2025年8月5日火曜日

BJアーカイブ第3回・指定管理制度のデメリット(2015年12月9日)

 

こんにちは、日向です。


本日は、先月末からはじめましたBJアーカイブの第三回目を掲載したいと思います。


すでにBJサイトでは消されていましたので、取り急ぎ、魚拓(https://web.archive.org/)されていた記事を以下に再録しておきます。


掲載日は、2015年12月9日です。2015年12月だけでも、これで3本めの記事。実は、この後さらに、2本掲載されていますので、この月だけでも合計5本、BJにはツタヤ図書館関連の記事が掲載されていたことになります。


当時、武雄市のクズ本問題から始まって、住民訴訟へ発展し、海老名市でも独自分類が大混乱を引き起こし、愛知県小牧市に至っては、住民投票によるツタヤ計画否決と、これでもかというほど、炎上案件がつづいていたため、ツタヤ図書館問題は世間の関心が高かったということなんだろうと思います。


今回紹介する記事は、前の2本からのつづきではありませんが、以前から、私が書きたかった、図書館における指定管理制度のデメリットについて解説しています。


公共施設運営における「委託」と「指定管理」の違いがあまりにも世間には理解されていないようでしたので、そこにスポットをあてています。


いま見返すと、加筆・修正したい箇所が結構ありますが、とりあえず当時の記録として、そのまんま再録しておきたいと思います。


よろしくお願いいたします。



 

ツタヤ図書館、契約ずさんとして住民が訴訟!市が住民の情報開示要求を拒否!深まる不信

「武雄市図書館 HP」より
 当サイト記事でも何度か取り上げたが、レンタルビデオチェーンTSUTAYA(ツタヤ)を展開するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)が公共図書館を運営するに当たって、数々の疑惑の声が上がっている。その一方で、「新しいことを始めると不具合はつきもの。恐れずにチャレンジして、そのつど改善していけばよい」と、CCCを擁護する声も根強い。

 また、10月からCCCに図書館の運営を任せている神奈川県海老名市の住民アンケートでも、CCCの図書館運営に「満足している」と回答した人が8割を超える【※3】など、地元住民から一定の評価を得ていることも、まぎれもない事実である。

 しかし、これまでCCCによる不可解な図書館運営を見せつけられてきた「反ツタヤ民」からすれば、まるでチャリティーイベントの主催者が人を集めておきながら、会場内で別の私的な商売をして儲けているのと同じように映るだろう。

 つまり、公共施設で私腹を肥やす背信行為に対して怒りの声が上がっているのに、「大勢の人が来て喜んでいるのだから、それで何が悪い」と開き直っているようにもみえ、元の地味な図書館のほうがよっぽどマシと思う人も多いのではないか。

 この問題が深刻なのは、いくら反対する市民がCCCの図書館運営を糾弾し続けても「ツタヤ図書館」は簡単にはなくならず、また今後も同じスタイルの図書館が全国各地に続々とできていくのが確実であるという点だ。

 なぜならば、ツタヤ図書館で見られるような民間企業に公共施設の運営を任せる方式は、通常の民間委託とは根本的に性質が異なる「指定管理者制度」だからである。

 そもそも、CCCの公共図書館運営が度を超した公私混同になっている原因は、現行の指定管理者制度が、公務を利用して野放図なカネ儲けを企む企業にとっては抜け道だらけだからだ。行政が公務の受託企業を監視監督するガバナンス制度も正しく機能していないことが、市民たちの追及によって次第にわかってきた。

「問題が生じても、役所が指導さえすれば改善されるはず」と考えるのは、指定管理者制度の実態をまったく知らない、おめでたい話と言わざるを得ない。

指定管理者制度の問題点

 では、どこが問題なのか、具体的にみていこう。

 指定管理者制度とは、2003年の地方自治法改正によって、自治体が指定した民間の企業や団体に公の施設の管理を代行させることができるとした制度である。

 従来の管理委託制度が、民間事業者との契約によって具体的な業務の一部を委託するものであったのに対して、指定管理者制度は、指定を受けた業者に管理権限そのものを委任する行政処分の一種で、請負契約とは本質的に異なる。つまり、公共施設の運営全般に必要なことについて、指定した民間企業にほぼ全権を委任してしまうのが大きな特徴で、「丸投げ」に近い。

 指定管理者制度の問題点は、以下の5点である。

(1)公募は必須でなく、トップダウンで決めやすい

 指定管理者の選定は、原則として公募によって行われるが、場合によっては非公募でも構わない。つまり競争入札にしなくてもよいのだ。合理的理由さえあれば、随意契約としても問題はない。【※1】

 ただし、事業者の指定にあたっては、運営委託費の額にかかわらず、必ず議会の議決を経なければならない。そのため、指定管理者の選定が、市長をはじめとした議会の与党議員たちの強い影響を受けた「政治家案件」になりやすい。

 ツタヤ図書館の場合、佐賀県武雄市海老名市ともに、街の活性化に役立てたい市長サイドからCCCにアプローチしたとされていることからもわかるように、オープンな場で市民に説明しなくても、政治家がトップダウンで業者を決めやすい仕組みになっているといえる。

(2)情報開示請求が困難になる

 日本では「行政機関の保有する情報の公開に関する法律」(情報公開法)によって、行政が作成した書類については原則としてすべて開示することが義務づけられており、誰でも開示請求できる。そのため、図書館運営のような公務に関しては、仮に不正行為が行われていても発覚する可能性が高い。ところが、民間企業がからむ指定管理者においては事情が変わってくる。

 武雄市では、市民がCCCとの契約内容を開示するよう開示請求を行ったものの、市側は請求から1年以上たってから「契約内容はCCCの営業ノウハウに当たるため、開示できない」との決定を発表した。

 それを受けて市民側が異義申立を行った結果、情報公開審査会は「開示すべき」と判断し、武雄市がようやく開示に応じたが、請求から開示までになんと2年もかかっているのだ。

 それでも武雄市図書館のケースは、市当局が保持している情報だったために最終的には開示されたが、指定管理者しか保持していない情報についてはどうか。指定管理者の情報公開は努力規定にすぎないため、経理財務状況など指定管理者内部の情報については指定管理者が拒否した場合には、それ以上情報をたどるのはほぼ絶望的になる。

