2024年2月20日火曜日

プレゼン本番の5日前にツタヤ図書館を視察した富士市職員を直撃!

 

こんにちは、日向です。



本日も、富士駅北口公益施設について、わかったことをメモしておきたいと思います。



公募がはじまると、そこに参加する事業者は、主催者とは接触厳禁なのは、改めていうまでもないことです(応募に関する質問は、指定された期間にまとめて受付け、後日、すべての回答が公開される)。



もし、事前に接触したことが発覚したら、その事業者は問答無用で失格になるというようなことは、募集要項にはだいたい書かれているはずなんですが、


昨年8月に、富士市が北口公益施設の運営支援業務の委託事業者にCCCを選定した際の募集要項には、そういう記述はなかったように思ったんです。


改めて実施要領の文書をみてみますと、それは私の勘違いで、「失格となる提案者」として、


審査委員または関係者に本プロポーザルに対する助言を直接若しくは間接に求めた場合


という事項がありました。





募集が始まったら、事業者から審査委員に特別な働きかけをしたりするのは、どんな審査でも一発アウトの行為なのに、失格となるのは、プロポーザルに助言を求めた場合に限定されていて、ちょっと表現が甘いように思ったんです。



さて、本題はここから。では、もし、具体的にプロポーザルに関して助言は求めてなくても、両者がなんらかの形で事前に接触していた事実が発覚した場合はどうなるんでしょうか。


下をみてください。開示された実施要領では、昨年8月9日に本件公募のプレゼンテーション&ヒアリングが行われていました。



提案書などの応募書類は、すでに7月10日期限で提出されていて、その一次審査を通過した事業者だけが8/9に審査委員の前でプレゼンを行うわけなんです。



次に、下の図をみてください。




プレゼン本番のあった5日前の8/4出来事です。富士市のこの公募を担当する都市整備課の職員が、なんと和歌山市民図書館を視察しているんです。


和歌山市民図書館は、富士市の本件公募に応募しているCCCが指定管理者として運営している施設です。


そこをわざわざプレゼンの直前になって担当課の職員が視察したということは、当然、応募しているCCCの社員とも接触しているんじゃあないかと思いますね。


ふつう、それが発覚した段階で、CCCは失格となるはず。



そんな行為をなんで、この時期にわざわざ富士市の職員がしたのか。とっても不思議に思ったので、当事者であるF氏を電話で直撃しました。




――8/9に、プレゼンテーションとヒアリングが行われる予定に変更はありましたか。


F氏 いえ、ありません。


――そこにFさんもご出席されたんですよね。


F氏 はい。



――その6日前の8/3からご出張に行かれてますよね。1日めは福井のちえなみき、その後、大阪のてんしばへ行かれて、翌日8/4には、和歌山市民図書館に視察に行かれてますよね?


F氏 はい。行きました。和歌山市駅へ。


――これ応対されたのはどなたですか?



F氏 いえ、特にご対応いただいた方はいません。先方の方には誰もお会いしておらず、ただ視察しただけです。


――えっ、どういうことですか?


F氏 施設の内容をみせていただいただけで。一般の方と同じように見学しただけです。



――視察の報告書もありましたよね。そこで写真も掲載されてましたが。


F氏 それはその場で、「取らせていただいていいですか?」と確認させていただいて撮りました。特に対応していいだいたいた方はいません。


――どなたにも対応してもらわなかったというのは、Fさんも、これはまずいというお気持ちは多少あったんですね?


F氏 えっ、どういうことですか?


――募集要項が発表された以降に、事業者と接触するというのは厳禁だと思うんですが?プレゼン8/9の前に事業者に接触されているのは。


F氏 先方には、特にご対応していただたいてはおりませんので。



――でも、それはマズイのではないですか?


F氏 マズイというのは?


――たとえ接触しなかったとしても、プレゼンの直前に応募者の運営施設を視察して、特定事業者の印象をもって何かを判断されることになってしまいますので。公正公平ではないです。富士市ではよくあること?


F氏  特にどなたにも対応していただいていないので。和歌山市の施設でも。


――あとから和歌山市から記録が出てきたらどうしますか?


F氏 いえ、それはないですよ。



――館長とも、統括とも、また和歌山市教委の職員にも挨拶はしていない?



F氏 はい、していません。


――ということは、カウンターにいる人に写真撮らせてねと言ったんですか?


F氏 そうです。入り口を入って、写真取らせてもらっていいですかということで。


――許可の申請書は書きました?


F氏 いや、書いてません。


――視察依頼も出していない?


F氏 出してません。周南市は出しましたが。延岡市も出してません。議会の視察かもしれないですが。


――出張のスケジュールは、事前に計画されてましたよね。


F氏 はい。こういうところへ行ってみてきますということで話はしてます。



――名刺も出してない。



F氏 出してない。


――この時期に視察に行くことは、マズイという気持ちがあったからこそ、誰にも対応してもらわなかったともとれますが?



