2019年1月3日木曜日

謎のISBNその(3)

 2016年にツタヤ図書館として新装開館した多賀城市立図書館の選書リストに、通常はありえないISBNが多数混入していることを二度にわたってレポートしてきました。

 本稿は、その三回目です。

 約2万冊の選書リストのなかに、通常の13ケタのISBNと、2006年までに流通していた10ケタのISBNの両方が混在していたことに加え、さらにもうひとつ奇妙な特徴があることがわかりました。


東京の図書館をもっとよくする会の池沢昇氏が、自ら第8回リストを詳細に分析した結果、次のような新事実を指摘してくれたのです。

「第8回選書リスト5683冊中、ISBN10桁は1705冊ありました。チェックデジット『X』は10冊(内4冊が出版年2010年代)です。チェックデジットが『X』になる確率は1/11ですので、1705冊が旧ISBNであれば、チェックデジット『X』は150~160冊となるはず。ところが10冊しかないと言うのは、10桁1705冊の90%が旧ISBNではない可能性が高いからでは。大半は新ISBNの978を落としただけではないでしょうか」


 ややこしくて、もう、なにがどうなっているのか、さっぱり、わからなくなりますよね。

 そこで、少しくどいのですが、順を追って、丁寧に説明してみましょう。

 まず、CCCが新装開館前の201512月に多賀城市に提出した第8回選書リストは、5683冊ありました。これ、すべて新刊です。

 なので、本来ならば、すべて現在一般的に使われてる13ケタのISBNでないとおかしいのですが、どういうわけか、このリストには、2006年までに使われていた10ケタのISBNが混在していました。




 旧ISBNには、10ケタの末尾にあるチェックデジット(コードが正しいかどうか確認するための検算数字)に『x』(テン)が使われていました。(2007年以降は廃止)


 この『x』は、検算数字が「10」となったときに使われるものです。

したがいまして、池沢氏が指摘するとおり、チェックデジットは、01011通りあります。

なので、5683冊中1705冊ある10桁ISBNx』は、1/11の確率で出現するはがですから、150~160冊くらいは『x』表記のISBNが存在するはずです。


 ところが、実際に末尾が「x」の本を数えてみると、第8回選書リストには、たったの10冊しかありませんでした。


残り140~150冊は、なにかというと、10ケタISBNだけど、末尾のチェックデジットには、x』が入っていない、13ケタISBNと同じ末尾の数字になっていたのです。

 もうホントにこれは、わけわからん状態ですね。

 そんなわけで、今度こそ完全にお手上げです。

選書リストの束をゴミ箱に入れて捨てるか、すべて燃やしてしまいたくなりました。

何ヶ月もかかってここまできたものの、ついに白旗をあげてキブアップ宣言しようとしました。

さんざん、調べ尽くしてきた多賀城市ツタヤ図書館の選書リスト問題は、2015年9月の武雄市と同じく、古本が大量に含まれていたということだけがわかり、新刊については、結局たいした発見もなく終わるところでした。

 そんなある日、ちょっと試しにやってみようと思いたって、初めてみたことで、俄かにトンルネの先にほのかな光明がみえてきたのです。



ようやく、つかんだ真相解明の糸口
「新10」と呼ばれる独自コードの正体とは?
謎のISBNその(4) につづく





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