2023年11月17日金曜日

Tカード規約改定時に、なにもしなかった和歌山市

 

こんにちは、日向です。


本日は、和歌山市の担当部署とのやりとりのなかで、日本語がうまく通じなかった件について、できるだけ感情的にならないよう、事実だけを冷静に記録しておきたいと思います。


4/1から、図書館でTカード利用に関する規約が改定されていた件で、和歌山市はどのような検討をしたのかを知るために、


今年8月4日、和歌山市へ、Tカードの規約変更に関して以下のような情報開示申出を行いました。(詳しくは、Tポイントたまらないのに個人情報を搾取? 参照)







(1)2023年4月1日より改定された和歌山図書館でのTカード利用に関する規約(新規約)について、カルチュア・コンビニエンス・クラブより、改定日前に行われた情報提供及び事前通告の日時・内容・連絡手法がわかるもの(付随する電話メモ、電子メール、会議録、訪問・面談記録等も添付してください)


(2)新規約が、改定前の規約のどこがどう変更されたのかを、自ら詳細に分析・検討した結果がわかるもの→CCCから通告を受けただけで、自らは一切検討していない場合は、「不存在」を出してください


(3)新規約の内容が、市民図書館でTカードを利用している者にとって個人情報が意図せずに第三者へ渡るリスクは一切ない等として、“CCCが適切に運用している”と評価した根拠及びその評価プロセスがわかるもの


(4)新規約において“図書館からTカード番号及びID紐付登録の申込年月日”を取得するMKHDが、そのような行為を行える法的根拠がわかるもの(MKHDとの直接契約であれば、その契約までのプロセスがわかるもの、CCCからの再委託であれば、その経緯がわかるもの及びそれに関連した決裁文書)


 ちょとややこしいんですけど、要するに、CCCが勝手にTカードの規約を大幅に改定した内容について、和歌山市は、市民の大切な個人情報を守るために、ちゃんと精査して、もしリスクがあるとすれば、事前にCCCに改善を要求するなどのことを行なったのかということを知るために、関連文書を出してくださいという申出です。


表現がしつこくなっているのは、電話等で質問をしても、まったくラチがあかないといいますか、のらりくらりされて、ちゃんと答えてくれなかったためです。


これほど重要な規約改定ですから、当然、こういう検討はされましたよね、もしされていないのでしたら、何もしませんでしたということがわかる文書を出してください


という詰め方をしているので、このような、しつこい表現になっています。



この開示申出について、本日、ようやく開示文書が届きました。8/3に申出をして、3か月以上かかっているわけですが、それについては、私が手数料と郵送料の手続きを迅速にしなかったことも影響していますので、特に不満を述べるつもりはありません。


問題は、開示された資料の中身です。以下をみてください。














和歌山市民図書館の指定管理に係る基本協定書2018年3月30日




最後の基本協定書は、全21ページあるものの表紙だけ貼り付けました(全文はこちら→和歌山市民図書館の指定管理に係る基本協定書2018年3月30日)が、あとの3本の資料は、これがすべでです。


簡単にいいますと、まず1が、CCCから「Tポイントの運営会社がTポイントジャパンからHDMKに変わりますよ」という一方的な通知、そして、2は改定前の規約3枚、3は改定後の規約3枚、最後にCCCが指定管理を始めるときに交わした基本協定書が21枚


これが開示文書のすべでてす。


私の請求文と突き合わせてみましょう。


(1)2023年4月1日より改定された和歌山図書館でのTカード利用に関する規約(新規約)について、カルチュア・コンビニエンス・クラブより、改定日前に行われた情報提供及び事前通告の日時・内容・連絡手法がわかるもの(付随する電話メモ、電子メール、会議録、訪問・面談記録等も添付してください)

              ↓

CCCから「Tポイントの運営会社がTポイントジャパンからHDMKに変わりますよ」という一方的な通知



(2)新規約が、改定前の規約のどこがどう変更されたのかを、自ら詳細に分析・検討した結果がわかるもの→CCCから通告を受けただけで、自らは一切検討していない場合は、「不存在」を出してください

              ↓

            改定前の規約3枚


(3)新規約の内容が、市民図書館でTカードを利用している者にとって個人情報が意図せずに第三者へ渡るリスクは一切ない等として、“CCCが適切に運用している”と評価した根拠及びその評価プロセスがわかるもの

              ↓

            改定後の規約3枚


(4)新規約において“図書館からTカード番号及びID紐付登録の申込年月日”を取得するMKHDが、そのような行為を行える法的根拠がわかるもの(MKHDとの直接契約であれば、その契約までのプロセスがわかるもの、CCCからの再委託であれば、その経緯がわかるもの及びそれに関連した決裁文書)

