。
書架の設置に伴う床下地等の補強
に真相が隠されているようです。
国政で、安倍首相や菅官房長官が、不祥事や疑惑が起きるたびに、野党やメディアの質問にまともに答えず、答えになっていない官僚の作文で押し通そうとしているシーンをほうふつとさせますね。
頑なに詳細な説明を拒否し、「安全対策をした」で押し通そうとする津守局長のこの姿勢に、何やら怪しいものを感じるのは、私だけでしょうか?
「安全対策」で思い出すのは、武雄市のクズ本事件。
「安全対策」で思い出すのは、武雄市のクズ本事件。
大量のクズ本を系列の古書店から購入していたことが発覚した武雄市でも、2015年、その購入予算とみられる2000万円について追及された武雄市当局とCCCは、
「古本購入は760万円だけで、残りは書架の安全対策に使った」としていました。
和歌山市の場合、「安全対策」と称して、CCC仕様の壁面書架をあとから追加工事したとしたら、その経緯は説明するべき。
追加で3800万円かかったけど、安全対策だからいいでしょ? 詳しいことは説明なんかしたくない
追加で3800万円かかったけど、安全対策だからいいでしょ? 詳しいことは説明なんかしたくない
って言っているわけですよ。和歌山市は。
まぁ、いつものことながら、
またかいなぁ~
というため息しかでてきませんね。
結論を書くのを忘れておりましたので、改めて書いておきますと、
この“安全対策”と称した3800万円の大半が、CCCの空間イメージの提案を、より完璧に実現するために、工期を遅らせてでも無理やりブッキングした追加工事の費用だったのではないでしょうか?
【2020/6/20追記】上記定例会で配布されたこの件に関する説明資料を和歌山市の方が送ってくれましたので、以下に貼り付けておきます。
【※1】
和歌山市よりも前に誕生した山口県周南市(2018年)や宮城県多賀城市(2016年)のケースでは、いずれも、CCCは指定管理者に選定される前に、新図書館建設プロジェクトに企画提案する「連携協定」というものを自治体と締結していた。
両市とも、その契約の範囲内で、事前に“空間イメージの提案”が可能だったが、和歌山市では、そのような契約を事前に締結していないため、指定管理者に選定されるまでは、理論的には、“空間イメージの提案”はできない。
【※2】
教育局長の危うい答弁
津守教育局長の答弁は、いずれも、典型的な論点ずらしで、中庄谷市議の「どこで民意を問うたのか?」とのストレートな質問に正面から向き合って回答していません。煙に巻いただけでした。
【※3】出来レースの代償・後編 の本文末尾【2020/6/21追記】を参照
「権利変換計画の変更は平成30年にも行われていて、中2階部分などの大きな変更はこのとき行われているのではないでしょうか」
和歌山市 平成30年 2月 経済文教委員会 02月27日-03号
【参考】
結論を書くのを忘れておりましたので、改めて書いておきますと、
この“安全対策”と称した3800万円の大半が、CCCの空間イメージの提案を、より完璧に実現するために、工期を遅らせてでも無理やりブッキングした追加工事の費用だったのではないでしょうか?
【2020/6/20追記】上記定例会で配布されたこの件に関する説明資料を和歌山市の方が送ってくれましたので、以下に貼り付けておきます。
【※1】
和歌山市よりも前に誕生した山口県周南市(2018年)や宮城県多賀城市(2016年)のケースでは、いずれも、CCCは指定管理者に選定される前に、新図書館建設プロジェクトに企画提案する「連携協定」というものを自治体と締結していた。
両市とも、その契約の範囲内で、事前に“空間イメージの提案”が可能だったが、和歌山市では、そのような契約を事前に締結していないため、指定管理者に選定されるまでは、理論的には、“空間イメージの提案”はできない。
【※2】
教育局長の危うい答弁
津守教育局長の答弁は、いずれも、典型的な論点ずらしで、中庄谷市議の「どこで民意を問うたのか?」とのストレートな質問に正面から向き合って回答していません。煙に巻いただけでした。
【※3】出来レースの代償・後編 の本文末尾【2020/6/21追記】を参照
「権利変換計画の変更は平成30年にも行われていて、中2階部分などの大きな変更はこのとき行われているのではないでしょうか」
和歌山市 平成30年 2月 経済文教委員会 02月27日-03号
【参考】
2017年12月に新市民図書館の運営者にCCCが選定されたことを受けて、翌年に市民団体が作成して市内に配布したチラシ。これらの項目の改善を市当局に申し入れされたが、実際に開館になっても、なにひとつ改善された気配はみられない。 |
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