F氏 そんなことはありません。私は事実だけをお話しているだけで、そのときの気持ちがどうだったかというのは、控えさせていただれればと思います。


――それは、すみません。行く前にマズイかどうかという気持ちあったかどうかくらいは。


F氏 事前に連絡して行く場合もありますし、どなたにもご対応いただかないままに行く場合も、両方あります。



――――なんで、わざわざ、そんややこしい時期に視察されたんですか? 募集している施設は図書館ではないですよね。


F氏 運営方法をみたかったというのもあるし、屋上のテラスとか現地のつくりの状況をみたかったんです。



――もっと早くみておけばよかったのに、たまたま公募のプレゼン直前になってしまったと。いよいよ事業者が決まるという直前に和歌山も駆け込みでみておきたいと。


F氏 うーん。



――もしかして、もうとっくにCCCに決まってたのでは?  和歌山に行かれた8/4の前日に、敦賀と大阪を視察されてますよね。なので、大阪でCCCの方が富士市の職員の方を接待をされて、そこに会長も出てこられて、そこで「おめでとうございます」という話があって、受託の御礼でもされたのではと思ったんですよ。


F氏 いやいや、そんなことはありません。日向さん、そういうのは一切ないと先ほどから申し上げているのに、そういうの詰めておっしゃるのは失礼ですよ。


――すみません。失礼なのは重々承知しておりますが、大事なことなので、あえてお聞きしました。


F氏 ということでご理解くたざい。


――たまたま、どうしてもプレゼンの前に和歌山を一度みておきたいということで、フリーで行かれたと。


F氏 はいそうです。


(そのほかの点をいくつか確認したあと、一度電話を切り、再度確認の電話をする)



目的を偽って撮影し、報告書には、無断引用




――視察報告書には、館内の写真が掲載されてましたが?


F氏 それは私が撮影しました。


――写真お上手なんですね。報告書を拝見したら、プロのカメラマンがとったような写真もありましたが?


F氏 それは、私がとったものもありますが、一部はネットで拝借してきたものもあります。


――えっ、引用元のクレジットはどこにも掲載ないですが?


F氏 ……



――和歌山市民図書館の撮影許可は、すぐに出ましたか



F氏 はい。




F市が個人で撮影したとする視察報告書に掲載されている和歌山市民図書館の写真。一部、ネットから“拝借”してきたとのことだが、引用元のクレジットはどこにもみあたらない。





この後、和歌山市民図書館に確認したところ、撮影したいと利用者から要望があった場合には



個人で、ただ楽しむためでしたら、特に申請も必要なくご自由にどうぞとなりますが



個人でも、その撮影したものをブログやsnsにアップする場合には、申請していただいてから許可を出します



――とのことでした。


なので、F氏が、行政視察であり、報告書にも写真を掲載する予定である事実をわざと隠して、個人のフリをして「写真取らせてもらっていいですか?」として、許可を得たというのは、あきらかに不適切な行為であるといえそうです。


そのうえ、引用元のクレジットなしに、他のサイトに掲載された写真を視察報告書に掲載したのも不適切な行為(無断転載)であるといわざるをえません。


しかし、そのような行為を真面目なF氏がしたとは思えず、実は、視察であることを非公式にCCC社員には告げて視察しており、また館内の写真についても、CCCサイドから「これを使ってください」と提供を受けて使用したと考えるのが自然でしょう。


本当に、先方には告げずに、お忍びで視察したのか、それともCCCと密談のために視察したのかは、依然不明のままですが、どちらにしろ、不適切な行為であったとはいえると思います。


よろしくお願いいたします。


※内部告発求む! この件に関して、こんな情報もあるよという方は、ぜひ、コメント欄(書き込むだけでは公開されません)または右上のメールアドレスまで情報をお寄せください。


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2024年2月18日日曜日

CCC絶対有利な採点基準をつくったのは誰なのか?

 

こんにちは、日向です。



本日も富士市が北口再開発事業で計画している公益施設(2028年オープン予定)についてです。


開示資料にある運営支援業務の募集要項をパラパラとみていたら、


んー、これは。


と思った個所がありました。たとえば、以下のような箇所です。


図書スペースの運営方法の具体性、独自性



カフェブランド選定、単価、客数見込みの具体性、賑わい創出や諸機能連携に貢献できるカフェ提案になっているか


富士市・選定経緯・視察資料一括.pdf 13ページ


ほかにもたくさんあるのですが、特にこのへんは、あきらかにCCC運営の延岡エンクロスや丸亀マルタスをイメージした作文です。


市民センターで「図書館スペース」を設置しているのは、これらCCC運営のツタヤ図書館もどきならではの独自性ですし、「カフェブランド云々」についてもCCCがライセンス店舗で運営しているスターバックスを意識したものに思えます。


まだどのような施設にするのかはっきりとしたコンセプトが決まっていないのに(少なくとも募集要項では明確にされていない)


なぜか、提案書の評価基準にこういう偏った内容をもってきているんです。



これみたとき、私は、こう思いました。



この募集要項そのものをCCCが作成したのかな?


そんなバカな。これから応募しようとする事業者が、募集要項を作成しているなんて、まるで入学試験の問題を受験者がつくるみたいなことするわけない。



そう思いますよね。私も、なんの先入観もなければ、そう思います。



ところが、あるとき、もしかして、CCCが選定される自治体の募集要項は、CCC自らが作成している


としか考えられない出来事があったからなんです。



疑惑の業務要求水準書



あれは、3年前の4月のことでした。前年にツタヤ図書館としてオープンした新和歌山市民図書館について


NHKが地域版のニュースで、「ツタヤ図書館になってからも、運営費は直営時代と変わらない」という、運営者サイドのコメントをなんの検証もなしに垂れ流していましたので、そのウソを暴く検証記事を当ブログに書きました。


2021年4月15日木曜日

このなかで、改めて問題視したのが、


指定管理者が満たすべき司書資格率を


パートを除く、全従事者の50%以上


としていた件です。


2015年にツタヤ図書館になった海老名市では


全従事者の50%以上」としていました

(CCCは、この要件をクリアできていなかったことが2018年6月議会で発覚)



