2024年9月20日金曜日

『「黒塗り公文書」の闇を暴く』刊行お知らせ

 

こんにちは、日向です。


みなさま、すっかりご無沙汰しておりまして、すみません。しばらく、ブログを更新できずにおりました。


最後に更新したのが、今年2月20日でしたので、もう半年あまりもツタヤ図書館問題について、新たな情報をお伝えすることなく、過ごしてきたことになります。


この間、いったいなにをしていたかといいますと、これまでビジネスジャーナルや当サイトに書き溜めた内容を、紙の本として出版するべく、日々動いておりました。


おかげさまで、このたび、その努力が無事実りまして、来月10月11日、以下のタイトルの新書を刊行することになりました。


「黒塗り公文書」の闇を暴く (朝日新書) 新書 – 2024/10/11 日向 咲嗣 (著)




9/20 20時45分 カバー画像をラフ版から正式版にさしかえました。



序章 黒塗りされたコモンの収奪計画

第1章 1400枚の黒塗り公文書に隠されていた官民癒着の構図

第2章 開示文書があぶり出した自治体のデタラメ行政

第3章 水面下で繰り広げられる「役所VS市民」の情報開示の攻防

第4章 グランドオープン当日に暴かれた官製談合疑惑

第5章 黒塗りよりも、はるかにタチが悪い「不存在」

第6章 黒塗りなし公文書が照らす民間委託の闇


 タイトルでは、公文書の開示をテーマにしておりますが、中身は、ズバリ、ツタヤ図書館問題について書いた本です(特に和歌山市のことを中心に)。これまで書き溜めた記事をベースにしまして、民間委託によってもたらされた官民癒着の実態を、「黒塗り公文書」というキーワードを通してみていきました。


企画したのが昨年7月でした。このままネットで、このテーマについて書き続けていっても、いまひとつ広がりが期待できず、各地の自治体で事件が起きるたびに瞬間的にはsns等で話題になるものの、少しすれば忘れ去られてしまうのではないのかという危惧を、かねてより抱いてました。また、ひとつひとつの事件の意味を系統立て整理しておく必要性を痛感しておりまして、そのためには、紙の本として残しておかねばという気持ちが日に日に強くなりまして、書籍の企画を出版社に提案することにしました。


私はこれまで、ビジネス書の分野では、多数著書を出してきましたが、この手のジャーナリズムの分野でのノンフィクションは初めて(ビジネス戦記ものはありましたが)でしたので企画を通すのは簡単ではないと思っておりましたが、幸い、朝日新聞出版が新書として刊行していただけることになりました。それが正式に決まったのが昨年8月のことでした。


企画内容としては、すでにビジネスジャーナルに発表してきた記事と当ブログでさんざん書きためたネタがありましたので、それらをちょこちょこっと集めれば、すぐにでも一冊の本になるくらいの原稿をまめられて、早ければその年の冬か、遅くとも翌年春には刊行できるのではないかという甘い期待を抱いておりましたが、それは、まもなく打ち砕かれました。


冒頭部分で、黒塗り公文書を開示した自治体について新たに取材をして書き下ろしする必要がでてきたこと、また、あれもこれもと、これまで書き溜めたネタをどんどん盛り込んでいくと、とんでもなく長い原稿になってしまったからです。どうにかこうにか第一稿を仕上げたのが5月の連休明けでした。


気が付いたら、2冊分の原稿を書いてしまっていて、それを一冊の新書に収めていくには、新たに取材をして書くのとは、まったく性質が異なる作業が必要になってきました。短くすると、出来事のプロセスを十分に盛り込むことができず、かといって、いくつかのトピックスをまるごとカットしてしまうと、当初企画したときの重厚さは薄れてしまい、やせ細った「論」だけが残ってしまいます。


さらには、大手新聞社の看板を背負った版元ですから、原稿に対する編集部のチェックも当然のことながら、かなり厳しいものがあります。しかし、だからと言って編集部の言いなりになるわけにはいきません。後半部分では、版元に忖度することなく辛辣な朝日新聞批判も書きました。幸い、編集部がそれを「根拠のある批判である」と認めてくれたことには、少し肩透かしをくらったような気分でした。


そんなわけで、猛暑の夏を丸々、第二稿、第三稿、第四稿と改稿を重ねることに費やしまして、ようやく出版にこぎつけたというのが、ここ数か月の顛末でした。


本の内容については、これから、おいおい当ブログで詳しく紹介していきたいと思いますが、2015年からほぼ10年にわたって、取り組んできましたツタヤ図書館問題を、一冊の本として世に出すことができたことに、いまは、とにかく、ほっとしているといいますか、肩の荷が少しだけおりたような気分でおります。


あとは、ひとりでも多くの人に読んでいただけるよう願うばかりです。


よろしくお願いいたします。