2019年1月13日日曜日

コピペ疑惑の図書館計画(2)


 3年前、ツタヤ図書館が開館した宮城県多賀城市が作成したとされる図書館基本計画に盗用があったのではないかという疑惑のつづきです。

 多賀城市が2013年11月に発表した「第二次多賀城市立図書館基本計画」(以下、基本計画)には、役所の文書らしからぬ箇所が続出していました。



公文書なのにイメージ重視


出だしの部分は、ごく標準的な役所文体であったため、特に意識することなく読み進めていったんですが、5ページあたり(4 書籍、そして図書館をめぐる時代環境)から突然、おかしな文体になっているんです。

なにがおかしいかというと、やたらとカタカナまじりになっていて、ある主張を客観的な事実や数字によって伝えるというよりも、

ふんわりとしたイメージを表現しようとしていることです。

一言で言えば、広告文体、コピーライティングですね。

広告にかかわったことのある人なら、すぐにわかると思うのですが、実体なんか、最初からどうでもよくて、言葉によってねらい通りのイメージを作り出せればそれでいいというような文体です。

たとえば、以下の部分です。


“ 図書館は、本を通じて、交流と出会いを生み出す「屋根のある広場」となる。


『知の広場』の酷似箇所は、以下のようになっています。


“ 図書館は、公共の場所としての危機から逃れることはできない。もし逃れたいのなら、新たな取り組みを推し進めねばならない。つまり、出会いの場へと、大人から子供、裕福な人から貧しい人、ジプシーから枢機卿までに利用される“屋根のある広場”へと生まれ変わるのである。”

『知の広場』では、この文の前にも、ちゃんとそこにつながる背景説明があり、かつ論拠が明示されていますから、特に違和感ないんですが、「基本計画」のそれは、まるでポエムを読んでいるかのような、ふんわりとしたイメージでしかないんです。

該当部分を引用してみましょう。



第二次多賀城市立図書館基本計画』10ベージより


「市民は、この地に古より刻まれた記憶を知っている 」から始まる文体、なんか読んでて気持ち悪くないですか?


日付がない

次に、気になったのは、文書の日付です。タイトルの下に「平成26年度~平成32年度」と、基本計画の対象年度は記されていますが、発表した日付がどこにもありません。

新図書館の建設計画等からプロセスを調べてみますと、この基本計画が策定されたのは、2013年11月22日であることがわかりました。




ところが、です。肝心の基本計画の文書のプロパティをみますと、作成日は2013年12月2日になっているんですね。まあ、後から訂正した文書とさしかえたかもしれませんので、なんともいえませんが、かなりアヤシイのは確かですよね。






導入直前に策定


さらにヘンなのはスケジュールです。

指定管理制度導入が正式に報告・説明されて承認されたのは、基本計画策定から3日後の2013年11月25日。

これ、教育委員会ではなく「行政経営会議」の承認であり、その3日後の11月28日に教育委員会が正式に決定しているんです。


何がいいたいかといいますと、この基本計画は、完全に結論ありき、つまりCCCを指定管理者にしてツタヤ図書館を実現するゴールにあわせて、急ごしらえで作られたものではないかという疑いが俄かに強くなってきたんです。

実際には、先に市長部局が直接コントロールできる会議が開催されてそれで計画案が承認され、数日後に教育委員会がその決定を追認するという流れです。

そのときには、基本計画の文書はなかったか、あるいは別の文書があった。決定後に、ツタヤ図書館にする理由がより明瞭になった基本計画を捏造して、この文書をもとに決定までの手続きが適法になされたような偽装を行ったのではないか、というのが私の推測です。

「憶測」と「誹謗中傷」は書くなと、ふだんメディアの人からは厳しく指導されておりますので、よそでは書けませんが、「個人の感想」としては、そう思わざるを得ないのです。

元祖ツタヤ図書館を誘致した武雄市では、CCCに指定管理者を決定するプロセスをきちんと説明できる文書がほんとんどないと伝えられています。

それからすれと、一応、多賀城市では、格好だけはつけようとしたんだけれど、いかんせんまったく中身がなく、あとから辻褄があうように文書も捏造されたのではないかという疑いが出てきたわけです。

武雄市での問題を開館1年前の計画発表時点から、ウォッチされてきたクラスタの方たちからすれば

「そんなのまだマシなほう」

とみられたかもしれませんが、周回後れでこの問題に首を突っ込んだ私にとっては、基本計画からして、ほかの本からコピペしてきたような作文だったことに、少なからぬ衝撃を受けたのは、記憶に残っています

コピペ疑惑の図書館計画(3)につづく


追記 「第二次多賀城市立図書館基本計画」の文書名は「si-ke-tosyokan_kihonkeikaku」となっています。アタマの「si-ke」って、どういう意味でつけたのでしょうか? “sike”で、辞書ひくと「なんちゃって!」を意味するスラングだそうです。「なんちゃって図書館基本計画」だとしたらピッタリのネーミング? 



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