安倍政権が退陣して、その路線を継承するとみられている菅政権が誕生した翌日の9月18日、
あのジャパンライフの山口元会長が逮捕されたとのニュースが飛び込んできました。
菅新内閣の発足直後に衝撃の逮捕劇だ。磁気商品の預託商法で多額の金を集め、約2400億円の負債を抱えて破綻した「ジャパンライフ」が、債務超過を隠して顧客から多額の資金をだまし取ったとして、警視庁などは18日、元会長の山口隆祥容疑者(78)ら計14人を詐欺の疑いで逮捕した。(2020年9月19日スポニチ)
およそツタヤ図書館とは、なんの関係もないように思われるニュースですが、
これが関係ないどころか大アリなんです。このタイミングで書いておかないと、おそらく永遠に書けないと思いますので、急ぎメモ代わりに書きなぐっておきます。
ジャパンライフとTSUTAYA
TSUTAYAを展開するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)も、ジャパンライフと同じく、消費者庁から沙汰(措置命令)を受けています。
詐欺商法を認定されて、四度にわたる業務停止命令を出されたほどの“巨悪”であるジャパンライフに比べれば、
基幹事業であるTSUTAYAが景品表示法違反で1億1753万円の課徴金を課せられた程度のCCCなどは、「ワル」としては、かなりグレードが落ちるように思えますが、
しかし、ジャパンライフとよく似ているのは、CCCもまた、政界とのつながりによって延命に成功してきたのではと囁かれていることです。
CCCの増田宗昭社長は、ある政治家ととっても仲が良く、オモテに出てくる政治献金ばかりか、もしかして適法ではないのではないかという利益供与もしている疑いがあるんです。
“嘘つきTSUTAYA”の特別待遇
CCCが起こした虚偽広告事件とは、以下のようなものでした。
動画配信サービス「TSUTAYA TV」で、全作品を見放題であるかのように宣伝したのは虚偽であり、景品表示法違反(優良誤認)に当たるとして、消費者庁は22日、ツタヤに課徴金1億1753万円の納付命令を出した。(“嘘つきTSUTAYA”を違法認定 より)
実はコレ、一昨年5月に、消費者庁からすでに措置命令を出されていて、それについての処分が9か月後に発表されたという、とってもおかしなものでした。
刑事事件にたとえていえば「窃盗」かなにかの罪で、有罪の判決は下されたにもかかららず、その判決時には、なぜか「懲役何年とする」ような処分が下されていないのです。100円のガム一個を万引きしたのか、空き巣で100万円盗んだのかも、わからないのです。
消費者庁が認定している同様の事件では、ほとんどのケースで措置命令と同時に、不当な利益を得ている分については、課徴金が課せられています。
にもかかわらず、一昨年5月に下されたTSUTAYAへの措置命令には、課徴金が課せられていませんでした。なので、うっかりミスを犯したくらいで、たいしたことない事件だと思った人も少なくなかったでしょう。
ところが、違法認定されてから9か月後の昨年2月になってから、突然、1億円もの課徴金額の納付命令が出されて、ようやく世間は、この事件が相当に悪質なものだったことに気づきしましたが、すでに報じられている事件の続報でしたので、メディアでの扱いもそんなに大きくはなりませんでした。
命拾いしたCCC
おかげで、命拾いをしたのは、親会社のCCCです。
もし措置命令と同時に課徴金納付命令も出されていたら、どうなっていたでしょうか?
