2019年1月3日木曜日

謎のISBNその(4)

 謎のISBNその(3)からのつづきです。

これまでの、あらすじをおさらいしておきましょう。

 
 選書リストの、ISBN欄は、すべて新刊であれば一律13ケタになるはず。なのに、第8回リストには、多数の10ケタが混在していた。そのなかには、2006年までの旧ISBNで使用されていた「x」(テン)がチェックデジット(検算のための数字)として末尾についているものがあることが判明した。そのことで、中古混入疑惑はますます強まった。

 ところが、その「x」 があるISBNの本は、5683冊のリスト中10冊しかない。10ケタのISBNは、5683冊中トータルで1705冊もある。もし、その1705冊がすべて旧ISBN(末尾のチェックデジットを、それまでの9ケタで計算したもの)だったとしたら、「10」を意味する「x」がついているものは、理論上は150冊程度なければいけない。なのに10冊しかないということは、旧ISBNは110冊程度で、残り1600冊は、単に「978」を省略しただけのものではないかとの結論に達した。


 下の図を見てください。

 新品商品と同時に中古も販売するアマゾンでは、一般的な13ケタのISBNと、かつて2006年まで使われていた10ケタの旧ISBNの両方が併記されています。




 しかし、CCCの選書リストは、この方式とも違っていました。

13ケタのISBNのアタマの部分は、どれも共通の「978」となっています。それを省略しただけの10ケタのISBNをところどころで使用しているのです。

 ややこしいので、私は、便宜上、記事中では、以下のようにISBNを定義して分類することにしました。

「新13」2007年以降に刊行された13ケタのISBN


「旧10」2006年までに刊行された10ケタのISBN


「新10」2007年以降に刊行された13ケタのISBNのアタマの部分「978」を省略して10ケタになっているISBN


 で、問題は、「新10」という奇妙な形式のISBNです。

 出版関係者・書店関係者に聞いてみても、誰もが

978を省略しただけのISBNなんて、そんなものは知らないし、使ったこともない」

--と言うのです。

 TSUTAYAが独自に使用しているものかと思って、TSUTAYAの販売ページをみてみても、それを標準としている形跡はみられませんでした。

 しかし、こころあたりのあるところが、ひとつだけありました。

それが古本ネット販売の大手「ネットオフ」です。

下の表をみてください。あるとき、思い立って試しに検証してみたら、飛び上がるほど驚く結果が出たのです。




「新10」が多数混入していた第8回選書リスト10ケタ表記の部分を、ネットオフのISBN表記を比較してみたのがこれです。ドンピシャと言っていいほど同じですね。

たまたまかもしれませんので、「新13」も比較してみたのが、下の表です。





さらにし、しつこく「旧10」も比べてみました。





 ネットオフといえば、ツタヤ図書館問題について関心のある人なら、「ああ、あそこね」とすぐにわかるはず。

20134月に新装開館した、武雄市の元祖ツタヤ図書館で、CCCが大量の古本を仕入れていた先が当時、CCCの系列下にあった、ネットオフでした。

 完全に一致しないのは、このリストが、ネットオフからのリストだけでなく、本当に新刊で購入したものや、別の業者に発注したものも合体して作成されているためと推察できます

 というわけで、ここに抽出した限りでは、

選書リストで「新10」なところは、ネットオフでも「新10」、

選書リストで「新13」のところは、ネットオフでもほぼ「新13」

選書リストで「旧10」なところは、ネットオフでもほぼ「旧10」


--なので


 標準コードの「新13」は、どこでも同じ表記なので、「たまたま」かもしれません。発行年が古い本には古いコードがついているのも普通のことなので、「旧10」も「たまたまたそうなった」のかもしれません

 しかし、ネットオフには、他書店の商品ページでは、まずみたことのない「新10」表記の箇所が見事に一致するうえ、「新13」や「旧10」までも、同時に、同じ箇所で採用しているのも「たまたま」だとしたら、宝くじ当選まではいかなくても、交通事故に逢う確率くらい低いといえます


 CCCが、ネットオフのデータをもとに選書した、あるいは、選書リストそのものをネットオフが作成代行してCCCに提出したのではないかと推察することができるわけです。


 さて、いよいよ重大局面に突入しました。次回、この事実が意味するのは何かについて、詳しく解説してみたいと思います。


謎のISBNその(5) につづく

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