当然、和歌山市でも同じ基準でいくんだろうなと思っていたら


全従事者の50%以上


の前に


●パートを除く●という一文を入れることで、劇的に司書資格者を少なくできるようにしていたんです。



たとえば、和歌山市民図書館の総スタッフ数は、2020年6月のオープン時には77人いましたので、


「全従事者の50%以上」なら39人司書資格者がいないと基準を満たせませんでしたが、26人しかしませんでしたのでアウトでした。


ところが、「パートを除く、全従事者の50%以上」としたら、フルタイム勤務者は20人のうち10人が司書資格者であればセーフです。


実際は、フルタイム勤務者20人のうち16人が司書資格者でしたので、かろうじてセーフになっていました。


本館と西館の合計


スタッフ総数

パート

フルタイム

フルタイムのうち司書資格者

パートのうち

司書資格者数

司書資格者計

有資格率

2019/3/31(※)

37

23

14

10

22

32

86%

2020/03/31

77


56

23

18

10

28

36%

2020/6/30


77

57

20

16

10

26

33%

(※)便宜上、「非常勤」を「パート」、正規職員を「フルタイム」にそれぞれ分類して比較したが、実際の勤務時間でみると、この当時、短時間勤務者はおらず、全員がフルタイム勤務だったことがあとから判明した。


こんなバカなことがあるのか。わざわざCCCの都合に合わせて基準を変えるなんて、和歌山市教委の職員は、CCCにワイロでももらっているのか?


そう憤慨していたんですね。



で、少し考えているうちに、そもそもこの基準はいつどの書面で示されていたのか? もしかして、CCCを選定した際の募集要項の時点で、すでにそうなっていたのかもと思ったんです。



そこで、募集要項を作成していた職員を電話で直撃しまして、この点を聞きました。



すると、私がもしかしてと思っていた通り、募集要項に添付されていた業務要求水準書で、すでにこうなっていました。


パート職員や施設の維持管理を主たる業務とした従事者を除く、全従事者の50%以上とする


和歌山市民図書館 指定管理者業務要求水準書 和歌山市教育委員会 生涯学習部 市民図書館 平成29年10月 より


つまり、CCCのためにこうしたのではなく、すでに応募の募集要項を作成する時点で、要件を緩和していたというのです。


いったいなんのために?



そう思って、この担当者に、このような緩い基準とした理由をお聞きしましたところ、


しどろもどろになっちゃったんです。



このときのやりとりを以下に再録します。



いったい、何を根拠にそのような基準にしたのかを、改めて聞きましたところ、こういう回答でした。


よく覚えていないけれど、CCCからひな形を提示されたということはない。


他の自治体のケースをおそらく参考にして、こういうのにしたんだと思う。


パートを除く、全従事者の50%以上としていたところがほかにあったかどうか記憶にない


どこかで、いまは司書を確保するのが難しくなっているという話があったので、その水準にしたんだと思う


――すでに直営での非常勤スタッフのほぼ全員が司書資格者でしたよね。その非常勤は、指定管理以降の継続雇用される方針だったことからすると、もう少し高い水準に設定するのが自然だと思うが?


和歌山市では、確かにそうだったが県内の他市は難しいという話だった。たとえば岩出市とかは。

 

――えっ、なんで他市のことが関係あるの?


……


→このあと、私の質問がいい加減しつこかったのか、


すみません、長くなりすぎたので、このへんでいいでしょうか?

 

 参考のために追記しておきますと、和歌山市が指定管理者の募集要項に添付していた業務要求水準書を作成したのは2017年10月です。この翌月に、指定管理者の選定委員会がCCCを選定するのですが、この時点ではまだ司書資格者の採用が困難という状況にはありませんでした。直営で運営していた旧館では、現場スタッフはほぼ全員が司書資格を保持していましたし、2年後にCCC運営になっても、雇用は継続される予定でしたので、司書資格者が激減する恐れもありませんでした(※1)。それなのに、業務要求水準書で司書資格率を極端に下げていたのは、どう考えても説明がつきません。


(※1)現実には、指定管理移行時にCCCが提示した条件が極端に悪かったため、多くの非常勤スタツフ(ほぼ全員が司書資格者)が退職することになった。



このやりやりを経て、私には、確信めいた気持ちが沸きあがってきました。



募集要項とその添付書類は、CCCが作成して和歌山市に送ったのではないか、和歌山市の担当者は、その内容をロクに検討もせずに、そのまま使用したのではないのか。



すみません。ずいぶんまどろっこしい話になってしまいましたが、富士市の募集要項も、CCCが作成したと考えれは、前出の評価基準がどうして、あそこまでCCC有利になつているのかは、きれいに説明がつきますよね。


要するに、特定のプレイヤーが得意な方向にゴールポストを動かしていたんです。


そもそも、こんな一事業者が絶対的に有利になるような採点基準をもってくるなんて、ふつうに考えたらありえないことです。



こんなことを申し上げたら、たいへん失礼ですが、再開発などにかかわる各自治体の職員の方は、みなさん優秀な方ばかりなのは間違いないんですが、いかんせん、図書館とか市民センターについては、そのあるべき姿といいますか、本来の設置目的を十分に理解しているとは思えないような事業計画が目立ちます。


悪く言えば、民間事業者に、なにからなにまで丸投げするばかりで、自分たちのまちの施設を、市民本位に運営していくにはどうしたらいいのかという考えが決定的に足りないように気がするんですね。


ほんとにしつこいようですが、そんなことばかりしていたら、ほんと一歩間違えれば、官製談合で逮捕されかねないようなことまでも平気で手を染めるといいますか、あきらかに一線を超えているように思います。