 うがった見方をすれば、指定管理者は都合の悪い情報をいくらでも隠蔽できるのだ。


(3)住民監査請求もできない(※2)

 市政運営などで不正行為の疑いがある場合、住民が不正を正す「伝家の宝刀」として設けられているのが、住民監査請求である。

 武雄市図書館のケースでは、市が開示したCCCとの契約内容を精査した市民が「あまりにもずさんな手続きによって結ばれた契約だ」として、今年6月に監査請求を行ったところ、市は法定期間(その事実が発生、または知ってから1年)が経過していることを理由として、2週間後に請求を却下している。監査請求の基になった契約内容に関する情報を2年も開示しなかったうえに、「1年経過したら監査請求できない」とは、あまりにも手前勝手すぎる。

 そのため市民たちは、当時の市長に対して1億8000万円の損害賠償を求める住民訴訟を提起した。

 このケースでは、指定管理が始まる前に武雄市がCCCと交わした契約そのものが監査請求の対象だが、指定管理が始まってから指定管理者が不正行為を行った場合、監査請求を行うことはできるのだろうか。

 その場合、住民監査請求を定めた地方自治法242条1項が規定する財務会計上の行為に当たらないため、対象外となっている。請求したとしてもすぐに却下され、それ以上追及できないのが実情だ。この点も、制度に穴があるとしかいいようがない。

(4)利益が出ないため周辺事業で儲けようとする

 指定管理者による公共施設の管理運営においては、毎年各事業者について業務の評価を行うのが一般的だが、業務の評価が低かったとしてもペナルティーが課せられるわけではない。

 逆に、指定管理者サイドからみれば、いくらがんばっても委託管理料が増えるわけではないため、できるだけ費用を抑えて利益を確保しようとする。

 特に図書館のように利用者から料金を徴収できない施設の運営においては、その傾向が顕著だ。ちなみに、武雄市図書館を例に取ると、13年の開業時に募集した「書籍コンシェルジュ」のアルバイト(蔦屋書店との共通募集)の時給は730円。海老名市立中央図書館の求人を見ると、フルタイムの司書スタッフは「月給19万3000円以上」だ。

 また、普通にやっていたのでは儲からないため、ツタヤ図書館のように併設した店舗で儲けるビジネスモデルが出てくるのは、ある意味必然といえるだろう。

(5)行政のガバナンスが正常に機能しない

 指定管理者は、コンプライアンス上問題のある行為(または不作為)をなすケースもあるが、不祥事を起こしても指定を取り消されるケースはかなり稀である。

 法律上、取消に当たって議会の議決は不要とされているものの、指定管理者の選定を主導した首長や与党の有力議員の意向は無視できないだろう。

 指定管理者の不祥事は、選定した役所の失態として市民にとらえられかねないため、できるだけ表沙汰にせずに穏便に済ませようとするだろう。逆に、市民からすれば、役所が不正行為をした民間事業者とグルになって不祥事を隠蔽しているようにしか見えない。

 また、指定を取り消すとなれば代わりに施設を管理運営できる体制を整えなければならないが、一度指定管理に移行してしまうと直営に戻して運営するだけのノウハウがもはや自治体にはなくなっている。かといって、後釜となる管理者を見つけるのも容易ではない。つまり、「不正行為が発覚したら、即指定を取り消す」ということは、現実的に相当困難だ。その結果、行政のガバナンスが正常に機能しないことが常態化してしまう。

指定管理者制度は沈みゆく旅客船?

 公共施設の民間委託を、大型の旅客船の運営にたとえてみよう。

 経営を効率化する際、船会社が最初に手をつけるのは、船内のレストランや劇場、遊技施設、客室清掃などの部分だ。それぞれ特定の業務を専門の業者に任せれば、効率よく業務をこなせるようになるばかりか、スタッフを直接雇用しなくて済むため、その労務管理の手間も省ける。

 次の段階が、船を動かす機関室の部分の外部委託だ。自前の機関士を雇用して、イチから一人前に育てなくても、そのつど外部から派遣してもらえば、自社では大して苦労もせずに、船を運行させていくことが可能となる。

 それでも、船の運行に関してすべての責任を負っている船長だけは船会社が直接雇用している正規社員を使い、決して外部委託はしないものだが、さらに費用を削ろうとしたときには、この船長の権限までも外部に委譲して、旅客船運行そのものを別の会社に任せる方式が浮かび上がってくる。この「船の運行を丸ごと代行させる」方式が指定管理者制度の本質である。


 この場合、一部委託とは違って、船長が船会社とは異なる会社に雇用されているという点が大きい。雇用形態も正規社員とは限らない。そうすると船長は、乗船客や船会社の安全や利益に忠実ではなくなる可能性がある。

 昨年韓国で、修学旅行中の高校生ら476名を乗せたまま沈没するという大惨事を起こしたセウォル号のことは記憶に新しいだろう。この事故で、乗客を救助せずに真っ先に逃げ出した船長は非正規雇用だったと伝えられているように、船会社が現場責任者の待遇をないがしろにすると、大きな代償を払うことになる。

 公共施設の一部業務委託は、財政難に苦しむ地方自治体にとって、ある意味仕方ない施策といえるが、丸ごと民間に任せる指定管理者制度は問題が多い。特に図書館のような文化施設にはなじまない。ましてや、海老名市のように本来、地域館を統括して司令塔の役割を果たす中央図書館の機能まで指定管理にしてしまうのは、いきすぎである。ちなみに、武雄市は市内に図書館が1館しかなく、その図書館を指定管理にしている。

 日本図書館協会によれば、全国に約3200ある公共図書館のうち、指定管理にしているのは470館で、年々増え続けてはいるものの、それでもまだ14%程度である。

 たとえば、市内に18の図書館を抱えている横浜市の場合、そのうち指定管理者に運営を任せているのは1館だけで、試験的に導入しているにすぎない。

 全国で最も民間委託を熱心に進めている東京・足立区ですら、14ある地域館はすべて指定管理となっているものの、中央図書館だけは区の直営である。

 今後も、「民間委託は素晴らしい成果を上げる」という先入観に騙され、小規模都市の中央図書館が次々と“ツタヤ図書館化”していきそうな勢いである。

 どのように街を活性化させるか頭を悩ませている自治体にとって、CCCは丸投げしておけば、難題の「人が集まる街づくり」まで代わりに企画、実行してくれるありがたい存在なのかもしれない。
(文=日向咲嗣/ジャーナリスト



