2019年7月20日土曜日

赤信号、みんなで渡れば怖くない

こんにちは、日向です。

先日から続けて何回かにわたって、レポートしてきました東京都立高校の偽装請負の件、

昨日も、関係者の方に取材してきました。

詳細は、これから少しずつ明らかにしていきたいと思います。

驚いたのが、当時、この事件について新聞報道等がほぼ皆無だったという事実です。

教育現場に、国の機関が調査に入って、正式に違法認定までされたという、文字通り前代未聞の事件であるにもかかわらず、世間的にはもまったくなかったことにされているのが、恐ろしいと思いました。

なので、当然、この事件に関与した事業者はもちろん、校長、教育委員会の担当部署が責任を問われることは一切なく、何事もなかったかのように、同じ事業者を使って都立高校への司書配置事業が進められているのです。

こういう世界に、和歌山市では、あのTSUTAYAの本部・CCCが、まったくなんの議論もなく、市民図書館のオマケで入り込もうとしているのですから、結果はどうなるのかは、もう見えているような気がしました。




先日から何度も書いてきているのですが、この事件の本質は、労基法6条違反です。



何人も、法律に基づいて許される場合の外、業として他人の就業に介入して利益を得てはならない。【1】


何言ってんの、いま、派遣だって普通にやってるじゃん。そう思われるかもしれませんので、先日書いた記事をここでもう一度引用しておきます。



日本では、長らくこの原則が堅守されていたが、1980年代以降、一部の専門性の高い職種を対象に、厳格な要件を満たした事業者に限って、例外的に「他人の就業に介入して利益を得ること」が認められたのが労働者派遣事業だった。 

2000年代に入ると規制緩和の流れのなかで、派遣対象範囲がずるずると広げられてきたが、それでも無許可で派遣業を行うことは、厳格に禁止されてきた。労働行政をつかさどる厚労省としては、いくら規制緩和が進んだとしても、ここだけは譲れない最後の砦と言ってもいい。

厳格な要件を満たして認可された派遣業でもないのに、現場に派遣したスタッフを安易にクライアントの指揮命令下においてしまっては、 

労務者を集めて現場に送り出すことで、自らはなんの価値も生み出さないのに、賃金をピンハネしている手配師とまったく同じことをしていたことになる。

都立高校“ピンハネ事件”より



指示命令は前月20日までに


東京都では、偽装請負が労働局から認定される前から、仕様書や現場への通達によって、形式上は、完全に合法になるような枠組みを作成していたようです。


下をみてください。独自に入手した現場への注意文です。






これをみると、学校側が、委託会社の司書に何かを依頼したいときには、以下の手続きを踏まなければなりません。

・前月20日までに業務指示書を受託者に提出する
・受託者(現場司書ではなく、委託会社の業務責任者)訪問した際に理解を深めてもらう
・このとき、経営企画室職員が必ず同席して、仕様書の範囲内で行う


直接雇用の非常勤司書であれば、その場で簡単な打ち合わせをすればいいことでも、これだけの手続きを踏まないといけないわけです。

こんなこと現実的に守れるでしょうか?

ネット上で現役の学校司書の方による書き込みなどをみますと、


「学校図書館が民間委託になったら偽装請負になるから生徒指導(だか先生との打ち合わせだか)が出来なくなる、ロボット化する」はあらゆる意味でデマです」

という発言をされているなど、現場には周知されてないことがわかります。

現実問題として「現場で指示命令はしない」なんてことができるのでしょうか?

海老名では、協定で定められた職員の司書資格保有率5割を守れず、新任館長が「(司書資格は)いま取ってます」と答えたのを、ツイッターで「ソバ屋の出前か!」と突っ込まれた、あのコンプライアンス意識ガバガバのCCCに、そんなことができるでしょうか。

2019.07.16

海老名市のツタヤ図書館、館長が司書資格を持っていないと発覚…重大な契約違反の疑いも


もしできたとしたら、現場の司書と教師が下手に会話もできない窮屈な図書館になってしまいます。

都立高校の場合は、ただ派遣された司書の給与をピンハネしているだで、派遣免許を持たない「ピンハネ業者」がウハウハに儲かるだけのことです。

不祥事が起きたことすら、誰も知らないんですから、そうした教育現場が食い物にされる現状は、今後も確実に進行していくと思います。

では、また。

【1】労基法第6条に違反した場合、

1年以下の懲役又は50万円以下の罰金という重い罰則が科せられる。




激烈なダンピング屋 へつづく

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