こんにちは、日向です。
本日は、ちょっとめずらしいものを入手しましたので、そちらをみなさんにおみせしようと思います。
下をみてください。
これなんだと思います? そう、本のカバーです。
昨年10月に刊行した拙著『「黒塗り公文書」の闇を暴く』について、以前、台湾の大手出版社から、その翻訳版を出したいというオファーがきたという話を当ブログでも書いたと思うのですが、
その翻訳版がいよいよ台湾で刊行になるらしく、改めて「先方で制作したカバーデザインがこんなふうになりますので確認してください」ということで、先日、版元の編集者から送られてきたものです。
日本版も、カバー全体が真っ黒な下地で、なかなかインパクトのあるデザインでしたが、台湾版のほうは、さらにミステリアスな雰囲気を醸し出したものになっています。拡大してみましょう。
タイトルは、塗黒的官方文件 となっていて、その字面だけでも、日本語にはないミステリアスな雰囲気を感じます。
凄いのがこのデザインです。
真っ暗な闇のなかに、掌をこちらに向けた人影が、うっすらと映っていて、こちらに迫ってきています。まるでホラー映画のような怖さがあります。
民主崩壞的起點
一千四百頁的政府文件
92% 被徹底塗黑!
という語句が、本書の内容をコンパクトに表現。
そして、ほかの本ならオビのある位置に、これまた本書の内容を端的に打ち込んできています。
不監督,黑幕就會常態化
不監督,公共就會私有化
日本版がそうだったように、台湾版も、本のカバーデザインが、ここまで見事に人の興味をそそるようになっているものはなかなないなぁと、感服しました。
とはいえ、漢字の字面から私が勝手に解釈しているだけで、テキストの正確な意味は少し違うのかもしれませんけれど、なにはともあれ、言葉と文化の壁を越えて、権力にあらがう市民の姿が日台共通のモチーフになっているのかなと思いました。
それにしても、法制度がまったく異なるお隣の国において、何故、日本の公文書問題についての書籍が翻訳されて読まれるのかが、とっても不思議です。
台湾といえば、「天才デジタル大臣」として有名なオードリータン氏が活躍していますから、おそらく行政の透明化を推進するための情報公開制度なんかも、日本の小さな自治体よりは進んでいるのだろうと推察しますが、それでも、こういう出版企画が通るというのは、なにかしら日本と共通した課題はあるんだろうとも思いました。
蔦屋書店がマネした台湾の超有名書店
それともうひとつ、台湾といえば、2019年に日本に初上陸した「誠品生活」を思い浮かべます。
本国・台湾の「誠品生活」は1989年の創業以来、“アジアで最もすぐれた書店”と、その店作りが世界中で注目。本だけでなく、生活にまつわる雑多な店舗が同居していて、金属加工のワークショップなど、カルチャー体験型店舗が目白押し。日本橋にオープンした誠品生活日本橋も書店でありながら、さまざまな“モノ・コト消費”に特化した店舗として人気を集めています。
そういうと、なにかを思い出しますよね。そうです。代官山や六本木にあるCCCの蔦屋書店がマネをした新業態こそが、「誠品生活」なのです。そんな誠品生活のおひざ元の台湾の版元が、誠品生活のライバルであるCCCが進める公民連係事業を進めるなかででてきた黒塗り公文書の本を翻訳出版するというのも、なかなか味わい深いものがあります。
私も、東京・日本橋COREDO(コレド)室町テラスにある同店をよくのぞきます。テーマごとにギッシリと本が詰まった書架が長くつづく売り場は、落ち着いて本を探せますし、「選書コーナー」では、新刊でないタイトルもうまく並べられていて、いまどきの書店にはない「興味をそそる」編集がなされているように感じます。
ちなみに、拙著も、発売から半年くらいは、ありがたいことに、新書コーナーのいちばんめだつ場所においていただいておりました。
「誠品生活」へ行くと、どうしてもCCCの蔦屋書店やツタヤ図書館と比べてしまいます。なにが違うのか、なにが面白いのか、そこを突き詰めていくと、CCCの海外店舗が見た目は派手なのに、いまいち人気が出ていない理由が、なんとなくわかるような気がします。
すみません。支離滅裂な話になってしまいました。
そんなわけで、台湾の方は、“塗黒的官方文件”を、ぜひよろしくお願いいたします。