この件に関しては、内部の方からの情報提供に期待します。

(コメント欄もしくは右上のメールアドレスまでお願いします)


いまならまだ間に合います。特定事業者の意向を優先するようなことやめて、これから予定されている指定管理者の選定は、公正公平にお願いします。



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2024年2月17日土曜日

黒塗りすら出さない富士市・市街地整備課

 

こんにちは、日向です。


2024年2月16日金曜日


のつづきです。



1月17日と1月24日に、JR「富士」駅北口の再開発事業で計画している公益施設(2028年オープン予定)に関する情報開示請求を行いました。


運営企画支援等業務委託の優先交渉権者にカルチュア・コンビニエンス・クラブが選定された経緯がわかる文書


として1/17に請求した後、「CCC運営施設を視察した際の報告書等、関連資料も含まれていますか?」と確認しましたところ、


「それは含まれてません」とのことでしたので、追加で1/24に、視察関連の資料も請求したわけなんです。



その開示資料が一昨日、ようやく届きまして、早速データの入ったCDを読み込んでみましたところ、


まず、開示決定書にある非開示理由に目が留まりました。





富士市情報公開条例第7条3号

視察先の指定管理料及び組織体制、 民間部分の賃料については、公表されていない情報であり、 指定管理者のノウハウや経理・人事等内部管理情報を含むものであり、 公開することによ って、法人等の権利、 競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるため。


富士市情報公開条例第7条6号

施設整備に係る事業費及び施設運営に係る指定管理料、 組織 体制、民間部分の賃料については、現在指定管理を行っている視察先の自治体でも公表していないものであり、公にすることにより、現在の指定管理者との信頼関係に影響を及ぼし、当該事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるため。また、富士市としても他自治体の非公開情報を公開することにより、信頼関係に影響を及ぼし、今後の事務事業の遂行において、助言、情報交換ができなくなるなど、適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるため。




富士市担当課の職員が周南市でCCCが運営している図書館と賑わい交流館を視察した際に説明された資料のうち、スターバックスと蔦屋書店の店舗が周南市に払っている賃料は、非公開情報であり、そこに指定管理者のノウハウ等が書かれている、つまり企業秘密にあたるため非開示にするとされています。


そんなバカな。指定管理料が非公開情報だなんて、ありえない。その記載がある箇所に企業秘密だとか、それを公にすると相手先の自治体と指定管理者の信頼関係に影響を及ぼすなんていうのも、ふつうでは考えられない理由です。



そこで、すぐに担当課に電話して、こう抗議しました。


周南市の民業部分の賃料は、「公表されていない情報」ではない。現に、私は周南市から聞いて知っている。


公共施設の指定管理料は、新聞報道もされている公知の事実なので、「非公開情報」などではない。


と申し上げたうえで、何故、これらが非開示なのか、議員さんが視察した延岡市のエンクロスの報告書では、初年度の指定管理料も開示してるないじゃあないですか。どうして周南市は非開示にしたんですか?


すると、


周南市にこちらから問い合わせたら、そのような回答だったので


と、おっしゃるんですよ。



――へえー、周南市がCCC店舗の目的外使用料は出さないでほしいとか、指定管理料も出さないでほしいと回答したんですね。


ええ、まぁ…。


――本当に、周南市がそんな回答したんですか。だとしたら、このとき富士市が周南市に意見聴取した記録を開示請求すると出てくるんですよね?



いえ、特に記録はとってないので、出ません。



――それはおかしいてすよ。和歌山市は、開示していいかどうかを相手方に確認した電話聴取記録を開示しましたよ。本当に「民業店舗の賃料と、指定管理料は出さないでほしい」と周南市はいったんですか?


んーと、周南市さんは『出せる情報と出せない情報がある』とおっしゃってまして…。


――なんとなく出してほしくないという雰囲気を感じ取ったので非開示にしたんですか?


……。



そこは曖昧なんですね。


……。





 もうひとつ気になったのは、CCC選定経緯です。


選定経緯がわかる書面として開示されたのは、「実施要項」が15枚、「選定経緯」が7枚の計22枚ありました。


実施要項は、募集時に富士市のサイトで公開されていたもので、肝心の「選定経緯」は、所在地の地図が1枚、仕様書が3枚、選定結果報告書が3枚だけしか開示されませんでした。


選定結果報告のページをみてみると、いきなり審査委員の人数から黒塗りされていました。もちろん審査委員の氏名、所属・役職はすべて黒塗りでした。





その後に、当然あるはずの、参加事業者の提案書とプレゼンテーションの内容に関する文書が1枚もありませんでした。



審査委員会の非開示ついては、担当課に、こう聞きました。


――審査委員が何名かを開示したり、審査委員の肩書や役職を開示すると、今後の業務や意見 照会等に関し率直な意見の交換又は中立的な意見聴取ができな くなるおそれがあるんですか?


非開示の理由については、うちで決めたわけではないので総務部の情報公開担当に聞いてほしい。


――えっ、担当課で非開示部分を決めたんじゅあないんですか?


そのへんは、こちらでよくわかってないので、総務部と相談してお答えします。



――わかりました。では総務部につないでください。非開示理由を聞いてみますので。


はい。ではつなぎます。


(総務部情報公開担当者に代わる)

――担当課では、うちが決めたわけではないとおっしゃっているんですが、どうしてこれらが非開示なんですか? 具体的にどのような支障がきたすと想定されているのでしょうか?


