2019年1月3日木曜日

謎のISBNその(5)

謎のISBNその(4)からのつづきです。


 現在一般的に流通しているのは、13ケタのISBNです

 201512CCCが多賀城市教委に提出した新刊の選書リスト中には、どういうわけか、その標準ISBNの冒頭3ケタ「978」(出版物を意味する)を省略しただけの10ケタISBN(以下「新10」)が大量に記載されていました。

 それらを、ネットオフで検索してみたところ、商品ページには、
同じく「新10」が表示されていたのでした。

 一方、選書リストで13ケタや古い10ケタのコードが記載されている箇所を一部抜き出して、検索してみたところ、それらの表記も、ネットオフでもほぼ同じでした

 さて、ここからは、いよいよ核心部分に入ります。

 その前に、ここに書いた多賀城選書に関する内容は、私が2016年秋から2017年にかけて取材した内容をもとにしていますので、ネットオフ等、書店の販売状況は、現在とは異なるかもしれないことを、あらかじめおことわりしておきます。


 ネットオフの販売ページをみると、書籍データは、13ケタと10ケタのISBN併記が標準です。

個々の書籍データ販売ページには、ほとんどが「TSUTAYAで新品を購入」ボタンがあり、それをクリックすると、TSUTAYAの新刊販売サイトにジャンプするようになっていました。



2016年10月頃のデータ


このとき、両社は、資本関係にはないようでしたが、データだけは、そのときまでは、緊密に連携していることがわかりました。

これらの結果を総合すると、多賀城市立図書館における選書リストの一部がネットオフの在庫情報をもとにしているのか、あるいは、ネットオフ自身がCCCから依頼されて図書館の選書リストを作成したのではないかという可能性が俄然高まったのです。

さて、ここからは、ビジネスジャーナルにも書かなかった、ネットオフについて調べた内容を記しておきます。




武雄市の元祖ツタヤ図書館の古本騒動のときには、とんでもなく古い実用書が多数含まれていたことから、その仕入先として注目を集めたネットオフの在庫も、それと同等ではないかとみられました。

ところが、実際に同サイトの在庫を詳しくみてると、そんな先入観がたちまち吹っ飛びました。


 本のほかにCD、DVD、ゲームソフト、ブランド品も扱い、在庫点数は、常時100万点。(2016年)10月末現在、同店がamazon.co.jpに出品している商品は、およそ42万タイトル。うち33万タイトルが「本」である。多賀城市立図書館の蔵書数23万冊よりも多いのです。

 それだけの在庫をサッカー場と同規模の広さを誇る専用倉庫に保持し、注文された商品は、48時間以内に全国発送可能としています。(「購入時に倉庫見学できるか?」と問い合わせてみたところ、「それは対応できない」との回答でしたが)

 自社サイトのほかに、楽天、ヤフーにも出店。42万点を出品するアマゾンでは「マケプレアワード最優秀賞」を受賞するほどのプレゼンスを確保しています。

 「宅配買取」等で毎日、6000冊もの本がダイレクトに届くだけあって、その価格の安さや新鮮さも目を見張りるものがありました。

「毎日が激安108円から」の「料理・趣味・児童」分野をみてみると、2014年~2015年刊行のものだけでも、ざっと200冊近くもの商品がゾロゾロ出てくるから驚きます。

「新刊」と言われても気づかないでしょう。武雄市図書館で問題になった、極端に市場価値の低い本の供給元とは、とても信じられないほどです。


 同店の大口顧客(古本屋、漫画喫茶)向けの法人営業部門に、リストまで作成してくれるかを問い合わせてみると、なんと、こんな答えが返ってきました。

「小説がほしいとか、ビジネスがほしい、単価は200円以内でなど、お客さまのニーズをお聞きして、それに合ったご提案をさせていただくことはできます。もちろん、ご購入いただいたものについてはタイトル、作者、JAN(バーコードの規格)、ISBNが記されたリストをエクセルデータでご提供することも可能です」

さて、ここまで調べて私が出したのは、以下のような結論でした。

ネットオフのような大量在庫を抱えた店舗を利用して、趣味・実用書を多数取り揃えるとしたら、決して、武雄市で発覚したときのように、極端に市場価値の低いものばかりにはならない。

そうなったのは、新刊書店の売り場の棚のラインナップにできるだけ影響を与えないよう、価値の低いものだけを図書館に入れるという明確な意思を誰かが持っていて、それを実行したのではないか。

いよいよ、CCCに証拠をつきつけた
謎のISBN(6)市民への背信行為」につづく






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