こんにちは、日向です。
当ブログで取り上げるタイミングを逸していたのですが、先月、岐阜県瑞浪市が、駅前複合施設の運営者に、カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)を選定したこと正式に発表しました。
瑞浪駅北地区複合公共施設の整備運営事業者が決定しました!
https://www.city.mizunami.lg.jp/kurashi/machizukuri/1005848/1011455.html
老朽化した中央公民館と市民図書館を備える総合文化センターの機能を集約し、 新たな機能を追加した複合公共施設を整備。 想定延べ床面積は3200㎡程度。建設地はJR瑞浪駅駅北地区約3700㎡というプロジェクトです。
これにより、2013年の武雄市から始まって、2015年海老名市、2016年多賀城市、2017年高梁市、2018年周南市、2020年和歌山市、2022年宇城市、2025年読谷村、2026年門真市、2028年坂出市につづいて、全国で11番目のツタヤ図書館が2029年に瑞浪市にできることになりました。
設計・工事監理に3億1840万円(税込み、以下同)、開館準備が4570万円、指定管理料は年間2億円が上限。建設事業者は、2027年度に別途発注する予定。予定工事費は32億8000万円。
瑞浪市による事業者の選定結果速報が今年9月5日でしたが、7月に書きました以下の記事中でも一覧表に瑞浪市を取り上げているように、もう事業構想がスタートした2021年頃からCCCが受託するのではないかと思われる情報が次々と出てきていましたので、ツタヤウォッチャーにとっては、予想通りの展開だったということです。
今回の瑞浪市の複合施設整備のプロジェクトには、ひとつ大きな特徴があります。それは、運営業務だけでなく、建物の設計業務も一緒に担う事業者を募集したことです。
“最も魅力ある運営等を行える事業者を選定し、設計の段階から運営を想定した意見を取り入れることで、より良いサービスを提供する上で必要な、設備や機能、デザインを反映した施設整備を期待”できるからと、瑞浪市では、その理由を説明していますが、ツタヤ図書館を誘致した自治体は、どこもCCCに建物の設計段階から関与させて、CCC仕様の箱物を建てることが大前提ですので、こうするのはある意味当然のことでしょう。
和歌山市のように、設計業務と運営業務を別々に公募したりしますと、CCCが選定前から裏でコソコソと動かないといけません。「出来レース」「官製談合」と批判されないためには、最初から設計と運営を一体化させておく必要があったわけです。
では、同じく駅前にツタヤ図書館を整備する予定の坂出市とはどこが違うのかと思われた方も多いと思いますが、瑞浪市の場合、今回選定されたのは、あくまで運営と設計業務を担当する事業者です。坂出市のように運営や設計に加えて施設の整備もすべてひっくるめて担当する事業者を募集したわけではないんです。(坂出市では運営をCCCが担当し、施工は大林組)
建物の建設工事については、今回の公募には入っておらず、また別途募集するという変則的なスキームが採用されています。(OD方式と呼ぶ)
2020年以降、建築資材や人件費の高騰によって、公共施設の施工については、入札不調が続出しています。一度決まった施工業者も、あとから「やっぱり採算が合わないからやめます」と辞退するケースも出てきていて、自治体としては、とっても頭が痛い状況が続いています。そこで、施工部分については、工事がスタートする直前に実情に合った予定価格を設定して公募することにしているんだろうと思います。
当ブログでも何度か取り上げてきました千葉県木更津市が、CCCを市民活動センターで選定した後、建設予定の市庁舎整備を担当するゼネコンが辞退したため、事業計画を再度作り直すという異例の出来事がありました。そういう事態を瑞浪市は回避したかったのでしょう。
基本計画あるのに、事業者に丸投げ?
さて、ここまで書いたところで、ほんとうに設計業務と運営業務を一体化して公募する必要性はあったのかという素朴な疑問がムクムクと湧き上がってきました。
建物の設計は2026年12月までに終えて、建設事業者はその翌年2027年に別途発注。工期は2028年11月というスケジュールになっています。開館予定は2029年3月ということですから、いま急いで設計と運営をセットにして発注なんかしなくても、とりあえず今回は、設計事業者のみコンペで選定して、運営者の選定などは、建物の完成がみえてきてからでも決して遅くはないのではないのか。
市当局は、“設計の段階から運営を想定した意見を取り入れる”ためとしていますが、すでに市の意向を詳しく盛り込んだ基本計画が昨年11月に策定されていますので、設計事業者には「この基本計画を反映した建物にしてください」と発注すればいいだけのことではないでしょうか。
主役はあくまで市民であり、その市民の意見を集約して、市の担当課が作成されたのが基本計画です。設計事業者も運営事業者も、その基本計画によって与えられた課題を実現するのがミッションです。民間事業者が自分たちのやりたいような建物を設計するなど、言語道断な話だと思いませんか。
要するに、瑞浪市は、なにがなんでも運営者予定者(指定管理者)に、建物の設計までやらせたいという強固な意志を持っているんだなぁというのが私の感想です。
もしかして、市が作成した基本計画からして、すでにCCCの意向が強く反映されたものになっていて、瑞浪市も、これまでのツタヤ図書館誘致自治体がそうであったように、最初から、CCCにすべて任せることを決めていて、事業者の選定プロセスは、茶番というしかない、誰かが作った台本通りに進められたのではという疑念を今回も持っています。
長くなりましたので、選定プロセスについては、別のエントリーをたてて、詳しくみていきたいと思います。
よろしくお願いいたします。
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