2018年12月9日日曜日

「『CCCの営業マン』 ~」を検証する(1)

こんにちは、日向です。

先日アップしました「『CCCの営業マン』 と呼ばれた話題の市議を直撃!【前編】【後編】」に思いのほか、たんさんの方が関心をもっていただいたようで、たいへんありがたく思い、かつ驚いております。

改めて読み直してみて、気づきました。
同議員の発言内容は、編集することなくそのまま掲載しましたので、一方的な意見の垂れ流しになっている恐れがありますね。 

 そこで今日は、この二記事の気になった箇所について、いくつか解説のコメントを入れておきたいと思います。

【前編】

--業者の選定で一週間とか二週間、これだけCCCの猛烈な批判があるなかで、和歌山市、県庁所在地の和歌山市が一週間で決めたというのは、みなさん絶句なんですが?
との質問に、戸田議員は、「僕はみんなが批判している理由がわからない」と述べています。

和歌山市の保育所関係の公募と公営住宅の指定管理のケースをあげています。前者は市が広報しているのに、市民が知らなかっただけ、後者は、公募期間は長かったのに結果的に一社しか応募がなかった。公募期間の長さよりも、一社しか応募がなかったこともほうが問題だというようなご主張されています。

すでに、みんさんお気づきのことと思いますが、この反論は、いつのまにか、一般市民の立場から、公募に参加する事業者の立場での話しにすりかわっているんてすね。
公募期間が長かったら、もっと多くの事業者が入札に参加したのではないかと。

しかし、私の質問は、最初から応募事業者の数なんか問題にしていません。問題だらけのTSUTAYAを展開するCCCの名前が出てから、二週間もたたないうちに決定されたことで、和歌山市民は、愛知県小牧市など、ほかのTSUTAYA導入自治体で起きた反対運動を完全に封じ込められたのではないかということでしたが、そうした論点を、ほとんど理解していただけなかったようです。

CCCとTRCの二社が応募してきて、急遽一部分のみ公開プレゼンとしたことで、たとえ応募期間が短くても、公正に審査さたれのだから、何が問題なのかという主張には一理あるようにも思えます。

しかし、週プレNEWSの連載にも書きましたように、そもそもこの公募自体が官製談合の疑いが濃厚です。公開されたプレゼンも冒頭のあたりさわりのない部分のみで、審査委員による肝心のヒアリングは非公開。あとから開示された両者の提案内容は、ほとんど黒塗りのうえ、ヒアリングでの発言内容ですら、大半が黒塗り。およそ「決定プロセスの透明性が確保された」とは言いがたい状況でした。

こうした状況について、戸田議員は、あまり理解されている様子はなく、説得力のある反論もありませんでした。お友達である前・武雄市長との交流のなかで培ってきた「TSUTAYA図書館は素晴らしい。それに文句を言う奴はおかしい」との意見を述べているにすぎないのではないかという印象を持ちました。

「ニーズに応える」という錦の御旗

そのあたりのことは「問題指摘されたことは? 分類とか古本の問題噴出は?」との私の質問に対する回答にもよく現れています。

「ようは、大(多数)の意見がおかしいおかしいとなるならばね、それは市民の半数がおかしいというならば改善の余地があるけれども、僕が海老名図書館に行ったときも、市民があんだけ来館者として多くの方が来られててね、さまざまな満足をした表情で、選書されている方やカフェ楽しんでいる方や子供が遊んでいるスペースで横に・・しているのかな。市民のひとりひとりの姿みていると、あんだけの人が入っていることを考えると、これは図書館以上の市民としての満足度が高まっているのかなと見方している」

これ、ツタヤ図書館のうたい文句である「何万人が来館」「市民の8割が満足」をそのまんま表したような感想ですね。(実際には、その数字の根拠すら怪しいのですがねここではそのことは問題にしません)

これにちゃんと反論しようとすると非常に長くなりますので、簡単に指摘しておきますと、公共の役割は、「利用者のニーズに応えること」ではないということなんです。

図書館は、社会教育機関ですが、学校教育を例にしますと、経営を任された民間企業が、生徒を集めるために、登校時間を自由にして好きな音楽や映像みるだけでいいという学校つくったらどうなるでしょうか。勉強嫌いの生徒のニーズにぴったりとあっているので一時的には入学希望者が激増するでしょう。でも、それは長続きはしませんよね。それまでいたマジメな生徒は入ってこなくなり、マナーも悪く荒れた学校になってしまいます。それでいて、「ニーズにこたえるため」に、生徒が喜びそうな機材やソファー、ゲームなど多数も取り揃えるために費用だけはバカ高くかかります。


社会教育機関である図書館の場合、レクリェーションという付随的な目的も付加はされていますが、やはり本来の存在意義は、住民の社会教育ですから、専門書、実務書、学術書なども一通り取り揃えて、調査研究したいという市民のためには、それなりに幅広い分野の図書をそろえ、専門の司書のレファレンスが必要です。ですから、突然、何千冊も料理や趣味の古本を大量に入れたり、カフェの音楽がうるさかったり、イベントが騒がしかったりするのは、図書館の機能としては、評価は低くなるはずです。

戸田市議が言うのは、おそらく「図書館」ではなくて、子育てセンターとか、公民館とか、市民交流スペース、体育館みたいな公共施設をイメージしているのでしょうけれど、図書館は、教育委員会が管轄する社会教育機関ですから、それ本来の機能をまず果たしたうえで、レクリエーション等の付随的な機能を満たすべきです。

そのことを踏まえたうえでの、市民の評価ということになりますと、CCC運営のツタヤ図書館は、すでに2013年の佐賀県武雄市をはじめとして全国に5館(ブックスカフェの延岡市を入れると6館)できていますので先行事例がどうなっているのか、多少なりとも調べる気があれば、利用者や登録者は減る一方で、貸出数にいたっては、最初から驚くほど少ないことが判明【1】していますから、和歌山市は、市当局はもちろん、議員さんももう少し勉強して発言していただきたいと思うわけです。

「いや、そんなことはいいんだ。図書館なんかいらない、欲しいのは無料レンタル屋だ」というのでしたら、それはそれで仕方ないことですので、施設の名称を「TSUTAYA館」に変更されてはいかがでしょうか。

【1】武雄市図書館・歴史資料館の場合、新装開館した2013年に貸出数は、急激に増えているが、その後は下降の一途を辿り、2017年に新たに増設した、こども図書館との数字を別にすると、本館のみの貸出数は、新装開館前の数値をすでに下回っている。一方、貸出数とは逆に、指定管理料と図書費は右肩上がりに増えている。詳しくは、以下を参照。

ツタヤTV、虚偽広告で巨額利益計上…ツタヤ図書館と共通する実態乖離のイメージ宣伝商法

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