いえ、これらはあくまでも担当課で判断したものです。こちらで判断したものではないので、具体的な詳しい理由まではわかりません。



――わかりました。それでは、担当課と相談して回答してください。←いまこの回答待ちです。



参加事業者の提案書とプレゼンテーションの内容に関する文書が1枚もないことについては、しばらくして、担当課に再度聞いてみました。



プロポーザル? ああ、提案書のことですか。それは、非開示の理由が書いているはずですが…


――だとしたら、提案書とプレゼンテーション内容が黒塗りされた文書として出てこないとおかしいですよね。そういう文書はどこにもみあたりませんが。存在しないあつかいになっているのはどうしてですか?



「選定経緯がわかるもの」ということで請求されたので…(そこまで詳しい文書が必要だとは思いませんでしたというニュアンス)




この後、総務部の情報公開担当と、もう一度話をしました。


他の自治体では「CCCを選定した経緯がわかるもの」として請求したら、たとえ黒塗りはされていても、提案書やプレゼンの内容も、当然のごとく出てくるのに、どうして富士市では黒塗りすら出てこないのですか? 私は事前に、担当課の方に電話で、CCCのどのようなところが高く評価されて選定されたのかがわかる文書を出してほしいと、こちらの真意を説明・相談したうえで開示請求をしたのに。


と申し上げましたが、明確な回答はいただけませんでした。


これ以上、抗議をしても仕方ないので、あらためて、提案書など、あるはずの文書名をいくつか例示したうえで「CCCが選定された経緯のわかる●一切の●文書」として、追加の開示請求をしました。


                ※以下7枚開示された「選定経緯」↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓











ちなみに、運営支援業務委託を受託した後、指定管理者にも選定されるのは、2020年にCCCを市民センター・マルタスの指定管理者に選定した丸亀市とまったく同じパターンです。


丸亀市は、それでも一通り選定までの経緯がわかる文書はすべて開示してきました。黒塗りは少しありましたが、審査委員の名前、各委員の採点は黒塗りでも、審査委員の人数、肩書などは開示されていました。また、CCCの提案書(20枚)については、人員構成部分2か所のみ黒塗りで、あとはすべて丸亀市は開示しました。


富士市は、情報開示に対してかなり後ろ向きな自治体のような印象を持ちました。


市街地整備課の担当者は、「市民からの情報開示請求に対応するのが初めて」とのことで、不開示理由などについては、自ら決定したにもかかわらず、総務課の情報公開担当者と相談して回答したいというばかりで、明確な回答をしていただけませんでした。


人口24万人を擁し、静岡県では、静岡市葵区につぐ規模なのに、情報公開の取り組みに関しては、これまで私がみてきたツタヤ誘致自治体のなかでも、かなり遅れているように思いました。


なお、開示資料は、このページにのちほど順次アップしていきますので、よろしくお願いいたします。


【22時59分追記】

開示資料を以下にアップしました。

富士市・選定経緯・視察資料一括.pdf


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2024年2月16日金曜日

次の“ツタヤ図書館もどき”は、静岡県富士市にできる

 

こんにちは、日向です。


静岡県富士市が、JR「富士」駅北口の再開発事業で計画している公益施設(2028年オープン予定)のデザイン案を発表したというニュースが1月13日の東京新聞に出ていました。


https://www.tokyo-np.co.jp/article/302528より




早速、ツタヤ図書館ウォッチャーの方が


富士駅の公益施設はカルチュア・コンビニエンス・クラブに運営を発注予定なのにどこも書かない


とsnsで指摘されていました。


どういうことかといいますと、昨年6月に、富士市がこの施設に関して、運営企画支援等業務を委託する事業者を募集してまして、8月には、すでに、優先交渉権者としてカルチュア・コンビニエンス・クラブが選定されていたんですね。


企画提案書等審査結果について

優先交渉権者カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社
次点者株式会社丹青社

https://www.city.fuji.shizuoka.jp/sangyo/c0207/rn2ola000004rdtl.html


私もうっかり、そのことを忘れてました。


運営企画支援等業務というのは、富士市の発表では、


“市民の認知度向上・機運醸成を図るため、開業前イベントの企画・実施を行うことに加え、利用しやすく、管理運営しやすい施設設計を実現するため、基本設計者に対して、管理運営者の視点で提案等を行っていただくもの”


ということなんですが、ウォッチャーの方が仕様書にこんな記載があることを指摘されていました。


本業務の受託者には、本業務内容を踏まえ、令和6年~7年度に予定している本施設の運営・企画等に関する業務を発注する予定


 

https://web.archive.org/web/20230612164248/https://www.city.fuji.shizuoka.jp/sangyo/c0207/rn2ola000004iaka.html



な、なんと、運営企画の支援等業務を受託したら、その後の「運営・企画」業務も発注してくれるというんですよ。ということは、施設の運営もCCCで決まり、駅前の公益施設は、延岡市のエンクロスや丸亀市のマルタスと似たような、CCCによるツタヤ図書館もどきになることが、この時点で確定したのか。


