2025年7月31日木曜日

続々とツタヤ化する自治体一覧~名古屋と横浜も危ない~

 

こんにちは、日向です。


先日、突如はじめましたBJ記事のアーカイブですが、



いまさら、そんな昔の記事を保存しておかなくても、もう落ち目のCCCという会社には自治体を落とす力なんてないのに


そう思われた方も多いのではないかと思います。


しかし、現実は違います。


ツタヤ図書館ウォッチャーの方が、いまもCCCが関与している全国の自治体の動向を丹念に追って、そのつど経過をsnsで発信されています。それをみていると、CCCが受託する案件は決して減ってなんかないことがよくわかります。


2020年以降、コロナ禍と建築資材と人件費高騰によって、一部計画が大幅に遅延したケースはあるものの、受託案件そのものは着実に積み上げてきており、そのほとんどが例によって事業者の選定プロセスがとんでもなく不透明なんですよ。


まあ、政治家案件だったり、どうしてもCCCにしないといけない、なにか特殊な事情があるのか、事前に構想や計画が広く市民に周知されたうえで、パブコメなどによって市民の声を聞くという、まっとうな手法ではなく、先になにがなんでもCCCに任せることが結論が決まっていて、それに合わせて構想や計画を整えたのではないのか、そう疑われるケースばかりなんですよ。


まずは、下の表をみてください。







昨春以降に、CCC運営でオープンする公共施設を一覧にしたのがこれです。


昨年4月には、すでに薩摩川内市のセンノオトがオープン。この3月には、福島県大熊町の産業交流施設と商業施設がオープン(BGタイズCCC共同事業体として受託)しています。


この後、10月には、2021年に決定して、その危うい選定プロセスをさんざんBJに書いてきた沖縄読谷村の総合情報センターがいよいよオープン。また、一度は議会で否決されたCCC運営の複合施設計画が、しがらみのない新市長に交代後、なぜか中古建物改修から建物の新築に変わって、ゾンビのようにCCCが蘇った(共同事業体として参画)山口県宇部市の複合施設も2026年秋にオープン予定となっています。


その下には、2020年から、BJと当ブログにその選定プロセスのおかしさをレポートしました大阪府門真市の複合施設が来春オープンします。


このあたりは、わりとよく知られていますが、問題はこの後です。



2027年春には、福島県白河市が、市民交流スペースを備えた生涯学習センターを整備して、その運営をCCCに任せることになっています。翌年の2028年度には、当ブログで取り上げている香川県坂出市のほかにも、岐阜県瑞浪市、静岡県富士市の新規オープンが予定されています。坂出市だけは図書館ですが、瑞浪市も富士市も市民センターを備えた複合施設です。


興味深いのは、白河市も富士市も、なぜか、施設の運営者を選定する前に、開業準備・運営企画支援等業務業務を担当する事業者としてCCCを選定した際に、「本業務の受託者には運営業務を発注する」と仕様書に明記していることです。


両市とも、その点の説明を求めると、「運営者は別に公募して選定する」と言ってるのですが、実際には、前段階のオマケ業務を受託したら、本体もついてくるみたいなおかしなことをしているんですね。こんなの、完全に違法でしょう。


まぁ、そういう経緯をみていたら、もうガチで応募してくる他社もいないでしょうから、CCCが準備業務を受託した瞬間に、運営も(場合によってはその前の設計も)CCCになるように、画策されている様子がみてとれるんです。


ほんとに、いつまでたっても、官製談合まがいの行為が横行していて、どうして市民の声を聞きながら、公平公正に事業者を選定するという当たり前のことができないんだろうと思いますね。



岐阜県瑞浪市の場合は、運営者を決める前の2023年11月に、社会教育の権限を教育委員会から市長部局に移管する手続きを行なっていて、市民とか専門家の意見をよく聞かないでも、市長の一存でなんでもできるような体制を整えていました。



このあたりは、先行する千葉県木更津市のケースが、ツタヤ誘致自治体の官製談合疑惑の典型ケースとして、これまでさんざん書いてきましたが、その木更津市は、新庁舎整備がゼネコンが辞退したことで計画のやり直しを余儀なくされています。それでもCCC選定は揺るぎないのでしょうか。木更津市内の別のエリアに建設予定の図書館もCCCに任せるのではとささやかれています。



「公共」に巣くうツタヤ



さて、ピーク時に1000店あったTSUTAYA店舗が三分の一まで激減し、2024年段階で、売上高が2019年の4分の1に、営業利益が2018年の60分の1にまで激減した瀕死のCCCですが、では、図書館や市民センターをはじめとした公共施設の運営に活路を見見いだせるのかというと、いくら自治体が一企業の養分になったところで、どこも規模は小さいですから、すぐにそれらが経営状態を改善できるほどの利益をもたらすとは思えません。


