2019年2月20日水曜日

94億円の説明責任

こんにちは、日向です。

先日ビジネスジャーナルでリリースしました和歌山市談合事件の続報は、まもなくと出ると思いますので、もうしばらくお待ちください。

その前にどうしても、はっきりさせておきたいのが行政の情報開示についての責任です。

南海市駅前にできる新しい市民図書館については、南海電鉄がホテルや商業施設の入った駅ビルと一緒に建設して、完成後に、和歌山市が30億円で買い取ることになっています。

最近、よくある民間の資金とノウハウを活用して、公共施設を建てて運営する


PPP(パブリック・プライベート・パートナーシップ)

という手法が、和歌山市でも取られているわけですが、

そうすると南海電鉄は民間企業なので、公共機関のような情報開示義務がありません。

今回の件で言えば、この再開発事業の詳細なプロセスについて市民が市に開示請求をしても、「企業の競争上の利益を損なう恐れがある」として、

建設工事の施主である南海電鉄が保持している入札情報などは、一切開示しなくていいということになってしまいます。(公募されて決まった施工会社の部分のみ公表されています)

もちろん、南海電鉄から報告を受けた和歌山市は、その報告内容を市民に開示する義務は当然あるわけですが。

また、山形県酒田市では、同じRIAがコンサルタントで設計も担当している似たようなプロジェクトですが、特設ページでちゃんと情報開示はされています。

和歌山市駅の再開発は、総事業費123億円のうち、南海電鉄への補助金だけで64億円、新しい市民図書館を完成後に市が30億円で買い取ることになっていて、その負担分も含めると、94億円もの公金が投入される予定です。

94億円の財源は、もちろん税金ですから、市民は、その詳細な内訳を知る権利は当然あるわけなんですが、

和歌山市は、開示請求を受けるとほとんど黒塗りで出し


「南海に言われて黒塗りした。あとは南海に聞いて」

と言ってます。

南海電鉄は


「個別具体的に、ここは伏せてとは言ってないが、企業秘密に関係した部分は出さないでと言っているだけ」

と、お互いに責任のなすりあいをしています。結果的に情報開示を阻んでいます。いったい、どちらが悪いんでしょうか。

このへんの詳細については、近日中に、南海電鉄との一問一答を公開する予定ですので、もうしばらくお待ちください。

すると結果的には「94億円の公金は投入するけれど、詳しいお金の使い途は一切教えないし、教えたくない」という理屈が通ってしまうんてす。そんなの、超おかしくないですか?



だったら、お前らが自分のカネでやれよ、そしたら誰も文句ねえよ!

思わず、そういいたくなりますよね。

カネはもらうけど、詳しい説明はしたくないというワガママな事業者は、いますぐ公共の世界から出ていくべきで、それを許している役所や政治家は、自分たちの利権を守っているのではないかとの批判は避けられないと思います。



食い物にされる公共


RIA選定の談合なんていうのは、どうせ情報開示をしないのが前提なわけですから、いくらでもやりたい放題にできるわけです。

PPPを「官民連携」なんて、カッコつけてますけど、その中身は

「官民癒着」と「官製談合」のかたまりじゃあないか

って、市民は思いますよね。

ツタヤ図書館のこれまでの事例をみてますと、

公共が民間の資金とノウハウを活用するのではなくて、


民間が公共を食い物にするためのスキーム

になってしまっていると言っても、決して過言ではないでしょう。


こんな当たり前のこと延々と書き続けてますと、だいたいみなさん飽きて退屈されるんですけれど、ツタヤ図書館の問題というのは、それでも、突然ボロが出てきて、また再燃かと、なかなか面白い展開になっていくものです。

先日の談合疑惑なんかは、まさにその典型。

市民や議員さんの働きかけによって、半年かかって一部分のみ開示にこぎつけた入札調書を、会議資料と、照らし合わせてみると、

コンサルタントのRIAに資金計画を作成させて発表までしといて、その2年後に「3社入札して、RIAを選定しました」と、さも競争入札をしたかのように偽装して、辻褄を合わせてることが一目瞭然。


それを「ざっくりした資金計画を先に立てただけ」とか、「業界の慣例」とか、屁理屈をこねて言い訳してますけれど、

関係者会議に一度も競争入札で審査も選定もされていないRIAというコンサルタントが毎回出てきて、詳細な説明を行なっているというだけで、本来はアウトなはずです。

ツィッターでどなたかが、

「すでに完了したはずの業務を2年後に落札?」に対して

「時空の歪み!?」

と指摘されてましたが、常識では到底考えられないことをしといて

「そんなことはない」

と開き直る神経がツタヤ誘致自治体のが凄いところですね。


和歌山では、おかげさまで、これまでほかの自治体では、あまりにも何から何まで手続き無視すぎて、いったい何が問題なのかがほんやりしていたツタヤ図書館の手口がかなり明確になってきました。

それをひとつずつ紐解いていくと、公共を食い物にしている構造をあぶり出すことができるはずです。

よろしくお願いいたします。



南海電鉄との一問一答 へ進む

【関連記事】

0 件のコメント:

コメントを投稿