2018年9月23日日曜日

海老名市議会でCCC継続決定がバレた理由

こんにちは、日向です。

昨日、海老名市ツタヤ図書館の関連で、興味深いニュースがひとつ飛び込んできましたので、今日は、急遽その件について書いておきます。

2015年10月、武雄市に続く二番目のツタヤ図書館としてリニューアルオープンした海老名市立図書館の指定管理者に、どうやらこれまで通り、CCCとTRCのJVの継続がほぼ決定したとの情報が入ってきました。

●今後CCCと組むことはない

海老名市立図書館の指定管理者は、TSUTAYAのCCCと業界最大手のTRC(図書館流通センター)のJV(共同事業体)です。

3年前、同館の新装開館直後、TRCが、突然「CCCとの提携を解消する」と発表したのを覚えておられる方も多いいのではないかと思います。CCCのあまりにも杜撰な図書館運営に業を煮やしたTRC幹部が公然とCCC批判し始め、ついには「思想が違う」とまで言及して三行半をつきつけた格好でした。

このときは内野市長のとりなしで、なんとかTRCは矛を収めて提携継続しましたが、TRCの石井社長は、

「今後CCCと組むことはない」と、将来の離脱を宣言していました。

指定管理期間満了を来年3月に控えて、翌月4月からの新しい指定管理者の公募が現在行なわれているのですが、

そうなると、誰もが気になるのがそのこと。「今度こそTRCは、提携解消して、単独で指定管理者に応募してくるのでは?」との憶測が流れていました。

●CCC継続が事実上決定

そんななか、9月19日の議会質疑のなかで、

図書館の指定管理者の公募に何社応募しているかを聞かれた教育部次長が「一事業体のみ」と正式に回答したのです。

TRCがJV離脱して、単独応募するのならば「一事業体のみ」にはなりません。そのことから、これまで通り「CCC・TRCのJV継続が事実上決定」したことが判明したわけです。

この情報は、瞬く間にネット上を駆け巡りました。

ただし、今回の募集では、公民館のリニューアルの設計提案事業者と共同事業体での応募も条件に挙げていたことから、

TRCは離脱して、CCCと設計事業者との共同事業体が応募した可能性も残っている。

そう考える人もいるかもしれませんが、現実問題として、その可能性はほとんどありません。

●TRCも最善の策

なぜならば、まず第一に、TRCが自社は単独応募もせずに、ただ黙ってJVを離脱するのは、なんのメリットもないからです。

ある図書館関係者は、こう話します。

「TRCのとりうる最良の方法は、屈辱的ではありますが、TRCのために動いてくれる市の幹部や議員を通じて、JVを崩さないように働きかけることです。それは、市としても望むことなので、CCCに働きかけてJVの継続を画策したと思います。

『なぜ、JVを解消しなかったのか』という問いかけには、「市から続けてほしいという話があったとTRCは答えるでしょう。CCC単独で大丈夫かと、市は思っていますから」

この仮説をある関係者にぶつけたところ、アッサリ裏が取れました。

●出来レースの匂いに敏感

もうひとつの疑問は、今回、海老名市が行なった図書館指定管理者の公募に、どうして他社が応募してこなかったのかという点でしょう。

ちなみに、市が開催した説明会には6社が参加したとのことですので、そのうち2、3社が応募してもおかしくないと思われるかもしれません。

私がウォッチしている範囲では、最近の傾向として「出来レースの匂いのする案件には、ほとんどの事業者はまず応募してこない」ことが挙げられます。

応募するにあたってプロポーザル一式を書くにも、それなりのコストがかかります。事業者が雇用しているスタッフのなかで、プロポーザルが書ける人材は限られています。

戦力として現場を統括しているその幹部スタッフを何ヶ月も応募作業専念させたあげく、仕事が取れなかったら大損です。なので、取れそうもないと判断したところには、まず応募してきません。