              ↓

     CCCが指定管理を始めるときに交わした基本協定書



 日本語がまともに通じていないやりとりになっています。かろうじて、1のCCCからの通知だけは、4月1日の改定前に、こういう文書がCCCから送られてはていたことはわかりますが、あとは、和歌山市がCCCのTカード規約変更に関して、独自に検討したものは一切ありませんでした。


自らは一切検討していない場合は、「不存在」を出してください、


とした私の申出に関しても、完全に無視しています。




開示決定書をみてください。








CCCから提供されたペーパーと、CCCと締結した基本協定書を示して、


大丈夫です。私たちは、ちゃんと指定管理者の行為について、おかしなことをしないようにしっかりと監視して、市民の大切な個人情報を守っています


そう思う市民はいるのでしょうか? 私はいないと思います。要するに、CCCから渡されたペーパーを読みましたよというだけで協議すらしていないことが、これで明確になったと思います。



お前は、いまさらなんで、こんなことにこだわっているんだ


と思われたかもしれませんが、


やはり、心配なのが、CCCの経営危機です。


今年6月、Tポイントカードが、smbc三井住友のVカードとの統合を発表したことで、一服した感のあるCCCの経営危機ですが、その少し前までは、海外のファンドに買収されるのではないのかという、まことしやかなウワサが流れるほどでした。図書館でTカードを採用してしまったツタヤ図書館誘致自治体にとっては、もし、役所がお墨付きを与えたTカードの個人情報が、わけのわからないファンドの手に渡るようなことがあれば、いったいどうなるんだろうと不安に思いましたね。


図書館の利用と紐づいている個人情報が流出すると、貸出履歴までは記録していないにしても、とんでもないようなリストが作成されて悪用されるのではないのかなんていう不安も出てきてしまいますが、そういうことにツタヤ誘致自治体は、まるで無関心といいますか、鈍感といいますか、無責任といいますか、クライアントとして絶対的な優位にあるはずなのに、企業からただ言われるままに受け入れるしかないのは、ほんとうにおかしいと思います。


そう思って、和歌山市にTカードの規約改定についての情報開示をお願いしておりましたが、結局は、なんの成果もありませんでした。


もう少し危機感を持っていただけるようにと思って、しつこく質問や情報開示申出をしてきましたが、それもかないませんでした。これ以上は、なにもすることができません。これ以上なにか言えば、クレーマー扱いされるだけです。私の力不足を、ただ痛感するばかりです。



なお、CCCの経営危機については、7月の記事に書いた部分をまるごと引用しておきます。


2023年7月3日月曜日

宇部市が再度CCC選定!~知の基盤が破壊される自治体の危機~より


さて、そうしたなかで、3年前には、夢にも思わなかった事態を、いまCCCが迎えています。


下の表をみてください。これが最近発表されたCCC単体の決算です。TSUTAYAの大量閉店でも、いまだに売上が700億円もあってスゴイと思われるかもしれませんが、注目したいのは営業利益(本業の儲け)が13億円しかないことです。




株式会社トップカルチャー・上場の親会社等の決算に関するお知らせ

 より




少し前に、CCC本体の経営が危ないらしい、公共施設部門を除く、すべての事業が赤字らしい。単体では営業利益は二桁(10億円単位)赤字、会長の資産売却してなんとかかんとか13億を確保、TSUTAYAだけでなく、新業態のT-SITEも閑古鳥が鳴いていて、一部もうすぐ閉鎖するらしい、との情報をキャッチしていました。


こういう情報というのは、なかなか裏が取れないので、安易に書き飛ばせないのですが、今回、CCC単体の決算をみて、その情報の通りになっていて、かなり信ぴょう性が高いことがわかりました。


いまCCC運営の公共施設は9館(うち図書館は7館)あります。指定管理料は、年間で1.6億から3.5億円くらいですが、そこに付随しているスタバと蔦屋書店(丸亀と宇城は蔦屋なし)が年間1~2億円の売上があるとされていて、そちらのほうは賃料激安などかなり利益率が高いとみられていますから、少なくとも公共施設部門だけでもCCC単体の営業利益13億円くらいはあるでしょう。それを引いたら、CCC単体の事業はすべて赤字であることがわかります。つまり、CCC経営危機の情報はかなり精度が高いとみていいかと思いました。


頼みの綱だった海外部門も赤字だそうで、ここ数年は社員の賞与カット、給与も1/3の社員はカットされて、優秀な人が次々と辞めていく一方、役員層は新社長の取り巻きで固められているそうです。


最近発表された、CCCが紀伊國屋や日販との書店流通に関する新会社設立なるニュースについても、社員をリストラする金がなくて、転籍させてやめてもらう作戦ではないかと社内で噂になっているほどだそうで、これについては、社内への説明もなく、プレスリリースで知るなんてバカにしてるという声があがっているとか。



