こんにちは、日向です。
先日お知らせしました和歌山市の西コミュニティーセンターの指定管理者選定の件、本日、ようやく生涯学習課・担当者の方に、いくつかの疑問点を確認することができました。
まず第一に、CCCが構成企業に名前をつらねた団体の選定について、教育委員会の正式承認(決裁)はいつ、どのような形で行われたのかという点ですが、
やはり、予想していた通り、教育委員会の定例会に議案が提出されて議決されたわけではなく、“教育長臨時代理”という形で決裁されていたことが確認できました。
驚くのがその日付です。
教育長臨時代理の決裁は、選定委員会が開催された11月18日当日に行われた
――とのことでした。まるで、入学試験当日に入学手続きまで行われたのかのように思えてしまいました。
選定委員会後の教育委員会定例会は12月12日開催でした。なので、そこで議決していたのでは、12月5日から開催される市議会上程にはまにあいません。なんとか、年内成立にまにあわせるためには、11月18日~12月5日(議案提出締切はその数日前)までに、臨時会を開催して、そこで指定管理者選定案を議決するしかありませんでしたが、教育政策課によれば「委員の都合で、その期間中に臨時会を開催するのは難しかった」そうです。
残された手段は「教育長が教育委員の代理で決裁するしかなかった」ということのようです。
そうなりますと、そもそも12月議会に上程する指定管理者案を、11月18日に選定委員会を開催して決めるというスケジュールそのものが、最初から危うい計画だったのではないのかと思わざるを得ません。端的に言えば「最初から教育委員会の議題に乗せるつもりがなかったのでは?」と勘繰りたくなります。4社によるコンソーシアムとはいえ、問題が多発しているCCCが参画した団体の選定について、たとえ少しでも異論が出たら困るという管理職サイドの心理がどこかで働いたとしたも決して不思議ではありません。
教育委員会が所管する教育文化施設に関する議案については、先に教育委員会に諮って議決しないと、議会へ送ることはできません。ところが、和歌山市では、7年前、最初にCCCを市民図書館の指定管理者に選定したときは、なぜか、その正式な手続きを踏みませんでした。特別な場合(緊急やむをえない理由により教育委員会の議決を得ることができない)に限って許されている“教育長臨時代理”という手法を使って、教育委員会の承認手続きを通過させていたのです。
また、昨年9月議会で正式承認された、今年4月から再度5年間、市民図書館の指定管理者にCCCを選定する件でも、議会上程に間に合わないという理由で、とってもおかしな手続きが行われていました。(議案なしに“口頭議決”をした和歌山市)
ただし、昨年のCCC再選定のケースでは、今回の西コミセンのように教育長臨時代理というウルトラCは使いませんでした。8月10日の教育委員会定例会で、いきなり「報告第○号」として、まだ教育委員会へ議案として提出する前の段階で、CCCの選定を委員に報告していました。その後、9月1日に臨時会を開催。そこで正式に議決して、9月4日が締切だった、経済文教委員会への議案提出してギリギリセーフというスケジュールでした。つまり、このときは教育委員会承認のための臨時会開催はできたのです。なのに、西コミセンの指定ではどうして臨時会を開催できなかったのか。その点を教育政策課にお聞きしましたところ「今回は、教育委員の都合がつかず臨時会は開催できなかった」との回答でした。
どうでもいい形式的な手続きに、そこまでこだわるのはヘンと思われたかもしれません。教育文化施設の管轄を教育委員会から市長部局に移管して、教育委員会の承認なしに決める自治体も出てきているなか、たとえウルトラCを使ってでも、教育委員会の承認手続きを経ているだけマシと思われた方もいるかもしれません。
しかし、教育委員会をはじめとした各専門委員会での議論を経て、最終的に議会で正式承認された格好になっているからこそ、指定管理者の選定というのは、それなりに重みをもってくるものです。なのに、その内実がここまでスカスカですと、決定までの一連のプロセスがすべて台無しに思えてしまうのです。
ここで改めて、7年前の2017年12月に初めて市民図書館の指定管理者にCCCを選定した際はどうだったか、簡単に振り返ってみます。
このとき、選定員会は11月24日に開催されました。12月議会に、その指定管理者案を議会に上程するにはすでに無理のあるスケジュールでしたので、11月29日に教育長臨時代理で決裁を行い、教育委員会へは事後報告の形で承認を得ていました。しかし、教育長が臨時代理で決裁するにあたっては、あらかじめ11月9日開催の定例会において、教育長が“臨時代理”する承認を委員全員から得ていたことがあとから判明しています。
つまり、指定管理者はまだどこになるかわからないけれども、選定委員会で決まった案を教育長が単独で決裁することを教育委員全員が事前に了承していたと、当時、市議会関係者が語っていました。今回の西コミセンの指定管理者については、いまのところそのような形跡はみあたらず、選定委員会で指定管理者が決まったら、その日のうちに教育長が単独で決裁しているのですから驚きます。
こういうことが許されるとしたら、教育委員会の承認手続きというのは、単なる形式的なものにすぎず、教育長が「これでいい」と思ったら、それがそのまま教育委員会の承認となってしまうわけです。
ここで、ひとつ気になる情報がはいってきました。西コミセンの指定管理者案を承認した阿形博司氏は、2022年4月に教育長に就任しています。和歌山市の教育長は、教育畑ではなく総務部など市長部局出身者がなるという印象を持ってましたが、阿形氏は、市立小学校教諭を経て市教委学校教育課長、教育局長を歴任していて、めずらしく教育畑の人でした。
で、そこまではいいんですが、就任時の地元メディアの記事の以下のくだりを読んで、思わず目が点になってしまいました。
https://wakayamashimpo.co.jp/2021/02/20210228_99762.html より |
㈱KEGキャリア‧アカデミーで市若竹学級運営管理事務局長…などを務めていた。
㈱KEGキャリア‧アカデミーと言えば、今回西コミセンの指定管理者に選定された団体「ぶんきょうの杜舎」の代表企業です。
そう、異例のスピードで教育長が承認した指定管理者のうち一社は、こともあろうに、阿形氏が教育長になる前に務めていた会社だったのです。
いやぁ、これは驚きますね。CCCがこの団体に入っていたことも驚きましたが、代表企業が教育長が関係している企業だったなんて、そんなあからさまなことがあっていいんでしょうか。
おそらく、㈱KEGキャリア‧アカデミーは、西コミセンのある地域の地場に深く根差した事業を長年展開されていることから、その実績が高く評価されての選定であり、教育長がその選定結果を左右するようなことは、ありえないとは思いますけれど、その後の決裁行為を教育長が超特急で行ったとなれば、なにか便宜をはかったのではないのかって、みられても仕方のないような気がしますね。(和歌山市が新施設で“CCC選定”を隠す理由 の文末コメント欄にこの企業についての情報提供がありました)
まさに“李下に冠を正さず”とは、こういうときに使われることわざではないでしょうか。
とりあえず、本日はここまでにします。よろしくお願いいたします。
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ここまであからさまなのに…
返信削除市会議員なんかは
当てにならないんですかね?
地方自治における不正に目を光らせる
部署なんかもないもんでしょうか?
コメントありがとうございます。私もどうしてなのかわかりませんが、とりわけ和歌山市の議員さんは、民間委託の不正疑惑についてあまり関心がないように思えます。それでも「これは、おかしい」という市民が出てくれば、議会で取り上げざるをえないと思いますので、まずは事実を調べて、みなさんに広くお知らせしたいと思っています。
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