少なくとも、同社が受託していた公共図書館の運営をはじめとした、おおやけの業務は
社会的不正行為があった
――として、契約解除あるいは、新規の応募は不可能になったはず。武雄市や海老名市のように、事件発覚後に契約更新など、ありえなかったでしょう。
ところが、CCCにとって幸運なことに、そうはなりませんでした。
「ちょっと広告表現がオーバーだったんだね」という程度なんだろうと世間は受け止めて、一時的な非難で済んだからです。
もし、1億円の罰金を科せられるほど、その行為が悪質なのが最初からわかっていれば、世間の風当たりは、何百倍も強くなっていたはず。
そもそも、措置命令を出された違法行為の対象期間が、
2016年4月1日~2018年6月18日
と、異様に長い期間だったのも、同種の事件としては異例のことでした。
本来ならば、2016年度1年間の違法行為を、2017年度の早い時期に措置命令が出されるところ、
さらに1年間、消費者庁はCCCが違法行為を延々と続けるのを、文字通り、暖かく見守ってくれていたのです。
その点でも、同社は、命拾いしたと言ってもいいのではないでしょうか。
この期間中に、同社指定管理の岡山県高梁市図書館が新装開館したり、GINZA SIX内に蔦屋書店オープンしたり、新和歌山市民図書館の指定管理者に選定されたり、山口県周南市立徳山駅前図書館が開館したり、宮崎県延岡市駅前複合施設「エンクロス」開館したり
するなど、重要イベントが目白押しでした。世間的な非難が激しければ、これらへの影響も避けられなかったはずです。
最近の消費者庁の事件で、これほど特別な扱いを受けていたケースは、私が調べた限りでは、ジャパンライフとTSUTAYAのケースをのぞいては、一件もみつかりませんでした。
ジャパンライフが政治家や天下りを受け入れることで、手心を加えてもらっていたのではないかと指摘されるのと同じようなことが、実はCCCでもあったのではないのかと、疑っていました。
増田社長と親友だった“あの人”
CCCの増田社長が懇意にしている政治家とは、一時期、新型コロナウイルス感染対策について、連日のようにメディアに出ていた西村康稔・経済再生担当大臣です。
下の図をみてください。
これは、西村氏が自らのブログに書いている増田社長との交友についてです。不遇な時代を共に過ごした仲ですから、「親友」と呼んでもいいような関係であることがわかります。
https://archive.ph/EHP6U
で、仲のいいお友達でしたら、困ったときには、相談して力になってもらうのが世間的には当たり前のことなんですが、
相手は政府の要職にある政治家ですから、なにかしてもらったときに御礼なんかしたら、たちまち贈収賄になってしまいますよね。なので、みなさん、そのへんはかなり慎重に対応していて、誤解を招きかねない行為は厳に慎むようにしているはずなんです。
ところが、下の図をみてください。あれっ、これって増田社長が西村さんに政治献金をしている証拠ですよね。「増田宗明」と、名前が間違ってますが、わざとですかね。最近はスキャンされて検索にひっかかるようになっていますので、「増田宗昭」としたら一発でわかってしまいますので。
2013年分自由民主党兵庫県第九選挙区支部(代表者・西村康稔)政治資金収支報告書より |
額は5万円と少ないですが、こういうオモテに出てくるカネがあるのなら、パーティー券購入などオモテには出てきていないカネもあるのではと疑ってしまいますが、それでも、まぁ違法にはならない程度のおつきあいなんでしょう。きっと。
で、次に下の図もみてください。
港区議会議員・黒崎ゆういち公式WEBサイトより |
あれれ、2016年の12月20日に、西村さんの政治資金パーティーで、増田社長が堂々とスピーチされていますね。親友が盛大にパーティーを開催するんですから、そりゃあ、増田社長も一肌ぬいだわけです。
注目していただきたいのが、このときの西村さんご本人の案内です。
この講演会の案内には
※本会は、政治資金規正法第8条の2に規定する政治資金パーティーです
と明記されてます。
https://archive.vn/mRZxS
ということは、このときの収支は、政治資金収支報告書にすべて明記されているはずなんです。
下をみてください。これがそのときの政治資金収支報告書です。
このときのパーティーで西村さんは、2293万円もの資金を集めています。総理補佐官ともなれば、そのくらいは当然と思われるかもしれませんが、いまほど顔も名前も売れていなかった西村さんが、これだけ人を集められたのは、増田社長のおかげでしょう。
TSUTAYAの創業者として知られる増田社長の人気はすさまじく、講演会ともなければ、若いビジネスパーソンから幹部クラスの経済人まで熱心にその話を聞きに来ることで有名で、抜群の集客力を誇っています。なので、当然、増田社長にも講師料が支払われているはずとみていきますと、これがどこにもみつかりません。
親友なんですから、タダで講演して当たり前というのは、西村さんが政治家でなかったらあてはまるんですが、政治家である以上、西村さんは、増田社長から講師料をタダにしてもらったりしたら、その分の献金を受けたとみなされてしまいます。
