2019年8月17日土曜日

いまさら人に聞けない 「偽装請負」って何?

こんにちは、日向です。

CCCが和歌山市で、学校図書館の運営まで受託しようしている件に関連して、数年前に、東京都立高校で起きた偽装請負事件について、何回かに分けてレポートしてきました。

学校図書館の運営を民間に委託した場合、ごく普通に業務を行っていても、現行制度では、さまざまな法的な規制がかかってしまいます。

受託企業から派遣された司書は、

派遣先の担当教師等とも当然、日々打ち合わせしたりするものですが、「業務委託」という形態では、派遣先の指示命令の下で、委託スタッフが働くことは固く禁じられてています。当然、担当教師や校長との打ち合わせも厳禁です。

そういうことがしたいのならば、人材派遣会社に依頼して、専門スタッフの派遣を依頼するしかありません。(もちろん、直接雇用であれば、非常勤でも問題ありません)

ただし、学校図書館運営は、臨時的な業務ではありませんので、その運営を、助っ人の派遣スタッフに丸投げすることもできません。

ところが、現実には、この“派遣”と同じことを、業務委託で行う違法行為があとをたちません。それも民間企業ならいざしらず、公務で、しかも学校という教育現場で違法な行為が堂々と行われていることが次第にわかってきました。


厳格な要件を満たした場合に限って特別に許されている労働者派遣事業に該当する行為を、事前の許可なしに行うことを

偽装請負

と呼んでいます。

派遣に偽装した請負という意味です。かつては、「偽装派遣」なんていう言い方をしていた時代もありましたが、いまは、ほぼこの言葉で統一されています。

自社のスタッフをクライアントに派遣する企業は、労働者派遣事業を行う免許を取得して、国が定めた細かい要件を常に満たしていなければなりませんが、

業務委託ですと、そうした縛りは一切ありません。細かいことは気にせずに、クライアントは、完遂してほしい業務をまるごと任せられます。

ただし、あくまで完成品を納入するのが業務委託ですから、何人の人員を派遣してほしいとか、ほかの人に変えてほしいとか、現場で自社社員が直接指示して、こちらの望む通りに動いてもらうなんてことはできません。そのへんのことが守れないと「偽装請負」と指弾されかねないわけです。

現行の労働法では、もし偽装請負と認定されれば、職業安定法違反、労基法違反等によって、懲役や罰金などの刑事罰も課せられるほど厳しい規定になっています。


2015年7月に東京都立高校が東京労働局から調査を受けていたことが判明。都立高校が学校図書館の運営を委託していた企業の行為が偽装請負と認定され、都に対して是正指導書が出された。



ややこしいからスルー


さて、ここまで読まれただけでも、みなさん、「ややこしすぎて、かなわんな」と感じられたはず。

実は、その「ややこしい」と思うしくみにこそ、偽装請負という違法行為が蔓延してしまうひとつの秘密が隠されているのです。

「ややこしい」ので、世間の多くの人は、その行為がどれだけ被害者を生んで、どれだけ社会的な損失をもたらすかが、いまひとつピンときません。

「どこでもやっていること」「些細なこと」「好きなときに働けるので、働く人にとっても便利なシステム」


なんてみなさんが思うものですから、世間の関心はなかなか高まらず、労基署等の指導等も勢い、緩くならざるを得ません。

かつては、悪質な事例でなければ、摘発されることもありませんでしたが、2000年代に入ると、ありとあらゆる分野で、労働者に寄生虫のように吸い付いて暴利をむさぼるピンハネ業者が蔓延るようになっていったのです。

このへんの話は、過去の経緯が頭に入っていないと、なかなかスンナリ頭に入ってきませんので、次回から、テキストを用いて、偽装請負が蔓延っていく現場について詳しく解説していきたいと思います。

なお、事前にひとつだけ予備知識として頭に入れておいていただきたいのは、以下の点です。

・公共施設の運営を丸ごと民間企業に任せるしくみのことを「指定管理者制度」と呼ぶ。

公共図書館の指定管理者に選定された民間企業は、現場トップの館長職に自社スタッフを据え、職員全員が、受託企業所属スタッフである。

そのため、委託者(この場合は自治体)が、現場スタッフに直接指示命令を出す偽装請負の問題が起きる恐れは、ほとんどない

・これに対して、図書館の貸出・返却等、利用者と直接応対するカウンター業務のみ民間企業に任せる形態を「一部委託」と呼ぶ。東京都立高校の偽装請負事件で問題になったのは、学校図書館の業務委託で後者に属する。

その場合、学校図書館の運営責任者であるトップは学校長であり、図書館の現場では、常に委託者の担当教師と混在した労働となるため、派遣に偽装した請負(偽装請負)に陥りやすい。もちろん違法認定されれば、受託企業だけでなく、発注者サイドも罰せられる。

和歌山市で、CCCが行うのは、新しい市立図書館の指定管理者としての管理運営業務なのですが、それとはまったく別に、密かに学校図書館への司書派遣業務もCCCが受託しているとの疑惑が持ち上がってきました。こちらは、指定管理ではなく、業務請負です。そのため、偽装請負になるリスクが危惧されています。


“7.31ショック”につづく


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