こんにちは、日向です。
昨日、私がBJに最初に書いたツタヤ図書館問題についての記事として、2015年12月に掲載された記事を再録しました。
ツタヤ図書館、ラーメン本購入し郷土資料を大量廃棄、小説『手紙』が「手紙の書き方」棚 (次々と消されていくツタヤ図書館批判記事・2015年12月)
これ最後まで読んで、あれっ? なんかヘンと思いませんでしたか?
そう、尻切れトンボなんですよ。行数の関係で、あまり長くならないよう、締めの言葉を省いた原稿もたまに書いていたかもしれませんが、それにしても、これは、いまいちしっくりこないなぁ。そう思って、当時、編集部に送ったメールを探してみたら、その理由がわかりました。
結論から言えば、これ前編・後編に分かれた記事で、その前編だったんですよ。12月8日と記事の左上に日付がありますが、おかしなことに、その日以降にあるはずの後編の原稿がみつかりません。
で、もう一度12月8日付けとして掲載された記事の原稿をみてみると、一本の原稿のなかに、しっかり後編部分も入っていました。
つまり、前回ご紹介した記事の掲載日だと思っていた12月8日は、このアーカイブがとられた時点での最終更新日。BJサイトのリリースはその前日の12月7日で、翌日の12月8日には、後編がリリースされているはずなんです。
そう思って魚拓を探してみましたら、ありました。以下のトタイルの記事が。
ツタヤ図書館の異常なビジネスモデル 激安賃料&書店併設のオイシすぎる商売
週刊東洋経済が行った増田宗昭社長(当時)の単独インタビューのなかのコメントを引き、この頃ようやくおぼろげながらみえてきた“ツタヤ図書館商法”のカラクリを解説する記事にしました。
このときに、CCC批判の傍証にさせていただいたのが、のちに海老名市を相手どって住民訴訟を起こした南室さんのブログでした。
南室さんは、蔦屋書店とスターバックスが海老名市に収めている賃料があまりに安すぎるという証拠資料をキッチリと開示請求によって入手していました。
この情報は、ツタヤ図書館ウォッチャーたちの間にまたたくまに広がっていきましたが、残念ながら、それが批判の的になるまでには発展しなかったように記憶しています。
当時の私のスタンスとしては、「ネット等で騒がれているツタヤ図書館問題を、わかりやすくまとめておこう」というものでした。
なので、この後、次第にツタヤ図書館の話題が沈静化していけば、この記事が最後になって、その後、ツタヤ図書館問題の「沼」にのめりこむこともなかったのですが…。
ということで、BJより、昨日のつづきの後編記事を以下に再録しておきます。
よろしくお願いいたします。

ツタヤ図書館の異常なビジネスモデル 激安賃料&書店併設のオイシすぎる商売
「あのね、CCCってオバケなんだよ」「海老名市立図書館 HP」より
「みんな見えない。見たことがない」
レンタルビデオチェーンTSUTAYAを展開するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)の増田宗昭社長は、「週刊東洋経済」(東洋経済新報社/10月31日号)のインタビューで、自社の既成概念にとらわれない新規事業展開をそう表現している。
同社が運営する公共図書館、通称「ツタヤ図書館」についても、いまだにその実態が一般市民には見えてこない。多くの人に見えているのは、公私混同のビジネスモデルだ。
すなわち、居心地のいいオシャレな「公」の図書館で客寄せをし、その客が「私」のカフェや書店・レンタル店でお金を落とす。しかも、その客の行動データは、図書館の貸し出しにも公式採用(利用者が希望した場合)されたTカードによって、もれなく収集する(ただし図書館の貸し出しデータについては、返却後破棄されることになっている)。
公共図書館の部門においては、開業時に改装費用を一部負担(武雄市の場合は総額7.5億円のうち3億円)するものの、公費によって運営する代行業のため、大きな赤字に陥るリスクはない。税金で商業施設レベルのハコモノをつくってもらい、「無料貸本屋」に客は殺到し、その周辺で儲けられるという皮算用だ。
ツタヤ図書館の収益構造の秘密を知るうえで非常に興味深い資料が9月、ある市民の情報開示請求によって公開された。海老名市長からCCCに対して交付された海老名市立中央図書館建物の「使用許可書」である。
それによれば、使用許可面積は541.67平米で、使用許可箇所は書籍販売及び喫茶の営業のために使用。つまり、中央図書館併設の蔦屋書店とスターバックスへの賃借許可といえるのだが、驚くのは賃料の安さだ。
「1平米当たり6458円」とされており、単純計算で年額約350万円。月にすればたった29万円だ。同館周辺の民間ビルの賃料相場から換算すると、この広さのテナントであれば、月500万円、年額6000万円は下らないとの試算もある(『疑惑の図書館建物使用許可・ナムラーのブログ』)。
この試算に従えば、この賃料は世間相場の17分の1ということになる。使用許可書には、そのほかの費用負担の規定もあるため、実際にはもう少し出費は膨らむだろう。いずれにしろ、公共図書館併設という好条件で労せず集客できるうえ、破格の賃料でカフェや書店・レンタル店を経営できる“おいしい”ビジネスは、これまで誰も見たことがないオバケそのものである。
増田社長は武雄市図書館に関して、「今は行政の方があちこちから毎日見学にいらしていて、『うちでもやってくれ』『見に来てくれ』と行列をつくっている状態だ。僕らがやるとコストが下がるというのもある。すべてセルフPOSだし、実際には本のレンタル屋だ。要するに『図書館なんてものはない』。名前は図書館だが、本のレンタル屋だ」発言している。つまり、公共図書館もあくまでレンタル業と同じで、ビジネス利用の一手段として取り込もうという狙いが透けて見える。
それにしても、CCCに関する疑惑の多くは、マスコミ報道ではなく、ツタヤ図書館に強い違和感を抱いた一般市民らが行った情報開示請求によって表面化したものばかりだ。
彼らの粘り強い追及によって、ツタヤ図書館の正体が徐々に暴かれているが、世間の厳しい批判すらも成長のための栄養にしているかのように、CCCのオバケは増殖力を強化している。
(文=日向咲嗣/ジャーナリスト)
※2025年7月29日・日向注釈
“公共図書館の部門においては、開業時に改装費用を一部負担(武雄市の場合は総額7.5億円のうち3億円)する”とあるが「CCCが武雄市の開館時に3億円を負担したということを証明する資料はない、事実と異なるのではないか」との指摘がなされている。
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