【※1】2025年8月5日 特命随意契約は、緊急を要する事業や、他社がマネのできない特殊なノウハウを持っている企業と契約する場合にのみ特例的に許されるものであり、当時のCCCは、そのようなノウハウはもっておらず、すでに書店・物販やカフェを併設した図書館を運営していた企業はほかにもあった。よって、「非公募でも構わない」「公募は必須でなく、トップダウンで決めやすい」という記述は誤解をまねく恐れがある。

(※2)2025年8月5日 指定管理者制度上では「住民監査請求もできない」というのはあきらかな事実誤認です。運営者が損害を与えるなど、会計上の不正行為疑惑があれば、ごく普通に監査請求ばできます。


【※3】2025年8月5日 “神奈川県海老名市の住民アンケートでも、CCCの図書館運営に「満足している」と回答した人が8割を超える”とあるが、このアンケートは、全市民を対象とした調査ではない。あくまでも来館した人に対する調査にすぎない。CCCの運営に不満を抱き、来館しなくなった市民の意見はそこには入っていない。また、書面による自由回答形式ではなく、CCC職員による対面調査であるため「不満」と回答しにくい(圧迫面接のよう)との指摘がなされている。よって恣意的な手法によって導き出された調査結果と言える。その後もCCCは「市民の8割が満足」を自社運営の優れた点としてアピールしているが、これらの理由から、そのアピールを、同社の評価として採用すべきではないとの指摘が絶えない。






喰われる自治体~埼玉県春日部市の場合~

 

こんにちは、日向です。


本日は、続々とツタヤ化する自治体一覧~名古屋と横浜も危ない~


で取り上げました、CCCがこれから受託予定(選定される可能性の高い事業含む)の自治体では漏れていた、埼玉県春日部市の情報を少し書いておきたいと思います。



「春日部駅周辺のエリアプラットフォーム構築に向けた官民連携まちづくり説明会」という長ったらしいタイトルのイベントが8月25日に開催されるというニュースがあり、その開催の主催者になっているのがCCCでした。


https://www.city.kasukabe.lg.jp/soshikikarasagasu/toshikeikakuka/gyomuannai/7/2/33015.html




春日部市で、いつのまにかCCCがまちづくりに関する事業を受託しているのか?と調べてみました。


すると、今年4月「春日部駅周辺エリアプラットフォーム構築等支援業務委託」が公募され、7社応募があったなかで、CCCとコンサルタント会社3社によって構成されるコンソーシアムが選定されていました。


いったいなにをする事業なのか、駅前に公共施設でもつくる計画があるのかなと思って、早速、担当課に電話してみたところ、まだ特にそういう具体的な計画はないとのこと。


おかしいですよね。これは、再開発でよくあるパターンだと思うのですが、鉄道の高架化によって、新たに一等地にスペースが生まれたり、利便性が増すことを契機にして、駅周辺の賑わい創出を推進していくにはどうしたらよいのかということを、官民が連係して考えていこう、そのために関係者が集まって協議をしていく場をつろくうということなんだそうです。



んー、これはなんか、雲をつかむような話といいますか、そういうことを民間企業が旗振りして進めるというのは、いったい何を意味するのでしょうか。


「地方創生」を名目にして、国から巨額の補助金でも引っ張ってくるのかなぁと思って聞いてみたら「補助金はないです」と担当課がキッパリ。


でも、あとで調べてみたら、事業計画をこれから作成するのに、埼玉県の補助金が出ていることがわかりました。まぁ、計画や調査の費用を国や県が補助するのは、すでにこの世界では常識なのかな。


埼玉県ふるさと創造資金 主な採択事業(令和7年度第1回)より
https://www.pref.saitama.lg.jp/a0106/shienseido/news20250523.html




そうすると、やっぱり、まちづくりのコンサルタントが、さまざまなイベントやワークショップを開催したりして、賑わい創出の具体的な計画をこれから詰めていくんだろうと思います。でも、そこで注意したいのが、CCCが入っているとなりますと、この後、考えられるのは、以下のような調査結果が出てくることです。


・市民アンケートを実施してみたら、わが町に足りないのは、魅力的な公共施設である


・とりわけ滞在型の図書館や市民センターが駅前に望まれている。


・図書館や市民センターに設置してほしいのは、書店やカフェである


・さまざまな市民参加のイベントをそこで開催して、にぎわい創出を実現すべきである


・子育て支援も作って、若い世帯が定住しやすい街にすべきである


・観光案内所も、駅前の公共施設内に設置すべきである。



これって、2013年の武雄市から始まって、和歌山市や最近の坂出市なんかでもさんざんみせられてきた、いつもの光景です。CCCが自ら手がけなくても、連係しているコンサルタントがCCCに都合のいい計画をどんどん進めていってくれますから。


公共施設を新たに整備しなくても、大阪府高石市みたいに、自治体が支配している第三セクター所有の駅前ビルに、破格の条件でCCCの店舗を誘致したりするパターンもあります。(高石市は、その後、市長が代わったため三セク出店止まりで、公共施設受託までには至りませんでした)


そうしますと、これから市民参加の説明会とかを開催する目的というのが、おぼろげながらみえてきます。


まちづくりの基本構想や基本計画を立案するための調査をまず担当するのが、CCCとそのグループなんですから、当然、思いっきり、自分たちが儲かる方向に報告書が作成され、それをもとに自治体が新しい公共施設の設置を決めて、その計画をCCCが作成して、結果、設計から運営までをCCCが担うようになるというわけです。


和歌山市や木更津市なんかは、まさにこの通りCCCが事業の最上流から食い込んでいて、最後の運営までを見事に取っていきました。(木更津市は、現在進行中)


中心市街地の再開発事業の場合、それによって利益を得るのは、鉄道事業者とハコモノ整備を担当するゼネコン、計画するコンサルタント、不動産事業者などです。ちなみに、和歌山市では、当初、南海電鉄和歌山市駅前に、図書館だけでなく、市民ホールや博物館もほしいと「民」からの野放図な要望が次々と出ていました。元国交省の大物次官を座長にした、まちづくり協議会では、ステークホルダーから「現状では駅前にマンションも建てられない、もっと人を呼べるようにしてほしい」というストレートな要求が出ていました。