そう思いますよね。


そこで、すぐに担当課に電話して確認しましたところ、


いや、そんなことはないです。指定管理者はまた別に公募する予定です。イベントとかの企画をお願いするだけです。


と担当課の方がおっしゃってました。


そうですよね。まさか、開業準備の支援業務を受託すると、おまけに本体の運営業務まで受託できるなんことになったらタイヘンですよね。


CCCがからむ事業は、いつも「出来レースか!」といわれるのに、また富士市もそうだったなんてと指弾されかねないわけですよ。



そこで、いったいこの事業はどうなっているのかと、富士市に情報開示請求をかけました。その結果は、後日、別記事に書きます。



で、先に整理しておきたいのが、この公共施設の基本設計とデザインは、2023年5月に公募型プロポーザルで


アール・アイ・エーとマウントフジアーキテクツスタジオが受託していました。


アール・アイ・エーといえば、当サイト読者のみなさんには、すっかりお馴染みのCCC御用達の建設コンサルタント・設計事務所です。


古くは、渋谷スクランブル交差点前のTSUTAYAが入っているQフロントビルを皮切りに、CCCのフラッグシップともいえる代官山蔦屋書店を手がけ、図書館では、海老名市の中央図書館をツタヤ仕様にするための大規模改修、巨額の公費を注込んだ初の新築ツタヤ図書館となった宮城県多賀城市、さらには当サイトでしつこく追いかけてきました和歌山市民図書館については、事業計画から設計までをすべて手がけてきておりまして、CCCと二人三脚でツタヤ図書館構想を実現してきた立役者でもあるわけです。


そんなコンサルタントが富士市の基本設計を手がけているんですから、その時点で、令和10年度にオープン予定の富士市北口公共施設の運営もCCCが担うことが内定していると言ってもいいんじゃあないかと思いますね。


とはいえ、世の中、なにがあるかわかりませんので断言はできませんが、少なくとも、これだけの出来レースを疑われる材料がそろっていたら、ライバル企業は、まずガチでは応募してこないのではないでしょうか。もしコンペになったとしても、ダミーまがいの事業者が参加して一応形だけ、コンペになったようにみせるのではないかと思いますね。


運営支援業務といえば、昨年、当サイトでもさかんに報じました千葉県木更津市の市民交流プラザを受託した船場さんが、CCCとコンソーシアムを組んで基本設計・基本計画を策定するプロセスで官製談合が疑われる行為があって議会でも取り上げられる大問題になりました。運営支援業務を受託したら、東京オリパラの事業者選定をウラで差配した電通と同じポジションにいられるわけですから、これは、また同じようなことが富士市でも行われているのかと思わざるをえないんです。



これ、ずうっと言い続けていることですが、PFI事業(整備から運営までを一括して民間に任せる方式)で、運営者が施設建設の設計段階から関与することで、より使いやすい施設ができるといわれる「デザインビルド」と同じ方式を、PFIでもないのに、CCCは2013年の元祖ツタヤ図書館の武雄市以来やっているんです。


もちろん指定管理者としてコンペで選定される前に、ウラでは、設計段階から事業に関与なんかしていたら、完全に官製談合として関係者は全員逮捕されてしまいます。


なので、今回の富士市のように、開業準備などの支援業務で入り込む(もしくは連携協定締結して設計助言する)ことで、かろうじて施設の設計段階から運営者が関与できるんですが、本当は、もっと前に「CCCでいく」と政治決断がなされており、あとの手続は、いかにその結論に合わせて密かに進行していくかというのが、和歌山市でも、木更津市でも、丸亀市でも、宇城市でも、門真市、読谷村でも行われているのではないのかっていうのが、当ブログの大きなテーマでもあるわけなんです。


官製談合なんかどこでもやってるよ


そんな声があちこちから聞こえてくるんですが、市民不在で、ロクに議論もしないまま、裏で癒着している政治家と一事業者が決めたことを行政の現場が推進していくという醜悪な構図を、いったいいつまで続けるのかな


そう思うわけなんです。それで「賑わい創出」が実現できたのかというと、みなさんご存じの通り、CCCが運営するツタヤ施設のある街は、どこも中心市街地のシャッター商店街は変わらず、人口も減る一方で、激安賃料で優遇されたスターバツクスと蔦屋書店だけで儲かり、施設の運営費負担が年々重くのりかかるだけです。


というわけで、図書館機能は劣化し、地域の文化は廃れ、ただオシャレで空虚な雰囲気だけが残るまちがまたひとつ増えそうです。



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2023年12月26日火曜日

和歌山市民図書館の除籍リストと不明本リスト

 

こんにちは、日向です。


さきほど、久しぶりに和歌山市のツタヤ図書館についての記事をリリースしました。


和歌山市ツタヤ図書館、所在不明本が急増…1度に7千冊を除籍、CCC運営で



今回のテーマは、図書館の「除籍」と「不明本」です。


除籍リストといえば、武雄市図書館・歴史資料館がCCC運営で新装開館したときに、貴重な郷土資料やレンタル店の営業と一部重なりそうなCD・DVDなどが大量に廃棄されていた事件以来、そこには、とんでもない火種が隠されている、少し大袈裟にいえば“ツタヤ図書館の火薬庫”みたいなものと認識されていました。


とはいえ、さすがに、CCCにとっては和歌山市は、6館めの図書館ですから、いつまでも、そんなど素人のような下手を打つようなことはするはずがなく、いくら調べたところで、おかしな除籍など出てくるわけはないんです。


ところが、和歌山市では、2019年12月19日からCCCが指定管理をスタートしてから1年3か月にもわたって、一度も除籍を行っていないという不可解な事実が、6月に書いたブログでわかっていました。



そのときに、担当課長さんに直接「この期間に、本当に除籍リストないんですか?」と問い質したほどです。私はてっきり、あるんだけど隠しているんじゃあないかと疑ってて、それでしまいには「その期間中の除籍リストがないことを証明する不存在を出してください」とまで詰め寄っていたほどなんです。



いまから思えば、CCCは本当に除籍をその間、一度もしてなかっただけなんですが…。


さて、そんなこともあって、いろいろと調べていくうちに、貴重な郷土資料とかレコードとかCDなんかが、数は少ないにしても、本当になくなっているのではとの疑惑が浮上したんです。