有権者に、名前入りのうちわを配っただけでも公職選挙法違反を指摘されたり、支援者が参加するバスツアーの代金をもらってなくて、タダで飲み食いさせたりすると買収だと言われてしまう世界です。逆に政治家も、献金を受けたら、それは漏らさず収支報告書に記載しなければなりません。
増田社長クラスともなりますと、世間的に講演料は、どんなに少なくとも100万円以下にはなるはずがありません。増田社長のおかげで人が多数きて、一日2300万円も集まったわけですから、講演料を払っていないとすれば、その金額分の“闇献金”を受けたことになってしまいます。
さらには、増田社長サイドは、その見返りに、消費者庁から措置命令が出されたときに便宜をはかってもらったのではないかとの疑いが生じてしまうわけなんです。
西村氏の職務権限
この事件を立件するために、残る問題は、西村さんの職務権限です。
ロッキード事件で田中角栄元総理が逮捕されたとき、総理大臣に、一民間企業の航空機選定の職務権限などあったのかというのがひとつの争点になりました。
この点は、最高裁平成7年2月22日大法廷判決゛以下のように判断されています。
内閣総理大臣が運輸大臣に対し民間航空会社に特定機種の航空機の選定購入を勧奨するよう働き掛けることは、内閣総理大臣の運輸大臣に対する指示として、賄賂罪の職務行為に当たる。
西村さんのケースでいえば、TSUTAYAに措置命令が出された2018年5月当時の役職は、内閣官房副長官です。
消費者庁は、内閣府の外局のひとつなのですが、「内閣官房」と「内閣府」は名前が似ていてもまったく別の組織です。なので、西村さんが消費者庁に対して、TSUTAYAへの措置についての職務権限があったかというと、直接的にはなかったということになります。
ところが、TSUTAYAの広告が違法認定された期間をここでもう一度おさらいしてみましょう。
2016年4月1日~2018年6月18日
この当時、西村さんは、2012年の第2次安倍内閣において内閣府副大臣に就任し、2014年9月に再任。その役職は、2016年8月に自民党総裁特別補佐に就任するまではつづいていたとみられますので【※1】、TSUTAYAの違法認定期間中に、もし内閣府の副大臣だったとしたら、その外局である消費者庁に対して、なんらかの指示を出せる立場にあったといえるわけですから、これこそ、
李下に冠を正さず
と言われても仕方のない事案になってしまいます。
2016年4月からTSUTAYAの違法行為が始まっていたわけですから、その半年後の秋以降には、消費者庁から資料提出要請があったり、広告宣伝内容についての厳しい調査が行われていてもおかしくはありません。
その直後の2016年12月20日に、CCC増田社長(TSUTAYA代表取締役会長も兼務)は、西村氏が開催した「特別セミナー」の講師として、講演を行っているのです。
果たして事実はどうだったのかは、まだわかりませんけれど、
CCCの増田社長は、TSUTAYAが犯した違法行為を、親友の西村さんになんとかしてもらったのではないのか
そのお礼として、政治資金パーティーに出席して、消費者庁に影響力を行使できる政治家に、講演料相当の利益供与を行った
――という疑惑は、十分に成立しえるのではないかと思います。
ジャパンライフが、あれほど酷い詐欺行為を半世紀近くにもわたって続けられたのは、政治家との親密な関係があったからだと言われています。
それと同じようなことを行えるだけの政治力を少なくともCCCはもっているのではないか。
そう考えてもおかしくないようなことが行われていたわけです。
【※1】【2020年9月23日追記】その後の調査によって、西村氏が内閣府副大臣だったのは「2012年12月~2015年10月」までであったことが判明しました。これにより、西村氏が消費者庁に直接の職務権限を持っていた期間と、TSUTAYAの景品表示法違反の認定期間である「2016年4月1日~2018年6月18日」とは重なる期間はなかったことが判明。しかしながら、西村氏が前・内閣府副大臣または首相特別補佐官としての地位を利用して、消費者庁に対してなんらかの影響力を及ぼしたのではないかとの疑惑は、依然として残ります。増田社長から講演料に相当する政治献金を受けておきながら、当時の政治資金収支報告書には、それについての記載がないことも「説明責任を果たしていない」とされるでしょう。
↓最近の記事
《2020年6月》
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《2020年3月》
●失業手当は在宅で受給できる? ●3年で公文書廃棄する都立高校 ●和歌山市・学校司書の請願は不採択 ●都立高校ピンハネ事件の核心 ●教育現場に忍び寄る“TSUTAYAの足音” ●和歌山市情報開示20年3月版 ●“辻褄合わせ”の破綻
《2020年2月》
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