「民」の要望をかなえるためには、いわば、なんちゅら構築等支援業務というのは“種まき”みたいなもの。ここから芽が出て成長してやがて咲いた花を、みんなでおいしくいただこうというようなことを、地方創生を飯のタネにしている人たちは、イメージしているんだと思います。



しかし、官民連携のまちづくり手法は、常に違法な官製談合スレスレで行なわれます。たとえば、千葉県木更津市では、2022年に市民交流プラザの基本設計・基本計画立案者を公募した際、応募事業者に参考資料として提供された調査報告書が、一応募者であるはずのCCCが何年も前に作成していたものであることが発覚。そりゃあCCCが絶対有利ですよ。この件は、のちに議会でも取り上げられ、その不透明な事業者選定プロセスが批判の的になりました。


市民の声をちゃんと聞いたうえで事業が進められ、各段階で、公平公正に事業者が選定されるのでしたら、外からは何もいうことはないのですが、残念ながら、現実は、上流から食い込んだ事業者がそのまんま自分たちの都合のいい計画を進めていき、いつも主役であるはずの市民は置いてけぼりになってしまいます。


巨額の公金が投入されて整備された駅前施設は、特定の民間企業に利益供与だけで終わりがちです。費用負担が増えても、それに見合うだけの地域の文化が花咲いたりすることも、まずありません。


オープンしたら「何万人達成!」と派手に来場者数はぶちあげますが、地方創生の掛け声のもとに巨額の公金が注ぎ込まれて成功した再開発は、私は、寡聞にして一例も知りません。官民連携事業では、一部の民だけが得をして、地元商店街などは、ますます寂れていくというのがこれまでの地方創生の典型的なパターンではないでしょうか。


結局、なんのために、まちづくりイベントが行なわれているのかがわからないまま、地方創生コンサルタントが儲かる事業だけがひとり歩きしていきます。



なお、いつもCCCを選定した自治体へのお約束質問を、春日部市の担当課にもしてみました。


2019年に、CCCは、基幹事業のTSUTAYAが消費者庁から景品表示法違反で1億円の課徴金を課せられたことをご存じですか?


答えは、「知りません」でした。





2025年8月2日土曜日

“塗黒的官方文件”のデザイン

 

こんにちは、日向です。


本日は、ちょっとめずらしいものを入手しましたので、そちらをみなさんにおみせしようと思います。


下をみてください。



これなんだと思います? そう、本のカバーです。

昨年10月に刊行した拙著『「黒塗り公文書」の闇を暴く』について、以前、台湾の大手出版社から、その翻訳版を出したいというオファーがきたという話を当ブログでも書いたと思うのですが、

その翻訳版がいよいよ台湾で刊行になるらしく、改めて「先方で制作したカバーデザインがこんなふうになりますので確認してください」ということで、先日、版元の編集者から送られてきたものです。

日本版も、カバー全体が真っ黒な下地で、なかなかインパクトのあるデザインでしたが、台湾版のほうは、さらにミステリアスな雰囲気を醸し出したものになっています。拡大してみましょう。






タイトルは、塗黒的官方文件 となっていて、その字面だけでも、日本語にはないミステリアスな雰囲気を感じます。


凄いのがこのデザインです。

真っ暗な闇のなかに、掌をこちらに向けた人影が、うっすらと映っていて、こちらに迫ってきています。まるでホラー映画のような怖さがあります。


民主崩壞的起點 
一千四百頁的政府文件 
92% 被徹底塗黑! 

という語句が、本書の内容をコンパクトに表現。

そして、ほかの本ならオビのある位置に、これまた本書の内容を端的に打ち込んできています。

不監督,黑幕就會常態化

不監督,公共就會私有化


日本版がそうだったように、台湾版も、本のカバーデザインが、ここまで見事に人の興味をそそるようになっているものはなかなないなぁと、感服しました。


とはいえ、漢字の字面から私が勝手に解釈しているだけで、テキストの正確な意味は少し違うのかもしれませんけれど、なにはともあれ、言葉と文化の壁を越えて、権力にあらがう市民の姿が日台共通のモチーフになっているのかなと思いました。


それにしても、法制度がまったく異なるお隣の国において、何故、日本の公文書問題についての書籍が翻訳されて読まれるのかが、とっても不思議です。

台湾といえば、「天才デジタル大臣」として有名なオードリータン氏が活躍していますから、おそらく行政の透明化を推進するための情報公開制度なんかも、日本の小さな自治体よりは進んでいるのだろうと推察しますが、それでも、こういう出版企画が通るというのは、なにかしら日本と共通した課題はあるんだろうとも思いました。


蔦屋書店がマネした台湾の超有名書店


それともうひとつ、台湾といえば、2019年に日本に初上陸した「誠品生活」を思い浮かべます。

本国・台湾の「誠品生活」は1989年の創業以来、“アジアで最もすぐれた書店”と、その店作りが世界中で注目。本だけでなく、生活にまつわる雑多な店舗が同居していて、金属加工のワークショップなど、カルチャー体験型店舗が目白押し。日本橋にオープンした誠品生活日本橋も書店でありながら、さまざまな“モノ・コト消費”に特化した店舗として人気を集めています。

そういうと、なにかを思い出しますよね。そうです。代官山や六本木にあるCCCの蔦屋書店がマネをした新業態こそが、「誠品生活」なのです。そんな誠品生活のおひざ元の台湾の版元が、誠品生活のライバルであるCCCが進める公民連係事業を進めるなかででてきた黒塗り公文書の本を翻訳出版するというのも、なかなか味わい深いものがあります。

私も、東京・日本橋COREDO(コレド)室町テラスにある同店をよくのぞきます。テーマごとにギッシリと本が詰まった書架が長くつづく売り場は、落ち着いて本を探せますし、「選書コーナー」では、新刊でないタイトルもうまく並べられていて、いまどきの書店にはない「興味をそそる」編集がなされているように感じます。