そういうなかで、今後、CCCが起死回生の策として乗り出してくるであろうエリアが大都市部です。


意外に思われるかもしれませんが、これまでツタヤ図書館とか、ツタヤ公民館と呼ばれるものは、県庁所在地である和歌山市を除くと、人口5万人~十数万人という小規模の自治体でした。大都市は、すでにあるTSUTAYAや、あるいは蔦屋書店、T-SITEが出店して、完全に民間店舗として出店する。一方で、人口の少ない地域については、民間店舗としてはうま味がないため、公共施設を受託することで運営費をもらいながら、激安でブックカフェを出店する戦略で展開してきました。


ところが、大都市部でもTSUTAYAが次々と閉店していくし、T-SITEもガラガラで閑古鳥がないている状態となれば、もう遠慮はいらないですよね。そう大都市でも公設ツタヤをつくればいいんです。


ここへきて、そのターゲットになっているのが、名古屋市と横浜市です。





まず名古屋市については、「(仮称)星が丘ボウル跡地プロジェクト」というのが進行しておりまして、すでにその計画エリア内に蔦屋書店が出店することが決まっているんです。民間企業(東山遊園株式会社)が地権者ですから、どこの事業者とコラボするかは市民に聞くことなく勝手に決められるわけです。ところがおかしなことに、事業エリア内に新図書館を併設する計画になっていて、こちらは、千種区・東区・守山区・名東区の4区の中核となる、名古屋市初の「アクティブライブラリー」が誕生する予定とアナウンスされているんです。


もちろん、運営者はこれから選定されるんですが、すでにエリア内に蔦屋書店が決まっているわけですから、ははーん、これ、密かにツタヤ図書館にしようとしているなと、名古屋市民の間では、ひところ大騒ぎになったほどでした。実際には、どうなるのかわかりませんが、賑わい創出型図書館とくれば、CCC選定を前提にして動いていると考えて身構えるのが自然です。



「(仮称)星が丘ボウル跡地プロジェクト」
星が丘グループ 東山遊園株式会社プレスリリースより




そして、もっと危ういのが横浜市です。横浜市には、2025年5月にCCCが東京・六本木から西区・みなとみらいに本社を移転したばかり。移転先の「横浜コネクトスクエア」には、CCCグループのCCCMKホールディングスやCCCライフパートナーズも移転しました。


日経新聞の報道によれば、CCCは、横浜移転によって5年間で6億2440万円の法人事業税が免除されるとか。そのタイミングで横浜市は「大型図書館を整備する」と発表。横浜市には、図書館は各区1館ずつの計18館しかなく、市民1人当たりの蔵書冊数は1・1冊(2022年度)で、政令指定都市では最も少なかったそうで、その状況を改善するために新図書館は必要。加えてグループ学習や談話、飲食などが可能な空間を備えた大型図書館を整備する計画というんですから、これは危ういです。


横浜市は、CCCに税金を免除したあげく、仕事まで用意するのか!


と憤慨する市民も続出。



同じ神奈川県で、武雄市につづく第二のツタヤ図書館として2015年にオープンした海老名市では、市民のCCC運営批判が激しかったことからすれば、もし横浜市でツタヤ図書館オープンとなれば「図書館戦争ふたたび!」となりかねません。いま行われている市長選挙の争点にはなっていませんが、現市長が再選されれば、横浜市のツタヤ図書館はかなり現実味を帯びるのではないでしょうか。


CCCにとっては、全国の大都市へ展開する起死回生の足がかりになるのは間違いありませんので、これは目が離せません。


あとは、完全な公設民営の施設だけでなく、公費が入りそうな民間施設の運営もCCCにとっては、生き残りのための貴重な活路になりそうです。


2024年に鹿児島県薩摩川内市に九州電力がオープン(市が土地を貸与)した市民交流施設「センノオト」の運営を受託したのがその典型例で、道の駅とか、地方のちょっとした賑わい施設に、CCCお得意のブックカフェや、都市部なら商業施設に、公的な補助金がらみでシェアラウンジを出店する例もゾクゾクと出てくるはずです。


センノオトや大熊町の産業交流施設などは、当然、電力会社による市民への広報活動を全面的に支援する形になりますので、ある意味“原発マネー”に巣くう戦略といえるかもしれません。


そんなわけで、いかに公共に寄生するかが、もしかしたら、CCCにとっての大きなテーマと言えるのではないかと思います。あなたの住む街にも、いずれCCCが密かに迫ってくるかもしれません。


今後も、CCCの動きからは目が離せません。





2025年8月1日追記】

ツタヤウォッチャーの方から、CCCが運営に参画が決まっている自治体としては、私がここに取り上げたところ以外にも、「岐阜県高山市、沖縄県うるま市、経済産業省内多目的スペースがあり、埼玉県春日部市と岩手県紫波町が計画・構想段階の業務を受託している」との情報提供をいただきました。後日、詳細わかりましたら、お知らせしたいと思います。



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