そういうことからすれば、先日発表のあった、Tポイントとsmbc(三井住友)のVポイントが統合して、Vポイントになり、Tポイントの名前が消えることになった件も、「名を捨てて実を取った」などと報じられているのは、真っ赤なウソで、もしものときの混乱が広がらないよう、Tポイントをsmbcが飲み込んだだけではないのかという見方もある程度信ぴょう性が出てきます。


来年からの図書館の指定管理者を選定している和歌山市も含めて、行政サイドは、そうした、もしもときにはどうするのかという危機管理の発想はまるでなく、どんなにボラれても賑わい創出したことにしてくれるCCCさんでなければというスタンスなのですから、これはいずれ痛い目にあうのは必至でしょう。


【11/19修正】

開示資料の画像が、改定前の規約と改定後の規約ともに、2枚目と3枚目が抜けていましたので、さきほど追加した。また開示文書の順番も間違っていましたので、その点も修正しました。たいへん失礼しました。


【11/19追記】

2023年4月1日行われた、Tカードでの和歌山市民図書館利用に関する規約の変更がどのようなものだったのかを、snsでのウォッチャーの方の指摘を基に整理しておきます。


まず、3/31時点での、"Tカードでの和歌山市民図書館利用に関する規約" はこのようになっていました。





“CCCは、本条第1項に基づき図書館から取得した個人情報を、CCCの連結対象会社もしくは持分法適用会社及びTポイントプログラム参加企業を含む第三者に対し提供することはありません”


――となっている点に注目してください。主語はCCCになっていて、CCCは、外部の企業はもちろん、身内の子会社にも、図書館から取得した個人情報を提供しませんと断言してます。


ところが、今年4月1日の改定版では、このようになっていました。




“1.MKHDは、ID紐付登録を行い、管理する目的のために、図書館からTカード番号及びID紐付登録の申込年月日のみ取得します”


 主語がいきなり、“MKHD”となっていて、これまでCCC本体が担っていた個人情報の管理主体が、子会社のMKHDに移管されていました。


あれっ、「 身内の子会社にも、図書館から取得した個人情報を提供」しないんじゃあなかったっけ? そう思いますよね。


今回の開示によって、CCCは、“2月吉日”の日付で、一方的に、こう通告していたことがわかりました。


――T会員データベースの管理・運営は、CCCからMKHDに継承させることを予定しております。





そのことについて事前に和歌山市と協議した形跡はみあたりませんでしたので、和歌山市はただこの文書を受け取って、読んだだけということになります。この文書に対して、和歌山市はCCCに「了解しましました」とか「受け取りました」とかいう返信すらしていないのかな?という指摘がsnsでありました。


もしそうだとしたら、とんでもなく無責任ですよね。



隠された問題も、まだたくさん潜んでいます。改定後の規約を以下に引用しておきます。


第3条(個人情報の取り扱い)

1.MKHDは、ID紐付登録を行い、管理する目的のために、図書館からTカード番号及びID紐付登録の申込年月日のみ取得します。

2.MKHDは、資料の貸出履歴情報等の前項に定める情報以外の情報は、図書館から取得しません

3.MKHDは、第1項に基づき図書館から取得した個人情報を、CCC及びCCCの連結対象会社もしくは持分法適用会社及びTポイントプログラム参加企業を含む第三者に対し提供することはありません。

4.ID紐付会員の個人情報は、個人情報の取扱いに関する法令、国が定める指針、その他規範を遵守し、MKHDが厳重に管理します


MKHDは、 “図書館からTカード番号及びID紐付登録の申込年月日のみ取得”となっていますが、自動貸出の利用者にポイントを付与する武雄市と高梁市では、Tポイントを付与するためには、Tカードを利用した日時・場所も当然、MKHDへ送信されることになります。


自動貸出機を利用してもTポイントがつかない和歌山市など他の自治体でも、同様に、Tカードを利用した日時・場所も、MKHDへ送信されているのでしょうか? だとしたら、“MKHDはこれ以外を取得することはできません”というのは、ウソということになってしまいます。そのへんは、自治体が詳しく検証して協議しないことには、個人情報保護の安全性は確保できないと思うのですが…。





自動貸出機の利用者には、一日3Tポイントが付与される高梁市のケース。図書館の貸出時にTポイントが付与されるために、図書館の外部である、TPJ(Tポイントジャパン)へ図書館利用の事実に関するデータ(利用日時と場所)を送信していることがわかる。このTポイントジャパンが、今回、組織編成によって“HDMK”となった
ツタヤ図書館、市が否定した利用者へのTポイント付与を実施…税金でCCCへの利益供与に該当か より





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