ちなみに、拙著も、発売から半年くらいは、ありがたいことに、新書コーナーのいちばんめだつ場所においていただいておりました。






「誠品生活」へ行くと、どうしてもCCCの蔦屋書店やツタヤ図書館と比べてしまいます。なにが違うのか、なにが面白いのか、そこを突き詰めていくと、CCCの海外店舗が見た目は派手なのに、いまいち人気が出ていない理由が、なんとなくわかるような気がします。

すみません。支離滅裂な話になってしまいました。

そんなわけで、台湾の方は、“塗黒的官方文件”を、ぜひよろしくお願いいたします。













2025年7月31日木曜日

続々とツタヤ化する自治体一覧~名古屋と横浜も危ない~

 

こんにちは、日向です。


先日、突如はじめましたBJ記事のアーカイブですが、



いまさら、そんな昔の記事を保存しておかなくても、もう落ち目のCCCという会社には自治体を落とす力なんてないのに


そう思われた方も多いのではないかと思います。


しかし、現実は違います。


ツタヤ図書館ウォッチャーの方が、いまもCCCが関与している全国の自治体の動向を丹念に追って、そのつど経過をsnsで発信されています。それをみていると、CCCが受託する案件は決して減ってなんかないことがよくわかります。


2020年以降、コロナ禍と建築資材と人件費高騰によって、一部計画が大幅に遅延したケースはあるものの、受託案件そのものは着実に積み上げてきており、そのほとんどが例によって事業者の選定プロセスがとんでもなく不透明なんですよ。


まあ、政治家案件だったり、どうしてもCCCにしないといけない、なにか特殊な事情があるのか、事前に構想や計画が広く市民に周知されたうえで、パブコメなどによって市民の声を聞くという、まっとうな手法ではなく、先になにがなんでもCCCに任せることが結論が決まっていて、それに合わせて構想や計画を整えたのではないのか、そう疑われるケースばかりなんですよ。


まずは、下の表をみてください。







昨春以降に、CCC運営でオープンする公共施設を一覧にしたのがこれです。


昨年4月には、すでに薩摩川内市のセンノオトがオープン。この3月には、福島県大熊町の産業交流施設と商業施設がオープン(BGタイズCCC共同事業体として受託)しています。


この後、10月には、2021年に決定して、その危うい選定プロセスをさんざんBJに書いてきた沖縄読谷村の総合情報センターがいよいよオープン。また、一度は議会で否決されたCCC運営の複合施設計画が、しがらみのない新市長に交代後、なぜか中古建物改修から建物の新築に変わって、ゾンビのようにCCCが蘇った(共同事業体として参画)山口県宇部市の複合施設も2026年秋にオープン予定となっています。


その下には、2020年から、BJと当ブログにその選定プロセスのおかしさをレポートしました大阪府門真市の複合施設が来春オープンします。


このあたりは、わりとよく知られていますが、問題はこの後です。



2027年春には、福島県白河市が、市民交流スペースを備えた生涯学習センターを整備して、その運営をCCCに任せることになっています。翌年の2028年度には、当ブログで取り上げている香川県坂出市のほかにも、岐阜県瑞浪市、静岡県富士市の新規オープンが予定されています。坂出市だけは図書館ですが、瑞浪市も富士市も市民センターを備えた複合施設です。


興味深いのは、白河市も富士市も、なぜか、施設の運営者を選定する前に、開業準備・運営企画支援等業務業務を担当する事業者としてCCCを選定した際に、「本業務の受託者には運営業務を発注する」と仕様書に明記していることです。


両市とも、その点の説明を求めると、「運営者は別に公募して選定する」と言ってるのですが、実際には、前段階のオマケ業務を受託したら、本体もついてくるみたいなおかしなことをしているんですね。こんなの、完全に違法でしょう。


まぁ、そういう経緯をみていたら、もうガチで応募してくる他社もいないでしょうから、CCCが準備業務を受託した瞬間に、運営も(場合によってはその前の設計も)CCCになるように、画策されている様子がみてとれるんです。


ほんとに、いつまでたっても、官製談合まがいの行為が横行していて、どうして市民の声を聞きながら、公平公正に事業者を選定するという当たり前のことができないんだろうと思いますね。



岐阜県瑞浪市の場合は、運営者を決める前の2023年11月に、社会教育の権限を教育委員会から市長部局に移管する手続きを行なっていて、市民とか専門家の意見をよく聞かないでも、市長の一存でなんでもできるような体制を整えていました。



このあたりは、先行する千葉県木更津市のケースが、ツタヤ誘致自治体の官製談合疑惑の典型ケースとして、これまでさんざん書いてきましたが、その木更津市は、新庁舎整備がゼネコンが辞退したことで計画のやり直しを余儀なくされています。それでもCCC選定は揺るぎないのでしょうか。木更津市内の別のエリアに建設予定の図書館もCCCに任せるのではとささやかれています。



「公共」に巣くうツタヤ



さて、ピーク時に1000店あったTSUTAYA店舗が三分の一まで激減し、2024年段階で、売上高が2019年の4分の1に、営業利益が2018年の60分の1にまで激減した瀕死のCCCですが、では、図書館や市民センターをはじめとした公共施設の運営に活路を見見いだせるのかというと、いくら自治体が一企業の養分になったところで、どこも規模は小さいですから、すぐにそれらが経営状態を改善できるほどの利益をもたらすとは思えません。


そういうなかで、今後、CCCが起死回生の策として乗り出してくるであろうエリアが大都市部です。


意外に思われるかもしれませんが、これまでツタヤ図書館とか、ツタヤ公民館と呼ばれるものは、県庁所在地である和歌山市を除くと、人口5万人~十数万人という小規模の自治体でした。大都市は、すでにあるTSUTAYAや、あるいは蔦屋書店、T-SITEが出店して、完全に民間店舗として出店する。一方で、人口の少ない地域については、民間店舗としてはうま味がないため、公共施設を受託することで運営費をもらいながら、激安でブックカフェを出店する戦略で展開してきました。


ところが、大都市部でもTSUTAYAが次々と閉店していくし、T-SITEもガラガラで閑古鳥がないている状態となれば、もう遠慮はいらないですよね。そう大都市でも公設ツタヤをつくればいいんです。


