こんにちは、日向です。
本日も、「いくらなんでも、それはないだろう」と思ったツタヤ自治体の酷い対応についてメモしておきたいと思います。
3年前、市立図書館と美術館の指定管理者にカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)を選定した熊本県宇城市に、CCC選定プロセスについて開示請求をした熊本県宇城市のことです。
そのときの開示資料が、選定委員会の委員の肩書名前すら黒塗りだらけで、あまりにも情報公開制度の趣旨に反した開示でしたので、これは看過できないと、私は、生まれて初めて「不服審査請求」という手続をしたんですね。
その結果、2年くらいかかりまして、ほとんどの部分については不開示も妥当との答申が情報公開審議会から出されたものの、細かい部分については、何個所か黒塗りが外れて開示されましたので、まぁ、手間はかかっても、審査請求した甲斐は少しはあったかなと、思っていたんですね。
●2年かかって開示された4点
(1)不採用法人の合計点数
(2)令和2年・合同会議・第一回議事録の出席委員名
(3)令和2年・合同会議・第二回議事録の出席委員名
(4)指定管理者選定審査会の委員名
情報開示に消極的な自治体でも、全国の市民から「おかしい、おかしい」と異議を申立られれば、少しずつ開示に積極的になるのではないのかって、甘い考えを抱いてました。
ところがですよ、その宇城市が、いつのまにか、開示請求ができる人を「在住・在勤者」に限定するよう条例を変えていたんです。
使用する請求様式 | 該当する者 |
---|---|
公文書開示請求書 |
|
公文書任意的提供申出書 | 上記以外の者 |
https://www.city.uki.kumamoto.jp/toppage/shinseisho/dl_somu/2010076 より
なんでそれがわかったかといいますと、いま、公共施設の移転や建設で話題になった自治体の情報開示の事例を集めておりまして、
CCCが経営するスターバックスの賃料が月3700円と、おそらく全国一安いスタバ賃料にしてあげている宇城市のケースを、公文書によって、その事実証明をしておきたいと思い、いまさらながら宇城市に開示請求をしたからなんです。
まず、3年前に行なった手続きの文書を探してみると、開示請求書を郵送していたことに驚き。
そうか、ファックスやメールでは受け付けてくれないのか
と思って、宇城市の情報公開窓口に電話で確認してみると、
いや、ファックスでもいいですよ
とおっしゃるんですよ。
スゴイ、ツタヤ自治体なのに情報公開制度は半歩前進だ!
そう思って、開示請求書に必要事項を書いて、念のため電話で手続をひととおり確認しておりますと、電話を切る直前に、こう言われたんです。
あっ、日向さん、ちょっと待ってください。実は、条例変わったんですよ。対象者が一部変更になってます。
――えっ、もしかして、市外の者は請求できない?
いえ、そんなことはないんです。市外の方は、開示請求は、一般とは別の手続きで、「公文書任意的提供申出」のほうを出していただくようになっています。
――えっ、任意的開示申出というとは、もしかして、不服審査請求できない?
そうです。
――・・・・・いまどき、どこの自治体でも情報公開に積極的になる方向に前進しているのに、宇城市は、後退したんですか?
あっ、はい、じゃなくて…。
――ということは、私が3年前に審査請求して、さんざん宇城市を批判したというか、文句を垂れたので、そういうモノ言う市民をブロックするようにしたんですね?
……。
――わかりました。これからファックスします。
というようなやりとりがありまして、あとからよくよく考えみますと、こんなあからさまな条例改正は、なかなかないですよ。
「任意的提供申出」ということは、
本来、法的に開示する義務はないんだけども、こちらの寛大な措置で開示してやるよ。その代わり不服とか申立するなよ
っていうことなんです。請求する側からしますと、
結果に文句はいいませんから、どうか開示してください
――となるのでしょうか?
図書館・美術館の直営時代なら「よそ者からとやかく言われる筋合いはない!」と開示請求できる対象者を限定していてもおかしくないかもしれませんが、
そうはせずに、熊本県宇城市は、あえて、なんびとも開示請求できるという、なかなかオープンな気質を持っていたのです。
そんな宇城市が、昨年4月からは、直営だった図書館と美術館を6億円もかけてTSUTAYA館仕様に改修して、その運営をすべてCCCに任せたわけです。
東京に本社を持つCCCに運営を任せたツタヤ図書館にした以上、市外からも注目を集めるのは当然で、国の交付金・補助金を使っているとしたら、むしろ対象者の範囲を広くするなど、情報公開に応じる責任がより重くなったと言えると思うんですよ。
なのに、守田市長か平岡教育長のツルの一声なのかどうかわかりませんが、
よそ者に、審査請求なんかさせるな!
として、情報公開制度が一歩後退するんですから、これはなかなか酷い事例と言えます。
むしろ、全国から注目を集めるようになったわけですから、情報開示には積極的になるべきなのに、宇城市は、時代に逆行しているんです。
国が音頭をとって、行政のデジタル化を推進している時代にあって、他の自治体に遅れること10年、ようやく開示請求書が郵送からファックスでも可(メールはいまだに不可)とほんの少しだけ前進したのに、審査請求されてさんざん私に批判されたことにハラワタが煮えくりかえっているのか、根に持っているのかわかりませんが、ヨソ者に不服を申し立てられるのは、かなわない。不服申立できるのは在住・在勤者のみにしてしまえとばかりに、情報開示のスタンスが大きく後退したことは、残念でなりません。
官民連携ズブズブのお手本ともいえる、ツタヤ図書館を誘致するということは、その自治体の情報公開制度までもが後退してしまうデメリットがあるんだなぁという感想を、改めて持ちました。
よろしくお願いいたします。
- 条例違反を10年以上放置している宇城市 へつづく
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