2025年8月5日火曜日

喰われる自治体~埼玉県春日部市の場合~

 

こんにちは、日向です。


本日は、続々とツタヤ化する自治体一覧~名古屋と横浜も危ない~


で取り上げました、CCCがこれから受託予定(選定される可能性の高い事業含む)の自治体では漏れていた、埼玉県春日部市の情報を少し書いておきたいと思います。



「春日部駅周辺のエリアプラットフォーム構築に向けた官民連携まちづくり説明会」という長ったらしいタイトルのイベントが8月25日に開催されるというニュースがあり、その開催の主催者になっているのがCCCでした。


https://www.city.kasukabe.lg.jp/soshikikarasagasu/toshikeikakuka/gyomuannai/7/2/33015.html




春日部市で、いつのまにかCCCがまちづくりに関する事業を受託しているのか?と調べてみました。


すると、今年4月「春日部駅周辺エリアプラットフォーム構築等支援業務委託」が公募され、7社応募があったなかで、CCCとコンサルタント会社3社によって構成されるコンソーシアムが選定されていました。


いったいなにをする事業なのか、駅前に公共施設でもつくる計画があるのかなと思って、早速、担当課に電話してみたところ、まだ特にそういう具体的な計画はないとのこと。


おかしいですよね。これは、再開発でよくあるパターンだと思うのですが、鉄道の高架化によって、新たに一等地にスペースが生まれたり、利便性が増すことを契機にして、駅周辺の賑わい創出を推進していくにはどうしたらよいのかということを、官民が連係して考えていこう、そのために関係者が集まって協議をしていく場をつろくうということなんだそうです。



んー、これはなんか、雲をつかむような話といいますか、そういうことを民間企業が旗振りして進めるというのは、いったい何を意味するのでしょうか。


「地方創生」を名目にして、国から巨額の補助金でも引っ張ってくるのかなぁと思って聞いてみたら「補助金はないです」と担当課がキッパリ。


でも、あとで調べてみたら、事業計画をこれから作成するのに、埼玉県の補助金が出ていることがわかりました。まぁ、計画や調査の費用を国や県が補助するのは、すでにこの世界では常識なのかな。


埼玉県ふるさと創造資金 主な採択事業(令和7年度第1回)より
https://www.pref.saitama.lg.jp/a0106/shienseido/news20250523.html




そうすると、やっぱり、まちづくりのコンサルタントが、さまざまなイベントやワークショップを開催したりして、賑わい創出の具体的な計画をこれから詰めていくんだろうと思います。でも、そこで注意したいのが、CCCが入っているとなりますと、この後、考えられるのは、以下のような調査結果が出てくることです。


・市民アンケートを実施してみたら、わが町に足りないのは、魅力的な公共施設である


・とりわけ滞在型の図書館や市民センターが駅前に望まれている。


・図書館や市民センターに設置してほしいのは、書店やカフェである


・さまざまな市民参加のイベントをそこで開催して、にぎわい創出を実現すべきである


・子育て支援も作って、若い世帯が定住しやすい街にすべきである


・観光案内所も、駅前の公共施設内に設置すべきである。



これって、2013年の武雄市から始まって、和歌山市や最近の坂出市なんかでもさんざんみせられてきた、いつもの光景です。CCCが自ら手がけなくても、連係しているコンサルタントがCCCに都合のいい計画をどんどん進めていってくれますから。


公共施設を新たに整備しなくても、大阪府高石市みたいに、自治体が支配している第三セクター所有の駅前ビルに、破格の条件でCCCの店舗を誘致したりするパターンもあります。(高石市は、その後、市長が代わったため三セク出店止まりで、公共施設受託までには至りませんでした)


そうしますと、これから市民参加の説明会とかを開催する目的というのが、おぼろげながらみえてきます。


まちづくりの基本構想や基本計画を立案するための調査をまず担当するのが、CCCとそのグループなんですから、当然、思いっきり、自分たちが儲かる方向に報告書が作成され、それをもとに自治体が新しい公共施設の設置を決めて、その計画をCCCが作成して、結果、設計から運営までをCCCが担うようになるというわけです。


和歌山市や木更津市なんかは、まさにこの通りCCCが事業の最上流から食い込んでいて、最後の運営までを見事に取っていきました。(木更津市は、現在進行中)


中心市街地の再開発事業の場合、それによって利益を得るのは、鉄道事業者とハコモノ整備を担当するゼネコン、計画するコンサルタント、不動産事業者などです。ちなみに、和歌山市では、当初、南海電鉄和歌山市駅前に、図書館だけでなく、市民ホールや博物館もほしいと「民」からの野放図な要望が次々と出ていました。元国交省の大物次官を座長にした、まちづくり協議会では、ステークホルダーから「現状では駅前にマンションも建てられない、もっと人を呼べるようにしてほしい」というストレートな要求が出ていました。


「民」の要望をかなえるためには、いわば、なんちゅら構築等支援業務というのは“種まき”みたいなもの。ここから芽が出て成長してやがて咲いた花を、みんなでおいしくいただこうというようなことを、地方創生を飯のタネにしている人たちは、イメージしているんだと思います。



しかし、官民連携のまちづくり手法は、常に違法な官製談合スレスレで行なわれます。たとえば、千葉県木更津市では、2022年に市民交流プラザの基本設計・基本計画立案者を公募した際、応募事業者に参考資料として提供された調査報告書が、一応募者であるはずのCCCが何年も前に作成していたものであることが発覚。そりゃあCCCが絶対有利ですよ。この件は、のちに議会でも取り上げられ、その不透明な事業者選定プロセスが批判の的になりました。


市民の声をちゃんと聞いたうえで事業が進められ、各段階で、公平公正に事業者が選定されるのでしたら、外からは何もいうことはないのですが、残念ながら、現実は、上流から食い込んだ事業者がそのまんま自分たちの都合のいい計画を進めていき、いつも主役であるはずの市民は置いてけぼりになってしまいます。


巨額の公金が投入されて整備された駅前施設は、特定の民間企業に利益供与だけで終わりがちです。費用負担が増えても、それに見合うだけの地域の文化が花咲いたりすることも、まずありません。


オープンしたら「何万人達成!」と派手に来場者数はぶちあげますが、地方創生の掛け声のもとに巨額の公金が注ぎ込まれて成功した再開発は、私は、寡聞にして一例も知りません。官民連携事業では、一部の民だけが得をして、地元商店街などは、ますます寂れていくというのがこれまでの地方創生の典型的なパターンではないでしょうか。


結局、なんのために、まちづくりイベントが行なわれているのかがわからないまま、地方創生コンサルタントが儲かる事業だけがひとり歩きしていきます。



なお、いつもCCCを選定した自治体へのお約束質問を、春日部市の担当課にもしてみました。


2019年に、CCCは、基幹事業のTSUTAYAが消費者庁から景品表示法違反で1億円の課徴金を課せられたことをご存じですか?


答えは、「知りません」でした。





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