ここへきて、そのターゲットになっているのが、名古屋市と横浜市です。





まず名古屋市については、「(仮称)星が丘ボウル跡地プロジェクト」というのが進行しておりまして、すでにその計画エリア内に蔦屋書店が出店することが決まっているんです。民間企業(東山遊園株式会社)が地権者ですから、どこの事業者とコラボするかは市民に聞くことなく勝手に決められるわけです。ところがおかしなことに、事業エリア内に新図書館を併設する計画になっていて、こちらは、千種区・東区・守山区・名東区の4区の中核となる、名古屋市初の「アクティブライブラリー」が誕生する予定とアナウンスされているんです。


もちろん、運営者はこれから選定されるんですが、すでにエリア内に蔦屋書店が決まっているわけですから、ははーん、これ、密かにツタヤ図書館にしようとしているなと、名古屋市民の間では、ひところ大騒ぎになったほどでした。実際には、どうなるのかわかりませんが、賑わい創出型図書館とくれば、CCC選定を前提にして動いていると考えて身構えるのが自然です。



「(仮称)星が丘ボウル跡地プロジェクト」
星が丘グループ 東山遊園株式会社プレスリリースより




そして、もっと危ういのが横浜市です。横浜市には、2025年5月にCCCが東京・六本木から西区・みなとみらいに本社を移転したばかり。移転先の「横浜コネクトスクエア」には、CCCグループのCCCMKホールディングスやCCCライフパートナーズも移転しました。


日経新聞の報道によれば、CCCは、横浜移転によって5年間で6億2440万円の法人事業税が免除されるとか。そのタイミングで横浜市は「大型図書館を整備する」と発表。横浜市には、図書館は各区1館ずつの計18館しかなく、市民1人当たりの蔵書冊数は1・1冊(2022年度)で、政令指定都市では最も少なかったそうで、その状況を改善するために新図書館は必要。加えてグループ学習や談話、飲食などが可能な空間を備えた大型図書館を整備する計画というんですから、これは危ういです。


横浜市は、CCCに税金を免除したあげく、仕事まで用意するのか!


と憤慨する市民も続出。



同じ神奈川県で、武雄市につづく第二のツタヤ図書館として2015年にオープンした海老名市では、市民のCCC運営批判が激しかったことからすれば、もし横浜市でツタヤ図書館オープンとなれば「図書館戦争ふたたび!」となりかねません。いま行われている市長選挙の争点にはなっていませんが、現市長が再選されれば、横浜市のツタヤ図書館はかなり現実味を帯びるのではないでしょうか。


CCCにとっては、全国の大都市へ展開する起死回生の足がかりになるのは間違いありませんので、これは目が離せません。


あとは、完全な公設民営の施設だけでなく、公費が入りそうな民間施設の運営もCCCにとっては、生き残りのための貴重な活路になりそうです。


2024年に鹿児島県薩摩川内市に九州電力がオープン(市が土地を貸与)した市民交流施設「センノオト」の運営を受託したのがその典型例で、道の駅とか、地方のちょっとした賑わい施設に、CCCお得意のブックカフェや、都市部なら商業施設に、公的な補助金がらみでシェアラウンジを出店する例もゾクゾクと出てくるはずです。


センノオトや大熊町の産業交流施設などは、当然、電力会社による市民への広報活動を全面的に支援する形になりますので、ある意味“原発マネー”に巣くう戦略といえるかもしれません。


そんなわけで、いかに公共に寄生するかが、もしかしたら、CCCにとっての大きなテーマと言えるのではないかと思います。あなたの住む街にも、いずれCCCが密かに迫ってくるかもしれません。


今後も、CCCの動きからは目が離せません。





2025年8月1日追記】

ツタヤウォッチャーの方から、CCCが運営に参画が決まっている自治体としては、私がここに取り上げたところ以外にも、「岐阜県高山市、沖縄県うるま市、経済産業省内多目的スペースがあり、埼玉県春日部市と岩手県紫波町が計画・構想段階の業務を受託している」との情報提供をいただきました。後日、詳細わかりましたら、お知らせしたいと思います。



2025年7月29日火曜日

BJアーカイブ・2015年12月その2

 

こんにちは、日向です。


昨日、私がBJに最初に書いたツタヤ図書館問題についての記事として、2015年12月に掲載された記事を再録しました。


ツタヤ図書館、ラーメン本購入し郷土資料を大量廃棄、小説『手紙』が「手紙の書き方」棚 (次々と消されていくツタヤ図書館批判記事・2015年12月)


これ最後まで読んで、あれっ? なんかヘンと思いませんでしたか?


そう、尻切れトンボなんですよ。行数の関係で、あまり長くならないよう、締めの言葉を省いた原稿もたまに書いていたかもしれませんが、それにしても、これは、いまいちしっくりこないなぁ。そう思って、当時、編集部に送ったメールを探してみたら、その理由がわかりました。


結論から言えば、これ前編・後編に分かれた記事で、その前編だったんですよ。12月8日と記事の左上に日付がありますが、おかしなことに、その日以降にあるはずの後編の原稿がみつかりません。


で、もう一度12月8日付けとして掲載された記事の原稿をみてみると、一本の原稿のなかに、しっかり後編部分も入っていました。


つまり、前回ご紹介した記事の掲載日だと思っていた12月8日は、このアーカイブがとられた時点での最終更新日。BJサイトのリリースはその前日の12月7日で、翌日の12月8日には、後編がリリースされているはずなんです。


そう思って魚拓を探してみましたら、ありました。以下のトタイルの記事が。


ツタヤ図書館の異常なビジネスモデル 激安賃料&書店併設のオイシすぎる商売


週刊東洋経済が行った増田宗昭社長(当時)の単独インタビューのなかのコメントを引き、この頃ようやくおぼろげながらみえてきた“ツタヤ図書館商法”のカラクリを解説する記事にしました。


このときに、CCC批判の傍証にさせていただいたのが、のちに海老名市を相手どって住民訴訟を起こした南室さんのブログでした。


南室さんは、蔦屋書店とスターバックスが海老名市に収めている賃料があまりに安すぎるという証拠資料をキッチリと開示請求によって入手していました。


この情報は、ツタヤ図書館ウォッチャーたちの間にまたたくまに広がっていきましたが、残念ながら、それが批判の的になるまでには発展しなかったように記憶しています。


当時の私のスタンスとしては、「ネット等で騒がれているツタヤ図書館問題を、わかりやすくまとめておこう」というものでした。


なので、この後、次第にツタヤ図書館の話題が沈静化していけば、この記事が最後になって、その後、ツタヤ図書館問題の「沼」にのめりこむこともなかったのですが…。


ということで、BJより、昨日のつづきの後編記事を以下に再録しておきます。


よろしくお願いいたします。




 

