2023年12月3日日曜日

『都立高校・学校図書館の闇』について緊急告知

 

んにちは、日向です。


大分前に書いた都立高校・学校図書館に関する記事へのアクセスがが突然急増していて、何事かと思ったら、こんな事件が起きていました。


東京都パスポートセンターで大量の個人情報が漏洩

11月24日、警視庁公安部は東京都豊島区にある池袋パスポートセンターに勤務していた中国籍の女を、窃盗容疑で書類送検した。

警視庁によると、容疑者はパスポートセンターの業務を受託する(株)エースシステム(東京・足立区)の契約社員として窓口で勤務していた。容疑者は、旅券申請者が提出した戸籍謄本や住民票をコピーしたり、窓口での対話を録音するなどの手段で、1920人分の個人情報を不正に入手した疑いがあるという。

https://news.yahoo.co.jp/articles/a97ffbaee46b5a95d3e60a3e4710e72111e0f4d7



この中国籍の契約社員を派遣していたのがエースシステムという会社だったことから、


私が当ブログ記事『都立高校・学校図書館の闇』としてレポートしていた記事がなぜかヒットしまして、「そんなにあやしい会社がパスポートセンターの仕事を受託するのはおかしい。なにか背景があるだろう」(契約は派遣ではなく委託ですが)ということで、拙稿が俄かに注目を集めていたということらしいんです。


私の記事が、非常にわかりにくいうえに、特定企業が都立高校の学校図書館を独占するなどという、常識ではありえないことから「この会社は怪しい」となりました。


中国からのスパイを送り込んで、日本で工作している会社ではないのか?


という話にまで広がってきておりました。


結論からいいますと、


私が調べていたエースシステムはじめその関連も含めた「光エス三社」には、そんな陰謀論めいたことに関与している可能性はほぼゼロです。


なぜならば、このグループ企業は、政治的にはバリバリの自民党系に属する会社であり、どちらかというと、このニュースを拡散している保守系の人たちと同じ立ち位置にいる人たちだからです。早い話が自民党の集票マシンですね。


役所の現場では、どこもそうらしいんですが、中国語ができる人がひとりでもいると、とても助かるらしいんですね。中国系の人が窓口に来たときに、スムースにコミニュケーションがとれるからです。なので、ただ単に、エースさんもそういう人を採用してただけなんでしょう。


じゃあ、なんでお前が書いてるみたいに、ここの関連が都立高校の学校図書館をかたっぱしから受託してるんだよ。おかしいだろ。東京都と癒着してるに決まってんだろうが!


そんな声が゛聞こえてきそうなので、簡単に私の認識をご説明しておきます。


●都立高校を席捲した“三種の神器”


光エス三社は、足立区を地盤に、いまや東京都全域で公務を受託するようになっていますが、それを可能にしているのは、「自民党系議員からの後押し」、「電子入札」、「業界内での話し合い」の“三種の神器”です。


まず新規に受託するためには、「今度からこういう仕事も外に出すみたいよ」と議員さんから情報提供してもらえると、他社に先がけて準備できます。実際の入札は、入札資格さえクリアしていれば、入札価格だけで決まります。そこに情実が入る余地は一切ありません。


なので、私がみてきた範囲では、このグループは異様に安い価格で入札、つまり、ダンピングするんですね。これ紙を入れるわけではなく、電子入札なので、社長か参謀がひとりで、東京都中の入札案件を研究して、これなら取れるという価格を入れれば、それだけで仕事はどんどん増えていくんです。


しかも、これ一社でやったらたいしたことなくても、次々と関連会社をつくっては、グループ企業で手分けして入札するようになると、都内全域にどんどん仕事を広げていけます。


えっ、そんなに仕事とってきても人が集まらない? いやいや、いいんですよ。落札してから募集すれば。もしまにあわなくても、大きなペナルティーはありません。採用できてからハケンすればいいんです。なので、現場では、不配置が日常的に起きてました。


