2018年9月17日月曜日

どうして64億円も補助金が出るの?

このブログは、先日ビジネスジャーナルに発表しました以下の記事の背景を解説しています。


和歌山市、ツタヤ図書館に64億円税金投入…関連文書の情報開示請求に全面黒塗りで回答


今日は、来年開館予定の新しい和歌山市民図書館の建設計画についてまとめておきます。


20155月発表 南海和歌山市駅活性化構想

新図書館建設のスタートラインがこれです。

当時の新聞報道によりますと、

南海和歌山ビルで営業していた高島屋が20148月に閉店。その周辺の活性化について、南海電鉄と和歌山市が協議した結果、駅ビルと駅舎を建て直す計画を立てたのが「南海和歌山市駅活性化構想」です。

計画概要は、以下の通りです。


(1)現在の駅ビルは取り壊し、跡地に建てる4階建てのビルに市民図書館を移転させる

(2)隣接地に、ホテルや商業施設も入る7階建て延べ6000平米のオフィスビルを建てる
(3)そのほか駐車場、駐輪場、駅前広場なども同時に整備する

和歌山市発表資料より
なぜ図書館が主役になったのか?

ここまで読まれて、なんかこの計画ってヘンだなぁと感じませんか?

そもそもデパート撤退後のさびれた駅前を活性化するにはどうしたらよいかを、和歌山市は、南海電鉄と熱心に話しあっていたはず。

だとしたら、

華やかなショップが数多く立ち並ぶ商業ビルを建てるとか、USJばりの人気レジャー施設を誘致するとか、ブロードウェイなど本場のミュージカルが常時みれる劇場をつくるとかという話でしたら、わからなくもないんですが、よりによって、その中心に公共図書館をもってくるというんですから、なんかしっくりいかないですよね。

本来、駅ビルを建替えて、ついでにホテルや店舗も入るオフィスビルを建てるのが計画の柱なので、図書館は、その計画のオマケみたいなものではないかと思われた人もいるでしょう。



しかし「南海和歌山市駅活性化構想」についての和歌山市の発表資料をみてみると「構想の目的」のところに、いきなり「市民図書館の市駅への移転」が挙げられていて、明らかにこのプロジェクトの主役として図書館が位置づけられていることがわかります。


いったい、なぜか。この謎を解くキーワードが「補助金」です。


補助金めあての中心拠点誘導施設?


南海電鉄が一民間企業として駅前再開発プロジェクトを推進するというのでしたら、公共交通機関への多少の補助はあったにしても、その不動産開発事業に巨額の公金が支出されることはないはずです。

ところが、南海が市・県と協議してこのプロジェクトでめざしていたのは国の「社会資本総合整備計画」の認定を受けることでした。

「社会資本総合整備計画」とは、国交省が行なっている事業で、そのなかに中心市街地活性化を目的とした事業(都市再生整備計画)があります。さびれた駅前に活気を取り戻そうというものですね。

その事業の必須施設が「中心拠点誘導施設」です。これは、医療施設、社会福祉施設、教育文化施設などですが、目標にする駅前の賑わいを取り戻すためには、集客力のある施設でないと困ります。

そこで、「社会資本総合整備計画」の主役に、いきなり躍り出たのが図書館でした。

つまり、これら公共施設を計画に入れないと、補助金は1円ももらえません。

そして、公共施設のなかでもいちばん集客力がありそうなのが図書館だったというわけです。



国交省「社会資本総合整備計画」リーフレットより


64億円は、こうして決まった

こうして2015年に総事業費123億円にのぼる南海和歌山市駅の再開発プロジェクトがスタート

2016年には、国交省の「社会資本総合整備計画」の認定を受けて、国の補助金だけで32億円を獲得することに成功しています

それに追随する形で和歌山市が18億円、和歌山県が14億円の補助金を、それぞれ出すことを決めていて、南海電鉄は、総額64億円もの補助金がもらえるようになったという経緯です。

しつこいようですが、このプロジェクトの最大の目玉は、新しい市民図書館です。もしこれ計画になければ補助金は1円も出ません。

そして、このプロジェクトを公表するときに、和歌山市も南海電鉄も、常に全面に押し出されているのが「新しい市民図書館建設計画」です。

つまり、図書館は巨額補助金をもらうためのダシに使われたと言えるわけです。

さらに言えば、南海電鉄はじめ関係者の念頭にあったのは、当時「年間100万人が訪れた図書館」(実際には90万人以下)と派手に宣伝していた佐賀県武雄市のTSUTAYA図書館・第1号」の存在があったであろうことは、想像に難くありません。

実際に、地元金融機関の機関誌に南海電鉄の重役がこのプロジェクトについて寄稿している記事中に、以下のような記述があることを付け加えておきます。

「他都市では、公立の図書館に民間の運営ノウハウを導入することで賑わい作りに成功している例があると聞いておりますので、弊社としても大変期待しているところです」






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