ツタヤ図書館の異常なビジネスモデル 激安賃料&書店併設のオイシすぎる商売

【この記事のキーワード】

「海老名市立図書館 HP」より
「あのね、CCCってオバケなんだよ」
「みんな見えない。見たことがない」

 レンタルビデオチェーンTSUTAYAを展開するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)の増田宗昭社長は、「週刊東洋経済」(東洋経済新報社/10月31日号)のインタビューで、自社の既成概念にとらわれない新規事業展開をそう表現している。

 同社が運営する公共図書館、通称「ツタヤ図書館」についても、いまだにその実態が一般市民には見えてこない。多くの人に見えているのは、公私混同のビジネスモデルだ。

 すなわち、居心地のいいオシャレな「公」の図書館で客寄せをし、その客が「私」のカフェや書店・レンタル店でお金を落とす。しかも、その客の行動データは、図書館の貸し出しにも公式採用(利用者が希望した場合)されたTカードによって、もれなく収集する(ただし図書館の貸し出しデータについては、返却後破棄されることになっている)。

 公共図書館の部門においては、開業時に改装費用を一部負担(武雄市の場合は総額7.5億円のうち3億円)するものの、公費によって運営する代行業のため、大きな赤字に陥るリスクはない。税金で商業施設レベルのハコモノをつくってもらい、「無料貸本屋」に客は殺到し、その周辺で儲けられるという皮算用だ。

 ツタヤ図書館の収益構造の秘密を知るうえで非常に興味深い資料が9月、ある市民の情報開示請求によって公開された。海老名市長からCCCに対して交付された海老名市立中央図書館建物の「使用許可書」である。

 それによれば、使用許可面積は541.67平米で、使用許可箇所は書籍販売及び喫茶の営業のために使用。つまり、中央図書館併設の蔦屋書店とスターバックスへの賃借許可といえるのだが、驚くのは賃料の安さだ。

「1平米当たり6458円」とされており、単純計算で年額約350万円。月にすればたった29万円だ。同館周辺の民間ビルの賃料相場から換算すると、この広さのテナントであれば、月500万円、年額6000万円は下らないとの試算もある(『疑惑の図書館建物使用許可・ナムラーのブログ』)。

 この試算に従えば、この賃料は世間相場の17分の1ということになる。使用許可書には、そのほかの費用負担の規定もあるため、実際にはもう少し出費は膨らむだろう。いずれにしろ、公共図書館併設という好条件で労せず集客できるうえ、破格の賃料でカフェや書店・レンタル店を経営できる“おいしい”ビジネスは、これまで誰も見たことがないオバケそのものである。


 増田社長は武雄市図書館に関して、「今は行政の方があちこちから毎日見学にいらしていて、『うちでもやってくれ』『見に来てくれ』と行列をつくっている状態だ。僕らがやるとコストが下がるというのもある。すべてセルフPOSだし、実際には本のレンタル屋だ。要するに『図書館なんてものはない』。名前は図書館だが、本のレンタル屋だ」発言している。つまり、公共図書館もあくまでレンタル業と同じで、ビジネス利用の一手段として取り込もうという狙いが透けて見える。

 それにしても、CCCに関する疑惑の多くは、マスコミ報道ではなく、ツタヤ図書館に強い違和感を抱いた一般市民らが行った情報開示請求によって表面化したものばかりだ。

 彼らの粘り強い追及によって、ツタヤ図書館の正体が徐々に暴かれているが、世間の厳しい批判すらも成長のための栄養にしているかのように、CCCのオバケは増殖力を強化している。
(文=日向咲嗣/ジャーナリスト


※2025年7月29日・日向注釈

“公共図書館の部門においては、開業時に改装費用を一部負担(武雄市の場合は総額7.5億円のうち3億円)する”とあるが「CCCが武雄市の開館時に3億円を負担したということを証明する資料はない、事実と異なるのではないか」との指摘がなされている。













2025年7月28日月曜日

次々と消されていくツタヤ図書館批判記事・2015年12月

 

こんにちは、日向です。


先日、ビジネスジャーナル連載終了のお知らせ に書きましたように、


2015年頃からBJに寄稿してきたツタヤ図書館関連の記事が次々とアクセスできなくなっています。


いつからそうなったのかははっきりしませんが、今年3月に運営会社が代わってから、アクセスできなくなっているページが急増しているようです。


ヤフーニュースなんかとは違って、BJは、これまで過去記事も消さずにアーカイブとして残しておいていただけたのに、突然の方針転換に少し戸惑っているところです。

そこで予告しておりましたように、すでに消えてしまった記事を当ブログに取り急ぎ、転載することにしました。


CCCにとっては、昔のやらかしをいつまでも蒸し返されてはたまったものではない、「忘れ去られる権利くらいある」と主張したいところでしょうけれど、坂出市など、現在進行中の受託案件でも、かつての不祥事と似たようなことが起きかねませんので、やはりツタヤ図書館問題とはどういうものだったのかを記録しておくためにも、過去記事は残しておくべきと思います。


本日は、ツタヤ図書館問題について、おそらく私が本格的に書いた最初の記事(2015年12月)を以下に再録しました。


当時を振り返って、少しコメントしておきますと、2015年10月の海老名市でのオープン直前に、武雄市で起きたクズ本問題や郷土資料廃棄事件、ライフスタイル分類、Tカード個人情報漏洩不安などが次々と噴出して、このときだけは大手メディアもこぞって取り上げていた時期です。

その流れにのって、いくつか気になったトピックスをまとめだけの記事です。とりたてて独自性はなく、後追い記事という印象ですが、それでも、ネットニュースとしてはよく読まれた記事だと思います。


ちなみにタトイルに「ツタヤ図書館」とついた記事は、この前にも何本が出していますが、いずれも私が個人的に関与した東京・足立区の事件をフォーカスしたもので、ツタヤ図書館に関する記述が乏しいものでした。


