2025年10月20日月曜日

坂出市の情報公開はどうなっていてるのか?

 

こんにちは、日向です。


前回と前々回は、昨年ツタヤ図書館誘致を決めました坂出市の審査請求・弁面書に対して送付した反論書を公開しました。




 これを読まれて、自治体の情報公開って、そんなに欲しい情報が開示されない役立たずなの?と思われた方も多いと思います。


 そこで、本日は、坂出市の情報公開って、どういうふうになっているのかについて、これまでにわかったことをまとめておきたいと思います。


 まず第一、坂出市は、市内在住・在勤者の限らず、どこの誰でも情報公開請求をすることができます。いわゆる「なんびとも~」と呼ばれるフルオープンの体制です。


 ツタヤ誘致自治体のなかには、和歌山市のように市外の者からについては、任意的に受け付ける「情報開示申出」のみ自治体もあるなか、対象者に一切制限を設けていないというところは、高く評価できるのではないかと思います。「情報開示申出」の場合は、市外の者はあくまで恩恵的に情報を提供してあげているというだけなので、不服の申し立てイコール審査請求ができませんので、黒塗りされたり不開示決定が出たら、それまでです。

 しかし、よくよく調べてみると、坂出市の条例とその運用は、決して手放しで高く評価できるわけではなく、熊本県宇城市のように、よくわからないまま他市と同じような条例を制定しただけで、特別情報開示に積極的というわけではないことがわかりました。(ちなみに、宇城市は、私が2021年に審査請求をしたことがきっかけで、「なんびとも~」受け付けていた体制を「市内在住者に限定する」よう2023年に条例を改定しました)


 次に、私が真っ先に知りたかったのは、今回、坂出市の公民連係課と図書館部門がそれぞれ別々に出してきた弁明書は、誰がどのようにして書いたものなのかってことでした。

 だいたいどこの自治体でも、総務部に報公開担当課があって、そこの職員が情報公開の実務に関しては、条例の細かい内容も含めていちばん詳しいはずですが、彼らは開示の実務はタッチしません。 市民の情報開示請求を受けて回答するのは、どこでも担当課の職員です。

 坂出市の場合は、市長宛ては、公民連係課の職員が、教育長宛ては、大橋記念図書館(坂出市の中央図書館)の職員が担当したことが判明しました。
 
 お二人とも直接電話でお話をお聞きましましたが、情報公開条例については特に詳しいわけではなく、審査請求に至っては今回私のケースが初めてだそうです。さらに総務部の情報公開担当職員ですら、審査請求は着任以来これまで一度もないそうです。みなさん現在の部署に1~2年しかおらず、最も長い図書館部門の職員の方は3年だそうです。

 興味深いのは、坂出市でも、情報公開制度にいちばん詳しく、制度の運営を担っている総務部の担当の方が、今回の開示から弁明までについては、ほぼノータッチだったということです。情報公開条例についての知識が乏しい担当課の職員が、情報開示請求を受けて対象となる公文書を探し出してきて、これはマズイと判断した部分を黒くヌリヌリしているわけです。


開示請求しても審査請求なし?



 ということは、坂出市では、情報開示請求は、極端に少ないのかなと思ったら、そうでもなく、直近の2024年(令和6年度)には99件(全部公開54件、一部公開 43件、非公開2件)もあるんです。


・情報公開制度の運用状況について令和5年以降の実施機関別件数

(令和5年度)公開請求件数 126件
全部公開 63件
一部公開 52件
非公開 11件(うち文書不存在 10件)

(実施機関別内訳)
市長 107
教育委員会 16
監査委員 3
合計件数 126

(令和6年度)公開請求件数 99件
全部公開 54件
一部公開 43件
非公開 2件(うち文書不存在 2件)

(実施機関別内訳)
市長 85
教育委員会 15 ※2件市長と重複
農業委員会 1
合計件数 99(重複分を除く。)



 ちなみに同じ人口5万人規模の宇城市では、情報開示請求は例年20~30件くらいしかない(2018年27件、2019年34件、2020年38件、2021年34件、2022年23件)ことからすれば、同件数は決して少なくないといえます。

 ところが、坂出市で不服の申し立てをした審査請求となると、ガラリと様相は異なってきます。2024年度はゼロ件。なぜか2023年度だけ7件もあったほかは、例年1件あるかどうか。ほとんど審査請求をする人はいないみたいなんです。


・情報公開制度の運用状況について各年度における実施機関別・審査請求件数
(令和2年度)0件
(令和3年度)1件(市長 1件)
(令和4年度)0件
(令和5年度)7件(市長 7件)
(令和6年度)0件