役所側から、応募してくれるようアプローチしているケースもあると聞きます。

図書館の指定管理は、良心的に取り組もうとしたら儲からないのでCCCには勝てないのではとの指摘もありましたが、私の認識では、図書館の指定管理者で、良心的なところは一社もみあたりません。


いずれにしろ、CCC・TRC体制の継続が事実上決定したわけですが、海老名の市議会は、決して積極的「CCC推し」議員が大勢を占めているわけではありません。正式決定される12月議会までには、おそらく、まだ一波乱もニ波乱もあるでょう。


なお、この件の背景については、7月に書いた以下の拙稿に詳しいので、もしよろしければ、こちらをお読みください。


不祥事続出で有名なツタヤ図書館、海老名市が議論抜きで今後5年の委託継続決定か?




海老名市ツタヤ図書館不祥事・疑惑一覧
20159
開館直前、購入予定の選書リスト約8000冊中、4000冊近くが「料理本」判明

選書リスト中に、タジン鍋、おろし金、メガネ拭きなどが混入、またアジアの風俗ガイド本など不適切な図書もみつかる

新装開館前日の記者会見で、中央図書館の館長を務める高橋聡氏が「武雄市図書館の時、僕たちはド素人でした」と告白して世間をアッと驚かせる
201510
平成26年度図書購入費3億9千万円のうち未購入残金9千万がCCCからが海老名市に返却されていないことが発覚(予算未執行

CCC独自のライフスタイル分類による図書の配架が話題になり、職員すらどこになにがあるのかわからず大混乱に陥

『旧約聖書出エジプト記』や『カラマーゾフの兄弟』が「旅行」に分類されていることがネット上で話題になり、利用者からは「本を探しにくい」と批判が集中した

共同で市立図書館を運営していたTRC企業理念が異なるのでCCCとは一緒に仕事できない海老名からは撤退するとJV離脱を表明

市長の仲介で、TRC離脱表明撤回するも「今後は一緒にやらない」と社長コメント

蔦屋書店、スタックスの年間賃料は3,293,580と、世間相場の半額以下の激安であることが判明し、その決定が不透明と批判される
201511
指定管理者の応募資格だった個人情報保護の規格であるプライバシーマークをCCC密に返上していたことが発覚
201512
指定管理でコスト削減と言われていたが、運営費は1.6億円から3.3億円と倍増していることが議会答弁等で判明

CCC・TRC共同事業体との海老名市立図書館の基本協定解約と、市長へ5億円の損害賠償請求することを求めて市民団体が横浜地裁に提訴

図書館サイトのイベント案内ページの画像を他社サイトから盗用していたことが発覚。文章も、生活総合情報サイトに掲載された記事から無断転用していた
20161
図書館でTカード機能付貸出カードを作ったら、知らない会社からDMが送られてきたとのツイートを発端に、CCC管理によって個人情報が図書館の外に流失しているのではとの疑惑が浮上
2016年4月
海老名市民が来館者データの情報開示請求したところ、201621日の来館者数が4303人で、大混雑した新装開館日よりも多い数字が報告されていたことから、来館者数カウントで不正が行われているのではとの疑惑が浮上
20166
電気・水道のメーターが市立中央図書館と、目的外使用部分(スタバ、蔦屋書店)が別契約になっていないことが判明。「82の割合で支払っている」と市教委答弁するも、市民の税金で民業部分の経費を一部負担しているのではとの疑惑が浮上
20169
カフェと書店の賃料が相場の10分の1、固定資産評価が図書館新築時30年前の評価で算定してい。海老名市財産規則13条(価格の再評価)違反を指摘される

図書館のホームページのデザインが多賀城市・高梁市のHPと同じであることが基本協定書28条3(物品の帰属)に違反と指摘される

中央図書館長が、CCC図書館カンパニー社長を兼職している行為図書館法13条の2に違反と指摘される
20186
CCC運営の中央図書館において司書の有資格率が48.8%と、50%割り込んでいることが判明。協定書第9条違反を指摘される



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