こんにちは、日向です。
先日書きました宇城市が条例で定められている、情報公開制度の運用状況を年一回公表することを怠っていた件(条例違反を10年以上放置している宇城市)について、担当部署に問い合わせてみましたところ、以下のような回答が得られました。
市役所のサイトには掲載していないが、毎年、実施状況の報告は担当課で作成して、役所内の掲示板で告知している
なぁんだ、ちゃんと公開してるんだ。だったら問題ないね
みなさん、そう思われたかもしれません。
でも、ちょっと考えてみてください。ちゃんと年一回、情報開示の実施状況報告を作成しているんだったら、2012年まで掲載している該当ページに、続けてデータをアップしていけばいいだけではないのか。わざわざ印刷して、役所内の掲示板にのせて掲載するよりも、サイトにアップしたほうが手間はかからないはず。
2012年を最後に、毎年、実施状況の報告を役所の情報公開制度のサイトに掲載することをやめていた宇城市。 |
なのに、2013年以降、突然、サイトでの報告はやめて掲示板に変更したのは、どうしてでしょうか。
これだけ国が音頭をとって、行政のデジタル化を推進しているなかで、デジタルで広く公開されていたものを、あえてアナログに戻してしまったのはどうしてでしょうか。
役所の掲示板って、市民は見るのでしょうか。ほとんどの市民は、どこにあるのかすら、知らないはず。結果的に誰もみないということになっているのではないでしょうか。
一方で、役所のサイト上の情報公開コーナーのページに掲載されれば、関心のある人が少なからず見ますので、なるほど、これは、作成だけして市民に見せないためにやっているんだなぁと思わざるをえません。
「条例違反はしていませんよ」と言いたいんでしょうけれど、こんな姑息なことをしてまで、大事な情報を隠すというのも、とってもおかしな話です。
宇城市の情報公開条例がいつのまにか、公文書開示の対象を、いわゆる「なんびとでも」から、「市外の者は任意的な提供」に改正されていた件もこれと同じ、情報公開に消極的なスタンスが露呈した事件と言えます。
こちらも、あとからいくつかのことがわかりました。
まず、条例改正の必要性を端的に示す不都合な事例=立法事実がまったくないことがより鮮明になりました。
そもそも「開示請求ができるのは、市内在住在勤者に限定すべき(市外者は任意で提供)」という声は、市民からはあがってきません。なぜならば、市民で、市外者からの請求が多くて困っているなどという人はひとりもいないはずだからです。
2012年以降、毎年の実施状況の報告は、役所のサイトに掲載されていませんし、掲示板をみた人でも、そこには、市内と市外別の開示件数は出ていない(トータル件数しかとっていないそうです)からです。
なので、市外者からの開示請求が増えて困ってるんだという声があったとしたら、それは担当部署の職員だけではないですか。そう問い詰めたら。担当部署の方が「自分たちの提案によるものだ」ということは渋々認めました。
ということは、開示請求が増えて、自分たちの事務が煩雑で困ってるんです、という職員の声によって改正したのかと、みなさん思うかもしれませんが、それも事実ではないことがわかりました。
なぜならば、過去の開示請求の件数を聞いてみますと、2018年27件、2019年34件、2020年38件、2021年34件、2022年23件(すべて報告は翌年度)と、あまり増えてないんです。開示請求者を市内在住・在勤者に限定(市外者は任意提供)した条例改正は、今年2023年4月からです。(もしかしたら審査請求が増えているのかも。その点は現在問い合わせ中)
2020年以降はむしろ減ってますから、早く法改正しないと、ものすごい不都合なことが起きているという改正の理由が、そこには微塵もないんです。
あるとすれば、不服申し立てるための審査請求をされると、その後の審査会開催して答申を出す事務などがめんどうで、困るということくらいでしょうか。
担当部署の人は、「いや、いまも市外の人の開示は、市内の人と同じように受け付けているんです。なにも変わりません」と繰り返し釈明していますが、市外の者は、不服申立の審査請求ができないようにされているというのは、実は、決定的なデメリットなんです。
なぜならば、いまや情報開示の“主戦場”は、審査請求に移りつつあるからです。
開示請求をして文書が一部黒塗りで出てくるのは、どこの自治体でも程度の差こそあれ、同じような状況です。担当課のレベルで、すべて適正に判断しろといのも無理な話なので、最終的に開示すべきかどうかは、有識者で構成される審査会に諮ってはじめて適正な判断が出るようになっています。
なのに、審査請求ができないというのは、そもそも、有識者による適正な判断を仰ぐ権利が最初から奪われていることを意味しているわけです。
「市外の人の開示は、市内の人と同じように受け付けているんです。なにも変わりません」という担当課の人の説明は、その点からみれば、大きな間違いです。
宇城市民からすれば、市外の人にまで情報を公開することはない
と思われるかもしれませんが、市内外にかかわらず、おかしなことを指摘して行政を監視する人は、ひとりでも増えたほうが有利です。
行政の透明性を確保するためには、対象者を限定せずに、「なんびと」にも開示するというのが、よりオープンな情報公開制度を持った自治体の標準になりつつあるなかで、宇城市が情報公開のスタンスを後退させていることを、まだ市民は知りません。
誰も知らないうちにコッソリとこういう改正を行っていて、気が付いたら、CCCのような企業にやりたい放題されている(スタパの家賃が月3700円とか)のではないのかって、不安に思いますね。
よろしくお願いいたします。
●14時33分追記
過去5年の審査請求件数もわかりました。以下の通りです。
2018年ゼロ件(27件)、2019年ゼロ件(34件)、2020年1件(38件)、2021年1件(34件)・2022年ゼロ件(23件) ※()内は開示請求件数
私が審査請求をしたのが2020年ですから、過去5年間のうち審査請求は2件のみで、そのうち1件が私の審査請求だったということがわかりました。つまり、それこそが宇城市の条例改正の「立法事実」だったのでしょう。
●20時40分追記
今年2/28の宇城市市議会本会議で条例改正案が議決された際、中山弘幸議員が反対討論のなかで、こう述べておられます。
市民への対応を優先するためというが、年間の件数が何百件もあるのなら、そうするのも仕方ないが、審査請求の年間の件数は、令和2年(2020年)1件、令和3年(2021年)1件の2件しかない。内訳は市内、市外それぞれ1件ずつ。それによる審査会が、市外からの請求で8回開催されたと報告を受けている。この実績から執行部の言う、市民への対応のためという理由は理解できない。
http://www.uki-city.stream.jfit.co.jp/?tpl=play_vod&inquiry_id=523
“令和2(2020)年一件、令和3年一件(2021年)に2件しかない。内訳は市内、市外それぞれ一件ずつ”
ということは、私のほかにもう一件の審査請求は市内の方で、市外から請求は、つまり私の一件だけだったということが判明しました。
そして、審査会が8回開催されたのも、「市外からの請求」つまり、私の審査請求のみだったことも判明しました。
執行部の言う「市民を優先する」とは、私のような市外のジャーナリストからの審査請求は全面的にブロックすることを主な目的とした改正であったことが、はからずも露わになったと言えるでしょう。
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