今後もできるだけ数多く過去記事を復活させたいと思いますので、もし私が忘れている記事がありましたらご指摘いただけると幸いです。


よろしくお願いいたします。


 

ツタヤ図書館、ラーメン本購入し郷土資料を大量廃棄、小説『手紙』が「手紙の書き方」棚

「海老名市立図書館 HP」より
 2013年のリニューアルオープン以来、2年間で約170万人もの来館者を集め、ほかの自治体からの視察が後をたたず、「成功モデル」ともてはやされた佐賀県・武雄市図書館。同館は、明るく開放的な読書スペースに、お洒落なカフェや新刊書店とレンタル店を併設した“新感覚の図書館”として話題を呼んだ。レンタルビデオチェーンTSUTAYA(ツタヤ)を展開するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)が運営していることから、通称「ツタヤ図書館」とも呼ばれている。

 ツタヤ図書館は、10月に神奈川県海老名市に誕生したのに続き、来春には宮城県多賀城市にもオープンが予定されている。今後、全国各地に広がっていきそうな気配だが、その勢いとは裏腹に、CCCに対する批判が日を追って激しくなっている。いったい何が問題となっているのか、あらためて整理したい。

系列会社から古本を大量購入?

「よそが捨てたゴミ本で埋まっている!」

 他館の司書が武雄市図書館の初期蔵書入れ替えリストを見たら、きっとそう思ったに違いない。次々と新しい本が入ってくる公共図書館では、スタッフが常時書架をチェックして、資料価値が著しく減じた本を棚から「除籍」する作業は欠かせない。それによって、常に一定水準の質を保った棚を維持しているのだ。しかし武雄市図書館では、リニューアルオープン時に、『ラーメンマップ埼玉2』(ラーメン探検隊/幹書房)、『公認会計士第2次試験2001』(TAC出版)など、出版年度が著しく古く「除籍本リスト」と見まがうような資料価値の低い本を中古で約1万冊も購入していたことが7月、市民の情報公開請求によって判明した。

 そのリストを見た図書館関係者は、「毎日コツコツ除籍した本が、一度に逆流してきたみたい。すごい悪夢ですね」と、思わずため息を漏らす。

 しかも購入先が、当時、同社と資本関係のあった新古書店だったため、「系列会社の在庫処分に図書館を利用したのではないか」との疑惑すら浮上した。

 騒動後、武雄市は「高層書架の安全対策のために書籍購入費2000万円から1300万円流用したために、残りの費用で中古本を購入することになった」旨の釈明をしたが、かえって公費使途の不透明さが浮き彫りになったばかりか、本よりも設備にカネをかけている事実も市民の不評を買うことになった。

 さらに、地域の図書館として本来大切に所蔵されるべき郷土資料に加えて、併設のレンタル店と競合しそうな人気のDVDやCDを、市民に説明もなく大量廃棄していたことも批判の的になった。ここに至って、それまで図書館の民間委託に賛同していた人たちからも、「とんでもない公私混同」と怒りの声が渦巻いた。

 ちなみに、筆者の著作を武雄市図書館のサイトで検索してみたところ、同館には21冊所蔵されていた。その中には、雇用保険関係の同じタイトルの古い本が4冊(04年版、05年版、09年版、12年版)もあったが、今年発行した最新版は所蔵されていない。この著作は、法改正等に合わせて内容を改定し、巻末に過去の法改正履歴も収録しているため、新しい版を入れたら古い版は除籍されるべきものである。

司書も本を探せない

“図書館の命”ともいわれる選書に加えて、本の分類方法でも問題が浮かび上がった。

 10月、2館目のツタヤ図書館としてオープンした海老名市立中央図書館では、一般の図書館が採用する標準的な分類法とは異なる「ライフスタイル分類」という独自方式を採用している。「本との出会い」を演出する仕掛けらしいが、どこに何があるのかがわかりづらく、所属の司書ですら本を探せない事態が続出した。

 たとえば、小説『手紙』(東野圭吾/文藝春秋)は「手紙の書き方」、『旧約聖書』の「出エジプト記」は「海外旅行」、『雁』(森鴎外)は「鳥類図鑑」、さらに松尾芭蕉の『奥の細道』関連の本は「国内旅行」という棚に、それぞれ分類されていることがインターネット上で笑いのネタとして駆け巡った。

 海老名市立図書館の管理運営はCCC単独ではなく、業界最大手の図書館流通センター(TRC)が共同事業体として参加しているが、そのTRCの谷一文子会長は次のように不満をぶちまけている。

「(ツタヤの独自分類は)系統立てて理解することが第三者にはできない。たとえて言うなら、図書館の書架が個人の本棚のようになっている。好きなように分類した当事者にとってはわかりやすいかもしれないが、第三者にはまったくわからない」(12月4日付東洋経済オンラインTSUTAYA図書館に協業企業が呆れた理由』より)

 結局、両社の溝は埋まらず、指定管理スタートから1カ月もたたないうちにTRCが「基本的な思想が違う」として、CCCとの協業関係の解消を表明。その後、一転して「指定管理期間満了までは協力関係を継続する」と態度を変えたものの、一連の騒動はツタヤ流の図書館運営がいかに独善的であるかを世間に強く印象づける結果となった。



 さらに、貸し出しカードTポイントを導入することで個人情報保護に対する不安の声が上がったほか、公共部門の図書館と商業部門の併設書店やカフェとの境界線の不明確さ、誘致方法や指定管理者選定プロセスの不透明さなど、さまざまな疑念が次々と浮かび上がっている。そのなかでも最も世間の反響が大きかったのは、公共図書館としての基本機能に対する不信感だった。

 いくら外観や内装が素晴らしく居心地のいいスペースであっても、肝心の図書館としての機能がお粗末であることが次第に浮き彫りになってきたわけで、その象徴的出来事が「選書問題」だったのである。

 その意味では、地元紙・神奈川新聞が海老名市立中央図書館のリニューアルオープン直後に自社サイト・カナロコに掲載した館内写真は、本好きの市民にとってはさぞや衝撃的だったことだろう。最上段の棚には、中が空洞のダミー本が並んでいる。カナロコは「偽物を飾る『カフェ』」と題して痛烈に皮肉っている。
(文=日向咲嗣/ジャーナリスト