これは、いけるぞと思って、本腰を入れて調べ始めたんですが、「除籍リスト」という文書とは別に「不明本リスト」というものが作成されていることがわかりまして、今度はそちらも調べはじめると、もうワケがわからなくなりつつありました。


図書館のなかで、盗難とか、紛失とか、あとは返却されていない本とかが日常的に出てくるんですが、それをリストにして、すぐ除籍するわけではなく、原則年一回の蔵書点検の際に不明本をリストアップしていて、その不明状態が連続して4回以上になってからはじめて除籍候補になるしくみということがわかりまして、これは一筋縄ではいかないなぁと、その時点で記事化するのは、ほぼ断念していました。


まぁ、そうは言っても、この間に注込んだ膨大な時間と労力を思えば、なんとか形だけでもレポートにして残しておこうと思い直しまして、再度調べ始めたのが10月くらいでした。


で、担当課の方が「CCC指定管理になってからも、不明本は増えてないですよ」とおっしゃるので、「でしたら、それを示すデータを出してくださいよ」とお願いしましたところ、出できた過去11年間における初不明本の数が、なぜか激増していたんです。


こ、これは…と思いまして、そこから図書館関係者の方にあたって、いろいろと教えていただいたことをまとめたのが今回の記事です。


残念ながら、CCC指定管理になってから、重要な郷土資料やレコード・CDが次々となくなっているという明確な事実を示すものはみつかりませんでした。


その代わりといってはヘンですが、最後の最後で、突然飛び込んできたのが福音館書店が全品回収措置を取った児童書のスキャンダルでした。





いったい、なにがあったのかと思っていたら「これこれこういうことだったらしいですよ」と事情を教えてくれる方がいて、へえーそんなことで回収するのかと驚いていたところに、


なんと、和歌山市民図書館が、その返本要請に素直に応じていたというんですから、これは吃驚仰天でした。


出版業界の常識からすれば、一度発行した本を全品回収するのは、よほどのことがない限りやらないものです。


一度流通に流れたものを回収するのは至難のワザです。ましてや図書館が入れたものまで返品要請をかけていたんですから、これは、ただごとではないですよ。


そこは今回の記事では、あまりつついてないんですが、その要請に和歌山市民図書館が、いとも簡単に応じてしまったというのが問題の焦点でした。


で、具体的にどうしたのか。このときの和歌山市教委の対応といいますか、手続に瑕疵があったのではないかというのが、今回の記事のハイライトになっています。手続もおかしいですし、あるはずの文書が出てきていません。もし隠蔽していたとしたら、大問題に発展しかねません。


で、例によって、担当課に質問状を送ってますが、例によって、なんの回答はありません。


来年4月から、次の5年間の指定管理も、これまで通りCCCに任せることを決めた和歌山市は、そのために指定管理者の業務評価や選定員会でCCCに高評価を与えていました。


除籍や不明本の手続という、図書館運営業務のなかでも、最も地味だけれども重要と言われている部分については、評価の対象にはなっておらず、そこにこそ、ツタヤ図書館の危うさが潜んでいるという結論になっています。



よろしくお願いいたします。


和歌山市ツタヤ図書館、所在不明本が急増…1度に7千冊を除籍、CCC運営で


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2023年12月3日日曜日

『都立高校・学校図書館の闇』について緊急告知

 

んにちは、日向です。


大分前に書いた都立高校・学校図書館に関する記事へのアクセスがが突然急増していて、何事かと思ったら、こんな事件が起きていました。


東京都パスポートセンターで大量の個人情報が漏洩

11月24日、警視庁公安部は東京都豊島区にある池袋パスポートセンターに勤務していた中国籍の女を、窃盗容疑で書類送検した。

警視庁によると、容疑者はパスポートセンターの業務を受託する(株)エースシステム(東京・足立区)の契約社員として窓口で勤務していた。容疑者は、旅券申請者が提出した戸籍謄本や住民票をコピーしたり、窓口での対話を録音するなどの手段で、1920人分の個人情報を不正に入手した疑いがあるという。

https://news.yahoo.co.jp/articles/a97ffbaee46b5a95d3e60a3e4710e72111e0f4d7



この中国籍の契約社員を派遣していたのがエースシステムという会社だったことから、


私が当ブログ記事『都立高校・学校図書館の闇』としてレポートしていた記事がなぜかヒットしまして、「そんなにあやしい会社がパスポートセンターの仕事を受託するのはおかしい。なにか背景があるだろう」(契約は派遣ではなく委託ですが)ということで、拙稿が俄かに注目を集めていたということらしいんです。


私の記事が、非常にわかりにくいうえに、特定企業が都立高校の学校図書館を独占するなどという、常識ではありえないことから「この会社は怪しい」となりました。


中国からのスパイを送り込んで、日本で工作している会社ではないのか?


という話にまで広がってきておりました。


結論からいいますと、


私が調べていたエースシステムはじめその関連も含めた「光エス三社」には、そんな陰謀論めいたことに関与している可能性はほぼゼロです。


なぜならば、このグループ企業は、政治的にはバリバリの自民党系に属する会社であり、どちらかというと、このニュースを拡散している保守系の人たちと同じ立ち位置にいる人たちだからです。早い話が自民党の集票マシンですね。


役所の現場では、どこもそうらしいんですが、中国語ができる人がひとりでもいると、とても助かるらしいんですね。中国系の人が窓口に来たときに、スムースにコミニュケーションがとれるからです。なので、ただ単に、エースさんもそういう人を採用してただけなんでしょう。


じゃあ、なんでお前が書いてるみたいに、ここの関連が都立高校の学校図書館をかたっぱしから受託してるんだよ。おかしいだろ。東京都と癒着してるに決まってんだろうが!