 いまの中央図書館を廃止して、駅前に移転するという重大事を発表したのが昨年秋ですから、ほかの自治体なら私のように不透明な図書館廃止・移転の決定プロセスを開示請求して、それに不服申立をする市民が続出しそうな局面ですが、なぜか、坂出市では、そうした動きがまったくなかったというのが驚きです。


 お隣の香川県丸亀市では、2020年に市民活動センター・マルタスの運営者にCCCが選定された際、市民からは反対の声こそめだってあがらなかったものの、丸亀市議議会では、「CCC任せて大丈夫なのか?」という議員たちの疑念が渦巻きました。そのため執行部は、全員協議会を開催して詳細な説明会を行いました。なおかつ、CCCの責任者を議会に読んでプレゼンさせるという、こちちらは、特定企業との癒着実態があからさまになるという、これまた別の意味で前代未聞の事態が起きていますが…。


 坂出市では、なんの議論もなく情報開示請求して不服申し立てる市民もいなかったとしたら、不思議で仕方ありません。ちなみに図書館移転が決まる前の2023年度に限っては、情報公開請求が坂出市でも、126件もあり、うち7件の審査請求がありましたので、そのなかに、もしかしたら、決定前に水面下で進んでいたCCC誘致に関する請求があったのかもしれませんが、現時点では、まだそのときの審査請求の答申書が公表されていませんので、その点は確認できませんでした。

 また、昨年開示請求されて、今年に入って審査請求された方がいるのかもしれませんが、そのデータはまだ発表されていません。

ご存じの方がおられましたら、ぜひコメント欄で教えてください。

 坂出市の情報公開制度の運用状況に関しては、法律で定められている公表義務は、一応はクリアしているようですが、2022年までの実施状況しか発表されておりません。それ以降については、総務部に問いあわせるしかありません。

 今回、私のように審査請求をしてややこしいことを言い出す者が出てきたため、宇城市のように、情報開示請求ができる対象者をしない在住者に限定するように条例を改正するかもしれません。


審査会開催スケジュールは未定



 では、審査請求された事案について、専門家が情報開示の是非を審議する審査会の顔ぶれはどうでしょうか。

 これについては、検索してもまったく情報が出てきません。過年度の審査請求答申書に書かれた会長さんのお名前で検索すると、お隣り丸亀市の弁護士さんのようでしたが、それ以上のものはみつかりませんでした。


 情報公開のページでも審査会委員の名簿は公表されておりませんでしたので、総務部に問い合わせて、ようやく以下の名簿を入手することができました。


坂出市情報公開・個人情報保護審査会委員
(1)坂入  誠(弁護士)
(2)三谷 茂寿(公認会計士)
(3)三野 郁子(本市人権擁護委員)
(4)塚本 俊之(香川大学法学部教授)
(5)三野 秀行(本市行政相談委員)

筆頭にお名前があがっている弁護士の先生は、坂出市の方のようなので、最近、このメンバーに
代わったのでしょう。



 では、審査請求を受理した後、審査会の開催スケジュールはどうなっているのでしょうか。和歌山市などは、さすが県庁所在地だけあって、毎月のように審査会が開催されて、そこで次々とあがってくる審査請求についての審議が行われていますが、坂出市では、不定期開催だそうで、次回いつ開催されるかもまだ未定とのことでした。

 
 としたら、審査会の答申が出るまでには、いったいどれくらいの月日が費やされるのでしょうか。毎月開催されていた和歌山市はですら、審査会が一部開示せよとの答申を出してその通りに開示されるまでに約3年もかかっていましたので、新図書館がオープンする頃には、なんらかの結論は出ると思いますが、そうなると、情報公開制度って、いったいなんの意味があるの?と市民は受け止めるでしょう。

 ですので、あとは審査会の委員の先生方が、いかに誠実にその職責を果たされるのか、また、市民の知る権利を守る最後の砦ともいえる図書館が、自らの廃止・移転にかかわることについての情報を開示することに、どう真摯に取り組んでいかれるかを、しばらくは見守りたいと思います。


 ちなみに、2021年に初当選され、今年5月に無投票で再選された有福哲二市長は、選挙直前の5月1日、エックスに以下のような投稿をされていました。

公務終了後、市民の皆さんへ挨拶まわりを行いました。途中、坂出市立大橋図書館で子ども達に読み聞かせをしているボランティアの方に出会い、「新しい図書館を楽しみにしています」と言われ、市が進めている「坂出駅周辺再整備」に意を強くしました。市民から力をいただきました。感謝です‼️
 
 選挙間近に、図書ボラさんに「新しい図書館期待しています」と応援されているとご主張されていますが、 決定前にちゃんと市民の声を聞いてほしかったという意見は一切耳には入らなかったのでしょうか。










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