2024年12月19日木曜日

“教育長臨時代理”を使って再度CCCを選定した和歌山市

 

こんにちは、日向です。


前回書きました和歌山市の西コミセン指定管理者にCCCが選定されていた件(和歌山市が新施設で“CCC選定”を隠す理由)、


まさか、そんなことが行われていたとは!

 

とビックリ仰天するような事実が昨日あきらかになりました。


一言で言えば、担当課が意図的に教育委員会の正式承認をスキップしていたのではないかという疑惑です。


実は、この手法、7年前、CCCが初めて市民図書館の指定管理者に選定された際にも使われたものです。発覚当初は、なんで教育委員会の承認手続きがないのか? これはもしかしたらCCC選定そのものが無効で、指定管理者募集から再度やり直しになるのでは?と指摘されて大騒ぎになったことがありました。のちに、教育長臨時代理というウルトラCを駆使していたことが判明するのですが…。

このあたりの経緯については、当時、週プレNEWSに詳しく書きましたので、お時間のある方は、のちほど以下の記事をじっくり読んでいただければと思います。


火種くすぶる和歌山市・ツタヤ図書館騒動の新疑惑ーー教育委員会「秘密会」での承認は有効か?


それとまったく同じことが、西コミセンの指定管理者選定手続きにおいても行われていた可能性が濃厚になってきました(決定文書を入手するまでは断定できませんので、後日、正確な情報をアップする予定です)。今回は図書館ではないものの、同じCCCが関与しているという一点において、いったいどういう事情がそこには隠されているのかが問題の焦点です。



まずは、下の書類をみてください。



1枚目が西コミセンの指定管理者選定についての報告、2枚目が同施設における今後5年間の指定管理料に関する報告。12月12日の教育委員会定例会に提出された模様。





これは、12月12日の教育委員会の定例会で配布された文書です。

今年11月18日に西コミセンの指定管理者選定会議が開かれて、その場で(株)KEGキャリア・アカデミーを代表企業とした団体「ぶんきょうの杜舎」が選ばれました。

この団体は、4社によって結成されたコンソーシアムであり、その構成企業の一社がCCC、カルチュア・コンビニエンス・クラブだったわけです。


この書類には、「議案第○○号」ではなく「報告第○○号」としたハンコが押されています。西コミセンを開館するためには、指定管理者選定とその予算に関する内容をまずは教育委員会内で承認してもらい、それから議会へ議案として提出して正式に決定する(経済文教委員会→本会議で議決)という流れになっているわけなんですが、


ここでおかしいのは、議会に提出する直前なのに、教育委員会がそれらを「議案」として審議したうえで、議決したことが確認できないことです。一般市民からみたらあまり意味のないことかもしれませんが、行政の手続きの順序というのは、とても厳格に定められていて、教育委員会が所管する教育文化施設に関するものについては、教育委員会に諮って議決もしていないものを、いきなり議会で審議なんかしてもらえません。

このあたりの手続きついては、先に紹介しました7年前にCCCが市民図書館の指定管理者に初めて選定されたときの拙記事を引用しておきましょう。


発端は1本のブログだったーー。2月19日、和歌山市在住の金原徹雄弁護士が『CCCを和歌山市民図書館の指定管理者に指定した行政処分は無効かもしれない』と題したブログを発表。

和歌山市は昨年11月に市民図書館の運営者(指定管理者)を公募し、CCCを選定した。そのことを報告した翌月21日の教育委員会において「事前に教育委員会のご承認をいただく必要があった」のにそうしなかったことを図書館長が陳謝している発言を見つけた金原氏が、この手続きには重大な瑕疵(かし)があると指摘したのだ。

そのブログ上では『図書館の指定管理者を決定する主体は、市長ではなく教育委員会である』、『教育委員会は、選定委員会の意見を聴いて、指定管理者の候補者を選定しなければならない』、『この手続きを経たうえで指定管理者の承認について議会の議決を経なければならない』と法的理論を逐一解説。

つまり、選定委員会→教育委員会→議会の順番で手続きを踏んで初めて、指定管理者決定が有効になるというわけだが、CCCを指定管理者に決定したプロセスでは、このうち教育委員会の手続きがスッポリと抜けていた。