そんな声が゛聞こえてきそうなので、簡単に私の認識をご説明しておきます。


●都立高校を席捲した“三種の神器”


光エス三社は、足立区を地盤に、いまや東京都全域で公務を受託するようになっていますが、それを可能にしているのは、「自民党系議員からの後押し」、「電子入札」、「業界内での話し合い」の“三種の神器”です。


まず新規に受託するためには、「今度からこういう仕事も外に出すみたいよ」と議員さんから情報提供してもらえると、他社に先がけて準備できます。実際の入札は、入札資格さえクリアしていれば、入札価格だけで決まります。そこに情実が入る余地は一切ありません。


なので、私がみてきた範囲では、このグループは異様に安い価格で入札、つまり、ダンピングするんですね。これ紙を入れるわけではなく、電子入札なので、社長か参謀がひとりで、東京都中の入札案件を研究して、これなら取れるという価格を入れれば、それだけで仕事はどんどん増えていくんです。


しかも、これ一社でやったらたいしたことなくても、次々と関連会社をつくっては、グループ企業で手分けして入札するようになると、都内全域にどんどん仕事を広げていけます。


えっ、そんなに仕事とってきても人が集まらない? いやいや、いいんですよ。落札してから募集すれば。もしまにあわなくても、大きなペナルティーはありません。採用できてからハケンすればいいんです。なので、現場では、不配置が日常的に起きてました。


都立高校・未配置事件


次に、そうこうしているうちに、おそらくですが、業者間で話し合いが待たれるようになったんだと思います。何社かいつも入れてくる会社は決まってますから。そこで違法な談合があったかどうかまではわかりませんが、なにか話し合いというかルールみたいなものは作られた可能性はあります。というのも、入札状況をみていたら、途中で辞退とか、あきらかにおかしな動きがときどきでてきますので。


で、都立高校の学校図書館の場合は、その後、不配置とかがあまりにも多いので、都教委内部で問題になりました。このときに、都の教育庁との間に誰か議会関係者が入ったかどうかまではわかりませんが、指導する都教委が一応は対策を講じてくるんですね。


具体的には、価格のみの落札から総合評価方式に変えたり、あとは総価契約から、人をハケンできた日数のみ委託費を払う単価契約に変えたりと、都教委サイドが不祥事対策を講じる頃には、光エス三社も、ある程度実績を積んでますし、業者間の話し合いもするようになってたでしょうから、ダンピングをやめても、これまでと同じように落札できるようになっていました。


逆にダンピングやめれば、委託費はどんどんあがっていき、利益率も高まっていきます。10年前からつい最近までは、図書館司書でも、最低賃金の募集でそこそこ人は集まりましたから。何により、いちばん大きかったのは、複数年契約でしょう。単年度ですと、毎年入札しなければなりませんが、複数年になると、一度落札したら最低でも3年は続けられます。その間に他の地域に、別会社でどんどん進出していけるんです。


そういう行動を、ありとあらゆる分野の公務で続けていくと、面白いように仕事は増えていったんだと思います。なにしろ、これは全国どこでもそうですが、バックに自民党の議員さん、関西なら維新の議員さんたちがいて、とにかく「民間にできることはすべて民間に任せろ!」という圧を国と一緒になってかけてきますから、黙っていても、年々役所の仕事は増え続けるんです。


よくパソナの例が指摘されますが、地場でも、ミニパソナは、そこいらじゅうにいて、公務、つまりは税金でどんどん潤うというとんでもないバカげたしくみがこの20年間に広がっていったんですね。その現象が、都立高校学校図書館という事例に如実に現われていたということなんだと思います。


あとは、議員さんがほんとうに口利きなんかするのかと思われるかもしれませんが、むかしみたいにその御礼で何パーか政界にキックバックすることもあるのかと疑問に思われるかもしれませんが、そこは、巧妙なカラクリがいろいろあるようです。


都立高校学校図書館問題では、受託とは正反対に、廃止に奔走した米川都議のプロセスをつぶさにみていきますと、相当、表には出てこなかった、都教委や都の契約関連部署との暗闘があったことがわかってますので、受託するときにも、なにか、橋渡しみたいな行為はあったのではと疑っています。


●デマを拡散する人たちの目的は?


今回、パスポートセンターでの個人情報漏洩事件では、エースシステムが受託していたことが判明して以来、ものすごい勢いでニュースが拡散されましたが、その源流をたどっていきますと、特定政党の関係者とおぼしき人と、あとは排外主義的な報道も平気でするメデイアにいきつきました。


外国系の人による犯罪が報道されるたびに、ネトウヨさんたちが「○○人ガー」と吹きあがって、炎上をしかけています。それをまたかいなぁと、見過ごしていると、2021年に起きたアメリカの連邦議会襲撃みたいな騒動に発展しかねないなぁと危惧しています。


私が追いかけてきた、都立高校学校図書館の問題は、あくまで「教育界に押し寄せる民間委託の波」という切り口で書いてきました。そこの核心にあるのは、コモン(=誰もが無料で利用できる社会の富)を政官財が一体となって金儲けの道具にしようとしている犯罪的行為に対する批判です。


改めて、そのことを、よく考えていただければ幸いです。


なお、都立高校学校図書館の民間委託は、2022年度末ですべて廃止になりました。



よろしくお願いいたします。


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