2019年1月24日木曜日

TSUTAYA警察の衝撃

こんにちは、日向です。

厚労省の統計データの不正調査に関連して、過去の雇用保険データを調べるのにあたふたしているうちに、Tカード会員情報の捜査提供のニュースがツイッター等で炎上しているようです。

新聞報道によりますと、Tカードを発行しているCCCは、捜査令状無しに、①会員情報(氏名、生年月日、住所など)②ポイント履歴(付与日時、ポイント数、企業名)③レンタル日、店舗、レンタル商品名④防犯カメラの画像ーなどを提供しているとのことです。

当然、同社が指定管理者となって運営しているTSUTAYA図書館、とりわけ本の貸し出しにTポイントを付与している佐賀県武雄市や岡山県高梁市では、図書館の利用データまでも密かに提供されているのではないかと疑ってしまいます。

もちろん、建前上は、図書館利用者の貸出履歴などは、図書館の外部には送信していないと、CCCは、普段から明言していますので、よもや図書館利用者の思想・信条をプロファイリングできるようなデータは提供していないと思いたいのですが。

でも、今回の件も規約に明記せずに行なっていて、バレたら規約に追加するような企業ですから、もしかしたらそういうこともあるのかもと疑心暗鬼になってしまいますね。

さて、この件については、すでにクラスタをはじめTSUTAYAウォッチャーの方たちが誠に正鵠を得た批判をされていますので、これ以上、私が特に述べることは見あたらないのですが、前から感じていたCCCのTポイント事業についての感想をいくつか述べておきたいと思います。

 まず、今回の事件を最初に聞いたときに浮かんだのは、

TSUTAYA警察

でした。図書館をTSUTAYAに運営させるのがTSUTAYA図書館だとしたら、警察の捜査機能の一部を民間委託したのが「TSUTAYA警察」です。

2019年1月21日 東京新聞朝刊には、以下のようなショッキングな内容が書かれています。



捜査当局はTカードの履歴を対象者の「足跡」として、積極的に活用している。捜査関係者によると、ポイントサービスを展開するCCCへの情報照会は日常的で、一度に数十件の照会をした部署も。数の多さにCCCの回答が遅れがちとなり、利用ルールを守るよう当局内で周知されたこともあった。

ある事件では、捜査担当者が対象者のTカードを照会したところ、ほぼ毎日、同じ時間帯に特定のコンビニに来店し買い物をしていると判明。店の防犯カメラの映像から本人と特定し、待ち伏せして身柄を拘束した。捜査関係者は「ポイントが付くのに、カードを提示しない理由はない」と話す。Tカードを貴重な情報源と位置付けている。

 捜査令状は取らないけれども、それをやや簡略化した手続きで情報を開示させているのかと思ったら、「とりあえずTカードの履歴を片っ端から取ってみよう」みたいな、かなり安易に行なわれていたようです。そうなると、まぁ、CCCは、警察捜査の下請けみたいなものですかね。ほぼ警察機能の一部を担っていると言っても決して過言ではないでしょう。

CCCは、捜査当局から報酬こそもらいませんけれど、それだけ日常的に付き合いがあれば、当然なんらかの見返りはあると期待するはず。そこのところで、なにかメリットは得ているのではとの見方も当然出てきますよね。


CCCという企業のコンプライアンス意識の低さについては、みなさん指摘されますが、もともとレンタルビデオという「グレー」なビジネスから始まっている企業ですから、そういうスレスレのところにこそビジネスのタネが眠ってていると積極的に乗り込んでくる企業風土、

というかこれは社長の個人的なテイストなのかなんなのかわかりませんけれど、世間の批判なんか屁とも思わないといいますか、どこかの出版社の社長の「ヒンシュクはカネを出してでも買え」と似たような志向を持っていると思います。


「TSUTAYA帝国」の野望


で、Tカード事業そのものが、私は常々

「TSUTAYA帝国」

の本丸だと思っています。

企業というよりも「仮想国家」といったほうがわかりやすいでしょう。

Tカードの会員登録は「TSUTAYA帝国」の国民登録みたいなものです。

一方、国家にとってもうひとつ大事なのが「徴税」です。

CCCは、Tカードの加盟店から会員が購入するたびに、システム利用料をもらいます。

これが「TSUTAYA帝国」の税です。6780万人の会員が、毎日買い物をするたびに、CCCには、購入額の2パーセントが自動的に入ってくるんです。「国民」は、日本の人口の二人に一人です。

残る国家の基幹は、通貨の発行ですが、Tマネーはうまくいきませんでしたが、Tポイントという通貨もどきが広く流通しています。みなさんも、ポイントたまったらドトールコーヒーなどで使った経験ありますよね。

じっとしていても、加盟店から日々「税」が入るTSUTAYA帝国には、6780万人もの「住民登録」した市民がいます。

この個人情報をどうハンドリングしていくかは、彼らのある意味「胸先三寸」です。

規約とか協定とかルールは、できるだけ明確にせずに曖昧にしておくほうが、権力は強大になります。

ツイッター・ジャパンがヘイトを放置しているとよく批判されますが、あれなんかまさに自分たちの胸先三寸で権力を保持する意図がミエミエです。フェイスブックなんかもそうですね。

だからEUなどでは、そういう個人情報を商売にするような企業には、本人同意を厳格に取るなどの非常に厳しい責任を課しているのです。

日本はそういうことしないので、まったくやりたい放題にできます。

で、本題はここから。

TSUTAYAに図書館を任せた自治体は、社会教育の機能がほぼ崩壊します。なぜならば、TSUTAYA図書館にするには、教育委員会という政治から独立した機関の権限を限りなく弱めないとつくれないからです。

一度弱めた機関は、権限を失っていきます。なので、あとは事業者のやりたい放題になってしまいます。

そして、今回明るみに出たのは「TSUTAYA警察」です。警察は、行政機関のひとつにすぎませんから、本来でしたら個人情報を例外的に開示させるには、司法の手続きを経ることが必須のはず。

なのに、それをパスさせるのは、ちょうどTSUTAYA図書館をつくるのに、教育委員会やその付属機関での手続きをすべてパスするのにも似ていると思いませんか?

「オレらは、オバケなんだ」と社長が、かつて雑誌のインタビューで答えていたのは、そういう意図があるのかどうかまではわかりませんが、ふうつの市民がみえない世界が見えていて、その世界を自分たちの都合のいいように変えていこうとしているのかと感じました。

レンタル店の大量閉店など、彼らにとっては、たいしたことではないのかもしれません。

帝国に侵略された市民は、レジスタンスになるしかないんです。

ツタヤ図書館の問題は、本当に奥が深いですね。

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