有識者で構成される市の選定委員会でCCCが選ばれたのは昨年11月24日のこと。その議案が12月6日に市議会に提出され、9日後の15日に議決されたが、その間に教育委員会の会議は臨時会、定例会ともに一度も開催されていない、というのだ。(火種くすぶる和歌山市・ツタヤ図書館騒動の新疑惑ーー教育委員会「秘密会」での承認は有効か? より


 6年前のこの事件では、 教育長が“臨時代理”する承認を委員全員から得ていたことが判明。「教育長臨時代理」とは、いったい何なのか調べていくと、『教育長は、緊急やむをえない理由により教育委員会の議決を得ることができない場合には、これを臨時に代理することができる』という教育委員会の特例的な規則があり、その規定を根拠にしていました。


しかし、いくら関係者をあたっても、当時、教育委員会に諮ることができなかった「緊急やむをえない理由などありませんでした。日程的に定例会にはかる時間的余裕がなかったら、臨時会を招集すればいいだけのことなのに、それもしませんでした。

そこで私が出した結論は、要するにCCCが指定管理者に選定されたことについて教育委員から異論が出たり、広く世間で話題になったりするようなことはできるだけ避けたかったのではないか、なので、できるだけ秘密裡に進めていったのだろうというものでした。


では、今回の西コミセンの場合はどうだったのでしょうか。12月12日に指定管理者選定に関する「報告」をあげてきたということは、その時点では、すでに教育委員会の決裁が終わっているのか、もしくは、この直後に教育委員会で議決するのかのどちらかです。


担当課に問い合わせてみても、なかなか担当者がつかまらず、そのあたりのことがクリアになりませんでした。そこで、教育委員会の開催を担当する別の部署に問い合わせてみたところ、アッサリ、こう言われたのです。


西コミセンの指定管理の件でしたら、教育長臨時代理で決裁されています。正確な日付は担当課にご確認ください。


  まさか、「教育長臨時代理」というキーワードがそんなに簡単に出てくるとは思いませんでしたので、一瞬、自分の耳を疑ったほどでした。


 決裁の日付については、11月14日の定例会で議題にのぼっていないことから、その翌日から12月12日までの間のいつかということになるとのことでした。後日担当課に確認できましたら、詳細を追記する予定です。



そんなわけで、CCCが参画している団体が西コミセンの指定管理者に選定された件では、通常は行われない特別な手法を使って、教育委員会の承認を得ているのではないのかという疑惑が濃厚になってきました。


実は、昨年、CCCが今年4月からの5年間の運営を担当する指定管理者に再度選定された際にも、似たようなことが行われていました。このときも、市教委は、正式な議案書を作成せずに、説明資料だけ委員に配布して、教育長が口頭で「CCCを指定管理者にしてもよろしいか?」と聞いて議決する“口頭議決”という、とってもおかしな承認手続きが行われていることがわかりました。(詳細は、議案なしに“口頭議決”をした和歌山市 をご参照ください)


このときの「口頭議決」が「教育長臨時代理」とどこが違うかといいますと、前者は、一応、教育委員会に議案として提出はしているんです。ただし、正式な議案書は作成せず、ほかの補正予算に紛れ込ませるような形の議案にしているため、まず第一に、市民はCCC選定に関する議案を探し出せませんでした。そして、いつそれが教育委員会で議決されたかも分かりませんでした。指定管理者選定にかかわる会議は、すべて秘密会で開催されますので、いつなにが話し合われたのかすらわかりませんでした。


みつかったのは今回の西コミセンと同じく「報告第○○号」だけ。議決は、後日、急遽開催された臨時会のなかで、正式な議案書なしに説明資料だけ委員に配布して、教育長が口頭で「CCCを指定管理者にしてもよろしいか?」と聞いて議決する“口頭議決”という、これまたとんでもなく省略された手続きが行われていたことがあとで判明しました。


市民図書館の第二期指定管理者選定においても、ちょうど今回の西コミセンと同じく、12月議会直前になって駆け込みで教育委員会の承認を得るという姑息な手段が使われていたわけです。CCC案件については、3回連続でイレギュラーな行政手続きが行われていたことになります。ここまでくると、単に私の妄想と切り捨てることもできず、市民が調べてもすぐにはわからないよう徹底的にCCCの存在を隠すというのがツタヤ図書館誘致自治体のやり方なのかなぁと思わざるをえません。


とりあえず、今日はそんなところです。よろしくお願いいたします。



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