都立高校・未配置事件


次に、そうこうしているうちに、おそらくですが、業者間で話し合いが待たれるようになったんだと思います。何社かいつも入れてくる会社は決まってますから。そこで違法な談合があったかどうかまではわかりませんが、なにか話し合いというかルールみたいなものは作られた可能性はあります。というのも、入札状況をみていたら、途中で辞退とか、あきらかにおかしな動きがときどきでてきますので。


で、都立高校の学校図書館の場合は、その後、不配置とかがあまりにも多いので、都教委内部で問題になりました。このときに、都の教育庁との間に誰か議会関係者が入ったかどうかまではわかりませんが、指導する都教委が一応は対策を講じてくるんですね。


具体的には、価格のみの落札から総合評価方式に変えたり、あとは総価契約から、人をハケンできた日数のみ委託費を払う単価契約に変えたりと、都教委サイドが不祥事対策を講じる頃には、光エス三社も、ある程度実績を積んでますし、業者間の話し合いもするようになってたでしょうから、ダンピングをやめても、これまでと同じように落札できるようになっていました。


逆にダンピングやめれば、委託費はどんどんあがっていき、利益率も高まっていきます。10年前からつい最近までは、図書館司書でも、最低賃金の募集でそこそこ人は集まりましたから。何により、いちばん大きかったのは、複数年契約でしょう。単年度ですと、毎年入札しなければなりませんが、複数年になると、一度落札したら最低でも3年は続けられます。その間に他の地域に、別会社でどんどん進出していけるんです。


そういう行動を、ありとあらゆる分野の公務で続けていくと、面白いように仕事は増えていったんだと思います。なにしろ、これは全国どこでもそうですが、バックに自民党の議員さん、関西なら維新の議員さんたちがいて、とにかく「民間にできることはすべて民間に任せろ!」という圧を国と一緒になってかけてきますから、黙っていても、年々役所の仕事は増え続けるんです。


よくパソナの例が指摘されますが、地場でも、ミニパソナは、そこいらじゅうにいて、公務、つまりは税金でどんどん潤うというとんでもないバカげたしくみがこの20年間に広がっていったんですね。その現象が、都立高校学校図書館という事例に如実に現われていたということなんだと思います。


あとは、議員さんがほんとうに口利きなんかするのかと思われるかもしれませんが、むかしみたいにその御礼で何パーか政界にキックバックすることもあるのかと疑問に思われるかもしれませんが、そこは、巧妙なカラクリがいろいろあるようです。


都立高校学校図書館問題では、受託とは正反対に、廃止に奔走した米川都議のプロセスをつぶさにみていきますと、相当、表には出てこなかった、都教委や都の契約関連部署との暗闘があったことがわかってますので、受託するときにも、なにか、橋渡しみたいな行為はあったのではと疑っています。


●デマを拡散する人たちの目的は?


今回、パスポートセンターでの個人情報漏洩事件では、エースシステムが受託していたことが判明して以来、ものすごい勢いでニュースが拡散されましたが、その源流をたどっていきますと、特定政党の関係者とおぼしき人と、あとは排外主義的な報道も平気でするメデイアにいきつきました。


外国系の人による犯罪が報道されるたびに、ネトウヨさんたちが「○○人ガー」と吹きあがって、炎上をしかけています。それをまたかいなぁと、見過ごしていると、2021年に起きたアメリカの連邦議会襲撃みたいな騒動に発展しかねないなぁと危惧しています。


私が追いかけてきた、都立高校学校図書館の問題は、あくまで「教育界に押し寄せる民間委託の波」という切り口で書いてきました。そこの核心にあるのは、コモン(=誰もが無料で利用できる社会の富)を政官財が一体となって金儲けの道具にしようとしている犯罪的行為に対する批判です。


改めて、そのことを、よく考えていただければ幸いです。


なお、都立高校学校図書館の民間委託は、2022年度末ですべて廃止になりました。



よろしくお願いいたします。


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